AIのパイオニア、AIの安全性を再考する非営利組織を立ち上げ

機械学習のパイオニアであるヨシュア・ベンジオ氏(Yoshua Bengio)は、約3,000万ドルの資金を得て、人間のような動きをしない人工知能(AI)システムを構築することを目的とした新たな非営利研究所「ローゼロ(LawZero)」立ち上げることを発表した。これは、「自律的に行動するAI」へのトレンドに逆行するものである。ベンジオ氏をはじめとする一部の専門家の中では、人間ではなく自らの利益に重きを置くAIシステムが作り出される現在のトレンドへの懸念が高まっている。同氏は、「知的機械を構築するためのテンプレートとして人間からヒントを得ているが、これを続けると、我々よりも賢く、死ぬことを望まない存在を作り出すことを意味する」と述べる。ベンジオ氏は、AI開発に対するより厳しい規制を呼びかけ、大手企業の分割さえも主張している。 AXIOS “1 big thing: AI godfather aims to make AI less human” (06/03/25) https://www.axios.com/2025/06/03/yoshua-bengio-lawzero-ai-safety

トランプ政権、ワシントンDC内の連邦資産の迅速な処分を承認

トランプ政権は、ワシントンDCにある複数の連邦資産(所有物件)の迅速な処分を承認した。その対象には、エネルギー省(Department of Energy)の本部ビル(180万平方フィート)や、米グローバル・メディア庁(U.S. Agency for Global Media)の拠点ビル(120万平方フィート)などが含まれる。先週発表された公共ビル改革委員会(Public Buildings Reform Board)の勧告を受け、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が迅速な処分を承認したもので、これにより一般調達局(General Services Administration)は、地元の地方自治体や非営利組織がこれらの資産を必要としているか否かを判断するという処分手続きの一部を実施せずにすむ。 Washington Business Journal “Trump administration OKs expedited disposal of Greater Washington federal properties” (05/30/25) https://www.bizjournals.com/washington/news/2025/05/30/gsa-public-buildings-reform-board-omb.html

中国のAIインフラが急成長

ストライダー社(Strider)と特別競争力研究プロジェクト(Special Competitive Studies Project: SCSP)は今般、「中国のAIインフラが急成長:中国のデータセンターとAIモデルはどのようにして軍事的野心と世界的関係をつないでいるか(China’s AI Infrastructure Surge: How PRC Data Centers and AI Models Bridge Military Ambitions and Global Connections)」と題する報告書を発表した。中国がどのようにしてAIインフラを活用して、商業産業と軍事応用の双方で影響力を拡大するという世界的な野心を進めているかを示したものである。中国は、2025年中に105エクサフロップス(EFLOPS)のAI計算能力の導入を目指し、全国で250以上のAIデータセンターによるネットワークを構築し、ソフトウェアやアルゴリズム、海外事業の拡大に重点的に投資している。本報告書は、こうした取り組みの規模、範囲、戦略的意味合いについてまとめたものである。報告書によれば、中国のAIセンターに関与している856組織のうち少なくとも88組織が人民解放軍、中国の防衛産業基盤、または米国の制裁対象の組織との関係を有しているという。 STRIDER “China’s AI Infrastructure Surge: How PRC Data Centers and PRC AI Models Bridge Military Ambitions and Global Connections” (June 2025) https://www.striderintel.com/resources/chinas-ai-infrastructure-surge/

AI革新加速に向け、官民連携の効率化が急務

NEXTGOV/FCWは6月2日、エネルギー省(Department of Energy)の高官らが、高性能コンピューティング資源を活用した人工知能(AI)革新推進に向けた官民連携の効率化が急務であると発言したことを報道した。これは具体的に、ワシントンDCで開催されているAI+エキスポ(AI + Expo)におけるハリエット・クン科学局長代理(Harriet Kung)の発言で、オープンAI社(OpenAI)やアンスロピック社(Anthropic)などに国立研究所のデータや計算資源を迅速に提供する仕組みが必要と言及した。また、ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Lab)のトーマス・メイソン所長(Thomas Mason)も、民間企業の大規模投資を活用し、公的機関の研究者がより専門的な能力を構築する適切な提携構造が重要と発言した。同省は、高性能コンピューティングにおける専門知識とエクサスケール計算システムを持つ国立研究所を通じて、AI技術開発と科学研究への応用の両面で引き続き、リーダーシップを発揮していく方針という。 NEXTGOV/FCW “Public-private partnerships need more ‘efficiency,’ Energy official says” (06/02/25) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2025/06/public-private-partnerships-need-more-efficiency-energy-official-says/405746/?oref=ng-skybox-hp

トランプ政権、NIH再編案を発表 予算を40%削減

サイエンス誌(Science)は6月2日、トランプ政権が国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の予算を約40%削減し、27の研究所とセンターを8つに統合する大幅な再編案を提示したと発表した。この提案により、同研究所の裁量予算は180億ドル減の275億ドルとなり、少数民族の健康、代替医療、看護、国際保健を研究する機関が廃止される見込みである。ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官(Robert F. Kennedy Jr.)の方針を反映したこの予算案は、感染症研究よりも食品添加物や慢性疾患などに重点を置いたもので、生物医学研究の推進派で非営利団体のリサーチ!アメリカ(Research!America)のメアリー・ウーリー会長兼CEO(Mary Woolley)は「この予算案が通過すれば、国民はより病弱に、より貧しく、より早死にすることになる」と厳しく批判している。 Science “Trump’s proposed budget details drastic cuts to biomedical research and global health” (06/02/25) https://www.science.org/content/article/trump-s-proposed-budget-details-dramatic-cuts-biomedical-research-and-global-health

米国アカデミー、政府契約削減で250人削減へ 162年の歴史で最大の危機

サイエンス誌(Science)は6月2日、米国科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM、通称米国アカデミー)が、今夏の終わりまでに最大250人の人員削減を実施する可能性があると発表した。トランプ政権の政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)による43件の政府契約失効が背景にあり、マルシア・マクナット会長(Marcia McNutt)は職員向けメモで、具体的な削減数は確定していないものの「財政状況により痛みを伴う人員削減と組織再編に備える必要がある」と説明した。1863年に議会承認を受けて設立され162年の歴史を持つこの民間非営利団体は、これまで政府に対して独立した科学技術助言を提供する役割を担ってきたが、2,500万ドル以上の損失を被っており、組織存続をかけた危機に直面している。具体的な再編案については、6月10~11日に開催される理事会で提示される予定という。 Science “National Academies, staggering from Trump cuts, on brink of dramatic downsizing” (06/02/25) https://www.science.org/content/article/national-academies-staggering-trump-cuts-brink-dramatic-downsizing

核融合供給網への投資、2024年は倍増 FIA報告

核融合産業協会(Fusion Industry Association: FIA)は6月3日、核融合企業による供給網(サプライチェーン)への投資が2024年に前年比73%増の4億3,400万ドルに達し、ほぼ倍増したと発表した。コモンウェルス・フュージョン・システムズ社(Commonwealth Fusion Systems)、フォーカスト・エナジー社(Focused Energy)、ヘリオン社(Helion)、タイプ・ワン・エナジー社(Type One Energy)などの大手核融合企業が送電網へのエネルギー供給を目指すパイロットプラントの建設地を発表するなど、核融合技術の実用化が加速したことなどが追い風となった。同協会の報告書によると、調査に参加した57の企業が新たな設備投資に2億3,000万ドルを投じ、今年も25%の成長が見込んでいるものの、業界全体の81%が需要の不確実性により事業拡大が困難と回答したという。これを受け、報告書は規模拡大の課題克服に向け、リスク軽減による能力構築や長期計画のサポート、業界の労働力拡大に重点を置いた提案をまとめている。 Fusion Industry Association “Fusion Supply Chain Spending Almost Doubles in 2024, According to Fusion Industry Association” (06/03/25) Fusion Supply Chain Spending Almost Doubles in 2024, According to Fusion Industry Association

再エネ税控除縮小で全州33万雇用喪失の危機 SEIA 分析

太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)は6月3日、下院が可決した税額控除縮小案を上院が修正しなければ、全国で最大33万人の太陽光・蓄電に関する職が失われる恐れがあると発表した。同協会によると、全国331の工場閉鎖・計画中止で地域社会への投資2,860億ドルが消える可能性があり、すべての州で雇用が減少するという。特にカリフォルニア、テキサス、フロリダ、イリノイといった州が深刻な打撃を受け、カリフォルニア州は3万5,700人、太陽光発電で急成長したテキサス州では2030年までに3万4,100人、フロリダ州では約2万2,000人の雇用が消失すると試算した。SEIAは、再生可能エネルギーの成長を牽引してきた州の多くが2024年大統領選でトランプ氏が勝利した州である点も指摘しつつ、工場閉鎖や投資中止がエネルギー供給不足につながると警告し、上院に対しエネルギー税額控除の維持・拡充を盛り込む修正を行い、雇用と国内製造、エネルギー安全保障、消費者の選択肢を守るよう求めている。 SEIA “ANALYSIS: Reconciliation Bill Risks Devastating Job Losses in Every U.S. State if Senate Fails to Change Course” (06/03/25) ANALYSIS: Reconciliation Bill Risks Devastating Job Losses in Every U.S. State if Senate Fails to Change Course 

内務省、エネルギー開発促進へ18規制撤廃

内務省(Department of Interior)は6月3日、公有地でのエネルギー開発促進と経済成長を図るため、土地管理局(Bureau of Land Management)の18件の規制を撤廃すると発表した。トランプ政権の規制緩和政策の一環で、不必要な官僚的手続きを削減し、米国のエネルギー自立を推進する取り組みで、ダグ・バーガム内務長官(Doug Burgum)は「最高の環境管理水準を維持しつつ時代遅れの規制を撤廃し、コスト削減と手続きを合理化する」と述べた。主に国有林原生地域での鉱物探査、地熱リース、オイルシェールの砂鉱床採掘権の年間手数料など、鉱業法に関する様々な条項が含まれ、新規制のコストを既存規制の撤廃で相殺することを義務付ける。また、公有地を効率的に管理し、地域経済の活性化とエネルギー自立を促進しながら、バランスの取れた実用的な方法で環境保護を維持することを目指すと強調し、アラスカを含む公有地の管理に加え、全米約7億エーカーの地下鉱区の管理についても改めて言及している。 Department of Interior “Interior slashes outdated energy regulations to boost economic growth on public lands” (06/03/25) https://www.doi.gov/pressreleases/interior-slashes-outdated-energy-regulations-boost-economic-growth-public-lands

DIU、無人機システム開発加速に2,000万ドル拠出

国防イノベーションユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は6月2日、戦闘員への迅速な無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems: UAS)提供に向けた2,000万ドル規模の取り組み「プロジェクトG.I.(Project G.I.)」チャレンジを開始すると発表した。敵対国の無人システムによる脅威で戦争の様相が一変している現状を踏まえ、緊急時に即戦力となる自律型ソリューションを特定・評価・統合する既存の調達プログラムを改善する。特に中小規模の民間企業の高い技術成熟度(Technical Readiness Level: TRL)を持つ無人機システムを活用するとし、エンドユーザーのフィードバックを取り入れつつ、数年かかる納期を大幅に短縮し、最先端技術を戦闘員の手に迅速に届ける。同プロジェクトへの応募締め切りは12月31日で、設計参照ミッション(Design Reference Missions: DRM)3件の採択が予定されている。詳細は6月17日午後2時~3時(東部時間)に開催されるウェビナー「アスク・ミー・エニシング(Ask Me Anything)」で説明が行われる。 Defense Innovation Unit “$20M DIU “Project GI” Challenge Will Help Services Test and Scale Next-Generation UAS Solutions Across Domains” (06/02/25) https://www.diu.mil/latest/usd20m-diu-project-g-i-challenge-targets-next-generation-uas-solutions