Category:その他
NSFの大型研究インフラプロジェクト、スケジュール遅延が継続 GAO報告
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は2月24日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の大規模プロジェクトで、複数の案件においてスケジュール遅延や範囲縮小が生じていると発表した。2025年7月時点で、NSFが管理する21の研究基盤プロジェクトのうち、建設段階にある7つの主要プロジェクトのうち4件が、4カ月から27カ月遅延しており、2024年6月の前回報告以降、状況が悪化していることが明らかになった。遅延の原因として、労働力不足、請負業者の低パフォーマンス、予算の不確実性などを挙げている。さらに、これらの大型プロジェクトの2件に加え、中規模プロジェクト8件のうち3件でも事業範囲の縮小が報告された。一方、NSFが管理する全プロジェクトは、認可された総事業費の枠内に収まっており、コスト管理は維持されている。同局は近代的で効果的な研究インフラは、米国の科学技術分野における世界的リーダーシップ維持に不可欠であるという観点から同調査を実施したと説明している。 GAO ” National Science Foundation: Schedule Delays Continue for Some Major and Midscale Research Infrastructure Projects ” (02/24/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107842
連邦政府職員が半年で13万4,000人削減、GAOが調査結果公表
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は2月24日、2025年1月から6月までの連邦政府職員の削減状況に関する調査結果を発表した。この期間中、主要連邦機関のほぼ全てで職員数が減少し、約13万4,000人(全体の6%)が離職した一方、新規採用は約6万6,000人にとどまった。また約14万4,000人が2025年末までに連邦政府の職を退職することを義務付ける退職猶予制度の対象となっている。大統領は2025年1月に就任して以来、連邦政府の人員削減と採用制限を目的とした一連の大統領令を発令したが、国家安全保障や公共安全に関連する職種については例外的に新規採用を認めている。こうした中、人事管理局(Office of Personnel Management: OPM)が2026年1月、労働力データへのアクセスと利便性向上のため、新機能とデータ公開頻度向上を備えたウェブサイトを開設した。GAOは今後も24の主要連邦機関(連邦最高財務責任者(Chief Financial Officers: CFO)法対象機関)の職員数変動について四半期ごとの更新報告を継続する。 GAO “Federal Agency Workforce Changes:Update for January to June 2025” (02/24/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-108719
ARPA-H、寿命延長研究に1億4,400万ドル投資
医療高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health:ARPA-H)は2月24日、健康寿命を延ばす治療法の研究開発に向け、全米7つの研究チームに5年間で最大1億4,400万ドルを投資すると発表した。従来数十年かかる臨床試験を1〜3年に短縮し、老化初期の生体変化をバイオマーカーで特定するなど、老化現象を解明することを目的としている。疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)によると65歳以上の90%以上が少なくとも1つの慢性疾患を抱えていることから、スタンフォード大学(Stanford University)が既存の健康データを統合して健康寿命スコアを開発する。またテキサス大学健康科学センター・サンアントニオ校(University of Texas Health Science Center at San Antonio)などがSGLT2阻害薬やラパマイシン、セマグルチドなどの既存承認薬3種の転用試験や介入試験の統合分析を行い、アポロ・アルファ社(Apollo Alpha)やキャンブリアン・バイオファーマ社(Cambrian BioPharma)などの企業が新規化合物を開発する。 ARPA-H “ARPA-H awards research teams to add more healthy years to Americans’ lives as they age” (02/24/26) https://arpa-h.gov/news-and-events/research-teams-add-more-healthy-years-americans-lives-they-age
トランプ政権、UCLAへの12億ドル和解案の控訴を断念
ロサンゼルス・タイムズ紙(Los Angeles Times)は2月13日、トランプ政権がカリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles: UCLA)に対し、公民権侵害を理由に求めていた12億ドルの和解金支払いを阻止する裁判所の命令について、控訴を断念したと報じた。一方で、多様性プログラムを標的とした司法省(Department of Justice)による調査は、カリフォルニア大学(University of California: UC)システム全体に対して今後も継続するという。政権は、留学生の入学制限、トランスジェンダーの存在否定、未成年への性別適合医療の禁止などを大学側に求め、これに対しUC教職員組合らが提訴し、昨年11月に連邦地裁が差し止め命令を出していた。これを受け、原告側は「政権は公民権法や連邦資金を武器にしてUCを思想的に作り替えることができなくなった」と歓迎しているが、政権はハーバード大学(Harvard University)を提訴するなど、他大学への調査や訴訟を継続しており、高等教育機関への圧力を緩める姿勢は見せていない。 Los Angeles Times “Trump administration drops appeal of court order blocking $1.2-billion UCLA settlement” (02/12/26) https://www.latimes.com/california/story/2026-02-13/trump-drops-appeal-of-court-order-blocking-uc-ucla-settlement
NAI、2025年特許取得大学・世界トップ100を発表
米国発明アカデミー(National Academy of Inventors: NAI)は2月12日、2025年に米国の実用特許を取得した世界の大学上位100校をまとめた「世界大学ランキング(Top 100 Worldwide Universities Granted U.S. Utility Patents List)」を発表した。ランクインした100校による総特許取得数は9,300件を超え、そのうちNAI加盟機関がリストの56%を占めており、5,600件以上の特許を保持している。ポール・サンバーグ会長(Paul R. Sanberg)は知的財産保護が技術の実用化を確実にする重要性を強調しており、特許商標庁(United States Patent and Trademark Office: USPTO)の統計に基づき毎年作成されている本ランキング発表を通じて、学術機関が世界のイノベーションにおいて重要な地位にあることを示した。同アカデミーは今春、国内大学や非営利研究機関に特化したリストも順次公表する予定で、一連の発表により教育機関による技術移転の価値を広く世に知らしめる狙いがある。 NAI “NAI Announces Top 100 Patenting Universities Worldwide of 2025” (02/12/26) https://academyofinventors.org/nai-announces-top-100-patenting-universities-worldwide-of-2025/
人事管理局、学生の正規採用促す新規則を最終決定
ガバメント・エクゼクティブ(Government Executive)は2月18日、人事管理局(Office of Personnel Management:OPM)が、在学中の学生を非常勤として雇用し、卒業後に正規職員へ登用する仕組みを強化する新規則を最終決定したと報じた。2019年及び2020年の国防権限法(National Defense Authorization Act:NDAA)に基づき、過去10年間で減少傾向にある若手人材の確保を目的とするもので、各省庁は学部生や大学院生に対してGS-11級以下の給与で雇用することが可能となり、学業との両立に配慮した柔軟な勤務形態も認められる。また、OPMは各機関がこの権限で採用できる人数の上限について、前年度の学生採用総数の15%までとする基準を明確化した。パスウェイズ・インターンシップ(Pathways Internship Authority)などの既存プログラムによる採用分もこの上限枠に含まれる。一方で、バイデン前政権下の暫定規則に含まれていた議会への詳細な報告義務については、法定期間の終了に伴い削除されたが、OPMは引き続き、各機関の採用活動監視を継続する。 Government Executive “OPM finalizes Biden-era reg revamping federal hiring of college students” (02/18/26) https://www.govexec.com/workforce/2026/02/opm-finalizes-biden-era-reg-revamping-federal-hiring-college-students/411514/
国防総省、科学・技術・イノベーション委員会を新設
国防総省(Department of Defense)は2月13日、科学・技術・イノベーション委員会(Science, Technology, and Innovation Board: STIB)を新設すると発表した。新委員会は、既存の国防イノベーション委員会(Defense Innovation Board:DIB)及び国防科学委員会(Defense Science Board:DSB)を統合するもので、STIBは連邦諮問委員会法(Federal Advisory Committee Act : FACA)に基づき、科学技術やイノベーション分野に関する独立した助言を国防長官らに提供していく。委員会は最大40人で構成され、人工知能(AI)やミサイル防衛、無人機など先端分野を含む広範な技術課題を扱う。弾道・極超音速ミサイルなどの脅威が高まる中で、軍の抑止力と即応性を強化するためには外部有識者の知見が不可欠とした。連邦議会の下院科学委員会が、AI規制の調査を求めるなど政府全体で技術管理の枠組み作りが進む中、新会議は官民の知見を結集して次世代の防衛体制構築を目指す姿勢を示した。 Federal Register “Establishment of Department of War Federal Advisory Committee-Science, Technical, and Innovation BoardF” (02/19/26) https://www.federalregister.gov/documents/2026/02/19/2026-03215/establishment-of-department-of-war-federal-advisory-committee-science-technical-and-innovation 参照記事: AIP “House Science Republicans request review of AI laws” (02/19/26) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-feb-23-2026
NIST、外国人研究者受け入れ制限 民主党が説明要求
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は2月23日、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)が大学院留学生や博士研究員の研究滞在を最長3年に制限する方針を進めていることに対し、下院科学委員会(House Science Committee)の民主党議員らが説明を求めていると伝えた。ボルダー・レポーティング・ラボ(Boulder Reporting Lab)の報道によると、この制限により留学生によるNISTでの博士号取得が事実上不可能になるとし、民主党は研究安全保障の観点から「合理的かつ適切な範囲を著しく逸脱している」と書面で批判している。同党議員らは、方針の具体的文書や職員への周知状況について1月下旬に質問状を送付し、2月13日を回答期限としたが、回答は得られていないという。一方、NISTは一部メディアに対し、本方針は国家安全保障に関する大統領覚書及び同研究所の研究セキュリティ枠組みに沿った「意思決定基準の更新案」であり、現在も策定段階にあると説明した。 AIP “House Science Democrats probe new NIST restrictions on foreign researchers” (02/23/26) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-feb-23-2026
エネルギー省、AI重視の科学諮問委を新設
サイエンス誌(Science)は2月20日、エネルギー省(Department of Energy)科学局(Office of Science)の助言機関が再編され、科学局諮問委員会(Office of Science Advisory Committee : SCAC)が新たに設置されたと報じた。昨年末に解散された科学局の6つの分野別委員会に代わるもので、委員長にはSLAC国立加速器研究所(SLAC National Accelerator Laboratory)元所長でスタンフォード大学(Stanford University)元学長のパーシス・ドレル氏(Persis Drell)が就任した。新委員会は21人で構成され、技術的に有能な人材がそろったと評価された一方、大学長や産業界幹部が増え、特に核物理学や環境科学の専門家が不在で、加速器科学者も含まれていないという。一方、計算機科学者は5人を占め、AI統合構想「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」への傾斜が鮮明となった。委員会は各プログラムの個別助言よりも全体方針や大型計画の優先順位判断を担うとみられ、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の監督機関である国家科学審議会(National Science Board:NSB)に類似したものとの見方もある。 Science “New energy department science advisory committee reflects Trump’s AI push” (02/20/26) https://www.science.org/content/article/new-energy-department-science-advisory-committee-reflects-trump-s-ai-push
NIH助成の採択率急落 若手研究者に打撃
サイエンス誌(Science)は2月20日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の研究助成採択率が2025年に大幅に低下し、若手研究者が大きな影響を受けていると報じた。NIHの基幹助成であるR01助成金の採択者数は2024年の7,720人から2025年は5,885人に減少した。学位取得後10年以内の若手研究者(Early-Stage Investigators: ESI)の申請者数は2024年の5,446人から翌年には6,065人へと増加したが、採択率は26%から19%に落ち込み、採択者数も1,423人から1,144人へ減少した。行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が導入した複数年助成を初年度に一括計上する方針が背景にあり、予算固定により新規採択への配分が厳しくなっている。NIHは制度変更が影響した可能性を認め、ESI支援強化方針を示したが、ジェイ・バタチャリア所長(Jayanta “Jay” Bhattacharya)は議会証言で政策が主因とは限らないと発言している。 Science “NIH research grant funding rates plummeted in 2025” (02/20/26) https://www.science.org/content/article/nih-research-grant-success-rates-plummeted-2025