国民の7割、科学技術への投資増額を議会に要望

リサーチ!アメリカ(Research!America)は2月10日、国民の約7割が、科学技術発展のために税金をより多く投資すべきであると考えていることを明らかにした。1月初旬にゾグビー・アナリティクス社(Zogby Analytics)が実施した1,007人の成人を対象にしたオンライン調査によると、10人中7人が今後50年間における国家の優先事項のトップ3に医療の進歩を挙げたという。また基礎科学研究への支持は政治的立場を問わず92%に達し、前年から7ポイント上昇した。さらに研究助成プログラム中止や科学分野への予算削減を認識している回答者のうち、83%が研究への影響を懸念しており、約9割が医学の進歩を推進する候補者を支持することが重要であると回答した。うち共和党支持者の70%を含む7割が医療・健康研究への支出増加を支持する候補者に投票する可能性が高いと回答している。この調査結果を受け、リサーチ!アメリカは「国民の声に耳を傾け、大統領と議会が研究への積極的な投資でリーダーシップを発揮するよう求める」と発表した。 Research America “National Survey Shows Americans Want Congress to Invest More in Science and Technology” (02/27/26) National Survey Shows Americans Want Congress to Invest More in Science and Technology

政府、承認済み科学予算拠出を遅延 研究助成に深刻な影響

ネイチャー誌(Nature)は2月27日、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が議会承認済みの科学機関予算の拠出を意図的に遅らせていると報じた。議会は2月3日にトランプ大統領が求めた大幅な科学予算削減を拒否し、歳出法案を成立させたが、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は先週ようやく承認を受け、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は470億ドルの交付許可を未だ得られていない。同局が昨年8月に予算の自動承認を給与など必須経費に限定する規則変更を行ったことと、昨年秋の過去最長43日間に亘る政府閉鎖の影響で、NIHの今年度の新規研究助成件数は過去6年間の同時期と比べ約30%、NSFは約20%にとどまった。航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)も金星探査など10のプログラムについて異例の支出制限を受け、国際共同研究への影響が懸念されており、専門家らは年度末までの予算消化ができず、研究機関と助成受給者の双方に深刻な混乱を招くと指摘している。 Nature “White House stalls release of approved US science budgets” (02/27/26) https://www.nature.com/articles/d41586-026-00601-0

オープンAI社、国防総省とAIモデル使用で合意

アクシオス(Axios)は2月27日、オープンAI社(OpenAI)が国防総省(Department of Defense)と人工知能(AI)モデルの軍事利用について合意に達したと報じた。同社のサム・アルトマンCEO(Sam Altman)は、国内監視の禁止と自律型兵器を含む武力行使における人間の責任という2つの安全原則を同省が受け入れたと発表した。一方、同様の制限を求めていたアンソロピック社(Anthropic)は、同省のブラックリストに載せられ、同日夜に提訴すると発表した。トランプ大統領はアンソロピック社を「過激な左派AI企業」と非難し、同省の使用方法を、同社が左右する提案に強い反発を示したという。今回の合意には、クラウド環境へのモデル限定やセキュリティクリアランスを持つ研究者による監視などの技術的保護措置が含まれており、アルトマン氏はこれらの条件がすべてのAI研究所に適用されることを望むと述べた。一方で、同社とグーグル社(Google)の従業員からは、アンソロピック社との連帯を求める声が上がっている。 Axios “OpenAI reaches agreement with Pentagon to use AI models” (02/27/26) https://www.axios.com/2026/02/27/pentagon-openai-safety-red-lines-anthropic

DARPA、農林業廃棄物から戦略物資を製造する新プログラムを始動

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は3月2日、農業・森林廃棄物に含まれるリグニンを高付加価値化学物質に変換する新プログラム「フリートウッド(Fleetwood)」を立ち上げた。リグニンは植物の構造を支えるエネルギー密度の高い分子であるが加工が困難で、大部分が低価値の熱源として燃焼されるか廃棄されてきた。そこで原料バイオマスからリグニンを効率的に分解する新たな触媒技術の開発と分解したリグニンを特定の高付加価値製品に変換する高耐久性触媒を創出する。プラスチックや接着剤、複合材料などの必須素材は石油由来製品で供給網の途絶リスクを抱えている現状から、原子レベルの精度で、廃棄物を国内由来のオンデマンド資源に変えることを目指す。国内で広く入手可能な廃棄物から戦略物資を生産することで、外国依存低減とサプライチェーン強靱化が実現するとし、既に陸軍、海軍、空軍、海兵隊、国防脅威削減局(Defense Threat Reduction Agency: DTRA)などの複数機関が関心を寄せている。 DARPA “Upgrading biomass waste into strategic materials” (03/02/26) https://www.darpa.mil/news/2026/upgrading-biomass-waste-into-strategic-materials

アイダホ国立研究所、溶融塩燃料研究の新設備が稼働

エネルギー省(Department of Energy)の原子力エネルギー局(Office of Nuclear Energy)は3月2日、先進的な溶融塩燃料研究を加速させる新たな試験設備の運用開始を発表した。国立原子炉技術革新センター(National Reactor Innovation Center: NRIC)がアイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)内に設置した「溶融塩熱物性試験設備(Molten Salt Thermophysical Examination Capability: MSTEC)」設備は、不活性ガスのアルゴンで満たし、放射線を遮断したグローブボックスを備え、先進溶融塩炉の設計に必要な極限温度での燃料塩特性を測定する。特に照射済み及び未照射材料の挙動を様々な条件下で研究することで、燃料特性評価、電気化学研究、腐食試験、塩合成など幅広い実験へつなげるとし、高温の塩化物塩やフッ化物塩を燃料・冷却材として用いる先進炉設計研究を推進していく。同設備は、照射済み燃料塩の熱物性を極限温度下で正確に測定できる初の施設であり、溶融塩炉技術研究の中核拠点となることが期待されている。 Department of Energy “NRIC Unveils New Tool to Advance Molten Salt Fuel Research” (03/02/26) https://www.energy.gov/ne/articles/nric-unveils-new-tool-advance-molten-salt-fuel-research

カリフォルニア規制当局、電力会社に非化石電源6GW追加調達を義務付け

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は2月7日、カリフォルニア公益事業委員会(California Public Utility Commission: CPUC)が2032年までに非化石電源6ギガワット(GW)の段階的な追加調達を州内の負荷供給事業者に義務付ける方針を決定したと報じた。委員会は電力需要増への対応策として再生可能エネルギー基準(Renewables Portfolio Standard: RPS)に適合するゼロエミッション電源の調達を求めており、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社(Pacific Gas and Electric: PG&E)には1,077メガワット(MW)、ピコ・リベラ・イノベーティブ・ミュニシパル・エナジー社(Pico Rivera Innovative Municipal Energy)には6MWの追加調達を割り当てるなど、負荷予測に基づく各社の義務量を定めた。また、過剰調達による料金上昇回避に向け、調達価格高騰の際には事業者の申告を条件に例外措置を認める方針とした。さらに、この電源構成を同州独立系統運用機関の送電計画プロセスへの基礎データとして提供し、今後の系統計画に反映させるとした。 Utility Dive “California orders utilities to add 6 GW of non-fossil capacity by 2032” (02/27/26) https://www.utilitydive.com/news/cpuc-california-lses-procure-6-gw-2032/813357/

空軍研究所、軍民両用技術の全国研究ネットワーク構築へ

NEXTGOV/FCWは2月26日、空軍研究所(Air Force Research Laboratory: AFRL)が軍民両用技術の開発加速に向け、全国規模の研究ネットワークを構築する情報提供依頼書(Request for Information : RFI)を公開したと報じた。AFRLは、人工知能(AI)、自律システム、半導体、ソフトウェアなど民間・商業用途向けに開発された製品やサービスを国家安全保障目的にも転用できる「両用技術」を活用し、空軍・宇宙軍の運用能力に転換することを目的とした地域ハブネットワークの試験プログラムを実施しており、その取り組みを全国規模に拡大する。これに伴い、RFIでネットワークの全体構造とガバナンスモデル、外部パートナーシップの深化策、民間資本の関与、空軍・宇宙軍のミッションとの整合性など5つの分野について意見を求めている。特に集中型モデルと地域分散型モデルの利点・欠点の分析や、機動性を確保できる組織構造の提案を求めており、提出期限は3月23日までとなっている。 NEXTGOV/FCW “Air Force Research Lab seeks more national approach for innovation” (02/26/26) https://www.nextgov.com/acquisition/2026/02/air-force-research-lab-seeks-more-national-approach-innovation/411730/?oref=ng-homepage-river

トランプ政権、NSF研究助成をAI・量子科学優先に主導

サイエンス誌(Science)は2月26日、トランプ政権が米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の研究助成方針を人工知能(AI)と量子情報科学に重点化するよう主導しているとNSFが公表したと報じた。NSF幹部は国家科学審議会(National Science Board:NSB)への説明で、政府の優先事項に応じる形で機関運営が変化しているとし、NSBから食料価格削減に関する研究への投資を提案された際に「政府への働きがけができるかわからない」と回答した例を挙げ、独立した研究助成機関としての役割が変化しつつある現状を示唆した。またNSFが過去12カ月で職員を35%削減したことについて、現在の1,300人体制は小規模すぎるしたものの、回復目標は政府の予算大幅削減案に沿った水準にとどまる見通しを示した。さらに、大学から一時的に着任する研究者についても、AI・量子分野のスキルを持つ者のみ契約が更新されているとし、元NSF幹部は「NSFは重要な分野を見落とさないよう、公募管理改善の余地が大いにある」と指摘している。 Science “NSF officials break silence on how AI and quantum now drive agency grantmaking” (02/26/26) https://www.science.org/content/article/nsf-officials-break-silence-how-ai-and-quantum-now-drive-agency-grantmaking

NRC、核融合炉の規制枠組みに関する規則案を公表

原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)は2月26日、核融合炉に関する新たな規制枠組みの規則案及びガイダンス案を公表したと発表した。超党派の連邦議会によるADVANCE法(ADVANCE Act)及び核融合エネルギー法(Fusion Energy Act)に基づき、連邦規則集第10編第30章の副産物質規制の枠組みを拡大する。具体的には、核融合炉を対象に含めるもので、核融合規制作成プロセスにおける最終段階となっている。多様化する核融合炉設計対応に向け、2023年にNRC委員会は核融合を核分裂とは異なる粒子加速器と同じ規制枠組みで管理することを全会一致で決定しており、この方針を今回の規則案で正式に具体化した。本件に関する意見募集は5月27日まで受け付け、10月に最終規則として施行する予定で、NRCはこの規則導入により約138万ドルのコスト削減効果を見込んでおり、産業界の規制対応コスト削減や許認可手続きの明確化に寄与すると説明している。 Federal Register “Regulatory Framework for Fusion Machines” (02/26/26) https://www.federalregister.gov/documents/2026/02/26/2026-03865/regulatory-framework-for-fusion-machines 参照記事: Federal Register “U.S. Nuclear Regulatory Commission Publishes Proposed Rule and Guidance for Fusion Regulatory Framework” (02/26/26) U.S. Nuclear Regulatory Commission Publishes Proposed Rule and Guidance for Fusion Regulatory Framework

世論調査、67%が「AI利用に制限必要」と回答

情報技術イノベーション財団(Information Technology and Innovation Foundation:ITIF)は2月26日、米国成人の67%が技術企業は政府が反対しても自社製品の使用方法に制限を設ける責任があるとする世論調査結果を発表した。モーニング・コンサルト社(Morning Consult)の米国成人1,976人を対象にした調査で、人工知能(AI)開発企業のアンソロピック社(Anthropic)が国防総省(Department of Defense)のAIシステム利用要求を拒否した問題が背景にある。これによると79%が致死的武力行使の最終判断は常に人間が下すべきとし、70%がAIによる令状なしの国民監視は憲法修正第4条に違反すると回答した。さらに国内監視や自律型兵器へのAI利用制限について民主党支持者の58%、共和党支持者の43%が企業による制限を支持した。また同社への制裁については50%が「政府の越権行為」と見なす一方、35%が「国家安全保障上必要」と回答した。ITIFは「軍事AIに関する決定は、明確な法的枠組みの下で公に議論されるべき」との見解を示している。 ITIF “New Survey: Most Americans Say Tech Companies Should Be Allowed to Set AI Limits as Anthropic Rejects Pentagon Demands” (02/26/26) https://itif.org/publications/2026/02/26/most-americans-say-tech-companies-should-be-allowed-to-set-ai-limits/