Day: October 8, 2026
ジョージア工科大、量子技術研究イノベーション推進施設を設立
ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)は10月6日、学内の物質・システム研究所(Institute for Matter and Systems: IMS)とジョージア工科大学研究所(Georgia Tech Research Institute: GTRI)が共同で、量子技術の研究と応用展開を加速させる「量子応用研究センター(GT QuARC)」を設立したと発表した。同施設は量子研究基盤やリソースを統括し、産官学が連携を強化する量子研究拠点で、量子デバイス基盤構築に向け、量子材料やデバイスの基礎研究から、量子計算、暗号通信に至るまで、国家安全保障分野などにおける実用化・社会実装の推進を図る。また、産業界との連携強化により、量子科学・工学分野学生に実践的な学習機会を拡充して提供するなど、量子分野の人材育成や基盤インフラ投資の獲得にも注力する方針である。 Georgia Tech “Georgia Tech Launches Center to Advance Quantum Research and Innovation” (10/06/26) https://news.research.gatech.edu/2026/10/06/georgia-tech-launches-center-advance-quantum-research-and-innovation
エネルギー省の諮問委員会統合、専門性欠如に懸念の声
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は10月7日、エネルギー省(Department of Energy)科学局(Office of Science)傘下の6つの専門分野別諮問委員会が統合され、科学局諮問委員会(Office of Science Advisory Committee: SCAC)へ再編されたことに対し、物理学の未来を担う専門知識が不足しているとの懸念が科学者から上がっていると報じた。新たに設置されたSCACの委員数は22人と大幅に縮小され、原子力物理や生物・環境分野の経験者は不在であることに触れており、厳密な長期計画作成には十分な専門知識が必要と表明している。特に学者の参加割合の低さについて指摘し、専門家らは現場からの提言や研究資金削減への協議機会喪失に対する懸念が上がっている。従来の分野別委員会は、こうした科学コミュニティの懸念を表明する場でもあったとの声もあり、こうした懸念に対し、同省は専門家によるテーマ別小委員会の活用や、SCACが作成する長期戦略計画についても従来通り地域社会と連携していくと説明している。 AIP “DOE Science Committee Draws Concerns Over Limited Expertise” (10/07/26) https://www.aip.org/fyi/doe-science-committee-draws-concerns-over-limited-expertise
完全国産化方針、メーカー側に2,300億ドルのコスト増 CTA試算
技術関連情報メディアのアース・テクニカ(Ars Technica)は10月8日、IT製品の完全国内生産方針により、ハイテク企業は2,300億ドルの費用負担を強いられるとの全米民生技術協会(Consumer Technology Association: CTA)の試算について報じた。PCモニター、ノート型PC、スマートフォン、ワイヤレスイヤホン、ゲーム機など10製品を100%国産化した場合、2031年までに1,850億~2,300億ドルの設備投資額と既存労働力の2倍が必要となり、特にスマホの製造コストは152%増加し、製品価格も平均27~55%上昇するという。さらにプロセッサ、メモリ、高度ディスプレーを搭載した製品はコスト増となり、ノート型パソコンの製造コストは93%、スマートウォッチに関しては97%増加すると試算した。これにかかる電力需要も年間191億~195億キロワット時(kWh)に達する見込みで、コスト増加分の25~50%が価格転嫁される可能性もあるという。こうした中、CTAは政府に対し、部品関税の一時停止や組み立てのみを国内で行うなどの提言を行なっている。 Ars Technica “Trade group crunches numbers on Trump’s impossible push for 100% US-made tech” (10/08/26) https://arstechnica.com/tech-policy/2026/10/trade-group-crunches-numbers-on-trumps-impossible-push-for-100-us-made-tech/
コンステレーション社とグーグル社、890MWの原子力発電PPA締結
コンステレーション・エナジー社(Constellation Energy)は10月6日、グーグル社(Google)と長期的なクリーンエネ協力協定を締結し、PJM系統に890メガワット(MW)の新たな原子力発電容量を導入すると発表した。この20年間の電力購入契約(Power Purchase Agreement: PPA)に基づき、イリノイ州やペンシルベニア州、ニュージャージー州にある同社所有11基の出力増強に向け熱・電気効率向上に向けた改修・整備を行う。投資規模は43億ドル超となる見込みで、既存約4,400人の雇用を維持しつつ、建設関連で約7,200人の雇用を新たに創出する計画である。両社はまた、同系統へ2,700MWを追加導入する15年間のエネルギー供給契約も合わせて締結した。さらに5年間の技術提携も発表し、グーグル・クラウド(Google Cloud)とジェミニ・エンタープライズ(Gemini Enterprise)を導入した人工知能(AI)活用による次世代型系統運用の最適化や重要インフラを保護する「エネルギーのためのAI(AI for Energy)」構想を策定する計画も示している。 Constellation “Google and Constellation Announce Landmark Agreement to Bring 890 MW of New Nuclear Capacity to PJM Grid as Part of Long-Term Power Deal” (10/06/26) https://www.constellationenergy.com/news/2026/10/google-and-constellation-announce-landmark-agreement-to-bring-890-mw-of-new-nuclear-capacity-to-pjm-grid.html
NSF、社会科学研究予算が激減 新規助成交付件数は90%減
サイエンス誌(Science)は10月6日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の社会・行動・経済科学局(Social, Behavioral and Economic Sciences: SBE)による助成支給額が激減していると報じた。社会学や言語学、考古学など国内の学術的な社会科学研究の約3分の2の資金提供を担う同局において、政権意向に沿う形で予算縮小や意思決定権の制限が進んでおり、連邦助成に関する情報を提供する非営利団体グラント・ウィットネス(Grant Witness)による調査結果にも触れ、2026年度支出額は9,500万ドルにとどまり、新助成金件数に関してはわずか91件と、過去数年の平均800件に比べ約89%減少したと伝えた。大統領府が3月、2027年度予算要求で同局の廃止を求めたことを背景に、従来の独立した審議プロセスが形骸化し、政府優先分野に沿う形での承認運用に移行されたほか、NSFは8月にSBE向け公募も停止した。人員削減も進み、現在助成交付に従事する職員は12人のみで、現場は壊滅状態にあると伝えている。 Science “Exclusive: ‘Complete devastation’—How NSF gutted its social sciences research” (10/06/26) https://www.science.org/content/article/complete-devastation-how-nsf-gutted-its-social-sciences-research
国防総省はPNT統合とGPS整備の改善を GAO勧告
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は10月7日、国防総省(Department of Defense)が進める精密測位・航法・時刻同期(Positioning, Navigation, and Timing: PNT)開発事業に対し、GPSの整備遅延に伴う代替技術開発の断片化を指摘する調査報告書を公表した。同省は妨害電波などの脅威に対応する強化版GPSを活用した軍用信号「Mコード(M-code)」対応受信機の導入など、GPSサービスが途切れた際の現場への航法データ提供方法模索や、太陽、月、星の自動天体観測を活用した補完的PNT開発を傘下の陸海空の各軍で分散して進めているが、各事業の規模が異なり、進行スケジュールなど計画や資金面に課題がある。こうした背景から、GAOは同省に対し、PNTシステムの開発と配備において各軍が連携強化するよう提言しており、特に空軍の統合プログラム局(Joint Program Office: JPO)のような事業統合の検証と統合計画の策定を勧告し、国防総省もこれに同意している。 GAO “Precision Navigation Systems: Challenges Remain with Fielding New Capabilities” (10/07/26) https://www.gao.gov/products/gao-27-107676
国土安全保障省、留学生のOPT手続に新規手数料導入へ
国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)は10月7日、留学生向け一時就労制度「オプショナル・プラクティカル・トレーニング(Optional Practical Training: OPT)」を利用するF-1ビザ所持者に対し、新規の手数料を課す規則案を発表した。健全な移民プログラムを運営する政府方針に基づくもので、安価な外国人労働者の流入を抑えて国内雇用を保護し、不正や制度の悪用防止を狙いとしている。新たな規則案では、初回利用時に学生1人当たり7万ドル、その後の延長時には3万ドルの支払いを認定校に義務付け、学校側が手数料を支払わなければ、就労許可が下りない仕組みとした。各教育機関による厳格な監督を促す目的もあり、労働市場へ移民の過度流入を防ぎ、制度本来の目的に沿った運用を徹底する。今回の提案に対する意見募集は10月8日から11月9日まで行うとし、同時に「行政手続削減法(Paperwork Reduction Act: PRA)」に関する意見募集に60日間設ける。なお、意見の提出には連邦官報の通知を参照するよう呼びかけている。 DHS “DHS Proposes Fees for Foreign Student Work Program to Protect American Jobs” (10/07/26) https://www.dhs.gov/news/2026/10/07/dhs-proposes-fees-foreign-student-work-program-protect-american-jobs
非営利団体のR&D支出が減少、外部向け資金提供は増加
国立科学工学技術統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics: NCSES)は10月7日、2024年度の全米非営利団体における研究開発(R&D)内部支出額が前年度比4%減の約294億ドルとなったと発表した。約8,000団体を対象とした非営利団体研究活動調査(Nonprofit Research Activities module: NPRA)調査によるもので、他機関との契約や助成に基づき提供した外部支出額は同33%増の約105億ドルへと急増し、内部資金縮小と外部資金提供の拡大という対照的な動きが鮮明となった。R&D最大の資金源は連邦政府で全体の38%となる112億ドルを拠出し、次いで非営利団体の内部資金が29%を占め、86億ドルを拠出した。分野別では生物・生物医学・健康科学が217億ドルと全体の74%を占めた一方、数学・統計・コンピューター及び情報科学分野が19%増の9億700万ドルに、また心理学・社会科学は17%増の14億ドルとなった。なお、非営利団体におけるR&Dに従事するフルタイム従業員数は前年比13%減の12万5,555人となった。 NCSES “U.S. Nonprofits Reported Decline in Spending on Internal R&D Activities in FY 2024; Increase in Funding for External R&D” (10/07/26) https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf26329
エネルギー省とNIH、バイオハブ社と超知能イノベーションで提携
エネルギー省(Department of Energy)の科学局(Office of Science)は10月7日、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)及びバイオハブ社(Biohub)と、超知能(Super Intelligence: SI)を活用した生物学発展に向け提携する覚書(MOU)を締結したと発表した。SI技術を活用した最先端スパコンや自動実験システムなどを活用し、世界規模でのオープンなデータ駆動型科学の新基準確立を目指すもので、エネルギー省傘下の国立研究所が誇る計算能力と研究基盤、バイオハブ社の技術力、NIHの医療データを融合し、疾病理解の深化や創薬、バイオテクノロジーのイノベーションを加速する。エネルギー省による5年間で5億ドル超を投じる基礎細胞研究に対し、バイオハブ社は5年間で5億ドルを投じ仮想生物学構想(Virtual Biology Initiative: VBI)で補完する計画で、細胞が生体機能にどのように関わり、反応しているかなど生体システムの予測モデル構築に向けた生物学的基盤データを整備する計画となっている。 Department of Energy “DOE, NIH, and Biohub Partner to Build Foundational Data for Predictive Biological Super Intelligence Models” (10/07/26) https://www.energy.gov/science/articles/doe-nih-and-biohub-partner-build-foundational-data-predictive-biological-super