2025年のクリーンエネルギー投資中止、240億ドル超

E2は10月22日、2025年に民間企業がキャンセル・縮小したクリーンエネルギー関連プロジェクトの総額が240億ドルを超え、約2万1,000人の雇用を喪失と発表した。9月単月では、ゼネラル・モーターズ社(General Motors)がテネシー州とカンザス州の電気自動車(EV)生産ラインを縮小し1,600人が影響を受けたほか、ナトロン・エナジー社(Natron Energy)がミシガン州の電池工場を閉鎖し、ノースカロライナ州での大規模工場建設計画も中止するなど、約16億ドルのプロジェクトが失われた。エネルギー省(Department of Energy)による約80億ドルの予算打ち切りも重なり、共和党地域は特に大きな打撃を受けている。E2は、「他国がクリーンエネルギー産業で先行する中、米国の産業競争力が低下している」と懸念を表明し、水面下における資本流出や企業による海外投資模索の影響を指摘した。一方、9月に発表された新規投資は5億4,200万ドルで、主にEVや太陽光発電部品の新規製造施設、送電網インフラ整備向けのもので、約985人の雇用を見込んでいる。 E2 “E2: Companies Cancel $1.6 Billion in Clean Energy Projects in Sept; Over $24 Billion in 2025” (10/22/25) E2: Companies Cancel $1.6 Billion in Clean Energy Projects in Sept; Over $24 Billion in 2025

サイバー政策が大幅後退 CSC報告

シンクタンクの民主主義防衛財団(Foundation for Defense of Democracies: FDD)傘下のサイバースペース・ソラリウム委員会2.0(Cyberspace Solarium Commission: CSC 2.0)は10月22日、政府のサイバーセキュリティ政策実施が前年比で13パーセント後退したと発表した。完全実施と評価された約39件の約4分の1が、予算削減や人員削減により機能不全に陥り「実施間近」や「実施予定中」といった評価となったことが大きく、設立以来の「前例のない後退」と表現した。特にサイバーセキュリティ・インフラ安全保障庁(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency: CISA)の労働力削減により、同機関職員の約3分の1が離職したことが響いたという。政府による予算削減や多様性・平等性・包摂性(DEI)イニシアティブの廃止、偽情報や外国の悪意のある影響力に対抗するための情報操作対策の縮小により、政府のサイバー人材プールが著しく減少したとし、同委員会は行政府と議会に人員と資金の復旧を強く求めている。 CSC 2.0 “2025 Annual Report on Implementation” (10/22/25) 2025 Annual Report on Implementation 参照記事 NEXTGOV/FCW “US cyber policy goals have regressed during Trump 2.0 in ‘unprecedented setback,’ landmark report says” (10/22/25) https://www.nextgov.com/cybersecurity/2025/10/us-cyber-policy-goals-have-regressed-during-trump-20-unprecedented-setback-landmark-report-says/408990/?oref=ng-home-top-story

政府、量子コンピュータ企業の株式取得を模索 出資と引き換え

ウォール・ストリート・ジャーナル紙(The Wall Street Journal)は10月23日、トランプ政権が重要分野と位置付ける量子コンピュータ企業に対する連邦政府の資金提供と引き換えに、商務省(Department of Commerce)への株式譲渡を交渉していると報じた。8月のインテル社(Intel)との約90億ドルの助成金を株式に転換する取り引きに続くもので、今般、イオンキュー社(IonQ)、リゲッティ・コンピューティング社(Rigetti Computing)、D-ウェーブ・クオンタム社(D-Wave Quantum)など複数の量子コンピュータ企業に対しても、政府からの最低1,000万ドル規模の資金提供と引き換えに、同省が株式を保有すると内容での議論が進められているという。クオンタム・コンピューティング(Quantum Computing)などの他の技術企業にも同様の内容が提示されるとみられ、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)は、納税者の資金が財政支援と承認の証であるとし、その利益を政府が共有すべきであると主張した。記事は、同分野への政府の介入が拡大するだろうと伝えている。 WSJ “Trump Administration in Talks to Take Equity Stakes in Quantum-Computing Firms” (10/23/25) https://www.wsj.com/business/entrepreneurship/trump-administration-in-talks-to-take-equity-stakes-in-quantum-computing-firms-60ee5143

ゲイツ氏ら著名投資家 気候スタートアップ投資を本格化

アクシオス(Axios)は10月23日、ビル・ゲイツ氏(Bill Gates)、ジョン・アーノルド氏(John Arnold)、ビノッド・コスラ氏(Vinod Khosla)ら著名投資家が高リスク気候技術スタートアップへの投資加速に向け、協調融資の仕組みを構築していると報じた。元テッド(Technology Entertainment Design: TED)代表のクリス・アンダーソン氏(Chris Anderson)が主催したカリフォルニア州ハーフムーンベイ(Half Moon Bay)でのイベント「オール・アボード・ファンド(All Aboard Fund)」で、エネルギー貯蔵、地熱、カーボン回収、水素など20社のスタートアップがプレゼンテーションを行う中で、発表されたものである。気候投資推進を目的とする基金で、ブレークスルー・エネルギー・ベンチャーズ(Breakthrough Energy Ventures)やエネルギー・インパクト・パートナーズ(Energy Impact Partners)などの投資企業14社が関与し、商業規模プロジェクトの実現に向けて支援する。政治的逆風下であるものの、同基金の初期目標額は3億ドルとし、今後数十億ドルの調達を目指すという。 Axios “Investors mull locking arms to back high-risk climate tech” (10/23/25) https://www.axios.com/2025/10/23/bill-gates-john-arnold-climate-tech-startups

大手ITの循環型資金調達 AI投資の新常態に

Axiosは10月23日、エヌビディア社(Nvidia)、マイクロソフト社(Microsoft)、アマゾン社(Amazon)、メタ社(Meta)などの大手IT企業が人工知能(AI)新興企業に数十億ドルを投資し、その企業が投資元のチップやクラウドサービスに資金を支出する「循環型資金調達(Circular funding)」がビジネスの新常態になりつつあると報じた。需要による実態のある成長と循環型による人為的な成長との境界が曖昧になっていることについて、英金融大手のHSBCホールディングス社(HSBC Holdings)は、ウォルマート社(Walmart)が仕入先企業に投資するのと同様の事業慣行として懸念を退けた。一方で、ウェルス・エンハンスメント社(Wealth Enhancement)は、データセンター建設に多額の資本を投じながらキャッシュフローに見合わない小規模なAI新興企業が顧客の支出削減時に経営危機に陥るリスクがあると指摘した。実態のないAI投資が続けば設備投資の減速を招き、インフラの過剰構築が深刻な問題になる可能性があると懸念している。 Axios “Why the Big Tech’s “circular funding” for AI could be the new business normal” (10/23/25) https://www.axios.com/2025/10/23/ai-boom-circular-financing

企業研究開発投資が4州に集中 地域イノベーション競争力に懸念

州科学技術研究所(State Science & Technology Institute: SSTI)は10月23日、企業研究開発(Business Enterprise Research and Development: BERD)投資が、カリフォルニア、ワシントン、マサチューセッツ、テキサスの4州に集中していることを発表した。SSTIの分析によると、この4州が2023年の国内BERD投資54%を占め、10年前となる2014年の45%未満から大幅に増加したという。特にカリフォルニア州は全体の3分の1以上を占め、下位43州とワシントンDCを合わせた額を上回った。一方、24の州は過去10年間で研究開発投資を倍増させたものの、インフレを調整した実質値では9州に留まっており、多くの地域では地域のイノベーション能力を維持するのに十分な成長率に達していないことが示される結果となった。オクラホマ州が228%の実質増加率で最も高い成長を示した一方、ミズーリ州は36%の実質減少となった。SSTIは、連邦研究開発投資の伸び悩みが予想される中で、地域の技術経済開発政策の見直しが必要であると指摘している。 SSTI “Useful Stats: Business R&D continues to consolidate in top states” (10/23/25) https://ssti.org/blog/useful-stats-business-rd-continues-consolidate-top-states

SEMI、半導体キャリア向けAIプラットフォームを設立 9万件の求人を掲載

国際半導体製造装置材料協会(Semiconductor Equipment and Materials Institute: SEMI)は10月23日、国内半導体産業のキャリア向けに、米国マイクロエレクトロニクス教育ネットワーク(National Network for Microelectronics Education: NNME)が人工知能(AI)を活用した初のキャリアプラットフォーム「チップパス(ChipPath)」を立ち上げ、90,000件以上の求人情報を掲載したと発表した。本プラットフォームは、設計から製造までサプライチェーン全体の職種を網羅しているだけでなく、履歴書作成、キャリアパス探索、トレーニングと開発、リアルタイムの求人情報提供といった機能を備えている。NNMEを運営するSEMI財団(SEMI Foundation)は今回の試みを「単なる求人掲示板ではなく、機会への橋渡し」とし、同業界への就職機会を全国民に開放すると表明した。またNNMEと同財団は2026年初頭に、雇用主向けダッシュボード(Employer Dashboard)のリリースも予定しているという。 SEMI “NNME Debuts ChipPath as the Central Gateway for U.S. Semiconductor Careers, Featuring 90,000 Live Job Openings” (10/23/25) https://www.semi.org/en/semi-press-release/nnme-debuts-chippath-as-the-central-gateway-for-us-semiconductor-careers-featuring-90000-live-job-openings

米エネルギー貯蔵市場の見通しは柔軟 ブルームバーグNEF報告

ブルームバーグNEF社(BloombergNEF)が10月20日に発表した最新予測によれば、2025年には世界で92ギガワット(GW)/247ギガワット時(GWh)以上のエネルギー貯蔵が追加される見通しで、これは前年比22.7%増となる。世界的な貿易を巡る不確実性や、米国と中国で政策上の逆風が見られる中、この予測は同社の前回予測を僅かに下回る程度である。ブルームバーグNEF社は更に、揚水式水力発電を除き、世界のエネルギー貯蔵の導入は、2026年に123GW/360GWhに達すると予測しており、これは2025年に比べて33%の増加となる。今年初めに議会共和党や大統領府が連邦エネルギー税控除と貿易政策の大幅な見直しを検討したことから、米国のクリーンエネルギー部門は大きな不確実性に直面した。しかし、トランプ大統領が「解放の日(Liberation day)」と称した当初の関税策の多くが撤回・軽減されたこと等を受け、ブルームバーグNEF社は、「米国と中国を中心に、エネルギー貯蔵の世界的な成長は今後も続く」と予測している。 Utility Dive “US energy storage market looks resilient amid global growth: BNEF” (10/21/25) https://www.utilitydive.com/news/us-energy-storage-market-looks-resilient-amid-global-growth-bnef/803368/

AIリーダー、人間の能力を超える「スーパーインテリジェンス」開発の停止を要請

人工知能(AI)のパイオニアやその他の高名な技術関係者の間で、人間の能力を超えるAIの開発の停止を求める動きが高まっている。生命未来研究所(Future of Life Institute)は今般、「スーパーインテリジェンスに関する声明(Statement on Superintelligence)」を発表した。声明は、「スーパーインテリジェンスの開発の禁止を求める。禁止は、安全かつ管理可能な形で実施できるとの広範な科学的コンセンサスを得られ、一般市民の力強い賛同が得られるまで解除されるべきでない」としている。この声明には、多様なグループから800名以上の署名が寄せられている。同研究所はまた、米国成人の4分の3がAI開発に対する厳しい規制を望んでいることを示す世論調査結果も発表した。 Axios “AI leaders push to pause superintelligence” (10/22/25) https://www.axios.com/2025/10/22/superintelligence-ai-pause-yoshua-bengio

陸軍、インド太平洋上空で気球による諜報収集の大型実験を計画

米陸軍(U.S. Army)は、インド太平洋上空で気球やソーラー・グライダーなどの高高度技術を用いた大規模実験を計画している。陸軍は、一見単純に見えるものの、敵の標的設定を困難にし、戦場の諜報を低費用で取得できるエアロスタット装備(係留気球戦力)の最適な利用法を見極めようとしている。陸軍によれば、軍は従来、1~3個の高高度気球を上空に飛ばしていたが、その手法は間違いであるとの認識に至り、数百個の気球をほぼ同時に上空に展開させる実証に取り組んでいるという。陸軍は4月初旬に、エアロスタット装備の維持・改良を目的として10社との間で契約(10年間で最大42億ドル相当)を締結している。 Axios “Army plots “mass experiment” of intel-gathering balloons in Indo-Pacific” (10/22/25) https://www.axios.com/2025/10/22/indopacom-army-isr-balloons-test