Day: April 14, 2026

シカゴ、量子科学エコシステム拠点を形成 CSIS報告

米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は4月10日、シカゴ地域が世界的な量子科学技術の拠点として急速に発展しているという戦略国際問題研究所(Center for Strategic & International Studies: CSIS)の報告書について紹介した。AAU加盟校のシカゴ大学(University of Chicago)、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois Urbana-Champaign)、パデュー大学(Purdue University)、ノースウェスタン大学(Northwestern University)、ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin–Madison)の5校が量子科学のカリキュラム構築や企業との共同研究、スタートアップの創出を通じて技術革新を牽引し、同地域における大学、国立研究所、州政府の支援が結集した強力なエコシステムを形成し、地域の競争力に寄与しているという。これらを背景に、AAUは政策立案者に対し、大学を基盤とした量子研究とその周辺のエコシステムへの支援は、最先端技術開発に留まらず、経済成長や安全保障確保につながると提言している。 AAU “Research Universities Anchor Chicago’s Emerging Quantum Cluster, Report Finds” (04/10/26) https://www.aau.edu/newsroom/leading-research-universities-report/research-universities-anchor-chicagos-emerging

エネルギー省の計算資源利用プロジェクト、2027年度提案募集を開始

HPCワイヤー(HPCwire)は4月10日、エネルギー省(Department of Energy)が次世代科学研究を推進するインサイト・プログラム(Innovative and Novel Computational Impact on Theory and Experiment: INCITE)の2027年度公募を開始したと報じた。一般的な計算資源では困難な高難度課題の解決に向け、学術機関や産業界、政府機関の研究者にアルゴンヌ国立研究所やオークリッジ国立研究所のリーダーシップ・コンピュータ施設(Leadership Computing Facility)の最先端スパコンを利用する機会を提供する。アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)のオーロラ(Aurora)やオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)のフロンティア(Frontier)を活用した科学モデリングやシミュレーション、人工知能(AI)研究などを対象とし、計算やデータ処理に多大な負荷がかかる大規模プロジェクトを優先的に選定する。応募締め切りは6月15日で、極めて高い計算能力や独自のアーキテクチャを必要とする研究に対し、同省傘下の各施設が最適な環境を提供することで、科学技術の飛躍的な進展を目指していくという。 HPCwire “DOE INCITE Program Opens 2027 Call for Proposals with June 15 Deadline” (04/10/26) DOE INCITE Program Opens 2027 Call for Proposals with June 15 Deadline

エネルギー省、非国防予算を16%削減 原子力分野へ増額配分

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は4月10日、エネルギー省(Department of Energy)が国防関連支出を21%増額する一方で、非国防支出を16%削減する2027年度予算案を議会に提出したと報じた。同省予算を約10%増の539億ドルとし、その増額分の大半は国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)による新型核弾頭や次世代型原子炉技術の開発など軍事用途に充てられる。また、インフラ投資・雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act: IIJA)による環境関連施策150億ドル以上を削減するとし、うち約47億ドルは石炭、天然ガス、原子力などの基盤電源やアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)とオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)のAIスパコン7台の支援に転用するという。ブレースウェル法律事務所(Bracewell law firm)は、予算案を「メッセージ性が強い」と評し、議会が最終的に決定すると指摘した。記事は、低所得者向け住宅エネルギー支援プログラム(Low Income Home Energy Assistance Program: LIHEAP)の廃止提案も、継続される可能性が高いと伝えている。 Utility Dive “DOE proposes slashing non-defense spending on energy ” (04/10/26) https://www.utilitydive.com/news/doe-proposes-slashing-non-defense-spending-on-energy/816815/

大統領府、EPA の予算半減を提案 AI開発に2億ドル超

フェッドスクープ(FedScoop)は4月10日、大統領府が次年度予算案で環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の総予算を88億ドルから42億ドルへ半減させる一方で、人工知能(AI)開発支援に2億ドル超を割り当てる方針と報じた。「世界のAI首都」を目指す国家戦略の一環として、予算案には庁内の業務効率化や環境アセスメントの精度向上に向けたAI活用費用が含まれており、EPAはデータセンター建設の規制緩和や許可迅速化を優先するという。リー・ゼルディンEPA長官(Lee Zeldin)も規制撤廃と産業界との連携を強化する姿勢を示しているが、環境保護団体のアメリカ進歩センター(Center for American Progress: CAP)は環境保護という本来の使命と矛盾すると懸念を表明した。対して、アバンダンス研究所(Abundance Institute)はAI開発に必要なエネルギー効率化におけるEPAの役割を評価している。政府はAI投資で環境評価が迅速化すると説明しているが、規制緩和が環境や公衆衛生に及ぼす影響について議論が続いている。 FedScoop “EPA has major role to play in Trump’s ‘AI capital of the world’ plans” (04/10/26) EPA has major role to play in Trump’s ‘AI capital of the world’ plans

連邦機関におけるAI調達、情報共有が課題に

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は4月13日、連邦機関による人工知能(AI)の調達について、得られた教訓を体系的に収集・共有できていないとする報告書を発表した。AI活用が2023年から2024年にかけて2倍超に拡大する中、現場では専門家の確保や適正なコストの把握に苦慮しているとし、データ権利やテスト要件に関する最良事例を共有するなど、GAOは調達経験の共有と蓄積が不可欠であると指摘している。昨年4月に行政管理予算局(Office of Management and Budget)が責任あるAI調達に関する指針を示し、一般調達局(General Services Administration: GSA)が運営する共有リポジトリへの知見登録を求めたが、国防総省(Department of Defense)、国土安全保障省(Department of Homeland Security)、GSA、退役軍人省(Department of Veterans Affairs)の4機関はいずれも内部規則で教訓収集を義務付けていなかった。GAOはAI調達の教訓を各庁横断的に活用できる体制を整えるよう提言しており、4機関はこれに同意している。 GAO “Artificial Intelligence Acquisitions: Agencies Should Collect and Apply Lessons Learned to Improve Future Procurements” (04/13/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107859

連邦支援による発明、8割が権利保有も報告体制に課題 GAO調査

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は4月13日、連邦政府の資金提供を受けた研究から生まれた発明について、多くの研究実施機関がその権利を保持しているが、当局への報告手続きには依然として課題が残ると発表した。1980年制定のバイ・ドール法(Bayh-Dole Act)に基づき、大学や中小企業などの研究実施機関は発明の所有権を主張できるが、GAOの調べによると2020~2024年度までのデータでは約21%が商業化の可能性が低いことなどを理由に権利を放棄していたことが明らかになった。各省庁で要件が異なることや年次報告に多大な時間がかかることが理由で、この対応に向け、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)が管理するウェブベースの報告システム「アイエジソン(iEdison)」の活用が推奨されている。しかし、入力情報の形式が機関によって異なるなど、システム運用面でも改善の余地があるとGAOは指摘し、NISTはこれに向け、3月に報告内容の整合性と完全性を高めるための標準的な記入例を公開している。 GAO “Technology Transfer: Funding Recipients Keep Most Federally Funded Inventions, but Some Cited Reporting Challenges” (04/13/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107971

EPA、イリノイ州で二酸化炭素の地下貯留計画を承認

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は4月10日、マーキス・カーボン・インジェクション社(Marquis Carbon Injection)に対し、イリノイ州パットナム郡での二酸化炭素の地下圧入・貯留計画へ許可証を発行したと発表した。この許可発行により、同社は6年間で最大900万トンの二酸化炭素を地下約3,094フィートから4,854フィートの深層部に貯留することが可能となる。安全飲料水法(Safe Drinking Water Act)に基づく炭素隔離技術は、地下水源への影響を完全に排除する設計でEPAによる地質調査の結果、貯留層の上部には約400フィートの不透水層が存在している。炭素の地下飲料水源への漏出防止が保証されているが、同庁は飲料水源の保護に向け厳格な安全基準を設け、同社に対し圧入中及び終了後12年間の継続的な監視を義務付けた。同事業は地域の農業や製造業、バイオ燃料産業を活性化させ、雇用創出と経済成長を促す重要な事業と位置付けられており、今回の決定は同庁による科学的な技術審査と地域住民との対話を経て慎重に行われた。 EPA “EPA Approves Carbon Storage Permit in Putnam County, Illinois” (04/10/26) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-approves-carbon-storage-permit-putnam-county-illinois

空軍、アラスカのAIデータセンター開発に向けた公募を開始

宇宙軍(United States Space Force)は4月10日、エルメンドルフ・リチャードソン統合基地(Joint Base Elmendorf-Richardson)、イールソン空軍基地(Eielson Air Force Base)及びクリア宇宙軍基地(Clear Space Force Station)における空軍省(Department of the Air Force)による人工知能(AI)データセンター建設・運営計画を発表した。これらの基地における12区画の未活用土地、計約4,700エーカーを民間企業に貸し出すとし、リース提案の募集を連邦政府の契約サイトで開始している。施設開発・運営に必要な資金調達や許可取得については、選定された事業者が担うとし、空軍省はこの収益を通じて空軍や宇宙軍の即応性を高めることができると強調した。詳細については、4月23日にバーチャル業界説明会を開催し、その後、4月末にかけて各拠点での現地視察も予定している。参加希望者は4月20日までに指定のメールアドレスへ登録する必要があるが、説明会や視察への参加は提案提出の必須条件ではないと説明している。 USSF “DAF takes steps for potential Alaskan AI data centers” (04/10/26) https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/4456710/daf-takes-steps-for-potential-alaskan-ai-data-centers/

陸軍、データ管理の新拠点「データ運用センター」を開設

国防総省(Department of Defense)は4月10日、戦争における迅速な意思決定を支援し、戦場での優位性を確保するための新拠点「陸軍データ運用センター(Army Data Operations Center)」を4月3日に開設したと発表した。旧式システムや各組織によってこれまで断片化されていた情報を統合するもので、いわゆる「データ管理の911番(緊急対応窓口)」として、作戦部隊がデータに関する問題に直面した際に連絡するような役割を担う。運営は陸軍サイバーコマンド(U.S. Army Cyber Command)が行い、陸軍は膨大なデータを「武器」と定義し、適切なデータ管理こそが意思決定の支配を左右すると強調した。その上で、専門のデータ仲介チームが全階層の指揮官に対し、正確で信頼性の高い情報を迅速に提供する体制を整えるとし、今後180日間の試験運用を通じて、人工知能(AI)や機械学習のモデル管理なども統合する。センサーによる検知から射撃までにかかる時間の短縮など、データ情報処理に基づく判断により、迅速な実行へとつなげていくという。 Department of Defense “Army Launches Data Operations Center, Giving Warfighters Decisive Edge” (04/10/26) https://www.war.gov/News/News-Stories/Article/Article/4456289/army-launches-data-operations-center-giving-warfighters-decisive-edge/

2025年の石炭火力廃止、15年ぶりの低水準 発電所の稼働延期相次ぎ

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は4月13日、2025年に廃止された石炭火力の総発電設備容量が2.6ギガワット(GW)にとどまったと発表した。年初に予定されていた8.5GW分の発電設備廃止計画に対し、4.8GW分が延期となったことに加え、1.1GWは廃止計画そのものが中止となったことが背景にあり、2010年以来15年ぶりの低水準となった。例えば、エネルギー省(Department of Energy)は連邦電力法第202条(c)に基づき、ミシガン州のJ.H.キャンベル発電所など複数の石炭火力に対して送電網の信頼性確保を目的とした緊急稼働命令を発令したことが大きな要因で、実際に閉鎖されたのはユタ州のインターマウンテン電力プロジェクト(Intermountain Power Project、1,800メガワット)など4施設のみとなり、廃止された発電設備容量も2024年末時点の石炭火力容量の1.5%にとどまった。2026年には6.4GW分の閉鎖が予定されているが、規制判断や経済要因により計画変更の可能性がある。 EIA “U.S. coal-fired generating capacity retired in 2025 was the least in 15 years” (04/13/26) https://www.eia.gov/todayinenergy/