Day: April 2, 2026
中国、研究開発投資で首位
米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は3月31日、中国の研究開発(R&D)投資額が2024年に米国を上回り、世界首位になったと発表した。経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)によると、同年の中国の投資額は1.03兆ドルに達し、1.01兆ドルの米国を初めて上回った。データ入手が可能となった2004年以降、中国は年平均14%を超える急成長を遂げており、米国の2倍以上のペースであるという。また、現在のR&D投資は国内総生産(GDP)比で2.7%に達し、人工知能(AI)や量子、核融合技術に加え、磁石などの最先端分野で世界的な影響力を強めつつあることも指摘した。同協会は、中国が国家戦略として科学技術への投資を加速させるなか、2027年度大統領予算案では科学研究費が削減対象となっているとし、報告書は、この調査結果が米国の科学分野における成果の動機づけとなるかは、今後の議会の判断によると示唆している。 AAU “It’s Official: China Tops U.S. in R&D Spending” (03/31/26) https://www.aau.edu/newsroom/leading-research-universities-report/its-official-china-tops-us-rd-spending
海軍、T-45ゴスホーク後継機の選定を開始
アクシオス(Axios)は4月1日、海軍(U.S. Navy)が老朽化したT-45ゴスホーク(T-45 Goshawk)に代わる新たな練習機調達に向け、提案依頼書(Request for Proposals: RFP)を公表したと報じた。パイロット訓練生向けジェット訓練システム(Undergraduate Jet Training System: UJTS)で、選定されれば海軍及び海兵隊(U.S. Marine Corps)におけるパイロット教育に長期に亘り関わることになる。同軍は、兼ねてより既存のゴスホークが抱える機体やエンジン・部品の老朽化といった課題を抱えていたが、新機体の導入で解決するとし、総数200機以上の調達を見込んでいる。提案書の提出期限は6月で、現在、ボーイング社(Boeing)、ロッキード・マーチン社(Lockheed Martin)、シエラ・ネバダ・コーポレーション(Sierra Nevada Corporation)社などが名乗りを上げており、来年初頭に契約を締結する見通しという。 Axios “U.S. Navy kicks off T-45 replacement competition ” (04/01/26) https://www.axios.com/2026/04/01/navy-ujts-rfp-goshawk-trainer
2025年データセンター投資額、再エネ・石油ガスと同水準へ
ノルウェーの調査会社、ライスタッドエナジー(Rystad Energy)社は3月26日、2025年のデータセンターへの世界の設備投資額が7,700億ドルに達し、石油・ガス産業上流部門への投資を上回ったと発表した。既に太陽光発電を抜き、今年中には再生可能エネルギーや石油・ガス産業全体の投資額と同水準に到達する見通しである。投資の4割はアクセラレーター・サーバーなどのITインフラが占め、冷却システムなどの設備投資も太陽光発電に匹敵する規模となった。Google社(Google)やマイクロソフト社(Microsoft)などの大手ハイテク企業が投資を牽引し、米国は世界全体の42%の市場シェアを占めた。一方で電力供給や土地確保の制約から、今後の投資先はフィンランドやポルトガル、タイなど世界各地へ分散するとの見方を示した。また、供給網構築の遅延や混乱に加え、コスト高騰といったリスクも残っているとし、より安定した投資環境が確立されるまで、今後数年間はAIブームによるインフラ投資のスーパーサイクルが続くと予測している。 RystadEnergy “Putting things in perspective: Data center investments now on par with renewables, oil and gas” (03/326/26) https://www.rystadenergy.com/insights/putting-things-in-perspective-data-center-investments-now-on-par-with-renewables 参照記事: Axios “Data center boom rivals energy’s biggest sectors” (04/01/26) https://www.axios.com/2026/04/01/data-center-investment-oil-gas-renewable-energy
エネルギー省が3年以内の量子コンピュータ実現へ
サイエンス誌(Science)は3月31日、科学的に有用な計算が可能なフルスペックの量子コンピューターを3年以内に構築する目標をエネルギー省(Department of Energy)が発表したと報じた。2028年までに誤り訂正機能を備えた「耐故障性」を持つ次世代機の実現する計画で、同省が管理する10の国立研究所のいずれかに設置される予定である。開発にあたっては特定の技術方式を限定せず民間企業から公募を行うことで性能目標の達成を競わせる方針であるが、その目標の妥当性について慎重な見方を示す専門家もいる。また同省は、新設した科学局諮問委員会(Office of Science Advisory Committee: SCAC)に対し、政府の人工知能(AI)推進計画「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」への支援体制構築と、長年更新が停滞していた大規模科学施設の建設優先順位リストの年内の再策定を指示した。このリストは公開予定であるが、指示には「ジェネシス・ミッションとの統合・支援」とあるため、コンピューティング施設が有力視されるとの声も浮上している。 Science “Energy Department aims to build full-fledged quantum computer within 3 years” (03/31/26) https://www.science.org/content/article/energy-department-aims-build-full-fledged-quantum-computer-within-3-years
運輸省、国内小型造船所へ3,500万ドル投資
運輸省(Department of Transportation)は3月31日、全米の小型造船所の活性化に向け3,500万ドルを投資すると発表した。海上局(US Maritime Administration: MARAD)の小型造船所助成プログラムを通じて、造船施設の改修・整備やクレーン、プラズマカッター、溶接システムなどの最新設備の導入、さらに海事人材の育成支援に充てる。予算は昨年度比300%の大幅増額となり、トランプ大統領が掲げる海事分野の優位性回復戦略の加速が反映されたものとなった。同プログラムは、2008年の開始以来、国内造船所整備や必要なツール導入などこれまで382件の助成に総額3億2,050万ドルを支援しており、ショーン・ダフィー運輸長官(Sean Duffy)は「国家安全保障の強化や高賃金雇用職の国内回帰、円滑な物流を確保する取り組み」と説明した。対象となるのは従業員1,200人以下の小規模造船所で、応募締め切りは5月11日までとした。政府は今後も造船所の設備更新を後押しするとし、米国の造船技術と労働力の向上を図っていく方針である。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Secretary Sean P. Duffy Announces $35 Million Investment to Revitalize America’s Small Shipyards” (03/31/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/trumps-transportation-secretary-sean-p-duffy-announces-35-million-investment
五大湖地域の排水から資源回収 NSF、4,500万ドルを拠出
アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory: ANL)は3月31日、五大湖地域の排水からエネルギーや希少資源を回収する取り組み「五大湖新生(Great Lakes RENEW)」に対し、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が4,500万ドルを支援すると発表した。排水に含まれるリチウムやリンなどの有用物質を回収・再資源化し、供給網の強化と地域経済の活性化を目指し、シカゴを拠点とする非営利法人で水イノベーションハブを運営するカレント(Current)を中心に、ANLやシカゴ大学(University of Chicago)が中核となって取り組んでいる。ANLは材料科学や人工知能(AI)技術を駆使した分離技術の高度化を主導し、次世代の「AI活用型水経済」を支える専門人材の育成にも注力する。2024年開始時の1,500万ドルに続く今回の投資は研究成果の事業化後押しに加え、インディアナ州など対象地域の新規拡大向けで、NSFは全米規模の地域イノベーションの先駆けと位置付けており、今後10年間で最大1億6,000万ドルの提供を視野に入れている。 ANL “National Science Foundation awards an additional $45M to water-focused initiative for Great Lakes region” (03/31/26) https://www.anl.gov/article/national-science-foundation-awards-an-additional-45m-to-waterfocused-initiative-for-great-lakes
エネルギー省、ジェファーソン研究所の運営契約でスラテック社を選定
エネルギー省(Department of Energy)傘下の科学局(Office of Science)は3月31日、バージニア州ニューポートニューズにあるトーマス・ジェファーソン国立加速器施設(Thomas Jefferson National Accelerator Facility: TJNAF)の運営管理契約を、スラテック社(SURATech)に委託すると発表した。サウスイースタン大学研究協会(Southeastern Universities Research Association, Inc.: SURA)とバージニア工科大学(Virginia Polytechnic Institute and State University)ほか4社と連携し、現在の核物理学に特化した研究所から、高性能データ施設(High Performance Data Facility: HPDF)を備えた多目的国立研究所への移行計画を推進する。契約期間は2026年6月1日から5年間である、評価により最大15年間延長される可能性もある。約759人の職員を抱えるTJNAFの年間予算は約2億3,800万ドル規模で、同社はまず4月から2カ月間の移行期間を経て、6月から新体制による運営を本格的に開始するとし、現代社会が直面する課題の解決に取り組んでいくという。 Department of Energy “Energy Department Awards New Contract to Manage and Operate Thomas Jefferson National Accelerator Facility” (03/31/26) https://www.energy.gov/science/articles/energy-department-awards-new-contract-manage-and-operate-thomas-jefferson-national