Month:October 2026
エネルギー省、蓄電池事業支援を強化 新コンソーシアム設立
エネルギー省(Department of Energy)の重要鉱物エネルギー・イノベーション局(Office of Critical Minerals and Energy Innovation: CMEI)は10月28日、先進蓄電技術の開発を推進し、国内製造能力の拡大、供給網(サプライチェーン)を確保するための国家戦略及び新たな連携事業について発表した。国の再工業化政策の一環で、蓄電発電需要は2035年には2025年の4倍となる707GWhに増加するとの予測を受け、2030年までに国内を完全に網羅する供給網を構築する。これに伴う雇用機会創出に向けた投資も推進するほか、発見した技術の商業展開加速や製造プロセスのイノベーションに焦点を置くとし、実用化の加速に向けては、国立研究所や民間企業、学術機関によるコンソーシアム「バッテリー製造アクセラレーター(Battery Manufacturing Accelerator: BattMan)」を発足させた。超知能(SI)や高度製造技術を活用して、生産コストの削減や試作から普及までの期間短縮を図り、国内資源を活用した材料開発により供給網の強化を進める方針である。 Department of Energy “DOE’s Office of Critical Minerals and Energy Innovation Unveils New Strategy and Initiative to Strengthen American Battery Leadership” (10/28/26) https://www.energy.gov/cmei/articles/does-office-critical-minerals-and-energy-innovation-unveils-new-strategy-and
陸軍、高高度気球活用へ 中国に対抗
ディフェンス・ニュース(Defense News)は10月27日、中国の接近阻止・領域拒否(Anti-Access/Area-Denial: A2/AD)戦略阻止に向け、陸軍が高高度気球(High-Altitude Balloons: HABs)の活用を模索していると報じた。前線での監視や通信媒介・攻撃を支援するとし、第7歩兵師団/太平洋多領域司令部(7th Infantry Division/Multi-Domain Command-Pacific: MDC-P)のバーナード・ハリントン少将(Bernard Harrington)が今月開催された陸軍協会(Association of the U.S. Army)年次会合で明らかにした。ドローンや低コストの自律型攻撃兵器を搭載した高度6万フィート以上に投入する気球は衛星よりも低コストかつ量産が可能で費用対効果が高いほか、広範な国際空域から数週間から数ヶ月間の監視が可能で、運用者による飛行経路の細かい制御が可能なことも利点として挙げた。さらに宇宙関連システムの不能時にHABを機能補完として代替するとし、全軍データ収集エコシステムの一部と位置付け、米軍の作戦展開に向けた有利な環境創出に寄与すると説明した。 Defense News “US Army looks to high-flying balloons to help see, strike along front lines with China” (10/27/26) US Army looks to high-flying balloons to help see, strike along front lines with China
BNEF、蓄電池導入見通しを30%上方修正
ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は10月27日、今後10年間の米国蓄電システム導入見通しが半年前の予測から30%向上したとのブルームバーグNEF(BloombergNEF: BNEF)の最新予測について報じた。BNEFは国内累積導入量が2030年に213.9ギガワット(GW)、2036年には434.4GWに達すると試算している。特定部品の輸入制限やコスト上昇といった課題が存在するものの、再エネ併設型蓄電池の経済性向上やデータセンターによる電力需要拡大が牽引役となっており、蓄電に対する連邦税額控除を2035年まで延長する政策支援も追い風となった。特にデータセンターの自社敷地内蓄電池は2025年の500メガワット(MW)から2026年には4.9GWへと急増する見込みで、グーグル社(Google)とボルタス社(Voltus)による出力1GWの導入計画などPJM系統(PJM Interconnection)などでの導入が目立つ。また、主要技術はリチウムイオン電池が主流を維持するものの、2036年までにナトリウムイオン電池の市場シェアが9%に達するとの分析も示した。 Utility Dive “BNEF ups US energy storage deployment forecast by 30%” (10/27/26) https://www.utilitydive.com/news/bnef-ups-us-energy-storage-deployment-forecast-by-30/872870/
国防総省、ストーク・スペース社へ1.5億ドルの条件付き融資
国防総省(Department of Defense)は10月26日、完全再使用型ロケットを開発するストーク・スペース・テクノロジーズ社(Stoke Space Technologies)に対し、最大1億5,000万ドルを条件付きで融資すると発表した。戦略資本局(Office of Strategic Capital: OSC)を通じた民間資本と合わせた拠出により、フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地における同社第2ロケット発射場の建設を支援する。トランプ大統領の国家宇宙輸送政策に沿った取り組みで、宇宙軍や民間による打ち上げ需要の増加に対応するとし、軌道への安価かつ高頻度のアクセスを可能にするため、国内の射場容量の拡張と産業基盤の強化を図る。具体的には、同社の中型ロケット「ノバ・パスファインダー(Nova Pathfinder)」や現在開発中の大型ロケット「ノバ・ブロック2(Nova Block 2)」発射に必要なインフラを構築する計画で、条件付き融資契約に伴い、最終決定に向け技術面や財務面など資金調達前に諸条件を満たす必要があることについても契約書に明記された。 Department of Defense “Department of War’s Office of Strategic Capital Signs $150 Million Conditional Loan Commitment with Stoke Space Technologies, Inc.” (10/26/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4633729/department-of-wars-office-of-strategic-capital-signs-150-million-conditional-lo/
NSF、SI教育「大統領SIチャレンジ」で追加助成
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は10月27日、学生が超知能(SI)を活用して地域の課題解決を図る全国的な取り組み「大統領SIチャレンジ(Presidential SI Challenge)」の支援に向け、新たな助成を募集すると発表した。初等・中等教育(K-12)における質の高いSI学習機会を実践的かつ体験的に提供する取り組みで、基礎的な専門知識習得につなげることを目的としており、STEM教育局(NSF Directorate for STEM Education: NSF EDU)及び技術・イノベーション・パートナーシップ局(NSF Directorate for Technology, Innovation and Partnerships: NSF TIP)の関連プロジェクト受給者を対象に追加資金を提供する。優れた取り組みを行う学校には大統領夫人による認定が授与されるとし、昨年度課題テーマの「AI昆虫探偵」ではノースカロライナ州のスター小学校(Star Elementary School)が全国優勝を果たした。参加に関しては10月28・29日午後3時(東部時間)にウェビナーを開催する予定で、応募締め切りは11月10日となっている。 NSF “NSF publishes new funding opportunities in support of the second annual Presidential SI Challenge” (10/27/26) https://www.nsf.gov/edu/updates/nsf-publishes-new-funding-opportunities-support-second
NIST、耐量子暗号標準への移行で最終指針
米国標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)は10月27日、将来の量子コンピューターによる解読攻撃に耐性のある「耐量子暗号(PQC)」標準への移行に向けたロードマップをまとめた最終報告書を発表した。連邦機関や民間企業が2024年8月に発表したPQC規格へ段階的に移行するための具体的なスケジュールや手順を示したもので、様々な用途への移行においてそれぞれ時間がかかる理由を解説している。現在、暗号データを事前収集し将来解読する「今収集し、後で解読する」脅威が深刻化しており、大統領令などに基づき連邦政府の重要システムでは現行の暗号アルゴリズムの脆弱性を特定したうえで、2030年までの鍵交換・確立、及び、2031年までの電子署名の移行が義務付けられている。報告書は、分野横断的な連携体制を構築してPQC導入事例の検証を推進するほか、既存暗号とPQCを組み合わせる(ドアの鍵を1つではなく2つつける)ハイブリッド式についても触れ、これに関してはより多くの計算資源が必要になると指摘した。 NIST “NIST Report Provides Guidelines for Transition to Post-Quantum Cryptography Standards” (10/27/26) https://www.nist.gov/news-events/news/2026/10/nist-report-provides-guidelines-transition-post-quantum-cryptography 参照記事: NEXTGOV/FCW “NIST issues roadmap for transition to post-quantum encryption standards” (10/27/26) https://www.nextgov.com/cybersecurity/2026/10/nist-issues-roadmap-transition-post-quantum-encryption-standards/416841/?oref=ng-homepage-river
エネルギー省、コンステレーション社原発整備へ50億ドル融資
エネルギー省(Department of Energy)は10月27日、電力大手コンステレーション・エナジー社(Constellation Energy)の原子力発電所の出力増強と改修整備に対し、最大50億ドルを条件付きで融資すると発表した。イリノイ、メリーランド、ペンシルベニア各州で進める同社原発整備により、約1.1ギガワット(GW)の発電容量を導入し、PJM系統(PJM Interconnection)、中西部独立系統運用機関(Midcontinent Independent System Operator: MISO)地域約93万世帯分の電力を確保する。安定した電力供給と電気料金の引き下げに向け、既存原発を活用する政府政策に基づく取り組み「ユーティリティ・パワー・リアクター段階的拡張計画(Utility Power Reactor Incremental Scaling Effort: UPRISE)」の一環で、既に5GWの出力増強目標に対し94%が達成されつつあり、関連事業を通じた1万件以上の雇用創出も見込んでいる。なお、正式な融資実行に向けては、今後、技術面や財務面などの条件を満たす必要があることについても触れた。 Department of Energy “Energy Department Announces $5 Billion Loan to Boost Nuclear Power and Help Lower Costs in Illinois, Maryland, and Pennsylvania” (10/27/26) https://www.energy.gov/articles/energy-department-announces-5-billion-loan-boost-nuclear-power-and-help-lower-costs
トランプ大統領、風力タービン輸入への関税導入を見送り
ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は10月23日、トランプ大統領が風力タービン及び関連部品の輸入に対し、新たな追加関税の即時発動を見送り、これら輸入に関する懸念対処に向け、各国との通商交渉を推進するとの声明を発表したと報じた。商務省(Department of Commerce)による通商拡大法(Trade Expansion Act)第232条調査を受け、大統領はハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)とジェイミソン・グリア通商代表部代表(Jamieson Greer)に対し、貿易相手国との協議を開始し、進捗状況を180日以内に報告するよう指示した。声明は、米国における風力タービンなどの輸入量が過去10年間で増加しており、特にインバーターなど外国製部品がサイバーセキュリティ上のリスク脅威に当たるとし、送電網への影響を指摘した。一方で、風力タービンに使用する鉄鋼、銅、アルミニウムなどの一部部品に対する関税については、交渉結果次第で代替措置を検討する姿勢も示している。 Utility Dive “Trump eschews tariffs for trade talks on wind turbine imports” (10/23/26) https://www.utilitydive.com/news/trump-eschews-tariffs-for-trade-talks-on-wind-turbine-imports/833862/
風力タービン受注、税額控除の期限前に第2四半期で2.8GW達成
ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は10月26日、2026年第2四半期の国内風力タービン受注が2.8GW(ギガワット)に達したとするウッド・マッケンジー社(Wood Mackenzie)の報告書について報じた。クリーンエネルギー生産税額控除(45Y)及び投資税額控除(48E)の適用条件である2026年7月4日の着工期限を前に開発企業が駆け込みで建設開始したことによるもので、この期限を満たした事業の運用開始期限は2030年12月末まで延長される。同社アナリストは、今回の導入増について政策が発電設備導入に与える影響の大きさを指摘しており、2030年までに陸上風力で39GWが新たに導入される見通しを示した。一方で、洋上風力については連邦水域における新規開発区画の貸与停止や、締結済み契約の政府による買い戻し、また建設差し止め訴訟など現政権政策に加え、竜巻が発生しやすい地域に設置される風力タービンに特定の設計要件を満たすよう義務付けるガイドラインの発表予定などが、今後の抑制要因になると分析している。 Utility Dive “Wind turbine orders hit 2.8 GW in Q2 ahead of tax credit deadline: WoodMac” (10/26/26) https://www.utilitydive.com/news/wind-turbine-orders-hit-28-gw-in-q2-ahead-of-tax-credit-deadline-woodmac/872757/
NRC、承認済み原子炉認可手続き規則を最終決定
ニュークリア・ニュースワイア(NuclearNewswire)は10月23日、エネルギー省(Department of Energy)や国防総省(Department of Defense)が既に承認した原子炉設計を対象とする商業認可取得手続きを簡素化した原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)の最終規則確定について報じた。原発や研究用原子炉施設と対象とした建設・運転許認可手続きに関する10 CFR Part 50及びPart 53を改正し、両省による試験データや分析結果を活用して審査を加速させる枠組みを確立するもので、初号機は18カ月、2号機以降の量産(nth-of-a-kind: NOAK)については12カ月での審査完了を目指す。今回の規則確定についてNRCは、意思決定において他省庁による影響拡大について否定した。その上で、安全基準や独立性を維持した上での手続き効率化と位置付けており、今後も一貫して独立した安全審査を行っていくと強調した。なお、同規則は10月28日の連邦官報掲載から30日後に発効する。 NuclearNewswire “NRC finalizes rule on licensing reactors with prior DOE or DOD authorization” (10/23/26) https://www.ans.org/news/2026-10-22/article-8512/nrc-finalizes-rule-on-licensing-reactors-with-prior-doe-or-dod-authorization/