EPA、化学物質規則の改正案を発表

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は9月22日、有毒物質規制法(Toxic Substances Control Act: TSCA)に基づく化学物質のリスク評価プロセスを見直す規則案を発表した。バイデン前政権下における2024年のリスク評価枠組み規則の実施プロセスを修正するもので、具体的には、リスク評価の範囲や作業員への曝露(ばくろ)対策の考慮方法などを明確化するほか、製造業者に対する情報提供義務も調整する内容となっている。リスク評価の効率性と透明性を高めつつ、人々の健康と環境保護を目的とする今回の取り組みについて、リー・ゼルディン長官(Lee Zeldin)は「化学物質の安全性への信頼性確保や、法と科学に基づいた明確性のあるアプローチを提供する」と説明し、官報による公表後、45日間に亘り意見募集を行う予定であるという。詳細については、TSCAに基づく既存化学物質のリスク評価(Risk Evaluations for Existing Chemicals under TSCA)の参照を促している。 EPA “EPA Releases Proposal to Increase Efficiency, Better Protect Health and the Environment in Chemical Reviews under TSCA” (09/22/25) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-releases-proposal-increase-efficiency-better-protect-health-and-environment

大規模蓄電池の利用、価格裁定取引が主流に EIA報告

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は9月22日、大規模蓄電池の利用目的が裁定取引(Arbitrage、アービトラージ)に移行しつつあると発表した。裁定取引は、電力価格が低いときに蓄電し、高いときに発電することで利益を得る手法で、2024年末時点で、大規模蓄電池の41%が主に裁定取引に利用されており、前年の24%でだった周波数制御(frequency regulation)を上回る内容となったという。また、カリフォルニア独立系統運用機関(California Independent System Operator: CAISO)管内では43%、テキサス州電力信頼性評議会(Electric Reliability Council of Texas: ERCOT)管内では50%の大規模蓄電池が、主に裁定取引に利用されていることも明らかにした。さらにEIAは、大規模蓄電池の利用目的は多様化しつつあるとも指摘し、これまでの周波数制御に加え、電力需要の変動に応じた余剰風力・太陽光発電なども活用例として挙げている。 EIA “Utility-scale batteries are more commonly used for price arbitrage” (09/22/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=66164

エネルギー省、石油・天然ガス活用で包括的研究を開始

エネルギー省(Department of Energy)は9月22日、全米石油審議会(National Petroleum Council: NPC)に対し、包括的な将来のエネルギーシステム研究の開始を要請したと発表した。国内の石油・天然ガス資源を活用した国家安全保障強化に加え、経済成長への支援、また一般家庭へのエネルギー供給へどのように活用するかを調査することが目的で、特にエネルギーインフラの許認可プロセスの迅速化と、天然ガス・電力産業間の連携強化という2つの分野に焦点を当てる。トランプ大統領による国家エネルギー緊急事態宣言や国家エネルギー優位性評議会(National Energy Dominance Council)設立などの大統領令を受けた取り組みであり、化石エネルギー・炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management)は、電力需要の増加に伴い複数の地域でパイプラインへの負荷が高まっており、実効性のある解決策の提案が急務となっていると説明した。研究結果は、2025年12月にワシントンDCで開催される第135回NPC会議で発表される予定という。 Department of Energy “Powering the Future: Secretary Wright Calls on the National Petroleum Council for Energy Study” (09/22/25) https://www.energy.gov/fecm/articles/powering-future-secretary-wright-calls-national-petroleum-council-energy-study

中国の公的R&Dモデルとの競争:米国イノベーション戦略への教訓とリスク CSIS報告

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)は9月17日、「米国が断固たる措置を講じなければ、研究及び技術開発における米国のリーダーシップは低下し、長期的な経済的及び戦略的代償をもたらすだろう」と警告する報告書を発表した。米国は、研究開発(R&D)支出額では引き続き世界的リーダーであるが、中国は米国との差を急速に縮めつつある。CSISによれば、中国の技術的姿勢の変化を最も明確に示す指標の一つは、政府内のR&Dが急増している点である。政府主導のR&Dという中央一元的モデルは、中国に戦略的優位性をもたらしており、業界や高等教育機関等においても、R&D支出は米中間で極めて異なる推移を示しているという。CSISは、米国が世界的なリーダーシップを維持するには、まず、政策策定者が中国におけるR&D投資の規模と対象について理解することが必要であるとしている。その上で、競争力を高める手法として、将来の民間投資の基盤としてR&D資金を回復・改革・拡大しつつ、戦略的分野で税額控除を拡大・現代化することが必要であると主張する。また、複数年に亘る連邦研究助成を提供することで、企業・大学の長期的な研究計画を安定させ、国内のSTEMフェローシップの拡大や技能ベースのビザ政策改革、米国の教育を受けた国際的人材の積極的な維持を通じて、人材基盤を再活性化させる取り組みが重要であるという。 Center for Strategic & International Studies “Competing with China’s Public R&D Model: Lessons and Risks for U.S. Innovation Strategy” (09/17/25) https://www.csis.org/analysis/competing-chinas-public-rd-model-lessons-and-risks-us-innovation-strategy

大学学長の過半数が連邦政策の方向性に「強く懸念」 ACE調査

米国教育評議会(American Council on Education: ACE)が9月15日に発表した「2025年秋期パルスポイントアンケート調査結果(2025 Fall Term Pulse Point Survey)」によれば、大学学長のほぼ4分の3(74%)が、米政権が高等教育にもたらす影響について「強く懸念している」と表明している。また、大学上層部の65%が、移民制限やビザの取り消しについて「ある程度懸念している」または「強く懸念している」と回答し、77%が、学問の自由や大学の自主性に対する州や連邦政策の関与に同様の懸念を示している。更に、ワンビッグビューティフルビル法(One Big Beautiful Bill Act)の順守について、学長の21%が「強く懸念している」、31%が「ある程度懸念している」と回答した。調査は7月28日~8月8日に実施され、517名の大学上層部を対象に、2025-2026学年度における最大の懸念や、最近の行政・立法措置の影響、教育・学習における人工知能(AI)の導入計画について質問した。 American Council on Education “ACE Survey: Majority of College Presidents “Extremely Concerned” About Federal Policy Direction” (09/15/25) https://www.acenet.edu/News-Room/Pages/Pulse-Point-Presidents-Concerned-Fall-2025.aspx

トランプ政権、政府の後押しによる製造業支援を模索

情報筋及び一部の文書によれば、トランプ政権は、米国製造業の活性化を目的として、工場やインフラの建設を促進する計画を検討している。この計画の下、政権は、日本との貿易合意で設定された5,500億ドルの投資資金を利用し、半導体や製薬、重要鉱物、エネルギー、船舶、量子コンピューティングへ投資する意向である。プロジェクトの一部は、迅速な規制審査等の優遇措置を米政府から提供される可能性がある。このような大規模なプログラムを実践するには詳細の調整が必要となることから、交渉内容に通じる者は、計画が変更される可能性もあるとしている。今月初めに日米両政府が署名した覚書は、5,500億ドルの投資資金の使い方についてトランプ大統領に大幅な裁量を認めており、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)を議長とする委員会を設立して、プロジェクトを大統領へ勧告する仕組みとなっている。しかし、日本からの5,500億ドルの投資資金の正確な内容については議論の対象となっており、トランプ大統領が日本との合意について発表した後、赤沢亮正経済再生担当大臣が発表した5,500億ドルの投資誓約に関する見解はトランプ大統領のものとはやや異なっている。 Wall Street Journal “Trump’s Team Explores Government-Backed Manufacturing Boost” (09/18/25) https://www.wsj.com/politics/policy/trump-manufacturing-federal-land-ef3c02ba

「博士号から中国人民解放軍へ」 下院CCP委員会報告書

下院の中国共産党特別委員会(House Select Committee on the Chinese Communist Party)(「CCP委員会」)は9月19日、中国の防衛関連機関は、米国のビザ政策を通じて米国の高等教育を利用していると報じた。具体的に、CCP委員会は、メリーランド大学(University of Maryland)、イリノイ大学アーバナ-シャンペン校(University of Illinois Urbana-Champaign)、カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)など6大学を対象に、各大学における中国人学生の在籍状況と研究活動について調査を行った。その結果、①バイデン前政権は、軍事関連の研究を行う中国人を禁止する大統領令10043号の執行を怠った、②中国軍や防衛研究大学と関係のある中国人の博士課程プログラムに米国納税者の公的資金が充当されている、③米国の大学は毎年、中国軍や国防産業基盤と結びつきのある数千人の中国人の入学を許可している、などの懸念点が明らかになったという。また、こうした急務の脅威に対処する措置として、ビザ審査関連の法規を強化して、米国の重要な研究へのアクセスを阻止し、技術移転リスクを大幅に削減すること、適格性に関する明確な制限や審査基準の強化と報告要件の義務付けを行い、重要技術への中国のアクセスを制限すること等を勧告している。 The Select Committee on the CCP “From Ph.D. to PLA” (09/19/25) https://selectcommitteeontheccp.house.gov/media/reports/from-phd-to-pla

商務省、事業体リストへの追加・修正を発表

商務省(Department of Commerce)産業安全保障局(Bureau of Industry and Security: BIS)は9月16日、輸出管理規則(Export Administration Regulations: EAR)を改正し、事業体リスト(Entity List)に32の事業体を追加したと発表した。これらの事業体は、輸出の宛先国別に、中国(23件)、インド(1件)、イラン(1件)シンガポール(1件)、台湾(1件、トルコ(3件)、アラブ首長国連邦(2件)となっている。BISはこの他、ロシアを相手先国とする1団体について登録されていた2つの住所の削除や、その他の誤記の修正を発表した。今回の規則で事業体リストに追加された団体には、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)傘下の国家授時センター(National Time Service Center)と宇宙航空情報研究所(Aerospace Information Research Institute)等が含まれる。 Federal Register “Additions and Revisions to the Entity List” (09/16/25) https://www.federalregister.gov/documents/2025/09/16/2025-17893/additions-and-revisions-to-the-entity-list 参考:https://www.aip.org/fyi/the-week-of-sept-22-2025 

国立研究所における解雇と希望退職

AIPは9月22日、複数の国立研究所における解雇と希望退職の状況について報じた。パシフィックノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)では、一部の人員に対して希望退職募集が行われた後、先週には解雇が行われた。PNNLは当初、90件の希望退職応募を予定していたが、その数に満たなかったという。また、フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)とアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory:ANL)でも先月、希望退職募集が行われた。アルゴンヌ国立研究所は、最大60件の希望退職応募を受理することを期待していたという。フェルミ国立加速器研究所は応募予定数を明確にしていないが、情報筋によれば200件前後とみられている。更に、サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)は10月までに400名の解雇を計画していると報じられている。国立研究所全体でより深刻な雇用喪失が懸念されていたが、まだそれは発生していないようである。 FYI “National labs see layoffs and voluntary separations” (09/22/25) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-sept-22-2025

大統領府、量子に関する行政措置を策定中

2名の情報筋の話によれば、大統領府は、連邦政府内で量子技術に焦点を当てた行政措置を策定中であるという。情報筋によれば、今年の初夏以来、量子情報科学・技術及びポスト量子への移行に焦点を当てたおよそ2件の行政措置が現在策定中であるという。また、別の情報筋によれば、1~3件の行政措置が行われる見通しであるという。行政措置の詳細は不明であるが、情報筋によれば、行政措置の中核はポスト量子暗号となる見込みである。2期目のトランプ政権は、量子技術を政権の技術政策計画に取り入れることを優先付けており、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)のマイケル・クラツィオス長官(Michael Kratsious)は、大統領府は米国の量子技術イノベーションを人工知能(AI)と同じような型式で進展させていく計画であると述べている。 Nextgov “White House in process of crafting quantum executive action” (09/19/25) https://www.nextgov.com/emerging-tech/2025/09/white-house-process-crafting-quantum-executive-action/408231/?oref=ng-homepage-river