豪州の地質学者不足 米豪重要鉱物協定の実現に影響も

サイエンス誌(Science)は10月29日、豪大学における地質科学教育の衰退が、米豪間の85億ドル規模の重要鉱物供給協定の実現を脅かすと報じた。同協定は、クリーンエネルギー技術や軍事機器に使用されるコバルトやニッケルなどの重要鉱物を豪州が米国に供給し、中国の市場独占を防ぐことを目的としているが、過去15年間で専門認定機関に認められた地質学の学位を授与する豪州の大学は21校から13校に減少しているという。豪州科学アカデミー(Australian Academy of Science)はこの傾向が続けば2035年までに地質科学分野で「能力格差」が生じると指摘し、豪州地質学評議会(Australian Geoscience Council)の前会長デビッド・コーエン氏(David Cohen)も「資源を見つけられなければ、売るものは何もない」と言及した。豪州教育省(Department of Education)も鉱山技師、地質学者、水文学者などの専門職の労働力不足を認識し、同省は労働力構築に向けた投資を進める方針だが、専門家らは新たな鉱物需要への対応には時間が足りないと懸念を示している。

Science “A geoscientist shortage could undermine U.S.-Australian deal on critical minerals” (10/29/25)
https://www.science.org/content/article/geoscientist-shortage-could-undermine-u-s-australian-deal-critical-minerals