ハーバード大学、大学院入学定員を大幅削減

ハーバード大学(Harvard University)の学生新聞、ハーバード・クリムゾン紙(The Harvard Crimson)は10月21日、同大学の文理学部(Faculty of Arts and Sciences)が今後2年間の博士課程(Ph.D.)入学定員を大幅に削減すると報じた。理学部門では75%以上、人文学部門では約60%の削減となり、社会科学部門でも50~70%が削減されるとみられる。同大学は9月下旬に研究資金の不確実性と年間最大3億ドルに上る基金税(endowment tax、大学基金の運用益への課税)の増加を理由に挙げており、歴史学科は昨年の13人から5人に、社会学科は2026-27年度に6人のみ入学させ翌年はゼロとする方針で、ドイツ語学科の入学枠は無くなる見通しである。削減の背景には、トランプ政権による連邦助成金の凍結があり、同大学は2025年度に1億1,300万ドルの赤字を計上している。連邦地裁が9月に助成金回復を命じたものの、医学部(Harvard Medical School)では研究費を少なくとも20%削減するよう指示が出されており、財政圧力は続いている。 The Harvard Crimson “Harvard FAS Cuts Ph.D. Seats By More Than Half Across Next Two Admissions Cycles” (10/21/25) https://www.thecrimson.com/article/2025/10/21/fas-phd-admissions-cuts/

トランプ政権のUCLA和解案、裁判所命令で公開

ロサンゼルス・タイムズ紙(Los Angeles Times)は10月24日、カリフォルニア州最高裁判所が、カリフォルニア大学(University of California: UC)によるトランプ政権との和解案を非公開にする要請を退けたと報じた。公開されたのはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles: UCLA)への12億ドルの和解案で、UCは文書公開により、交渉に「取り返しのつかない損害」が生じると主張していた。27ページに亘るこの和解案は、政権によるUCLAの入学政策の大幅な変更、抗議活動へのより厳格な規制、未成年者への性別適合医療の禁止などを要求するもので、UCLA教職員組合(UCLA Faculty Association)が公記録法(Public Records Act)に基づき内容を公開するよう提訴し、下級裁判所がUCに開示を命じていた。トランプ政権は8月、UCLAが反ユダヤ主義への対応、入学慣行、性別アイデンティティ問題で違法行為があったとし、5億8,400万ドルの研究資金を一時停止し、大学側も罰金と補償の支払いは不可能という見解を示していた。 Los Angeles Times “Under court order, UC publicly releases Trump administration’s $1.2-billion settlement proposal” (10/24/25) https://www.latimes.com/california/story/2025-10-24/uc-publicly-release-trump-ucla-1-2-billion-settlement-offer

商務省、量子コンピューティング企業への出資交渉を否定

CNBCは10月23日、商務省(Department of Commerce)が量子コンピューティング企業との出資交渉を行っていないと報じた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(The Wall Street Journal: WSJ)が、トランプ政権とイオンキュー社(IonQ)、リゲッティ・コンピューティング社(Rigetti Computing)、ディー・ウェーブ・クオンタム社(D-Wave Quantum)との協議が進んでいると伝えたが、同省当局者が否定したという。トランプ政権は国家安全保障上重要な産業として、8月に半導体大手のインテル社(Intel)に10%、レアアース大手のMPマテリアルズ社(MP Materials)に15%の出資を実施し、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)も連邦資金の投入には政府も企業の利益を共有すべきだと主張していた。同技術は軍事的応用の可能性から各国政府が注目している。そんな中、グーグル社(Google)は23日、従来型コンピューターの1万3000倍以上の速度でアルゴリズムを実行できたとする同技術の研究成果を発表し、同産業への注目が集っている。 CNBC “Trump admin not negotiating equity stakes with quantum firms: Commerce official” (10/23/25) https://www.cnbc.com/2025/10/23/trump-quantum-stock-stake.html

NNSA、史上初の職員一時帰休 政府機関閉鎖で1,400人対象

フェデラル・ニュース・ネットワーク(Federal News Network)は10月20日、国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)が25年で初めて職員の一時帰休を実施したと報じた。政府閉鎖の影響で予算が底をついたため、同日、連邦職員1,400人を一時帰休とした。一方で、核物質管理施設の安全管理に最低限必要な業務の継続のため、約400人の職員が引き続き業務に従事しており、無給での勤務が続いているという。クリス・ライトエネルギー長官(Chris Wright)はネバダ州ラスベガスで「(同局での職員一時帰休は)これまでに前例がない」と言及した。政府機関の閉鎖は、2018~19年の35日間閉鎖の最長記録に迫る勢いとなっている。同長官は予算管理庁(Office of Management and Budget: OMB)と調整し、約10万人の雇用維持に向け「予算のやり繰りをした(do some gymnastics and stretch)」と説明したが、追加資金が枯渇すれば数万人の重要な作業員とその家族、国家安全保障が危険にさらされると警笛を鳴らしている。 Federal News Network “‘This has never happened before’: NNSA furloughs 1,400 staff” (10/20/25) ‘This has never happened before’: NNSA furloughs 1,400 staff

AI指導力強化へタスクフォース設立 SCSPとエヌビディア社が協力

シンクタンクの特別競争研究プロジェクト(Special Competitive Studies Project: SCSP)は10月27日、エヌビディア社(NVIDIA)と協力して「人工知能(AI)と未来の働き方に関するタスクフォース(Task Force on AI and the Future of Work)」を設置し、国のAI指導力強化を目指すと発表した。同タスクフォースは2026年初頭の設立を予定しており、エヌビディア社創設者のジェンセン・ファンCEO(Jensen Huang)とSCSPのエリック・シュミット議長(Eric Schmidt)が主導する。エヌビディア社のアクセラレーテッド・コンピューティング(特殊なハードウェアを使用し、作業を大幅に高速化するもの)に関する技術的専門知識とSCSPの戦略的政策ビジョンを駆使し、国の競争力強化に貢献するのが目的で、まずは2026年5月に開催されるSCSPのAIエキスポで中間報告書を、10月に最終報告書を提出する予定である。共に人材投資の重要性を強調しており、官民が協力してイノベーションを推進していくという。同タスクフォースのメンバーは産業界、学術界、政府機関から選出される予定で、詳細が決定次第、後日発表される。 SCSP “SCSP and NVIDIA Launch “Task Force on AI and the Future of Work” to Strengthen America’s AI Leadership” (10/27/25) https://www.scsp.ai/2025/10/scsp-and-nvidia-launch-task-force-on-ai-and-the-future-of-work/

2024年のバイオ燃料増設、鈍化

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は10月27日、2024年のバイオ燃料生産能力の増加率が前年比3%に留まり、成長が大幅に鈍化したと発表した。モンロー・エナジー社(Monroe Energy)やシェブロン社(Chevron)などの4施設が閉鎖したことに加え、再生可能ディーゼルとその他バイオ燃料が約3億9,100万ガロンのみの増加となり、22~23年の3分の1以下に縮小したことによる。増設はカリフォルニア州のフィリップス66社(Phillips 66)ロデオ製油所のバイオ燃料生産への全面転換とリニューアブル・フューエルズ社(Renewable Fuels)ベーカーズフィールド新工場の2件のみとなった。バイオ燃料クレジット下落と石油精製マージンの回復が投資意欲を冷やし、今後の増設計画も減速傾向にある一方で、持続可能航空燃料(Sustainable Aviation Fuel: SAF)への転換は進んだ。バイオディーゼルは採算悪化で8工場閉鎖により約1億ガロン減少した一方、燃料用エタノールは国内需要横ばいの中で輸出が伸びている。 EIA “U.S. biofuels production capacity growth slowed in 2024” (10/27/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=66484

冬の停電回避へ、エネルギー省が緊急命令

エネルギー省(Department of Energy)は10月24日、冬の電力不足リスクに備え、東部13州と首都ワシントンを管轄するPJM系統(PJM Interconnection)に対し、特定の発電所稼働を許可する緊急命令を発出したと発表した。メリーランド州にあるタレン・エナジー社(Talen Energy Corporation)が所有するワグナー発電所(Wagner Generating Station)の 4号機を、電力需要の逼迫が見込まれる期間に稼働させるもので、クリス・ライトエネルギー長官(Chris Wright)は、この措置により6,500万人の国民が冬の停電を回避できると説明した。PJMは以前から発電所の閉鎖と電力需要の増加ペースが合わず、電力の安定供給に対する懸念が高まっていたことから、PJMのマヌ・アスタナ社長兼CEO(Manu Asthana)も、電力不足の懸念が深刻化していると証言していた。この緊急命令は10月26日から2025年12月31日まで有効で、トランプ政権は天候に左右されない信頼性の高い電力供給にコミットすると強調している。 Department of Energy “Energy Secretary Strengthens Mid-Atlantic Grid Reliability Heading into Winter Months” (10/24/25) https://www.energy.gov/articles/energy-secretary-strengthens-mid-atlantic-grid-reliability-heading-winter-months

トランプ大統領、銅産業保護で環境規制を2年間緩和

大統領府は10月24日、トランプ大統領が、国家安全保障と経済の強靭性を促進するため、国内の銅製錬所に対する環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の厳格な規則を2年間緩和することを承認したと発表した。この措置により、対象施設はバイデン前政権時代に導入された排出基準の適用を免除され、それ以前の基準で操業を継続できることになった。政権は、現行規制は商業的に実現不可能な技術を要求するもので、国内に2カ所しか残っていない製錬所の閉鎖を招き、外国への依存を高めるリスクがあると指摘している。トランプ大統領は、過度な環境規制は米国の鉱物サプライチェーンと経済を損なうとし、経済力と国家安全保障を優先する現実的なアプローチを強調した。政権はこれまでにも、石炭火力発電所や鉄鉱石処理施設など、国家安全保障上重要な他分野で同様の規制緩和を実施してきた経緯がある。また、国内産業の保護に向け、銅の輸入品に対し一律50%の関税を課す措置も講じるという。 The White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Grants Regulatory Relief from Burdensome EPA Restrictions to Promote American Copper Security” (10/24/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/10/fact-sheet-president-donald-j-trump-grants-regulatory-relief-from-burdensome-epa-restrictions-to-promote-american-copper-security/

トランプ大統領、アジア歴訪で成果強調  カンボジア・タイ和平を仲介

大統領府は10月27日、トランプ大統領がアジア各国を訪問し、最初の訪問国マレーシアで歴史的な外交・経済的成果を上げたと発表した。大統領は、カンボジアとタイの指導者と共に、両国間の軍事紛争を終結させるクアラルンプール平和協定(Kuala Lumpur Peace Accords)に署名し、和平を仲介した。また、マレーシア及びカンボジアとは、広範な品目の関税を撤廃・削減する貿易協定を締結した。さらに、タイとベトナムとは、工業製品や農産物の市場アクセス拡大を目指す相互貿易枠組み(Reciprocal trade frameworks)で合意している。加えて、マレーシア及びタイとは、サプライチェーンの多様化と国家安全保障の強化を目的とした重要鉱物取引に関する協定も締結した。特にマレーシアからは数十億ドル規模の投資を確保するなど、政権はこれら一連の成果について、「米国第一主義」政策の推進だけでなく、今回の訪問によって米国のリーダシップにもつなげたい考えを強調している。 The White House “President Trump Opens Asia Trip by Securing Landmark Wins for America” (10/27/25) https://www.whitehouse.gov/articles/2025/10/president-trump-opens-asia-trip-by-securing-landmark-wins-for-america/

トランプ大統領、FERC委員長にローラ・スエット氏を指名

トランプ大統領は、連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)の委員長にローラ・スエット委員(Laura Swett)を指名した。スエット氏は、FERC委員として、2025年6月2日にトランプ大統領の指名推薦を受け、10月7日に上院で承認され、委員任期は2030年6月30日までとなっている。スエット新委員長はこれまで、FERC法に関連する訴訟業務に15年に亘って携わり、発電事業者や送電網事業者、天然ガス及び液化燃料パイプライン等の代理をした経験がある。直近では、ビンソン・アンド・エルキンス法律事務所(Vinson & Elkins)に所属していた。また、かつてFERCに在籍し、当時のFERC委員長及び委員へ助言を行ったり、FERC執行局(Office of Enforcement)の主任弁護士として助言を行った。 Federal Energy Regulatory Commission “President Trump Names Laura Swett Chairman of FERC” (10/24/25) https://www.ferc.gov/news-events/news/president-trump-names-laura-swett-chairman-ferc