NSF、革新技術イニシアチブの申請手続きに関する意見募集を開始

州科学技術研究所(State Science & Technology Institute: SSTI)は9月24日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の技術・イノベーション・パートナーシップ局(Directorate for Technology, Innovation, and Partnerships: TIP)が新設する「ブレークスルー・イノベーション・イニシアチブ(Breakthrough Innovations Initiative)」の申請に関する意見募集を再度開始した。研究者や起業家が従来にない手法で画期的な技術を創出し、研究成果を実用的な応用や製品に転換することを可能にするためのプログラムで、TIPはこの申請プロセスを簡素化し、応募者の申請作業時間を15~25時間に短縮する。革新的な研究の選定と実施の迅速化が目的であるが、初回の募集では意見が寄せられなかった。意見提出は19日から30日以内にwww.reginfo.gov/public/do/PRAmainを通じて行うことができる。また、同時にアイコア・チーム・プログラム(I-Corps Team Program)の事前提出要約書式についても意見募集しており、11月18日まで受け付けている。 SSTI “NSF plans for streamlined breakthrough innovation prizes” (09/24/25) https://ssti.org/blog/nsf-plans-streamlined-breakthrough-innovation-prizes

地域ベンチャー投資が地域経済活性へ波及 SSTI調査

州科学技術研究所(State Science & Technology Institute: SSTI)は9月24日、全米20州の31のベンチャー開発支援組織(Venture Development Organizations: VDO)による革新企業への数十億ドル規模の初期投資が地域経済への波及効果を生み出していると発表した。調査によるとVDOはこれまでに4,600社に投資し、これらベンチャー企業は現在32万3,000人を雇用し、年間給与総額は288億ドルに達している。投資分野は情報技術が3分の1以上、ヘルスケアが27%以上を占め、投資額の中央値は26万ドルと比較的小規模ながら、地域経済の活性化と雇用創出に貢献していることが明らかになった。また、VDO支援企業は総額250億ドルの追加資金調達に成功しており、VDOの初期投資が民間投資家の関心を引き付ける重要な役割を果たしているという。VDOは地域の技術系スタートアップに対してリスク資本と起業家育成サービスを提供する非営利組織を指し、民間ベンチャーキャピタルが見落としがちな地域においてイノベーション主導の起業文化を醸成している。 SSTI “Comprehensive review of VDO investments highlights multi-billion-dollar economic impact of investing in early-stage innovation” (09/24/25) https://ssti.org/blog/comprehensive-review-vdo-investments-highlights-multi-billion-dollar-economic-impact-investing

EDA、大学センター支援プログラムなど3事業を廃止

州科学技術研究所(State Science & Technology Institute: SSTI)は9月24日、商務省(Department of Commerce)傘下の経済開発局(Economic Development Administration: EDA)が予算制約を理由に大学センタープログラム(University Centers program)を含む3つのプログラムへの資金提供を中止することを発表した。廃止となるのは、45年の歴史を持つ大学センタープログラムと企業向け貿易調整支援(Trade Adjustment Assistance to Firms)プログラム、STEMタレント・チャレンジ(Science, Technology, Engineering and Mathematics: STEM Talent Challenge)の3プログラムで、商務省からSSTIへの電子メールで明らかになった。これにより、全米70カ所の大学センターが影響を受けることになるが、同省は、現在実施中の助成には影響しないとし、プロジェクトの終了に際しては、各受給者と個別に協力して円滑な終了手続きに尽力すると説明している。 SSTI “Among recent U.S. EDA cuts is the 45-year-old University Centers program” (09/24/25) https://ssti.org/blog/among-recent-us-eda-cuts-45-year-old-university-centers-program

機械学習の安全統合に新工学分野必要 NASEM提言

米国科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM)は9月、安全性が重要なシステムへの機械学習技術の統合には、機械学習とシステム工学を融合した新たな工学分野の確立が必要とする報告書を発表した。報告書は、自動運転車や医療ロボット、電力網などの分野で機械学習の活用が進む一方、誤作動が人命や財産、環境に深刻な被害をもたらす可能性があると指摘しており、従来の安全工学は航空機や原子炉など極めて信頼性の高いシステムを生み出してきたものの、画像認識の精度が97%でも自動運転などの用途では10億倍高い信頼性が求められるなど、機械学習特有の予測不可能性や変動性により、両分野の統合には技術的課題が存在しているとしている。そこで、NASEMは、データ工学ツール、不確実性の表現と校正、検証・評価手法の3つの重要研究分野を特定し、機械学習研究者にシステム全体の視点を、安全工学者には機械学習の特性理解を求め、また政府に対しては技術の透明性向上と安全基準の策定を提言している。 NASEM “Machine Learning for Safety-Critical Applications” (09/24/25) https://nap.nationalacademies.org/resource/27970/interactive/

DARPA、AIの電力効率と性能の両立目指す新プログラム始動

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は9月24日、人工知能(AI)システムの電力消費と性能のバランスを最適化する新プログラム「機械学習の物理へのマッピング(Mapping Machine Learning to Physics: ML2P)」を開始すると発表した。電気工学、数学、論理学、機械学習などの分野の専門家を招集し、エネルギー効率を考慮した新世代の機械学習の設計を進める。従来の機械学習モデルは性能の最大化のみに焦点を当てて設計し、電力消費を考慮しなかったことから、モデルの性能を物理的な電気特性(実際の電力使用量)にひも付けし、そのエネルギー使用量をジュール単位で測定することで、精度と消費電力の適切なバランスを実現するモデルを構築する。ネットワーク接続が制限・隔絶されるなどの電力制約の厳しい戦術的エッジ(tactical edge)環境でのAI導入が加速する中、省エネ設計に重点を置くML2Pの技術は、防衛分野を超え、将来的にはAIワークロードに最適化されたハードウェア設計にも貢献できるという。 DARPA “Energy-aware machine learning” (09/24/25) https://www.darpa.mil/news/2025/energy-aware-machine-learning

オープンAI社/オラクル社/ソフトバンク社、新たに5件のAIデータセンター拠点

オープンAI社(OpenAI)、オラクル社(Oracle)、ソフトバンク社(SoftBank)は、オープンAI社による包括的な人工知能(AI)インフラ基盤プロジェクトであるスターゲート(Stargate)の下、米国内に新たに5件のAIデータセンター拠点を発表した。これら5拠点と、テキサス州アビリーンにあるオープンAI社の旗艦拠点、コアウィーブ社(CoreWeave)と現在進行中のプロジェクトを合わせると、スターゲートで計画されている電力需要はほぼ7ギガワット(GW)となり、投資額は今後3年間で4,000億ドルとなる。これにより、オープンAI社等が1月に発表した「4年間で5,000億ドルを投じて10GWのAIインフラを実現する」という誓約を予定より早く達成できる可能性がある。 HPC Wire “OpenAI, Oracle, and SoftBank Expand Stargate with 5 New AI Data Center Sites” (09/24/25) OpenAI, Oracle, and SoftBank Expand Stargate with 5 New AI Data Center Sites

住宅用設備の改良によってデータセンターのエネルギー需要に対応可能

リワイヤリング・アメリカ(Rewiring America)は9月18日、「自家製エネルギー:住宅用設備の改良によってデータセンターの電力需要に完全対応できる(Homegrown energy: How Household upgrades can meet 100 percent of data center demand growth)」と題する報告書を発表した。報告書は、住宅用ヒートポンプや蓄電池、ソーラーアレイへの投資によって、人工知能(AI)のデータセンターから予想される電力需要増の100%をまかなうことが可能であるとしている。具体的には、米国のAIブームの背後にいる大手技術企業やインフラ企業が、住宅のヒートポンプの改良費用の50%、ソーラー及び貯蔵費用の30%を負担すること等で、新たに天然ガス翼発電所を建設するのと同程度の費用で93ギガワット以上の送電網容量を確保することができるという。 Rewiring America “Homegrown energy” (09/18/25) https://www.rewiringamerica.org/newsroom/press-releases/peak-demand-report-2025 参考:https://www.utilitydive.com/news/heat-pump-solar-and-storage-deployment-could-offset-ai-load-through-2029/761013/

テスラ社、次なるEV充電器インフラ事業の先導役に

ブルムバーグ・インテリジェンス社(Bloomberg Intelligence)の2026年電気自動車(EV)充電見通しによれば、電気自動車(EV)充電業界の一部の早期参入企業は、財務上の課題の増大に直面しており、業界内に淘汰が起こる見通しであるという。2026年EV充電見通しによれば、今後のEV充電事業を先導するのは、これまで同事業を支配していた企業ではなく、電気化の取り組みに既に数十億ドルの投資をしている自動車メーカーが所有・支援する垂直統合型ネットワークとなる可能性が高い。テスラ社(Tesla)は、自社のスーパーチャージャー・ネットワーク(Supercharger network)に3万2,000基以上のポートがある他、より低速のレベル2の充電器を1万9,000基保有しており、2030年までにスーパーチャージャー・ネットワークのポート数をほぼ倍増させる見通しである。BMWやゼネラル・モーターズ(General Motors)、ホンダなど自動車メーカー8社の合弁会社であるイオンナ社(Ionna)は、高速充電ポート(現在300基)を2030年までに3万基増設する計画である。一方、これまでレベル2充電器で先導してきたチャージポイント社(ChargePoint)やブリンク社(Blink)等は、レベル2充電器の低価格競争によって成長が鈍化しており、DC急速充電器に投資する資本も有していないと、ブルムバーグ・インテリジェンス社は指摘している。 Axios “Tesla leads the next wave of EV charging infrastructure” (09/24/25) https://www.axios.com/2025/09/24/next-wave-ev-charging-infrastructure

ブルーウォーター社、ドローン船舶の建造企業としてコンラッド社を選出

マサチューセッツ州を拠点とするスタートアップ企業のブルーウォーター・オートノミー社(Blue Water Autonomy)は、同社設計の無人自律船舶をルイジアナ州にある造船企業コンラッド・シップヤード社(Conrad Shipyard)で建造すると発表した。来年には進水の予定である。この造船契約は、①中国が支配的となっている造船業における米国の造船業の復活、②水兵及び海兵隊の双方を強化するハイブリッド艦隊の追求、という米海軍にとって死活的ともいえる二つの課題が関係する。ブルーウォーター社は、「コンラッド社と共に、真の量産型船舶を造船する。完全な自律型で乗組員はおらず、当社がゼロから設計する船舶となる」と発表した。同社の無人自律船舶は全長150フィートで複数の任務を目的として設計される。ルイジアナ州は、ドローン船舶のホットスポットとなりつつあり、今年初めにはサロニック社(Saronic)が同州フランクリンにある造船会社のガルフ・クラフト社(Gulf Craft)を買収し、大型水上艦の建造を計画している。 Axios “Exclusive: Blue Water picks Conrad for drone-ship production” (09/24/25) https://www.axios.com/2025/09/24/blue-water-conrad-asv-louisiana

トランプ政権、国内最大のリチウム鉱山企業の株式取得を要求

ロイター通信(Reuters)は9月24日、トランプ政権がエネルギー省(Department of Energy)による22億6,000万ドルの融資条件再交渉の一環として、リチウム・アメリカズ社(Lithium Americas)の株式最大10%を要求していると報じた。同社はゼネラル・モーターズ社(General Motors: GM)と共同で、2028年の操業開始時には西半球最大のリチウム供給源となるネバダ州サッカー・パス鉱山プロジェクトを進めており、計画の第一段階で最大80万台の電気自動車に供給可能な規模となる年間4万トンのバッテリー用炭酸リチウムを生産する予定である。一方、政府は中国の過剰生産によるリチウム価格低迷を背景に、同社の融資返済能力に懸念を示し、インテル社(Intel)やMPマテリアルズ社(MP Materials)などへの出資に続き、国家安全保障上重要な産業への直接介入を強化している。大統領はこの計画を支持するものの、公平性を望む姿勢を崩していないとし、GM社に対してもリチウム購入の保証やプロジェクトの一部管理権を政府へ移譲するよう求めているという。 Reuters “Exclusive: Trump wants piece of company in charge of America’s biggest lithium mine” (09/24/25) https://www.reuters.com/business/autos-transportation/trump-administration-seeks-equity-stake-lithium-americas-amid-loan-talks-2025-09-23/