Category:その他
カリフォルニア州、連邦研究費削減に対抗する230億ドル州債計画を発表
ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は9月13日、カリフォルニア州議会の民主党議員が連邦政府の科学研究費削減を補填し、州版の国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に相当する機関創設を目指す総額230億ドルの地方債計画案を州議会に提出したと報じた。大学や研究機関へのがん治療や気候変動対策などの研究助成が目的で、州としては最大規模となる。背景にはトランプ政権によるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles: UCLA)への約5億8,400万ドルの連邦助成金凍結があるという。実現には州議会の3分の2以上の多数承認を経て、2026年の住民投票で過半数の賛成を得る必要があり、民主党の議会勢力や全米自動車労働組合第6地域(U.A.W. Region 6)などの支持が鍵となる。ただし、2020年に150億ドルの教育向け債券案が住民投票で否決された経緯もあり、成立には高いハードルがあるとみられる。 The New York Times “California’s $23 Billion Plan to Restore Federal Cuts to Scientific Research” (09/13/25) https://www.nytimes.com/2025/09/13/us/california-scientific-research-bond.html?login=email&auth=login-email
国防総省資金、中国軍事関連機関との共同研究に流用 特別委が報告
連邦議会の「中国共産党に関する特別委員会(Select Committee on the Chinese Communist Party)」は9月5日、国防総省(Department of Defense)の研究資金が中国の軍事・防衛関連機関との共同研究に広く利用されていると発表した。具体的に、2023年6月から2025年6月の間に発表された約1,400件の同省資金による研究論文のうち、700件以上が極超音速兵器や人工知能(AI)、量子センシング技術など軍事応用可能な分野を含む中国の防衛研究・産業基盤に関連する機関との共同研究であったという。中国の国防七校(Seven Sons of National Defense)や国防科学技術工業局(State Administration for Science, Technology, and Industry for National Defense: SASTIND)が共同管理する教育機関に加え、中国工程物理研究院(Chinese Academy of Engineering Physics: CAEP)など人民解放軍(People’s Liberation Army: PLA)と直結する機関と連携していたことから、同委員会は、敵対国の管理下にある機関との研究協力を禁止する「資金・専門知識保護法案(SAFE Research Act)」を提出することを明らかにした。 CCP “Fox in the Henhouse” (09/05/25) https://selectcommitteeontheccp.house.gov/media/investigations/fox-in-the-henhouse
上院、科学技術関連機関の幹部候補を一括承認へ
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)によると、今週、上院が複数の科学技術関連機関の幹部候補を一括で承認投票する予定である。対象となるのは、エネルギー省(Department of Energy)科学担当次官にダリオ・ギル氏(Darío Gil)、国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)長官にブランドン・ウィリアムズ氏(Brandon Williams)、エネルギー高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency – Energy: ARPA-E)長官にはコナー・プロチャスカ氏(Conner Prochaska)などトランプ大統領が指名した候補者で、これに先立ち、上院共和党は先週、特定の候補者を個別ではなく一括で承認できるよう規則を変更している。また、異議申し立て回避に向け、上院商務委員会(Senate Commerce Committee)は米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration: NOAA)のニール・ジェイコブズ長官候補(Neil Jacobs)への再投票を実施する。民主党は、今回の変更に対し、指名候補者への監視機能が弱まると批判している。 AIP “Senate to vote on slate of science agency nominees” (09/15/25) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-sept-15-2025
NASA、中国人研究者の研究参加を全面制限へ
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は9月15日、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)が安全保障上の懸念から中国籍の職員や研究者の業務への参加を禁止したと発表した。今回の措置はビザを保有する既存の中国籍職員との接触制限をさらに拡大する内容で、NASAは既に9月5日から該当する学生や研究員、請負業者らをITシステムから遮断し、会議への参加も禁止している。NASAは物理的およびサイバー上のアクセス制限を講じ、研究活動の安全確保を優先した措置と説明しているが、背景には中国やロシア、イラン、北朝鮮の国籍者に対するエネルギー省(Department of Energy)の核安全保障研究所への立ち入りを制限した昨年の議会決定など、研究施設へのアクセスを巡る議論の高まりがある。また、トランプ政権はNASAを国家安全保障機関として位置づけ、8月29日の大統領令で労働組合の交渉権を排除する方針を示しており、これに対し労働組合側は法廷で争う姿勢で、民主党議員らからも反発の声が上がっている。 AIP “NASA bars Chinese nationals from agency work” (09/15/25) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-sept-15-2025
AI利用に地域・企業格差、自動化が急拡大 アンソロピック社調査
アンソロピック社(Anthropic)は9月16日、人工知能(AI)利用の地理的・企業間格差と自動化の急速な進展を示す第3回経済指標レポート(Anthropic Economic Index)を発表した。同社のAI「クロード(Claude)」の利用データ分析によると、高所得国での利用率が高く、人口当たりGDPが1%上昇するとAI利用率(AI Usage Index: AUI)が0.7%増加することがわかった。イスラエルやシンガポールなど技術先進国が利用指数で上位を占めた一方、低利用国では協働よりも自動化を好む傾向があることも明らかになり、最小限の人間介入で作業を完了する指示型会話の自動化が昨年12月の27%から39%へと急増した。企業におけるAPI利用者では、自動化が77%に達し、一般利用者の約50%を大幅に上回った。一方で、高所得国のユーザーは協働を求める傾向が根強いという。報告書は、AI信頼度の向上と能力改善により、ユーザーがAIにより多くの責任を委ねるようになったと分析しており、労働市場への影響が迫っている可能性があると指摘している。 Anthropic “Anthropic Economic Index report: Uneven geographic and enterprise AI adoption” (09/16/25) https://www.anthropic.com/research/anthropic-economic-index-september-2025-report
陸軍 技術調達を迅速化する新プログラムを導入
ディフェンスニュース(DefenseNews)は9月16日、陸軍がシリコンバレーのベンチャーキャピタルモデルを参考にした新しいプログラム「フューズ(Fuze)」を導入し、技術投資を革新する方針を発表したと報じた。中小企業支援やXテック(XTech)賞など4つの資金源を統合した総額約7億5,000万ドルの同プログラムは、戦場の兵士や戦闘員が、現地で必要な技術を迅速かつ確実に得られるようにするための調達プロセスの確立を目的としている。これに伴い、ワイコンビネーター社(Y Combinator)と提携して、電子戦や無人航空機システムなどに焦点を絞った技術コンペ「Xテック・ディスラプト(XTech Disrupt)」を開催し、技術ベンチャー企業に対し賞金総額50万ドルを授与するなど、意図的に多額投資を行う予定という。採択技術の実用環境での評価に向け、最初の試作機を部隊に配備するための調達を10日以内に済ませ、可能であれば、試作機評価を30日から45日以内に実現するとしている。 DefenseNews “Army adopts venture capital model to speed tech to soldiers” (09/16/25) https://www.defensenews.com/land/2025/09/15/army-adopts-venture-capital-model-to-speed-tech-to-soldiers/
NIH、胎児組織研究助成の更新停止へ 科学界が抗議
サイエンス誌(Science)は9月15日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)がヒト胎児組織を使用する可能性がある17の研究助成の更新を停止すると表明し、科学界から非難の声が上がっていると報じた。動物実験の廃止を目指す擁護団体「ホワイト・コート・ウェイスト・プロジェクト(White Coat Waste Project)」が公表した内容に基づいたリストについて、NIHは「人の命を尊重し、責任ある透明な研究実施にコミットする」と今回の決定について説明しているが、国際幹細胞学会(International Society for Stem Cell Research: ISSCR)は、ヒト胎児組織研究が脳の発達、小児がん、エイズ(HIV/AIDS)治療、そして狂犬病や水痘などのワクチン開発に不可欠であるとして、政治的圧力に屈しないようNIHに強く求めている。一部の研究は既に完了するなど、影響は限定的と見られるも、多くの科学者は、動物モデルでは再現できない重要な知見が得られる胎児組織研究の中断が、将来の医療発展を阻害すると懸念を表明している。 Science “Scientists decry NIH pledge to end some human fetal tissue research” (09/15/25) https://www.science.org/content/article/scientists-decry-nih-pledge-end-some-human-fetal-tissue-research
カリフォルニア州、キャップ&インベスト・プログラムを再認可
クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force: CATF)は9月15日、カリフォルニア州が2045年までのキャップ・アンド・インベスト・プログラム(Cap-and-Invest program)再認可を発表した。温室効果ガス削減基金の収益配分計画を策定し、カーボン・オフセットに使用制限を設ける内容で、経済成長を維持しつつ、州内80%以上の排出量を対象とした排出削減の実現に向けた取り組みを継続する。具体的には、2029年までに既存排出量の相殺手順を最新の科学に基づいて更新するようカリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board: CARB)に命じ、2034年以降も5年ごとに見直すSB 840法と、排出量相殺を遵守義務の6%に制限し、その半分を州内への環境利益として義務付けるAB 1207法を可決した。CATFは今回の再認可について、より信頼性のある排出削減を保証し、同州の基準をカーボン・クレジットのベンチマークとする取り組みであると説明している。 CATF “California reauthorizes Cap-and-Invest program, providing market certainty for clean investments and setting limits on the use of carbon offsets” (09/15/25) California reauthorizes Cap-and-Invest program, providing market certainty for clean investments and setting limits on the use of carbon offsets
連邦研究開発費の削減はGDP成長の低下につながる ITIF報告
情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)は9月15日、連邦の研究開発(R&D)費削減は、短期的には数十億ドルの予算節約に見えるかもしれないが、長期的には米経済に数兆ドルの代償をもたらす可能性があるとする報告書を発表した。ITIFの試算によれば、連邦R&D費を20%削減すると、中国の成長ペース(予測)と比べて、米経済に最大約1兆5,000億ドル分の遅れをもたらす可能性があるという。報告書はその他の考察点として、①中国はR&D投資を急速に拡大しており、研究投資合計で既に米国を上回っている可能性がある中、米国が研究への公的投資を削減することは、中国の先端技術競争力を増幅させる、②R&D投資によって、特許出願や起業、輸出市場に参入する企業を増加させることは米国競争力にとり重要である、③連邦R&D資金の70%は大学や研究所へ流入し、博士課程の学生を育成し、優秀な人材を引き付けるため、R&D資金の削減は、米国の研究労働力の弱体化につながる、等を挙げている。 ITIF “How Reducing Federal R&D Reduces GDP Growth” (09/15/25) https://itif.org/publications/2025/09/15/how-reducing-federal-rd-reduces-gdp-growth/
EPA長官、ホワイトハウスでAI円卓会議を開催
環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)のリー・ゼルディン長官(Lee Zeldin)は9月15日、ホワイトハウスにて、人工知能(AI)及びデータセンターのリーダーを招いて、AI円卓会議を開催した。長官は、AIイノベーションを進展させ、データセンターの建設を合理化するためにトランプ政権が講じる措置を紹介すると共に、許認可に関する障害のフィードバックやその他の技術的洞察の提供を参加者に求めた。発言者の中には、日立アメリカ社の竹内康裕社長兼CEOも含まれる。円卓会議には、連邦上院・下院議員、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)のマイケル・クラツィオス長官(Michael Kratsios)等の政府関係者の他、日立アメリカ社、オラクル社(Oracle)等の民間企業の経営幹部が参加した。米国を世界のAI首都とすることは、ゼルディンEPA長官が進める「偉大な米国の復活推進イニシアチブ(Powering the Great American Comeback Initiative)の中核の柱であるとしており、長官は円卓会議で、最近のEPAによる許認可改革を強調した。 Environmental Protection Agency “EPA Convenes AI Roundtable at White House, Administrator Zeldin Highlights Permitting Reform to Make U.S. the AI Capital of the World” (09/15/25) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-convenes-ai-roundtable-white-house-administrator-zeldin-highlights-permitting