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April 2026

GAO、神経インプラントや汎用ロボットなど社会変革技術を特定

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は4月2日、今後10年で社会に大きな変革をもたらす可能性がある新技術に関する報告書を発表した。脳とコンピュータを直接つなぐ「神経インプラント」や、適応能力を持つ「汎用ロボット」、宇宙空間のゴミを除去する「軌道デブリ除去技術」など3分野の技術で、その課題について論じている。ハンズフリーでのコンピューター操作などを可能にする神経インプラントについては、プライバシー保護や医療用と能力拡張用の境界線が重要な議論になるとし、汎用ロボットは、社会への影響を考慮したリスク管理や監督メカニズムの構築が必要と指摘した。また軌道デブリ除去技術に関しては、衛星インフラを維持する一方で、国際的な宇宙条約(Outer Space Treaty)との整合性という課題があるという。これらを踏まえ、倫理基準の策定やプライバシー保護、ロボットの監視・制御メカニズムの整備、法的課題の解決に向けた分析の開始など、政策立案者が検討すべき複数の政策上の論点を提示している。 GAO “On the Horizon: Three Science and Technology Trends That Could Affect Society” (04/02/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-108079

ARPA-H、マイクロプラスチックによる人体への影響解明へ

医療高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health:ARPA-H)は4月2日、人体に蓄積するマイクロプラスチックの影響を解明し、除去技術を開発する総額1億4,400万ドルの新プログラム「マイクロプラスチックの体系的標的化(Systematic Targeting Of MicroPlastics: STOMP)」を開始すると発表した。人体への蓄積が健康被害を引き起こす懸念があるものの、現状では正確な測定やリスク評価の手法が確立されていないことから、生体内のマイクロプラスチックを正確に測定する手法を開発する。まずは材料ごとの有害性をランク付けしてリスクを可視化するとし、疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)が測定手法の妥当性を検証し、科学的な信頼性を確保する。また、これを基に特定された有害なプラスチックを体外へ除去する技術の開発も行い、将来的には検査や治療を低コストで一般提供することを狙っている。応募に関しては分野横断的なチーム編成を推奨しており、詳細は公式ページに掲載している。 ARPA-H “ARPA-H launches groundbreaking program to combat toxic microplastics” (04/02/26) https://arpa-h.gov/news-and-events/arpa-h-launches-groundbreaking-program-combat-toxic-microplastics-body

米国、医薬品関税を100%へ 日本は15%

大統領府は4月2日、特許取得済み医薬品とその原材料に対して最大100%の関税を課すと発表した。医薬品の輸入依存による安全保障上の脅威から、国内製造基盤を自給自足可能な体制へと転換するため、1962年通商拡大法(Trade Expansion Act of 1962)第232条に基づき、供給網を強化する。発効期日は、大手を120日後、中小企業は180日後と定めた。ただし、厚生省(Department of Health and Human Services:HHS)との最恵国待遇(Most Favored Nation: MFN)価格協定及び商務省(Department of Commerce)との国内製造回帰協定に応じる企業は、関税が免除される。また、欧州連合(EU)や日本など通商協定を結ぶ国々には15%の関税を適用する。ジェネリック医薬品や希少疾患治療薬は現時点で対象外とし、1年後に再評価するとした。政府は、既に総額4,000億ドル規模の国内投資が予定されているとし、今後、医療関連物資やロボット産業でも同様の調査を推進して、製造拠点の国内回帰を加速させると説明している。 The White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Bolsters National Security and Strengthens U.S. Supply Chains by Imposing Tariffs on Patented Pharmaceutical Products” (04/02/26) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/04/fact-sheet-president-donald-j-trump-bolsters-national-security-and-strengthens-u-s-supply-chains-by-imposing-tariffs-on-patented-pharmaceutical-products/

米国政府、鉄鋼・アルミ・銅の関税を強化

大統領府は4月6日、鉄鋼・アルミ・銅製品の輸入に対し、関税措置を強化すると発表した。重要製造産業の基盤強化に向け、戦略的金属とその派生品に対する関税を新たに設定し、安価な外国製品の国内普及を抑制する。これに伴い、対象金属を主原料とする鋼コイルやアルミニウム版などの製品に50%、派生製品に25%の関税を課すほか、産業・送電網機器などには2027年まで15%の関税を適用する。一方で、国産金属を100%使用した製品には10%の優遇措置を講じる。なお、含有量が15%以下の製品は、通商拡大法第232条措置に基づき、関税の対象外とした。トランプ政権は国内産業の保護と雇用創出に注力しており、ウェストバージニア州、アーカンソー州、サウスカロライナ州などでは精錬所が相次いで稼働予定で、今後2年間以内に計400万トン超を生産する見込みとなっている。また、一連の政策支援により、世界第3位の鉄鋼生産国へ浮上した実績を強調しており、今後も関税を通じた経済的な自立と安全保障を確保するとしている。 The White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Strengthens Tariffs on Steel, Aluminum, and Copper Imports” (04/02/26) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/04/fact-sheet-president-donald-j-trump-strengthens-tariffs-on-steel-aluminum-and-copper-imports/

2025年の新設電源、太陽光が22%減 第4四半期に急落

ユーティリティダイブ(Utility Dive)は4月7日、連邦規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)の統計で、2025年の太陽光発電設備導入量が前年比22%減の26.5ギガワット(GW)となったと報じた。業界団体の太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)の分析によると、第1~3四半期は前年並みの導入量を維持したが、第4四半期に前年同期比40%減と急落し、全体を押し下げたという。大型減税・歳出法(One Big Beautiful Bill Act)を通じた貿易政策の変更やインフレ削減法(Inflation Reduction Act)で定められた税制優遇の満了などを背景として、開発者が年末までの完工を急ぐよりも次年度以降に備える「セーフハーバー戦略」を優先し、大規模事業を2026年~2027年に繰り越す形となった。ただし、導入量は減少したものの、太陽光は依然として新設導入で首位を維持した。総発電容量に占める割合も12.2%に達し、天然ガス、石炭に次ぐ第3位の主要電源となっている。風力も5.7GW増と前年を上回った一方で、原子力発電の新規稼働はゼロであった。 Utility Dive “Solar installations fell 22% in 2025: FERC” (04/01/26) https://www.utilitydive.com/news/solar-installations-fell-2024-2025-ferc-wind-gas/816319/

トランプ政権、ドローン導入を加速

フェドスクープ(FedScoop)は4月1日、トランプ政権による無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems: UASドローン)覇権確立戦略の下、国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)と連邦通信委員会(Federal Communications Commission: FCC)がドローンの導入拡大と規制緩和を急速に進めていると報じた。DHSは非営利団体のマイトル・コーポレーション(Mitre Corporation)に75万ドルを支援する契約を締結し、ドローン及び対UAS技術を強化し、FCCは実験的な許認可取得の簡素化や専用周波数の確保を目指し、規制の撤廃を推し進めている。DHSは1月にUAS専任オフィスを新設したほか、運輸省(Department of Transportation)や内務省(Department of Interior)、国防総省(Department of Defense)も独自に運用体制を拡充するなど政府全体でドローン利用が加速している。一方で、米国自由人権協会(American Civil Liberties Union: ACLU)は、市民への広範な監視活動に対する規制の欠如が国民の私生活を脅かすと指摘した。 FedScoop “Trump administration’s embrace of drones picks up steam with DHS, FCC moves” (04/01/26) Trump administration’s embrace of drones picks up steam with DHS, FCC moves

商務省、AI輸出拡大へ向けた公募を開始

アクシオス(Axios)は4月1日、商務省(Department of Commerce)が人工知能(AI)システムを輸出する新プログラムに関する提案募集を開始したと報じた。AI技術を他国のデジタルインフラに深く組み込むことで、同分野における優位性を確保するのが狙いで、半導体チップやデータパイプライン、モデル、セキュリティなどを含む一連のAI技術パッケージを同盟国へ提供する具体的な方法を模索する。同省を国際的な仲介者として位置付け、各国のAI主権を尊重しつつ米国の技術を標準化させる方針で、リフレクションAI社(Reflection AI)と韓国の新世界グループによるデータセンター建設契約を例に挙げている。具体的な選定基準は未定であるが、企業に対し提案がどう国益に叶うか説明する声明文の提出も求めており、審査は国務省(Department of State)や国防総省(Department of Defense)などが連携して行う。記事は、同プログラムが法整備を待たずに、取引や輸出を通じて国のAI影響力を世界へ広げるための、政府の新たな試みであると伝えている。 Axios “Exclusive: U.S. kicks off push to sell AI abroad” (04/01/26) https://www.axios.com/2026/04/01/trump-us-push-sell-ai-abroad

半導体設備投資、2027年に初の1,500億ドル突破へ AI需要が牽引

国際半導体製造装置材料協会(Semiconductor Equipment and Materials Institute: SEMI)は4月1日、世界の300mmウェハー対応のファブ装置工場向け設備投資額が2026年に1,330億ドル、2027年には1,510億ドルへ拡大する見通しと発表した。人工知能(AI)向けのデータセンターやエッジデバイス需要の急増が製造装置への投資を過去最大規模へ押し上げており、SEMIは、業界がAI時代を見据えた高度な生産能力と強靭な供給網の構築に注力していると指摘している。2027年から2029年はロジック・マイクロ分野が最先端の2nm未満プロセス技術を中心に2,280億ドル、メモリ分野が高帯域幅メモリ(High Bandwidth Memory: HBM)やNAND(NOT AND、電源を切ってもデータが消えない不揮発性の半導体メモリ)需要を背景に1,750億ドルとなる見込みである。また中国、台湾、韓国、米国を中心に世界各地で分散的な投資が続くとし、各国の戦略的な半導体製造能力強化を背景に、2028年に1,550億ドル、2029年には1,720億ドルまで投資額が伸びるとみている。 SEMI “SEMI Projects Double-Digit Growth in Global 300mm Fab Equipment Spending for 2026 and 2027” (04/01/26) https://www.semi.org/en/semi-press-release/semi-projects-double-digit-growth-in-global-300mm-fab-equipment-spending-for-2026-and-2027

NSF、教育課題解決に向けた新技術開発プログラムを開始

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は4月1日、教育現場のニーズに基づく革新的な学習技術の開発を促進するため、新プログラム「NSF分野横断型教育対応ソリューション育成ファウンドリー(NSF Fostering Interdisciplinary Network Driven Educationally Responsive Solutions Foundry: NSF FINDERS FOUNDRY)」を立ち上げたと発表した。人工知能(AI)教育の推進を掲げる大統領令に沿う取り組みで、K-12(幼稚園~高校)における科学・技術・工学・数学(STEM)教育の課題に対し、様々な分野の研究者や教育者、技術者らを結びつけ、研究成果を早期に市場へ導入するエコシステムを構築する。将来の労働力強化に向けた次世代技術の育成を図る狙いがあり、技術イノベーション・パートナーシップ局(Technology Innovation Partnership)が主導し、最大850万ドルを投じて計画及び開発の2段階で支援を行う。詳細は4月8日に開催されるウェビナーにおいて説明される予定で、NSFは今回の投資を通じて米国の技術イノベーションを加速することを目指している。 NSF “NSF launches NSF FINDERS FOUNDRY to accelerate technology solutions to learning challenges” (04/01/26) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-launches-nsf-finders-foundry-accelerate-technology

中国、研究開発投資で首位

米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は3月31日、中国の研究開発(R&D)投資額が2024年に米国を上回り、世界首位になったと発表した。経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)によると、同年の中国の投資額は1.03兆ドルに達し、1.01兆ドルの米国を初めて上回った。データ入手が可能となった2004年以降、中国は年平均14%を超える急成長を遂げており、米国の2倍以上のペースであるという。また、現在のR&D投資は国内総生産(GDP)比で2.7%に達し、人工知能(AI)や量子、核融合技術に加え、磁石などの最先端分野で世界的な影響力を強めつつあることも指摘した。同協会は、中国が国家戦略として科学技術への投資を加速させるなか、2027年度大統領予算案では科学研究費が削減対象となっているとし、報告書は、この調査結果が米国の科学分野における成果の動機づけとなるかは、今後の議会の判断によると示唆している。 AAU “It’s Official: China Tops U.S. in R&D Spending” (03/31/26) https://www.aau.edu/newsroom/leading-research-universities-report/its-official-china-tops-us-rd-spending