Day: May 5, 2026
エネルギー省、原子力技術実用化支援で4社を選定
ニュークリアー・ニュースワイヤー(Nuclear Newswire)は4月28日、エネルギー省(Department of Energy)の原子力局(Office of Nuclear Energy)と国立原子炉イノベーション・センター(National Reactor Innovation Center)が原子力技術実証支援制度の初回採択先として4社を選定したと報じた。マイクロ炉を開発するデプロイヤブル・エナジー社(Deployable Energy)、ニューキューブ・エナジー社(NuCube Energy)、ラディアント・インダストリーズ社(Radiant Industries)と、燃料供給を担うゼネラル・マター社(General Matter)の4社で、NRICは原子炉や燃料に限らない原子力技術の実用化に向け、各社支援を強化する。各社は研究機関との連携も含め、データセンターや海事、防衛向けマイクロ炉や国内燃料供給網の強化を進め、出力15MWの高温固体マイクロ炉開発や国立研究所の実証試験設備「ドーム(DOME)」でトリソ(TRISO)燃料を用いた高温ヘリウム冷却型マイクロ炉「カレイドス(Kaleidos)」の初の燃料装荷実験に臨む予定である。 Nuclear Newswire “DOE selects first companies for nuclear launch pad” (04/28/26) https://www.ans.org/news/2026-04-28/article-7988/doe-selects-first-companies-for-nuclear-launch-pad/
大学教員の不安レベルが深刻 周囲の支援と共同体意識が軽減の鍵に
ネイチャー誌(Nature)は5月1日、医療分野の大学教員による職務に関する不安が深刻であるとする調査について報じた。ハワード大学(Howard University)のアニエティ・アンディ氏(Anietie Andy)らによる数千人を対象とした調査によると、医療分野教員の約3分の1が中等度以上の不安を訴えており、全学術分野の平均である24%を大きく上回った。特に女性や終身雇用(テニュア)資格取得を目指す助教の不安は大きく、一方で、学問に理解のある親や強固な人脈を持つ者ほど、不安が低い傾向であったことが判明した。また、マイノリティへの教育を主とする機関(Minority-Serving Institutions)で見られる共同体意識が、不安指数を大幅に改善させる要因となっていることがわかった。調査は、家族や周囲の支援ネットワークがその軽減に極めて重要であるとし、各組織がメンター制度などを通じて、教員を孤立させない支援体制を構築する必要性を強調している。 Nature “Helium users brace as shortages begin” (05/01/26) https://www.nature.com/articles/d41586-026-01252-x
中東紛争によるヘリウム供給危機が深刻化、研究や医療への割当制限で現場に混乱
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)が発行する『フィジックス・トゥデー(Physics Today)』は4月30日、中東情勢の緊迫化に伴うヘリウムの供給不足が、世界の研究機関や医療現場の運営に深刻な影響を及ぼし始めていると発表した。イランへの攻撃やカタールのプラント停止、ホルムズ海峡の封鎖により、世界供給の約3割を占めるカタール産ヘリウムの流通が停滞し、市場関係者らは地政学的な不安定さが「ブラック・スワン現象(予測不可能、想定外な出来事により甚大な影響受けた事象)」を招いたと指摘している。半導体製造や医療用核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging: MRI)への供給が優先されるなか、リンデ社(Linde)などの大手供給会社は不可抗力条項を発表し、価格急騰や配分半減が相次いでいる。また病院施設や大学機関の臨床研究用機器や核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance: NMR)施設も高価な代替調達を余儀なくされ、日本でも再液化装置を持たない施設で装置停止が続出し、正常化には数カ月かかるとみられる。 AIP PT “Helium users brace as shortages begin” (04/30/26) https://physicstoday.aip.org/news/helium-users-brace-as-shortages-begin
大統領府、NSB全委員解任根拠は2021年最高裁判決
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は5月1日、国家科学審議会(National Science Board: NSB)の全委員解任が2021年最高裁判決による「憲法上の問題」が原因だったとする大統領府の見解について伝えた。政府は、同判決により、上院の承認を得ていない連邦職員の権限は制限されていることが確認されたと説明しているが、政権はこれまでに100以上の科学諮問組織を解体しており、記事は国内の科学界は大きな衝撃を受けていると伝えている。NSB委員らは、活動を勧告にとどめるなどの対策を講じていたと反論し、解任は事前通知なく行われたと指摘した。下院科学委員会の民主党議員らも、科学の独立性を脅かす政治的な策略であるとして批判を強めている。今回の決定は予算削減やトップの不在で混乱の最中にある米国科学財団(National Science Foundation: NSF)へさらに影響を与える可能性がある事に加え、科学振興協会(American Association for the Advancement of Science: AAAS)などの主要な学術団体も、指導部不在が国家の科学技術力を衰退させると危惧している。 AIP “Administration Explains National Science Board Firing as Criticism Grows” (05/01/26) https://www.aip.org/fyi/administration-explains-national-science-board-firing-as-criticism-grows
配電コストが電気料金上昇を誘引 LBNL調査
ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)のエネルギー技術分野(Energy Technologies Area: ETA)は5月4日、投資家所有の電力会社(Investor-Owned Utility: IOU)による配電網コスト急増要因と対応策に関する調査報告書を発表した。全米の配電支出は2014年以降、過去20年間の4倍にあたる年率6%のペースで増加し、設備投資がその大半を占め、特に電力1kWh(キロワット時)あたりの単価で分析すると、2014年以降の小売料金上昇の30%以上が配電コスト増に起因した。地域別ではカリフォルニア独立系統運用機関(California Independent System Operator: CAISO)管内が突出し、既存設備の更新や安全性、回復力確保が主な支出となった。一方、IOUによる2025年の料金値上げ申請額は180億ドルに達し、州の公共事業委員会(Public Utility Commission: PUC)の承認額と共に数十年ぶりの高水準を記録した。LBNLは利益率や減価償却の調整に加え、成果連動型規制の導入、計画要件の見直しなどを提示している。 LBNL ETA “Electric Utility Distribution Costs: Scoping Study on Trends, Drivers, and Possible Response Strategies” (05/04/26) https://emp.lbl.gov/news/electric-utility-distribution-costs-scoping-study-trends-drivers-and-possible-response
サイバー人材育成プログラム、AIスキル習得を義務化
NEXTGOV/FCWは5月1日、政府のサイバーセキュリティ人材採用パイプラインである「サイバーコア(CyberCorps: Scholarship for Service)」奨学金制度において、奨学生に対し人工知能(AI)とサイバーセキュリティの融合領域におけるスキルの実証を義務付けると報じた。大統領府人事管理局(Office of Personnel Management: OPM)と米国科学財団(National Science Foundation: NSF)によると、この変更は即時に適用され、参加者はAI専門知識を習得する具体的な計画を提示する必要がある。24時間稼働するAIエージェントの管理能力が不可欠とされる中、数年後の大学卒業時にAIに関する深い知見がなければ、雇用はもはや不可能との見方が示された。学費と生活費を支給する同プログラムは、大学卒業後の政府機関関連勤務を義務付けているが、高度AIモデルの登場により、コンピュータサイエンス専攻の大学生数が減少していることに加え、連邦省庁の多くでは職員の削減が進む一方で、予算不足により採用活動が停滞している状況にある。 NEXTGOV/FCW “US imposes AI skills requirement on CyberCorps pipeline” (05/01/26) https://www.nextgov.com/people/2026/05/us-imposes-ai-skills-requirement-cybercorps-pipeline/413284/?oref=ng-homepage-river
ITIF新会長にダニエル・カストロ氏
情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)は5月4日、ダニエル・カストロ氏(Daniel Castro)が会長に就任すると発表した。ITIF理事会は、2006年の創設以来、組織を牽引してきた創立者のロバート・D・アトキンソン氏(Robert D. Atkinson)が築いた科学技術政策拠点をさらに発展させるリーダーとして、カストロ氏を満場一致で選出した。2007年以降、副会長やデータ・イノベーション・センター(Center for Data Innovation)のディレクターを歴任した同氏は、技術政策や規制における権威として中心的な役割を担ってきた。就任にあたり、同氏は現在の政策決定が将来の経済や社会を形作る重要な局面にあるとし、ITIFが引き続き、人工知能(AI)やクリーンエネルギー、デジタル政策、さらには産業競争力といった幅広い分野において、イノベーションを加速させ生産性を向上させるための提言活動を継続していくと表明した。 ITIF “Castro Succeeds Atkinson as President of ITIF” (05/04/26) https://itif.org/publications/2026/05/04/castro-succeeds-atkinson-as-president-of-itif/
2024年度連邦政府研究開発費は増加 2025年度は横ばいへ NCSES調査
国立科学工学技術統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は5月5日、2024年度の連邦政府研究開発(R&D)予算(歳出義務)が、前年度比4.4%増の1,942億ドルとなったと発表した。国防総省(Department of Defense)研究開発費が14.4%増となった一方で、厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)での減少により一部が相殺された形となった。2025年度は両省を含む主要機関で減少が予測されるものの、全体では約1,941億ドルとほぼ横ばいで推移する見通しで、主に商務省(Department of Commerce)研究開発費の約263%増が寄与した。これには、2022年に制定された法律による追加補正予算承認により、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)の支出が13億ドルから約80億ドルへと大幅増加となったことに起因している。 NCSES “Federal R&D Obligations Increased 4.4% in FY 2024; Most Agencies Estimate Declines in FY 2025” (05/04/26) https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf26317
大統領府、AIモデルの発表前に審査実施を検討か
ニューヨーク・タイムズ紙(New York Times)は5月4日、複数の米政府高官及び関係者の話として、これまで人工知能(AI)について非干渉の手法を推進し、シリコンバレーによる自由な技術展開を容認してきたトランプ大統領は現在、新たなAIモデルに対して 政府の監督を導入することを検討していると伝えた。関係者によれば、政権は、技術企業幹部や政府高官で構成されるAI作業部会を発足させ、監督手順の可能性について検討する大統領令の発令について議論しているという。潜在的な計画には、新たなAIモデルに関する政府の正式な審査プロセスの確立が含まれ、先週行われた会合で、大統領府の高官が、アンソロピック社(Anthropic)やグーグル(Google)、オープンAI(OpenAI)の各社幹部にこうした計画の一部を伝えたという。こうした議論は、トランプ政権によるAIへの姿勢が大きく逆転する可能性を示唆する。 New York Times “White House Considers Vetting A.I. Models Before They Are Released” (05/04/26) https://www.nytimes.com/2026/05/04/technology/trump-ai-models.html
洋上風力リースの買い取りは前代未聞の問題を生む 元内務省高官発言
ユーティリティ・ダイブ(Utility DIVE)は4月30日、内務省(Department of the Interior)の元高官(2名)の話として、トランプ政権が最近、洋上風力リースを中止し、それらの開発事業者が化石燃料インフラに同額の投資を行った後、(リース料相当額の)払い戻しをするとの取引を決定したことは、法的前例がない上、将来にわたって悪用される新たな前例を作るものであると報じた。元高官の一人は、「一例として、非競争的な目的で企業がリースを買い取り、一定期間何もせず、それらを返却すると買い取り資金が戻ってくるという状況は望ましくない」と述べた。また、別の元高官は、「本件が法的に争われない場合、将来の民主党政権が同様の手法を用いて、従来型の石油・天然ガス企業やメキシコ湾岸の深海掘削業者に対して提訴すると主張するような行動を止めることはできないだろう」と発言した。 Utility Dive “Offshore wind lease buyouts create troubling precedent, say former DOI officials” (04/30/28) https://www.utilitydive.com/news/offshore-wind-lease-buyouts-create-dangerous-precedent-say-former-doi-offici/818994/