約11GW規模の石炭・天然ガス火力発電所閉鎖 閉鎖延期は継続か

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は2月23日、2026年における電力会社の大規模発電設備閉鎖計画が約11ギガワット(GW)規模に上ると発表した。内訳は石炭火力が58%、天然ガス火力が42%を占め、石炭だけで6.4GWと2025年末時点の石炭設備容量の約4%に相当する規模となる。一方、2025年の閉鎖は12.3GWが計画されていたが、実際は2008年以来の低水準となる4.6GWにとどまった。エネルギー省(Department of Energy)が複数の石炭火力に運転延長を命ずる緊急命令を出したことが背景にある。主な石炭火力ではミシガン州のJ.H.キャンベル(J.H. Campbell、1,331メガワット: MW)やテネシー州のカンバーランド2号機(Cumberland Unit 2、1,231MW)が閉鎖予定で、天然ガスは4.6GWで2025年末時点の設備約1%にあたる。大部分は効率の低い旧式の蒸気タービンで、カリフォルニア州のAESアラミトスとハンティントンビーチの計1,368MWが最大規模となっており、高効率の複合サイクルに置き換えられる予定である。 EIA “Retirement delays of U.S. electric generating capacity may continue in 2026” (02/23/26) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=67206

海軍、フィンカンティエリ社と契約 海兵隊中型揚陸艦の建造で

ディフェンスニュース(DefenseNews)は2月20日、フィンカンティエリ社(Fincantieri)が海兵隊の中型揚陸艦(Medium Landing Ship: LSM)4隻の建造契約を獲得したと報じた。海軍コンステレーション級フリゲート建造契約中止を受け、新たに契約を付与された同社は、ボリンジャー造船所と協力してマリネット・マリン造船所で建造を行う。これに伴い、海軍は建造プログラムを監督する艦艇建造管理者の選定も進めており、2026年半ばに決定される予定である。管理者は海軍と造船所の間の仲介役として機能し、さらに基本契約で3隻、最終的には計35隻の建造を目指すプログラムを管理する。海軍は「監督方式の採用により建造スケジュールが加速され、複数の造船所を活用することで産業基盤が強化される」とし、要求仕様の度重なる変更により重量超過と3年の遅延を招いたコンステレーション級建造の失敗を教訓として採用された。議会は、マリネット・マリン造船所がコンステレーション級からLSMへの作業移行に8億ドルを追加予算として計上している。 DefenseNews “US Navy taps Fincantieri to build Marine Corps landing vessels” (02/20/26) https://www.defensenews.com/naval/2026/02/20/us-navy-taps-fincantieri-to-build-marine-corps-landing-vessels/

2025年企業のクリーンエネ調達、約10年ぶりの減少

ブルームバーグNEF(BloombergNEF)は2月19日、2025年世界のクリーンエネルギー電力購入契約(PPA)が約10年ぶりに減少し、前年比10%減の55.9ギガワット(GW)となったと発表した。電力価格や政策リスクの高まりにより中小企業の活動が鈍化し、メタ社(Meta)、アマゾン社(Amazon)、グーグル社(Google)、マイクロソフト社(Microsoft)の大手技術4社が世界全体の49%を占めた。米国は最大市場として過去最高の29.5GWの取引を記録したが、購入企業数は前年比51%減の33社にまで減少し、大手企業による寡占が進んだ。欧州・中東・アフリカ地域では前年比13%減の17GW、アジア太平洋地域はインドと韓国の減速により前年の10.7GWから6.9GWに落ち込んだ。温室効果ガス・プロトコルのスコープ2排出基準の更新提案により、時間単位追跡やより厳格な地理的境界設定が求められる中、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた併設型や、風力・太陽光のハイブリッド型など、より安定的な電力供給を可能にする契約が5.8GW分締結された。 BloombergNEF “Corporate Clean Energy Buying Fell in 2025 After Nearly a Decade of Growth” (02/19/26) https://about.bnef.com/insights/clean-energy/corporate-clean-energy-buying-fell-in-2025-after-nearly-a-decade-of-growth/ 参照記事: Utility Dive “Corporate clean energy buying fell globally in 2025, reversing trend: BNEF ” (02/19/26) https://www.utilitydive.com/news/corporate-clean-energy-procurement-ppa-meta-amazon-google/812591/

13州がエネルギー省を提訴 クリーンエネ予算80億ドル削減で

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は2月20日、トランプ政権によるクリーンエネルギー関連予算約80億ドルの打ち切りに対し、13州の司法長官連合が連邦地裁に訴訟を起こしたと報じた。カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提出された訴状によると、エネルギー省(Department of Energy)はインフレ削減法(Inflation Reduction Act)と超党派インフラ投資雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act)で創設されたエネルギー・インフラプログラムへの資金提供を違法に停止したとし、原告側は、議会のみが予算配分の権限を持ち、今回の措置は憲法の三権分立と行政手続法(Administrative Procedure Act)に違反すると訴えている。同省は昨年10月「国のエネルギー需要を十分に満たさず、経済的に実行可能でない上、税金を有効活用していない」と削減対象のプロジェクトについて説明していたが、削減対象が民主党候補に投票した州に集中していることから、原告側は、政治的動機による決定であると反論している。 Utility Dive “States sue Energy Department for terminating $8B in clean energy funding ” (02/20/26) https://www.utilitydive.com/news/states-sue-doe-terminating-8b-clean-energy-funding/812702/

最高裁、トランプ関税を違憲と判断

アクシオス(Axios)は2月20日、最高裁がトランプ大統領の国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act: IEEPA)に基づく関税発動を違法と判断したと報じた。判決により、大統領が貿易相手国に対し米国産石油・LNG購入を迫った手法は制約されることになる。一方、鉄鋼関税や太陽光設備関税など、IEEPA以外の、根拠法がある措置は継続する。電池関連では韓国・日本企業が恩恵を受ける一方、記事は太陽光分野への既存関税維持により影響は限定的であるとの分析も紹介した。これを受け、大統領は直ちに10%包括関税を課す方針などを示したが、重要鉱物やエネルギー関連品目は対象外となる見通しである。産業界からは通商の予見可能性向上を歓迎するなどの声が上がったが、低炭素投資の停滞を懸念する向きもあり、今回の判決が不確実性の解消につながるかが焦点となる。また、議会では関税権限の立法強化を求める動きが勢いづく可能性があり、ロシア産エネルギー購入国への制裁関税を課す超党派法案の行方が注目されている。 Axios “Supreme Court blunts President Trump’s energy weapon” (02/20/26) https://www.axios.com/2026/02/20/supreme-court-trump-energy-tariffs

EPA、州地域煙霧計画に新指針 電力網の安定性確保へ

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は2月20日、各州が策定する地域煙霧(ヘイズ)実施計画(Regional Haze State Implementation Plans: SIPs)において、電力系統の信頼性への影響を考慮するよう促すガイダンスを更新したと発表した。EPAは大気浄化法(Clean Air Act)に基づく地域ヘイズプログラムがこれまで石炭火力発電所の閉鎖を強いる手段として悪用されてきたとし、今後こうした運用を容認しないとした。大気浄化法はSIP策定の判断基準として費用、所要期間、残存耐用年数、エネルギー及び大気以外の環境への影響の4要素を規定しているが、昨今の「冬の嵐(Winter Storm Fern)」などの気象現象や電力需要の大幅な増加を踏まえ、今回、エネルギー影響分析に電力網の信頼性確保を組み込むことを明確化した。なお、EPAは地域煙霧規則(Regional Haze Rule)改正作業に十分な時間を確保するべく、州と地域計画組織に対し2025年12月末に第3期計画期間のSIP提出期限を2028年から2031年7月31日まで延長する最終規則を公布している。 EPA “EPA Issues Guidance Update on Regional Haze Plans for States to Ensure Reliability of the American Electric Grid” (02/20/26) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-issues-guidance-update-regional-haze-plans-states-ensure-reliability-american

国防総省、重要光学素材の国内加工能力構築に1,180万ドル支援

国防総省(Department of Defense)は2月20日、重要光学素材の国内加工能力構築に1,180万ドルを投じると発表した。オクラホマ州クアパウにおけるユミコア・オプティカル・マテリアルズUSA社(Umicore Optical Materials: UOM USA)の新加工施設設立に向け、国防生産法(Defense Production Act: DPA)第3条を通じて提供する。夜間視界システムや監視システムなど国家安全保障を支える光学・赤外線技術の安定供給を図ることが目的で、政府機関閉鎖の影響で計画進行が遅延していたが、2022年追加ウクライナ補正歳出法の資金を用いることで再始動した。この取り組みは昨年3月20日に発表された大統領令、鉱物生産拡大計画の一環で、2件の投資計3,080万ドルのうちの一つである。同省はまた、新たな国防産業基盤コンソーシアムOTA(Defense Industrial Base Consortium Other Transaction Agreement :DIBC OTA)契約メカニズムを通じた研究開発や試作提案の募集にも注力し、サプライチェーンの強靱化を図る姿勢を示した。 Department of Defense “Department of War Invests $11.8M for the Domestic Processing of Critical Materials” (02/20/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4410424/department-of-war-invests-118m-for-the-domestic-processing-of-critical-materials/

国防総省、希土類元素の国内生産強化へ200万ドル投入

国防総省(Department of Defense)は2月20日、希土類元素(レアレース)の国内サプライチェーン強化のため、インディアナ州のリエレメント・テクノロジーズ社(ReElement Technologies Corporation)に2年間で200万ドルを投資すると発表した。昨年9月3日に決定されていたが、政府機関閉鎖により発表が延期されていた。同社は特許取得済みの独自クロマトグラフィー精製技術により、ネオジム、ジスプロシウム、テルビウムなど防衛産業に不可欠な希土類元素を99.5%以上の超高純度で分離・精製することが可能で、同省は「この費用対効果の高いアプローチにより、中国主導サプライチェーンへの依存を減らし、国内生産能力を強化する」と説明した。レアレースは航空機、原子力潜水艦、ミサイル、電気自動車、自律システム、衛星などに使用される先端磁石の重要な構成要素で、産業基盤分析・維持プログラム(IBAS Program)は2014年の開始以来、207プロジェクトに26億ドル以上を投資し、国内製造能力の回復に取り組んでいる。 Department of Defense “DOW Enhances U.S. Rare Earth Elements Supply Chain Resilience” (02/20/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4410568/dow-enhances-us-rare-earth-elements-supply-chain-resilience/

2026年の新設電源、過去最大86GWへ 太陽光と蓄電池がけん引

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は2月20日、2026年新規大規模発電設備容量が86ギガワット(GW)に達し過去最大規模になる見通しと発表した。太陽光が全体の51%(43.4GW)を占め、蓄電池が28%(約24GW)、風力が14%(11.8GW)と続いた。太陽光はテキサス州が計画の40%を占め、アリゾナ州(6%)、カリフォルニア州(6%)、ミシガン州(5%)が続いた。蓄電池は2025年に過去最高15GWを導入し、2026年も約24GW増設され、テキサス州が全体の53%(12.9GW)を占め、カリフォルニア州が14%(3.4GW)、アリゾナ州が13%(3.2GW)となった。風力は近年の鈍化から持ち直し、ニューメキシコなど4州で2026年の容量増加の約6割を占める見通しで、マサチューセッツ州の約800MW規模のビンヤード洋上風力発電1号(Vineyard Wind 1)とロードアイランド州の715MW規模のレボリューション風力発電(Revolution Wind)も2026年に稼働するという。天然ガス火力は6.3GWの増設が見込まれ、テキサス州などに集中する。 EIA “New U.S. electric generating capacity expected to reach a record high in 2026” (02/20/26) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=67205

インドAIサミットでAI輸出促進の新戦略発表

大統領府は2月20日、同盟国に対する最先端人工知能(AI)技術の提供と各国のAI主権確立を支援する包括的な戦略を発表した。インドで開催された「インドAIインパクトサミット2026(India AI Impact Summit 2026)」で科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)のマイケル・クラツィオス局長(Michael Kratsios)は、先進国と発展途上国の間でAI導入を巡る格差が拡大していると言及し、AIの完全な自給自足ではなく、戦略的自律性の追求を各国に促した。またAIのグローバルガバナンスを明確に否定し、官僚主義や中央集権的管理からの脱却も訴えた。その上で、米国製AIの輸出推進に向け、連携国の有力AI企業を組み込む「ナショナル・チャンピオンズ構想(National Champions Initiative)」、技術ボランティアを派遣する「米国テック・コア(U.S. Tech Corps)」、世界銀行(World Bank)を通じた新基金の設立、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)によるAIエージェント標準化の推進も併せて発表した。 The White House “U.S. Promotes AI Adoption, Sovereignty, and Exports at India AI Impact Summit” (02/20/26) https://www.whitehouse.gov/articles/2026/02/u-s-promotes-ai-adoption-sovereignty-and-exports-at-india-ai-impact-summit/