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April 2026

海軍、T-45ゴスホーク後継機の選定を開始

アクシオス(Axios)は4月1日、海軍(U.S. Navy)が老朽化したT-45ゴスホーク(T-45 Goshawk)に代わる新たな練習機調達に向け、提案依頼書(Request for Proposals: RFP)を公表したと報じた。パイロット訓練生向けジェット訓練システム(Undergraduate Jet Training System: UJTS)で、選定されれば海軍及び海兵隊(U.S. Marine Corps)におけるパイロット教育に長期に亘り関わることになる。同軍は、兼ねてより既存のゴスホークが抱える機体やエンジン・部品の老朽化といった課題を抱えていたが、新機体の導入で解決するとし、総数200機以上の調達を見込んでいる。提案書の提出期限は6月で、現在、ボーイング社(Boeing)、ロッキード・マーチン社(Lockheed Martin)、シエラ・ネバダ・コーポレーション(Sierra Nevada Corporation)社などが名乗りを上げており、来年初頭に契約を締結する見通しという。 Axios “U.S. Navy kicks off T-45 replacement competition ” (04/01/26) https://www.axios.com/2026/04/01/navy-ujts-rfp-goshawk-trainer

2025年データセンター投資額、再エネ・石油ガスと同水準へ

ノルウェーの調査会社、ライスタッドエナジー(Rystad Energy)社は3月26日、2025年のデータセンターへの世界の設備投資額が7,700億ドルに達し、石油・ガス産業上流部門への投資を上回ったと発表した。既に太陽光発電を抜き、今年中には再生可能エネルギーや石油・ガス産業全体の投資額と同水準に到達する見通しである。投資の4割はアクセラレーター・サーバーなどのITインフラが占め、冷却システムなどの設備投資も太陽光発電に匹敵する規模となった。Google社(Google)やマイクロソフト社(Microsoft)などの大手ハイテク企業が投資を牽引し、米国は世界全体の42%の市場シェアを占めた。一方で電力供給や土地確保の制約から、今後の投資先はフィンランドやポルトガル、タイなど世界各地へ分散するとの見方を示した。また、供給網構築の遅延や混乱に加え、コスト高騰といったリスクも残っているとし、より安定した投資環境が確立されるまで、今後数年間はAIブームによるインフラ投資のスーパーサイクルが続くと予測している。 RystadEnergy “Putting things in perspective: Data center investments now on par with renewables, oil and gas” (03/326/26) https://www.rystadenergy.com/insights/putting-things-in-perspective-data-center-investments-now-on-par-with-renewables 参照記事: Axios “Data center boom rivals energy’s biggest sectors” (04/01/26) https://www.axios.com/2026/04/01/data-center-investment-oil-gas-renewable-energy

エネルギー省が3年以内の量子コンピュータ実現へ

サイエンス誌(Science)は3月31日、科学的に有用な計算が可能なフルスペックの量子コンピューターを3年以内に構築する目標をエネルギー省(Department of Energy)が発表したと報じた。2028年までに誤り訂正機能を備えた「耐故障性」を持つ次世代機の実現する計画で、同省が管理する10の国立研究所のいずれかに設置される予定である。開発にあたっては特定の技術方式を限定せず民間企業から公募を行うことで性能目標の達成を競わせる方針であるが、その目標の妥当性について慎重な見方を示す専門家もいる。また同省は、新設した科学局諮問委員会(Office of Science Advisory Committee: SCAC)に対し、政府の人工知能(AI)推進計画「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」への支援体制構築と、長年更新が停滞していた大規模科学施設の建設優先順位リストの年内の再策定を指示した。このリストは公開予定であるが、指示には「ジェネシス・ミッションとの統合・支援」とあるため、コンピューティング施設が有力視されるとの声も浮上している。 Science “Energy Department aims to build full-fledged quantum computer within 3 years” (03/31/26) https://www.science.org/content/article/energy-department-aims-build-full-fledged-quantum-computer-within-3-years

運輸省、国内小型造船所へ3,500万ドル投資

運輸省(Department of Transportation)は3月31日、全米の小型造船所の活性化に向け3,500万ドルを投資すると発表した。海上局(US Maritime Administration: MARAD)の小型造船所助成プログラムを通じて、造船施設の改修・整備やクレーン、プラズマカッター、溶接システムなどの最新設備の導入、さらに海事人材の育成支援に充てる。予算は昨年度比300%の大幅増額となり、トランプ大統領が掲げる海事分野の優位性回復戦略の加速が反映されたものとなった。同プログラムは、2008年の開始以来、国内造船所整備や必要なツール導入などこれまで382件の助成に総額3億2,050万ドルを支援しており、ショーン・ダフィー運輸長官(Sean Duffy)は「国家安全保障の強化や高賃金雇用職の国内回帰、円滑な物流を確保する取り組み」と説明した。対象となるのは従業員1,200人以下の小規模造船所で、応募締め切りは5月11日までとした。政府は今後も造船所の設備更新を後押しするとし、米国の造船技術と労働力の向上を図っていく方針である。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Secretary Sean P. Duffy Announces $35 Million Investment to Revitalize America’s Small Shipyards” (03/31/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/trumps-transportation-secretary-sean-p-duffy-announces-35-million-investment

五大湖地域の排水から資源回収 NSF、4,500万ドルを拠出

アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory: ANL)は3月31日、五大湖地域の排水からエネルギーや希少資源を回収する取り組み「五大湖新生(Great Lakes RENEW)」に対し、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が4,500万ドルを支援すると発表した。排水に含まれるリチウムやリンなどの有用物質を回収・再資源化し、供給網の強化と地域経済の活性化を目指し、シカゴを拠点とする非営利法人で水イノベーションハブを運営するカレント(Current)を中心に、ANLやシカゴ大学(University of Chicago)が中核となって取り組んでいる。ANLは材料科学や人工知能(AI)技術を駆使した分離技術の高度化を主導し、次世代の「AI活用型水経済」を支える専門人材の育成にも注力する。2024年開始時の1,500万ドルに続く今回の投資は研究成果の事業化後押しに加え、インディアナ州など対象地域の新規拡大向けで、NSFは全米規模の地域イノベーションの先駆けと位置付けており、今後10年間で最大1億6,000万ドルの提供を視野に入れている。 ANL “National Science Foundation awards an additional $45M to water-focused initiative for Great Lakes region” (03/31/26) https://www.anl.gov/article/national-science-foundation-awards-an-additional-45m-to-waterfocused-initiative-for-great-lakes

エネルギー省、ジェファーソン研究所の運営契約でスラテック社を選定

エネルギー省(Department of Energy)傘下の科学局(Office of Science)は3月31日、バージニア州ニューポートニューズにあるトーマス・ジェファーソン国立加速器施設(Thomas Jefferson National Accelerator Facility: TJNAF)の運営管理契約を、スラテック社(SURATech)に委託すると発表した。サウスイースタン大学研究協会(Southeastern Universities Research Association, Inc.: SURA)とバージニア工科大学(Virginia Polytechnic Institute and State University)ほか4社と連携し、現在の核物理学に特化した研究所から、高性能データ施設(High Performance Data Facility: HPDF)を備えた多目的国立研究所への移行計画を推進する。契約期間は2026年6月1日から5年間である、評価により最大15年間延長される可能性もある。約759人の職員を抱えるTJNAFの年間予算は約2億3,800万ドル規模で、同社はまず4月から2カ月間の移行期間を経て、6月から新体制による運営を本格的に開始するとし、現代社会が直面する課題の解決に取り組んでいくという。 Department of Energy “Energy Department Awards New Contract to Manage and Operate Thomas Jefferson National Accelerator Facility” (03/31/26) https://www.energy.gov/science/articles/energy-department-awards-new-contract-manage-and-operate-thomas-jefferson-national

全米各州、AI規制を強化 規制緩和に対抗

ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は3月30日、トランプ大統領が人工知能(AI)規制を緩和するよう州に呼びかける中、カリフォルニア州やユタ州など複数の州が独自の規制強化を進め、州と連邦政府の権限をめぐる激しい対立が深刻化していると報じた。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(Gavin Newsom、民主党)は同日、州と契約するAI企業に安全性とプライバシー保護を義務付ける行政命令を発令したが、大統領府は州の「パッチワーク的な法規制がAIにおける米国の国際競争力を損なう」と主張し、州法の廃止を求める立法枠組み構築を進めている。昨年末に大統領令以降、ユタ州やフロリダ州での規制法案が白紙化するなど、連邦政府の圧力が強まっているが、既に100以上の州法が導入されており、州側の取り組みが加速している。特にニューヨーク州などの民主党主導州は抵抗を継続する姿勢を示し、共和党内でも、規制推進派の州議員が経済的懸念から規制を支持する動きが出ており、党内の温度差も表面化していると記事は伝えている。 The New York Times “States Plow Ahead With A.I. Regulation, Defying Trump” (03/30/26) https://www.nytimes.com/2026/03/30/technology/trump-states-ai-gavin-newsom-california.html

宇宙軍司令部、アラバマ州への本部移転が本格化

ディフェンスニュース(DefenseNews)は3月28日、宇宙軍司令部(U.S. Space Command: USSF)がアラバマ州ハンツビルのレッドストーン基地(Redstone Arsenal)への段階的な本部移転を進めており、2027年に新本部施設の建設に着手すると報じた。2031年の完工を目指し、2032年には職員の移転を完了させる。また、4月には80人超を収容できる機密区画情報施設(Sensitive Compartmented Information Facility)の開所式を予定しており、これに先立ち、同基地において小規模計画管理室を設置し、約20名で運用を開始しているが、年末までに約200名に増員する。また、2028年末までに本部職員の約50%を同州に配置する計画で、全1,700名の職員のうち約1,400人を移転するとし、対象者には転居ボーナスと引越し費用を提供することで、職員の定着と任務の継続性を確保する方針を示した。一方で、コロラド州は移転に異議を唱える訴訟を起こしており、対する政権側は、訴訟の却下を求めているという。 DefenseNews “US Space Command provides update on phased headquarters relocation to Alabama” (03/28/26) https://www.defensenews.com/news/your-military/2026/03/27/us-space-command-provides-update-on-phased-headquarters-relocation-to-alabama/

NIH助成支出決定、上半期で15%止まり

米国医科大学協会(Association of American Medical Colleges: AAMC)は3月24日、3月20日時点の国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の2026年度外部研究機関向け研究費の執行が58億ドルにとどまったと発表した。年度内に必要と見込まれる約380億ドルの15%にすぎず、前年同期比で34%減、過去5年の同時期も大きく下回る低水準となった。背景には昨年末の政府閉鎖があり、年初めの7週間は全く執行できなかったことにある。再開後は12月に12億ドル、1月と2月にはそれぞれ約20億ドルを助成したが、3月は再び過去水準の半分未満に減速した。3月20日までの同助成採択件数は1万327件だったが、新規は1,187件にとどまり、過去5年度平均に比べて全体で63%減少した。新規助成の全体に占める割合も12%となり、過去5年間の平均18~22%を下回った。AAMCは、昨年度と同様に年度末の7~9月に資金執行が集中するほか、昨年6月に導入された数年間の助成全額の50%を充当する義務により、新規採択が圧迫される恐れがあると指摘している。 AAMC “Tracking NIH Awards in FY 2026 (Oct. 1-March 20)” (03/24/26) https://www.aamc.org/media/89376/download 参照記事: IHE “Halfway Through the Fiscal Year, NIH Has Only Obligated 15% of Research Funding” (03/25/26) https://www.insidehighered.com/news/government/science-research-policy/2026/03/25/aamc-nih-has-only-obligated-15-external-research

大学研究の間接経費、新モデル「FAIR」導入へ模索

米国化学会(American Chemical Society)が発行するメディアのC&EN(Chemical & Engineering News)は3月26日、間接経費を一律15%に抑える政権方針に対し、大学側が実際にかかる費用を、より見える化した新たな費用管理モデル「フェア(Financial Accountability in Research: FAIR)」の導入を模索していると報じた。公立・土地付与大学協会(Association of Public and Land-grant Universities)や米国大学協会(Association of American Universities)などで構成される間接経費合同協会グループ(Joint Associations Group on Indirect Costs)が開発した同モデルは、研究コストを研究実施費・必須研究支援費・一般研究運営費の3つに分類し、可能な限り個別の費用を金額で明示する仕組みとなっている。より実態を見えやすくし、過去の不正疑惑などで不透明と見られがちだった間接経費への理解を広げるとして、議会内でも超党派の関心を集めている。2027年度の実施を目指し議員との調整を進められているが、新制度への移行は少なくとも2年がかかる見込みという。 c&en “Universities forge a bumpy new path on indirect research costs” (03/26/26) https://cen.acs.org/policy/research-funding/universities-forge-bumpy-new-path-indirect-research-costs/104/web/2026/03