Day: May 28, 2026
NASA、月面基地向け探査機・着陸機に関する最新情報を発表
米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)は5月26日、月面探査機及び月面行きの無人貨物着陸機に関する新たな契約と、月南極地域(lunar South Pole region)での最初の月面基地インフラ及び探査ミッションについて、打ち上げ目標時期と主要マイルストーンを発表した。NASAによれば、月面基地に関する最初の3件のミッションは、①ムーンベースI(Moon Base I)(2026年秋以降の打ち上げが目標。ブルーオリジン社(Blue Origin)のブルー・ムーン・マーク1・エンデュランス(Blue Moon Mark 1 Endurance)着陸機を使用してNASAのペイロード(搭載物)を月面へ輸送)、②ムーンベースII(今年後半の打ち上げが目標。1,100ポンド以上のペイロードをアストロボティック社(Astrobotic)のグリフィン(Griffin)着陸機で輸送)、③ムーンベースIII(年内の打ち上げが目標。月面ペイロード及び研究調査(Payloads and Research Investigations on the Surface of the Moon)イニシアチブを通じて選出された最初のペイロードを搭載して飛行)、となっている。ミッションは今後も追加で発表される。 NASA “NASA Provides Update on Moon Base Rovers, Landers, Missions” (05/26/26) NASA Provides Update on Moon Base Rovers, Landers, Missions
DARPA、戦場で負傷兵を治療する救護ロボットを模索
国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の中小企業技術イノベーション研究(Small Business Innovation Research: SBIR)が発表した公募によれば、DARPAは、戦場で救護ロボットのスワーム(群れ)が連携して負傷兵を安全な場所まで移動することや、救命薬剤を注射したり、自らの形状を変化させて骨折した手足を固定する副木になる等の救護ロボットを模索している。現在の戦場救護システムは、近年の小規模部隊による対反乱作戦では機能するが、大規模な戦争で生じる多数の負傷者には対応できない。公募によれば、このプログラムの目標は、「自律的で自己展開が可能で、負傷状況を評価し、群れとして運用することができ、自律的に連携するモバイル・ロボットのソリューションの開発」であるという。本公募への解決策の提出は、提示されている4つの条件(「負傷兵を近く(10メートル以内)の担架まで運ぶことができる」等)のうち、少なくとも2件に対応するものでなくてはならない。 Defense News “DARPA launches search for robot medics to treat battlefield casualties” (05/26/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/05/26/darpa-launches-search-for-robot-medics-to-treat-battlefield-casualties/
運輸省、ARPA-Iアイデアチャレンジの決勝に進む最終4チームを発表
運輸省(Department of Transportation)は5月27日、交通高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency – Infrastructure: ARPA-I)による「アイデア・イノベーション・チャレンジ(Ideas and Innovation Challenge)」(通称「アイデアチャレンジ」)の決勝に進む最終4チームを選出したと発表した。選出されたのは、イリノイ州の民間事業体やアリゾナ州の個人、テネシー州の大学など4チームである。アイデアチャレンジは、交通技術における革新的アイデアのポートフォリオ創出を目的として行われる2段階方式の賞金コンペで、これらのアイデアは、ARPA-Iや運輸省、交通部門向けの研究開発への情報提供となる。第1段階で448件の提出者の中から15の準決勝進出者が選ばれ、第2段階ではより詳細なプロポーザルの提出が行われた後、決勝に進む最終4チームが選出された。最終4チームは2026年6月24日、運輸省本部にてそれぞれの革新的アイデアを発表し、第2段階における賞金70万ドルの分配をかけて競う。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Department Announces Final Four in $1 Million ARPA-I Ideas Challenge” (05/27/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/trumps-transportation-department-announces-final-four-1-million-arpa-i-ideas
国防総省、科学技術イノベーション委員会の新メンバー発表
国防総省(Department of Defense)は5月27日、ピート・ヘグセス長官(Pete Hegseth)が科学技術イノベーション委員会(Science, Technology and Innovation Board: STIB)の新たなメンバーを承認したと発表した。今回の新メンバー承認により、STIBの任命数は33名となった。STIBは、国防総省傘下の防衛イノベーション委員会(Defense Innovation Board)と防衛科学委員会(Defense Science Board: DSB)を統合し、イノベーションに関する意見を一つに集約することを目的として設立された。新たなメンバーは、ディスラプティブな思考と米軍兵士への専心に基づいて選出されており、STIBが国防総省に具体的な回答を提供するために必要な専門知識と迅速さをもたらすことが期待されている。 Department of Defense “Department of War Announces Second Round of Appointments to the Newly Established Science, Technology and Innovation Board” (05/27/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4501073/department-of-war-announces-second-round-of-appointments-to-the-newly-establish/
NSFの米国マイクロエレクトロニクス教育ネットワーク(NNME)、最初の地域ノードを発表
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が資金提供する「米国マイクロエレクトロニクス教育ネットワーク(National Network for Microelectronics Education: NNME)」の運営組織であるSEMI財団(SEMI Foundation)は、NNMEの最初の地域ノード(Regional Node)として4か所の始動を発表した。NNMEは、米国のマイクロエレクトロニクス及び半導体労働力を大規模に構築する取り組みで、今回の4カ所の地域ノードにおいて、合計325件以上の組織(学校区、大学を含む)、労働力育成組織、経済開発局、コミュニティ組織、半導体雇用事業者が、業界の需要に合った教育・訓練・キャリア経路の推進に協力することになる。 National Science Foundation “NSF-funded national workforce infrastructure initiative announces first Regional Nodes and activates more than 300 organizations across the U.S. to accelerate microelectronics education for American workers” (05/26/26) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-funded-national-workforce-infrastructure-initiative
NSF「技術アクセラレータ構想」を開始 先端技術の市場投入を加速
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は5月27日、基礎研究の成果を商用化し、経済強化と安全保障向上を目指す「NSF技術アクセラレータ(NSF Tech Accelerators)」イニシアチブを開始したと発表した。研究を実用化するまでの、いわゆる「死の谷(Valley of death)」克服に向け、民間投資が不足しがちなディープテック(先端技術)領域に特化し、専門知識と商業化支援を提供する。投資リスクは高いものの有望とされる先端技術を実用化する取り組みにより、新たな市場の創出や技術エコシステム発展につなげたい考えで、重点分野に農業技術、材料技術、海洋技術、科学計測を選定した。採択チームには、特許取得や実証事業実施、法人設立、顧客基盤の拡大といった明確な目標達成を求める一方で、専門家によるメンターシップや戦略的パートナーシップなど包括的な支援を提供する。NSFはこの構想を民間投資の呼び水とし、新規アイデアへの投資、企業成長、規模拡大や、国のイノベーション強化につなげていく方針を示している。 NSF “NSF launches Tech Accelerators initiative to speed key technologies to the market faster” (05/27/26) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-launches-tech-accelerators-initiative-speed-key
アルゴンヌ国立研究所、オープンサイエンス向け大規模AI推論サービスを開始
アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)は5月26日、全米初のオープンサイエンス向け大規模人工知能(AI)推論サービスを開始したと発表した。同研究所のリーダーシップ・コンピューティング施設(Argonne Leadership Computing Facility: ALCF)によるもので科学者が独自のインフラを構築・維持する負担を強いられることなく、大規模言語モデル(LLM)や科学基礎モデルを共有リソースとして利用できる。この取り組みはエネルギー省(Department of Energy)が進める国家AI構想「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」の重要な原動力と位置付けられており、核融合エネルギー研究におけるプラズマ崩壊のリアルタイム予測や、高エネルギー物理学・天文学における膨大なデータの解析などに活用される。ALCFはAIモデルの開発と科学研究実用化への溝を埋め、データから知見・発見に至る道のりを迅速化すると強調しており、「タラ(Tara)」や「ミネルバ(Minerva)」などのエヌビディア社(NVIDIA)の新システムなどを通じて、さらなる機能拡張を図るという。 ANL “Argonne launches first large-scale AI inference service for open science” (05/26/26) https://www.anl.gov/article/argonne-launches-first-largescale-ai-inference-service-for-open-science
国防総省、国防ミッションへの民間技術導入を推進
スペースニュース(SpaceNews)は5月18日、国防総省(Department of Defense)が推進するミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム(Golden Dome)」により民間宇宙企業や投資家、ソフトウェア企業の誘致が活発化していると伝えた。政府は弾道・巡航・極超音速ミサイルから本土防衛のための多層的なネットワーク構築を目指しているが、20年間で1.2兆ドルに達すると試算される巨額コストが課題となっている。これに対し、当局は従来の調達モデルではなく、民間の量産技術や再利用型ロケット、ソフトウェア主導の運用を取り入れ、規模に応じた経済性の確保を急いでいるが、軍事機密の保持と民間参入促進などの相反する課題や民間側に投資リスクを求める調達モデルへの懸念も指摘されている。政府が2028年までの運用能力実証を目指す中、同省は量産時のコスト妥当性といった課題を民間技術で解決したい考えで、特に宇宙配備型迎撃機といった難度の高い技術開発において、新興企業と従来の防衛大手が協力するエコシステムの構築を進めているという。 SpaceNews “Inside Golden Dome’s push to court commercial tech firms and investors” (05/18/26) Inside Golden Dome’s push to court commercial tech firms and investors
エネルギー省と商務省、医療用RI供給を強化 放射性廃棄物からラジウム226を大量回収
エネルギー省(Department of Energy)は5月19日、商務省(Department of Commerce)傘下の米国標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)と連携し、放射性廃棄物から最先端のがん治療に不可欠なラジウム226(Ra-226)を大量回収したと発表した。同省傘下科学局(Office of Science)内のアイソトープ研究開発・生産局(Office of Isotope R&D and Production: IRP)による国内の医療用ラジオアイソトープ(Radioisotope: RI)供給網強化に向けた取り組みで、回収されたラジウム226は、原子炉やサイクロトロンでの照射を経て標的α(アルファ)線療法に用いられるアクチニウム225などの重要RI生産のための原料として再利用される。IRPは廃棄物の再利用が安全性向上と戦略的資源の確保を両立させるだけでなく、作業員や施設の安全性向上につながると説明し、パシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)などの技術を基に、国内外から同物質の回収・精製を継続し安定供給を図るという。 DOE “Interagency Cooperation Transforms Legacy Waste into Strategic Medical Radioisotope Supply” (05/19/26) https://www.energy.gov/science/articles/interagency-cooperation-transforms-legacy-waste-strategic-medical-radioisotope
気候テック企業、戦略の軸足を「重要鉱物」へ転換
MITテクノロジー・レビュー(MIT Technology Review)は5月21日、国内気候テック企業による供給網(サプライチェーン)強化や重要鉱物確保への取り組み移行について伝えた。連邦政府支援が停滞する中、企業は生き残りをかけて、政府が注目しているデータセンターやエネルギー供給、重要鉱物分野への参入に挑戦している。排出量の少ない製鋼技術で知られるボストン・メタル社(Boston Metal)は、航空機エンジンなどに不可欠なニオブやタンタルなどの重要金属事業支援に向け、新たに7,500万ドルの資金を調達したという。同社は収益性の高い金属事業を展開することで、本業の鉄鋼部門の開発継続に必要なリソースを確保すると説明した。また、セメント新興のブリムストーン社(Brimstone)も政府助成打ち切りを受け、副産物のアルミナが国内アルミニウム生産を支える重要資源との声明を前面に打ち出した。このほか、鉱業との連携を模索する動きや、鉱山操業の効率化や稼働・閉鎖中の鉱山跡地浄化作業の支援を売り込む炭素除去企業も出てきているという。 MIT Technology Review “Climate tech companies are pivoting to critical minerals” (05/21/26) https://www.technologyreview.com/2026/05/21/1137622/climate-tech-pivot-critical-minerals/