エネルギー貯蔵セクター、大幅成長へ

トラウトマン・ペッパー・ロック法律事務所(Troutman Pepper Locke)は9月、エネルギー貯蔵セクターが大幅な成長を遂げる見通しであるとする報告書を発表した。政策措置が確定し、貿易関税による影響の見通しが立ったことによるもので、具体的には7月に成立した大規模減税法案(One Big Beautiful Bill Act: OBBBA)が、蓄電池の優遇措置を維持したことによる。実際に電力会社による蓄電池導入も加速しつつあり、2024年には全実用規模の蓄電池容量の3分の2が裁定取引を含む用途で使用されたとのエネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)の発表も追い風となった。業界関係者は電力価格の急上昇も蓄電池市場の推進要因になると予測する一方で、同法に含まれる懸念される外国の事業体(Foreign Entities of Concern: FEOC)条項により、中国などの敵対国からの部品を使用した蓄電池プロジェクトは税制優遇対象から外れ、供給網に重大な課題が残るとも指摘している。 Department of Energy “What’s Next for US Energy Storage After OBBBA and Amid Continued Tariff Risk?” (09//25) https://www.troutman.com/wp-content/uploads/2025/09/Whats-Next-for-US-Energy-Storage-After-OBBBA.pdf 参照記事:Utility Dive “Battery storage, spared from IRA cuts, poised to grow as power prices rise” (09/23/25) https://www.utilitydive.com/news/with-tax-credits-secured-and-price-hikes-looming-battery-storage-is-poised-to-grow/760878/

大統領府、2027年度研究開発予算優先分野発表

NEXTGOV/FCWは9月23日、政府が人工知能(AI)や量子情報科学などの新興技術を2027年度科学技術研究開発の優先分野として掲げると報じた。行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)と科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)の覚書によると、多様性・公平性・包摂性(DEI)イニシアチブなどの「目覚めたイデオロギー(woke ideology)」を排除し、AI、量子情報科学・技術、半導体・マイクロエレクトロニクス、先進通信ネットワーク、次世代コンピューティング技術、先進製造業などの分野の研究開発を優先的に行うという。その上で、連邦省庁に対し、透明性と厳密性、影響力を重視する「ゴールド・スタンダード科学(Gold Standard Science)」の採用を優先するよう通知し、経済成長と雇用創出、国家安全保障の確保に向けた研究開発ポートフォリオを再編成するよう指示した。研究インフラ強化や技術人材育成、高価値研究への集中、再現研究(replication studies)・統計的検証手法の支援を奨励している。 The White House “Fiscal Year (FY) 2027 Administration Research and Development Budget Priorities and Cross-Cutting Actions” (09/23/25) https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2025/09/M-25-34-NSTM-2-Fiscal-Year-FY-2027-Administration-Research-and-Development-Budget-Priorities-and-Cross-Cutting-Actions.pdf 参照記事:NEXTGOV/FCW “White House instructs agencies to prioritize emerging tech and ‘Gold Standard Science’” (09/23/25) https://www.nextgov.com/emerging-tech/2025/09/white-house-instructs-agencies-prioritize-emerging-tech-and-gold-standard-science/408310/?oref=ng-homepage-river

GAO、原子力規制委員会による安全性確保の取り組みについて報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は、今般、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)による安全性確保の取り組みについて報告した。これによると、原子力規制委員会による原子力発電所の安全性の監督は、主として、商用原子力発電所の運営の安全性と安全保障を調査・測定・評価する「原子炉監督プロセス(Reactor Oversight Process)」を通じて行われており、発電所のパフォーマンス指標や調査によって懸念が生じた場合はより詳細な追加の検査が実施されている。一方、NRCはライセンシング等を目的として原子力発電所の財務情報を使用しており、一般的に、ライセンス付与後は継続的な監督プロセスへの情報提供として財務情報を使用することはないものの、NRCによれば、必要と判断されればこうした財務情報を見直すことは可能であるという。例えば、NRCは、業界情報をモニターしており、原子力発電所の財務状況に関する情報が安全性に懸念を招く可能性がある場合、発電所に追加情報を要請し、精査することができるという。 Government Accountability Office “Nuclear Power: Nuclear Regulatory Commission Relies on Information From its Reactor Oversight Process to Ensure Safety” (09/23/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107807

GAO、中小企業研究プログラムについてより明確なガイダンスを提言

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は今般、中小企業庁(Small Business Administration: SBA)における中小企業技術革新研究(Small Business Innovation Research:SBIR)と中小企業技術移転(¥Small Business Technology Transfer:STTR)、SBIR及びSTTRプログラムの監督状況について、報告を行った。これによると、現在、SBIRとSTTRにおいて、オープントピックと従来型トピックの2つの公募形態があり、オープントピックによる公募は、中小企業側が問題を定義し、広範なトピック分野で解決策を特定するというもので、一方、従来型トピック公募は、連邦省庁側が事前に定義した問題への解決策を企業が提案するものとなっている。調査の結果、GAOは、「SBIR及びSTTRプログラムを実施する連邦機関において、オープントピック及び従来型トピックの分類には一貫性がない」ことを明らかにした。例えば2023年度に、3機関が「従来型トピック」として発表した公募の3分の1以上は、内容が広範で、他の機関では「オープントピック」として募集されるものであった。GAOは、SBAに対して、オープン・従来型トピックの正式な定義を策定し、連邦機関にそのガイダンスを提供することを提言している。 Government Accountability Office “Small Business Research Programs:Clearer Guidance Could Improve Award Data to More Effectively Measure Outcomes” (09/23/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107942

宇宙軍、「フロントドア」イニシアチブを「宇宙軍フロントドア」に改称

米宇宙軍(United States Space Force)は9月23日、宇宙システム司令部(Space Systems Command: SSC)の「フロンドドア(Front Door)」イニシアチブの名称を、「宇宙軍フロントドア(Space Force Front Door)」に改称したと発表した。改称は、業界パートナーと宇宙軍を結びつけるという本イニシアチブが持つ重要な役割を強調するために行われた。宇宙軍フロントドアは今後も政府機関と民間企業の間の協力を育成し、実証済み・新興の技術の交流を促進して米国の宇宙能力の進展と国家安全保障の強化につなげる。本イニシアチブは2023年の開始以来、関連政府機関と連携して自社のイノベーション及び技術を共有することに関心のある1,400社以上から1,700件以上の技術提案を受理している。これらの連携により、今年上半期に、宇宙システム司令部が750件以上の新規宇宙契約を締結するに至っている。 United States Space Force “Space Force renames ‘Front Door’ to reflect broader impact on industry collaboration” (09/23/25) https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/4311861/space-force-renames-front-door-to-reflect-broader-impact-on-industry-collaborat/

コロナ終息後の大卒労働者の動向 NCSES報告

国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は9月23日、大卒労働者の就労・非就労状況、職業への関わり方(職業関連の訓練や会議への出席等)、勤務形態の動向について報じた。それによれば、米国内に居住する大卒者数は2023年に7,170万人に達し、そのうち7,090万人が何らかの就労経験を有し、5,610万人が現在就労中で、1,490万人が就労していない。就労している大卒者の数は、2021~2023年に430万人(8.3%)増え、就労していない大卒者数は130万人(7.9%)減少した。この就労者数の増加と非就労者数の減少は、新型コロナのパンデミックが終息した時期と重なっており、大卒労働市場における一連の動きの背景となっている。また、就労している5,610万人の大卒者の中で、4,740万人(84.5%)は正規雇用(1週間に35時間以上就労)で、残りの15.5%(870万人)はパートタイムである。 National Center for Science and Engineering Statistics ”The College-Graduate Workforce in the Transition to a Post-Pandemic Labor Market: Trends in Employment, Professional Engagement, and Work Arrangements” (09/23/25) https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf25331

ユーティリティ機関による気候問題対策の誓約は後退 シエラクラブ報告

シエラクラブ(Sierra Club)が9月22日に発表した報告書「汚れた真実のレポート(The Dirty Truth Report)」によれば、同団体が調査した75のユーティリティ機関の約20%が、気候問題対策の誓約で後退しており、更に多くの機関が、天然ガス資源を追加したり、石炭の燃焼を継続したりしているという。報告書は、ユーティリティ機関による石炭、天然ガス、クリーンエネルギー計画を調査したもので、シエラクラブが算出したユーティリティ機関全体のスコア(100点中15点)は、5年前に最初の報告書を発表して以来、最低となっている。報告書は、排出削減目標を後退させているユーティリティ企業として、エンタージー(Entergy)、デュークエナジー(Duke Energy)、エバージー(Evergy)など6社を挙げている。 Sierra Club “The Dirty Truth Report” (09/22/25) https://www.sierraclub.org/sites/default/files/2025-09/dirty-truth-report-2025.pdf 参考:https://www.utilitydive.com/news/utilities-backtrack-climate-commitments-sierra-club/760727/

ボーイング社の次世代戦闘機F-47、2028年に初飛行予定

ディフェンスニュース(DefenseNews)は9月23日、ボーイング社(Boeing)による次世代戦闘機F-47の製造が開始され、2028年には初飛行する予定であると報じた。デイビッド・オールビン空軍参謀長(Gen. David Allvin)は空軍(Air Force)と宇宙軍(Space Force)の航空・宇宙・サイバー会議(Air, Space and Cyber Conference)で、F-47が空の支配を確立する重要な戦闘機になると言及した。第6世代戦闘機となるF-47は、F-22ラプター(F-22 Raptor)の後継機として開発が進められている次世代機種(Next Generation Air Dominance: NGAD)で、最先端のステルス性能や武装、エンジンを搭載する。また、自律型ドローン僚機と連携した飛行も可能とし、特に戦闘半径は1,000海里以上、マッハ2(時速1,500マイル)以上の速度で飛行できることから、その出力と戦闘半径の優位性に注目が集まっている。今後、空軍は計185機以上のF-47導入を予定しており、その購入規模はF-22機と同等か、それを上回る見通しと説明している。 DefenseNews “First F-47 now being built, will fly in 2028: US Air Force chief” (09/22/25) https://www.defensenews.com/air/2025/09/22/first-f-47-now-being-built-will-fly-in-2028-us-air-force-chief/

クリーンエネルギー雇用の成長と政策の脅威 E2報告

超党派ビジネス団体のE2は9月22日、2024年にクリーンエネルギー関連雇用が2.8%増加し、全米の雇用増加率を2%上回ったものの、インフレ削減法(Inflation Reduction Act)の一部優遇措置の撤回が、その成長を妨げる可能性があると発表した。同団体の報告書によると、2024年末には350万人以上がクリーンエネルギー関連職に従事し、そのうちの60%が建設と製造業であったという。また、エネルギー効率分野には230万人以上の労働者が従事し、太陽光部門は37万人、蓄電池と送配電部門には17万人、EVやハイブリッド、水素燃料電池自動車(Hydrogen vehicles)分野では40万人が雇用されていることを明らかにした。2025年初頭の時点では、継続的な雇用成長を見込んでいたものの、税額控除や新工場建設の中止、風力発電プロジェクトの許可停止などが相次いだことにより、現在、数千の雇用が危機に瀕しているとも指摘し、今後は電力需要の増加と石油価格の不確実性が成長を支えるものの、政策の見直しがなければ、先行きは不透明との見方を示している。 E2 “CLEAN JOBS AMERICA 2025 A BOOMING JOB ENGINE NOW AT RISK E2’S TENTH ANNUAL ANALYSIS OF U.S. AND STATE CLEAN ENERGY SECTOR EMPLOYMENT” (09/17/25) https://cleanjobsamerica.e2.org/wp-content/uploads/2025/09/E2-2025-Clean-Jobs-America-2025_final.pdf 参照記事:Utility Dive “Clean energy jobs grew in 2024 but face policy threats: E2” (09/22/25) https://www.utilitydive.com/news/clean-energy-job-growth-risks-policy-trump/760723/

仮想発電所市場、37.5GWに拡大 ウッド・マッケンジー報告

エネルギー関連調査会社のウッド・マッケンジー社(Wood Mackenzie)は9月17日、仮想発電所(Virtual power plant: VPP)の市場規模が前年から13.7%拡大し、37.5GWに到達したと発表した。同社の「2025年北米VPP市場レポート(2025 North America virtual power plant market report)」によると、導入企業数やオフテイカー(電力購入者)数、収益化された市場やプログラム数などがそれぞれ前年比33~38%増加したことにより市場が拡大したという。主にカリフォルニア、テキサス、ニューヨーク、マサチューセッツの各州への導入が中心で、PJM系統(PJM Interconnection)やテキサス州電気信頼性評議会(Electric Reliability Council of Texas: ERCOT)が最大の購入者であった。技術面では従来主流のスマート・サーモスタット(Smart thermostats、遠隔操作できる温度調節装置)から蓄電池や電気自動車(EV)を活用した導入への移行が進んだ。一方でプログラムの上限制約や制度改革、小規模顧客参入の障壁に加え、発電容量が電力需要に追い付いていない現状も明らかにした。 Wood Mackenzie “Virtual power plant capacity expands 13.7% year-over-year to reach 37.5 GW, according to Wood Mackenzie” (09/17/25) https://www.woodmac.com/press-releases/virtual-power-plant-capacity-expands-13.7-year-over-year-to-reach-37.5-gw/ 参照記事:Utility Dive “Data center demand drives 33% jump in VPP deployments: Wood Mackenzie” (09/22/25) https://www.utilitydive.com/news/data-center-vpp-virtual-power-wood-mackenzie/760731/