Day: May 22, 2026
米国政府、外国人研究者との共同論文に新たな制限か NIHやNASAの対応に現場は混乱
サイエンス誌(Science)は5月20日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)や航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)が、海外機関と共著した米国研究者の論文発表に対し制限を課していると報じた。NIHでは事前に許可を求めるよう非公式に指示したほか、これまでの年次経過報告書から該当する論文を削除するよう求めるケースもあり、現場では不当評価や外国人排除につながる動きとして懸念が広がっている。一方、NASAは中国機関所属研究者との共同論文について、資金が海外に渡っていない場合でも二国間協力を禁じる法律(ウルフ修正条項)に違反する可能性があるとして、一部の受給機関に警告を行った。両機関は公式指針を発表しておらず、個別対応にとどまるが、専門家は安全保障上のリスク評価は理解しつつも、一律規制への移行は科学発展を阻むと指摘した。記事はまた、政府による生産性評価について疑問を呈する声が、現場で広がっているとも伝えている。 Science “U.S. researchers face new restrictions on publishing with foreign collaborators” (05/20/26) https://www.science.org/content/article/u-s-researchers-face-new-restrictions-publishing-foreign-collaborators
次世代地熱投資で最大440億ドルの年間コスト削減が可能に CATF報告
クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force:CATF)は5月21日、カリフォルニア州における次世代地熱エネルギー投資により、2045年までに年間最大440億ドルのコスト削減が可能になるとする最新の報告書を発表した。クリーン電力100%達成に向け、同州は2045年までに5〜10ギガワット(GW)の新規地熱容量を必要としているが、地下データ不足や資金調達が壁となり、現在はユタ州やネバダ州の地熱開発に投資して電力を確保している。州内開発により、州外調達に比べ年間35億〜55億ドルを節約できるほか、ボトルネックである州間送電網の拡張負担も大幅に軽減できることから、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)などのモデルを用いた分析を用いて、既存の石油掘削技術の転用による雇用移行や税収増といった経済効果について紹介した。CATFは、過去に屋根上太陽光や電気自動車(EV)の商業化を成功させた同州の実績に触れ、民間投資を呼び込むための地下探査や試験場の早期開設を促している。 CATF “California could cut 2045 electricity costs by up to $44 billion a year by investing in next-generation geothermal, finds new CATF report” (05/21/26) California could cut 2045 electricity costs by up to $44 billion a year by investing in next-generation geothermal, finds new CATF report
クリーンエネ製造業が急拡大 ACP報告書
アメリカン・クリーン・パワー協会(American Clean Power Association:ACP)は5月21日、国内クリーンエネルギー製造業拡大により、産業活性化や国家安全保障の強化につながっていると発表した。最新の年次報告書によると、同産業における雇用は21万6,000人にのぼり、国内総生産(GDP)は年間310億ドルに達した。2025年に70の製造施設が稼働し、全50州で計825以上の施設が展開するなど、各地で産業基盤の構築が進んでいることが背景にある。国内製造能力は太陽光や蓄電モジュール、風力発電の中核部品などの需要を完全に満たせる水準に達しており、海外資源や供給網(サプライチェーン)への依存を減らすことで安全保障上のメリットも生み出している。また賃金は全米平均を35%上回り、特に工場における雇用は高い経済波及効果があり、1人の雇用が関連産業などでさらに4人の間接雇用を創出している。ACPは増大する電力需要対応に向け、国内生産の重要性を強調しており、好況維持に向けた明確な通商政策や規制整備を促している。 SEMI “REPORT: U.S. Adds 10 GWh of New Energy Storage Capacity in First Quarter, Marking Largest Q1 on Record” (05/21/26) REPORT: U.S. Adds 10 GWh of New Energy Storage Capacity in First Quarter, Marking Largest Q1 on Record
2026年第1四半期のエネルギー貯蔵、過去最大 エネルギー安保需要で上方修正
太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association:SEIA)は5月21日、国内蓄電産業が2026年第1四半期に9.7ギガワット時(GWh)の新規容量を導入し、四半期で過去最大を記録したと発表した。イラン情勢の緊迫化で世界的なガス供給混乱や価格高騰を受け、燃料の価格変動に左右されない太陽光と蓄電への需要が急増しており、2030年までの累計蓄電容量予測も上方修正し、610GWhを超える見通しである。特にグーグル社(Google)やメタ社(Meta)などの大手IT企業データセンター向け需要が牽引し、電力網の信頼性向上やコスト抑制にも寄与した。導入に関してはテキサス、アリゾナ、カリフォルニアの各州で著しく、建設全体の7割以上がトランプ大統領の支持基盤州で進む一方で、煩雑な許認可手続きにより現在467の事業が遅延している。報告書は、蓄電所(Battery Energy Storage System: BESS)は単なるバックアップ電源ではなく、人工知能(AI)やデータセンター展開を支える重要な安全保障インフラとし、迅速な法整備が不可欠と指摘している。 SEMI “REPORT: U.S. Adds 10 GWh of New Energy Storage Capacity in First Quarter, Marking Largest Q1 on Record” (05/21/26) REPORT: U.S. Adds 10 GWh of New Energy Storage Capacity in First Quarter, Marking Largest Q1 on Record
AIの国際競争力評価へ新枠組み策定 GAO、4分野で政策選択肢を導出
政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は5月21日、世界的な人工知能(AI)開発競争激化を受け、他国のAI能力や競争力と比較評価し、効果的な政策選択肢を導き出すための新たな評価枠組みを策定したと発表した。新枠組みは、科学技術、人的資本、ガバナンス、経済の4つの柱で構成され、さらに研究開発、労働力、規制政策、投資・資金調達といった項目に細分化されている。分析にあたっては、評価目標の絞り込み、測定指標の特定、データ分析、政策選択肢の策定という4つの手順で構成されている。AI後進国は経済的優位性や国際的影響力を失うリスクがあり、現状を客観的に測定する手法が求められていたとし、この枠組みの活用により国際的な技術標準への適合など、具体的な目標に対する自国の立ち位置を明確化できるという。政府や産学の分析官による活用は、政策立案者に対して構造化された情報提供を可能にするとし、AI輸出拡大や競争力向上に向けた最適な意思決定に役立てることができると説明している。 GAO “Artificial Intelligence: A Framework to Assess U.S. Competitiveness and Inform Policy Options” (05/21/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107624
GAO、研究成果の一般公開化に向けた予算管理徹底を提言
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は5月21日、連邦政府が資金提供する研究成果の即時無料公開化(パブリック・アクセス)への移行に伴い、9つの連邦機関に対して適切な出版費用管理を提言した。大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)の2022年の指針に基づき、政府助成を受けた研究の論文無料公開化が進む中、従来の購読料収入を失った出版社側が著者側へ費用を請求するビジネスモデルに転換したことを受け、費用捻出に向け政府予算を確保する必要が出るようになっている。試算によると年間出版費用は2024年の2億9,500万ドルから、2026年から2030年にかけて年間最大10億ドル、総額30億〜45億ドルへとなる見通しで、この潜在的なコスト増加へ対応しているのは国立衛生研究所(National Institutes of Health)のみという。出版費用の増大は研究資金の減少を招くほか、有料掲載モデルの普及が論文の質低下を招く懸念も指摘されており、GAOは予算や経済的影響の分析、また公開方針の改善を求める計11項目の勧告を提示している。 GAO “Federal Research: Agencies Should Better Manage Anticipated Publishing Cost Increases Amid Shift to Public Access” (05/21/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107738
DARPA、2つの技術開発部門を改称 統合能力と情報処理を重視
国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は5月20日、傘下のマイクロシステム技術局(Microsystems Technology Office)をマルチX局(Multi X Office: MXO)へ、そして情報イノベーション局(Information Innovation Office)を情報処理技術局(Information Processing Techniques Office: IPTO)へと名称変更したと発表した。MXOの「X」は規模、分野、運用効果の増幅を意味しており、同局は今回の名称変更により、これまでの原子レベルの材料発見から、次世代戦場を形作るシステム開発などの分野横断型機能提供へと任務を拡張する戦略的な転換点と位置付けている。一方のIPTOは旧名称に戻し、インターネット開発に寄与するなどのDARPAの過去の取り組みを継承しつつ、現代に即した情報処理技術開発に再び焦点を当てる。人工知能(AI)やサイバーセキュリティ、供給網(サプライチェーン)などの複雑かつ巨大システムのレジリエンスを向上させ、軍事的・経済的な優位性確保に向け、従来の個別技術開発から学際的アプローチを推進するという。 DARPA “What’s in a name? At DARPA, reflecting enduring mission, future focus.” (05/20/26) https://www.darpa.mil/news/2026/what-is-in-name-darpa-reflecting-enduring-mission-future-focus
国防総省、同盟国へのドローン防衛市場アクセス拡大
国防総省(Department of Defense)は5月20日、オーストラリア、ポーランド、韓国などの主要同盟国と対小型無人航空機システム(counter-small UAS)の調達協定を締結したと発表した。省庁間合同タスクフォース401(Joint Interagency Task Force 401: JIATF 401)が運用するドローン(無人機)防衛市場を同盟国へ解放し、拡張性と相互運用性を備えた最先端技術の共有を実現する。進化しつつあるドローン脅威への対抗に加え、同盟国からの需要集約により、国内防衛産業基盤の生産拡大につなげるとし、既に英国やルーマニアとも連携するなど、連合国間における緊密な防衛ネットワークの構築を進めている。陸軍はこの取り組みにより、増大する連合軍ニーズへの対応が可能になるとし、各国の防衛力を高めていくと説明している。 Department of Defense “JIATF 401 Drone Defense Marketplace Broadens Allied Access to Counter-Drone Capabilities” (05/20/26) https://www.war.gov/News/News-Stories/Article/Article/4497147/jiatf-401-drone-defense-marketplace-broadens-allied-access-to-counter-drone-cap/