Day: May 11, 2026
米国政府、科学研究への「AIエージェント」導入加速
NEXTGOV/FCWは5月7日、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy)は、人間による監視を最小限に抑えながら、特定タスクを自律的に実行できる「AIエージェント(Agentic AI)」機能の導入を加速させ、科学的発見を劇的に加速する方針であると報じた。マーケット・コネクションズ社(Market Connections)による政府機関の200人以上の技術幹部を対象とした調査によると、回答者の53%が既にエージェント型AIの活用や試験運用を検討していると回答したことから、同局は研究のワークフローを抜本的に刷新し、効率化につなげる。同局が、この試みがあらゆる技術開発の基盤になるとの認識を示す一方で、記事は全米の科学研究を支援する米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の全委員解任など現政権が進める政府規模の縮小策による研究体制への影響も指摘しており、トップ不在と相まって科学的リーダーシップが損なわれるとの懸念も広がっていると伝えている。 NEXTGOV/FCW “Department of Energy: Action Needed to Approve Advanced Test Reactor Spent Fuel Plan” (05/07/26) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2026/05/us-tech-official-calls-transformational-use-ai-scientific-discovery/413405/?oref=ng-homepage-river
エネルギー省、使用済み核燃料計画承認が急務 GAO勧告
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は5月7日、海軍の原子力艦隊運用に不可欠な先進試験原子炉(Advanced Test Reactor: ATR)の稼働継続に向け、エネルギー省(Department of Energy)に使用済み核燃料の貯蔵施設再編計画を承認するよう勧告した。アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory: INL)の先進試験原子炉複合施設は、潜水艦や空母の燃料試験を行う全米唯一の施設であるが、使用済み燃料の容量が2030年までに上限に達すると予測されている。これに対し、同省はこれまで最大198億ドルに上る後継炉建設などの選択肢を検討してきたものの、現在はコストを約12.6億ドルに抑えた既存施設の維持・改修案へと方針を転換しており、さらにコスト増加の可能性についても示唆している。GAOは、使用済み燃料保管計画の評価と承認がこれ以上遅延すれば、国家安全保障に関わる試験が停止されるリスクがあると指摘し、施設再編計画の評価を完了させ、ATRの運転を中断せずに2030年以降も燃料管理を続けられるよう勧告している。 GAO “Department of Energy: Action Needed to Approve Advanced Test Reactor Spent Fuel Plan” (05/07/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107969
2026年セレクトUSA投資サミット、560億ドル超の投資計画を誘致
商務省(Department of Commerce)は5月8日、メリーランド州ナショナル・ハーバーで開催した「2026年セレクトUSA投資サミット(2026 SelectUSA Investment Summit)」において、過去最高となる560億ドル以上の新規投資確約・計画を発表した。5月3日から6日にかけて行われた同サミットには100を超える国際市場からの関係者5,500人以上に加え、全55州・地域の経済開発組織(Economic development organization: EDOs)が一堂に会し、過去最大規模となった。これに併せて、米国独立250周年の節目を祝うレセプションも催された。同サミットはこれまで米国における2,500億ドルを超える新規投資プロジェクト創出に直接寄与し、12万5,000人以上の雇用創出に貢献しており、同省は、現政権の通商・投資政策が米国を世界最高のビジネス拠点として確立させ、数千件もの高賃金雇用創出と支援に直結するとアピールしている。次回は来年5月2日に開催される予定となっている。 Department of Commerce ” 2026 SelectUSA Investment Summit Concludes, Catalyzing Over $56 Billion in Investment Commitments and Plans” (05/08/26) https://www.commerce.gov/news/press-releases/2026/05/2026-selectusa-investment-summit-concludes-catalyzing-over-56-billion
PNNL、AI活用の新拠点設立 送電網安全強化に向け
エネルギー省(Department of Energy)傘下のパシフィック・ノースウエスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)は5月7日、次世代電力網の安全性確保に向け、高度人工知能(AI)システムを導入した「送電網可視化・事象対応(Enhanced Visibility and Event Response: EVE@PNNL)」機能を設立したと発表した。サイバー攻撃や物理的な攻撃、自然災害などから送電網を保護する取り組みで、現行送電網は双方向の電力供給や多様な分散型電源の普及により物理的な挙動が変化することから、従来制御では対応が困難になっている。そこで、研究機関や民間企業と協力し、大規模言語モデルを含む最新AIツールの現場導入を推進し、リアルタイムのAI分析やシミュレーションを通じて、最適発電源の選択や障害箇所の隔離を支援する。膨大なデータを電力事業者が正確に管理することで、有事の際も国家安全保障に直結するインフラ機能を維持できる環境の構築を目指す。 PNNL “DOE’s Office of Critical Minerals and Energy Innovation Announces $52 Million to Revitalize Domestic Manufacturing and Onshore Industrial Excellence” (05/07/26) https://www.energy.gov/cmei/articles/does-office-critical-minerals-and-energy-innovation-announces-52-million-revitalize
エネルギー省、安全かつ安価なエネルギー技術開発に5,200万ドル拠出
エネルギー省(Department of Energy)の重要鉱物・エネルギー・イノベーション局(Office of Critical Minerals and Energy Innovation)は5月7日、全米15州における20事業に対し総額5,200万ドルを拠出すると発表した。貿易の影響を受けやすい産業における安全かつ安価なエネルギー技術開発を加速させることが目的で、主に化学、製鉄、食品・飲料、パルプ・製紙、セメント・コンクリート製造といったエネルギー集約型分野に対し、レーザーを用いた省エネ乾燥技術や人工知能(AI)による供給網(サプライチェーン)最適化、高効率熱交換器の開発など、市場即応性の高い革新的な解決策の導入を後押しする。同局は、次世代技術への投資が国のエネルギー安全保障を強固にし、経済成長と雇用創出を促進して、国内産業を世界市場の最前線へと位置付けるための鍵であると強調しており、選定事業を通じて、大幅なコスト削減や資源の有効活用を実現し、国内産業の卓越性を再構築していく方針である。 Department of Energy “DOE’s Office of Critical Minerals and Energy Innovation Announces $52 Million to Revitalize Domestic Manufacturing and Onshore Industrial Excellence” (05/07/26) https://www.energy.gov/cmei/articles/does-office-critical-minerals-and-energy-innovation-announces-52-million-revitalize
エネルギー省、日本から1.7トンのHALEU確保 原子力産業強化に向け
エネルギー省(Department of Energy)の国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)は5月7日、高純度低濃縮ウラン(High-Assay Low-Enriched Uranium: HALEU)を日本から移送したと発表した。国内の供給不足を補うための次世代原子炉稼働に向けた取り組みで、日本原子力研究開発機構(Japan Atomic Energy Agency: JAEA)などと協力して、運転を終了した日本の高速炉臨界実験装置から提供されたウランを活用し、トランプ大統領が掲げる原子力産業基盤の強化とエネルギー優位性戦略を加速する。一度の国際輸送としてはNNSA史上最大規模で、同局は迅速な承認プロセスにより新型原子炉に必要な燃料を供給し、国の原子力技術における今後1世紀の主導権を確立していくと説明している。また、今回の連携について、核拡散のリスクを低減し、世界の安全保障強化に向けた極めて重要な一歩とも位置付けており、安全かつ自立的エネルギーの確保、かつ国際的な安全保障強化の同時実現も目指している。 Department of Energy “U.S. Secures Largest-Ever HALEU Shipment to Power American Nuclear Industry” (05/07/26) https://www.energy.gov/nnsa/articles/us-secures-largest-ever-haleu-shipment-power-american-nuclear-industry
エネルギー省、ノースダコタ大学の石油増進回収計画に3,600万ドル投資
エネルギー省(Department of Energy)の炭化水素・地熱エネルギー局(Hydrocarbons and Geothermal Energy Office: HGEO)は5月8日、ノースダコタ大学(University of North Dakota)エネルギー・環境研究センター(Energy & Environmental Research Center: EERC)によるバッケン頁岩(けつがん、シェール)層での原油増進回収技術の商業展開に対し、3,600万ドルを拠出すると発表した。現在10%程度にとどまるシェール層の回収率改善に向け、AI技術と6つの実証試験から得られるデータを統合して大規模運用のための技術基盤を構築し、数十億バレルの追加増産を目指す。圧入手法や油層条件、運用方法の違いを比較検証し、商用化に向けた最適運用や成功要因を抽出することが目的で、安価で安定したエネルギー供給の促進だけでなく、二酸化炭素の有効利用による既存火力発電所の長寿命化にもつなげる。計画にはEERCや民間も資金を投じるとし、同省は州政府主導の計画とも連携しつつ、同層全域への技術波及を推進していく構えである。 Department of Energy “Energy Department to Invest $36 Million in Enhanced Oil Recovery Program at the University of North Dakota” (05/08/26) https://www.energy.gov/hgeo/articles/energy-department-invest-36-million-enhanced-oil-recovery-program-university-north
米国AI企業は十分な半導体チップを得られない CNAS報告
新米国安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)は5月7日、先端の人工知能(AI)モデルを訓練・導入するための計算能力の需要は爆発的に増大し続け、多くのチップメーカーの予測を上回り、AIチップ及び主要原材料の供給網は、需要に追いつくことができずにいると指摘した。そして、「AIチップ供給におけるこれらの制約を踏まえると、米国は、あらゆるチップが最も価値のある形で利用されることを確実にするための影響力と、そうすべき理由の両方を有している」としている。その上でCNASは、「チップコストの上昇により研究者や科学者が締め出されるリスクがある中、議会は国家AI研究資源(National AI Research Resource)への資金を大幅に増額し、公共のイノベーションのための計算資源へのアクセスを維持すべきである」など、5つの政策的示唆を提示している。 CNAS “American AI Companies Can’t Get Enough Chips” (05/07/26) https://www.cnas.org/publications/reports/american-ai-companies-cant-get-enough-chips
マカリーFDA長官、退任へ 混乱続きの在任1年を経て
ポリティコ紙(Politico)は5月8日、大統領府が食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)のマーティ・マカリー長官(Marty Makary)を退任させることを決定したと報じた。匿名の大統領府高官によれば、マカリー長官を追放しようとする動きは、厚生省(Department of Health and Human Services)の上級指導者の間で始まったもので、大統領府主導の判断ではないという。マカリー長官は就任してから1年の在任期間中、厚生省の様々な高官や、中絶反対活動家や電子たばこの規制反対派、一部の製薬企業を含む利益団体との関係を悪化させてきた。現時点では、マカリー長官の退任時期は不明である。元厚生省高官によれば、大統領府は現在、当面の長官代理候補の検討を進めているという。 Politico “Makary to leave as FDA commissioner after tumultuous year, White House source says” (05/08/26) https://www.politico.com/news/2026/05/08/makary-leave-as-fda-commissioner-white-house-source-00911981
ヘグセス国防長官、「ディール・チーム6」で官僚主義の打破を目指す
ディフェンスニュース(Defense News)は5月8日、国防総省(Department of Defense)が従来の「機能不全の国防総省の官僚主義」を是正することを狙いとして、防衛契約事業者との交渉・承認を任務とするチームを立ち上げたと報じた。ピート・ヘグセス国防長官(Pete Hegseth)が5月8日にソーシャルメディアを通じて発表したもので、「ディール・チーム6(Deal Team Six)」と呼称され、民間の企業幹部で構成される。ディール・チーム6は、防衛企業との間でより良い取引を構築し、米軍用機器の生産費用が税金ではなく、契約企業側の負担によって賄われるようにすることを目指す。ディール・チーム6は、ヘグセス長官が2025年11月の覚書で、「契約を現代化し、業界のパートナーにインセンティブや時には懲罰を提供する方法」として言及した後、国防総省の経済防衛部門(Economic Defense Unit)内に組み込まれ、今年4月に発足した。 Defense News “Hegseth aims to cut through the bureaucracy with ‘Deal Team Six’” (05/08/26) https://www.defensenews.com/news/pentagon-congress/2026/05/08/hegseth-aims-to-cut-through-the-bureaucracy-with-deal-team-six/