米国製造業強化を目指すDARPA

米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency:DARPA)は、「iFAB」と呼ばれる新しい製造プログラムを始動させた。このプログラムの目標は、歩兵戦闘車の様々なモデルや改良版の製造をサポートするための製造能力を早急に設計・整備することで、具体的には、戦車や爆弾機器のCADファイルやスペックを米軍に送るだけで、米軍がそれを汎用製造施設で生産する能力を有することが目指されている。また、DARPAは、陸軍地上戦闘車(Army’s Ground Combat Vehicle:GCV)のプロトタイプ設計のオープンソース化の促進も進めており、米国製造業基盤の復活を意図した取り組みが進められている。 Technology Review “How DARPA Plans to Reinvent U.S. Manufacturing” (08/25/10)

懸念する科学者グループ(USC)、よりクリーンなバイオ燃料に関する米国ロードマップを作成

米国政府は2013年までにとうもろこしの茎や木片、その他の非食用廃棄物を使った国内産燃料の生産量を10億ガロンにするという目標を掲げているが、国内にセルロース性エタノール工場はまだ存在していないのが現状である。そのような中、非営利啓蒙団体である、懸念する科学者グループ(Union of Concerned Scientists:USC)が、同目標を実現するためのロードマップを盛り込んだ報告書「10億ガロンのチャレンジ(The Billion Gallon Challenge)」を発表した。USCは、セルロース性バイオ燃料の生産能力を年間10億ガロンに押し上げるために、税クレジットや融資保証を行うことでセルロース性バイオ燃料を商業規模に拡大するよう勧告している。報告書はまた、現行のバイオ燃料向け税クレジットが失効するのに伴い、これに代わる策としてバイオ燃料の成果に応じた「バイオ燃料パフォーマンス税クレジット」を採用するよう提案している。 Environmental Leader “USC Creates U.S. Roadmap for Cleaner Biofuels” (08/26/10)

米国輸出入銀行、インドの石炭発電所建設への融資を決定

米国輸出入銀行(U.S. Export-Import Bank)は、インドのリライアンス・パワー社(Reliance Power Ltd.)によるインドでの石炭火力発電所建設に9,000万ドルの融資を行うことを決定した。この発電所建設計画は当初、環境保護団体から広く批判され、「米国輸出入銀行は二酸化炭素を排出し地球温暖化に寄与するプロジェクトに融資すべきではない」との声も上がっていた。米国輸出入銀行は去る6月に融資却下の決定をしていたが、今回それが覆された。 NASDAQ “US Export-Import Bank Clears Loan To India Power Plant” (08/25/10)

NSF、教育機関におけるブロードバンドアクセスおよびコネクティビティー強化に向け助成金を交付

国立科学財団(National Science Foundation:NSF)は、「研究インフラの向上:キャンパス間およびキャンパス内のサイバーコネクティビティー(Research Infrastructure Improvement Inter-Campus and Intra-Campus Cyber Connectivity:RII C2)プログラム」を通じ、17の州およびその教育機関に合計2,000万ドルの助成金を交付することを決定した。本事業は、科学インフラが未整備で、歴史的に連邦政府の研究助成金受給額が少ない州を支援することを目的とした取り組みの一環である。予算は「2009年米国景気対策法(American Recovery and Reinvestment Act:ARRA)」から拠出され、学術研究支援を目指し、教育機関におけるブロードバンドアクセスの強化とサイバーインフラの活用の促進が行われる。 National Science Foundation “ARRA Funds Bolster Broadband Access and Improve Connectivity among Institutions to Strengthen Scientific Collaborations ” (08/25/10)

DARPA、自律ロボットの開発に向けた新プログラム立ち上げ

米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency:DARPA)は、既存の機械よりも格段の自律性を持つロボットの開発を狙いとした新プログラム、「自律ロボット操作(Autonomous Robotic Manipulation:ARM)」を開始した。DARPAは設立早期から危険な軍事任務を行うロボットの開発に投資してきたが、依然としてかなりの人的操作が必要されているという。ARMプロジェクトにおいて開発されるロボットは、基本的にロボットが自ら行動し、操作者による高度な監督のみを必要とするものになるという。 InformationWeek “DARPA Developing Autonomous Robots” (08/25/10)

ペンシルバニア州立大学を中心とする研究チーム、省エネビルの設計研究で助成金を獲得

ペンシルバニア州立大学(Pennsylvania State University)を中心とするチームが、エネルギー・イノベーション・ハブ(Energy Innovation Hub)の設立を目的として、エネルギー省から今後5年間で最高1億2,200万ドルの補助金を受けることが決定した。エネルギー・イノベーション・ハブでは、省エネビルのコンポーネントやシステムおよびモデルの研究開発・実証が、産学官連携で行われることになる。エネルギー省は、エネルギー・イノベーション・ハブプログラムより、原子炉のモデリングとシミュレーション(5月)、太陽光からの燃料開発(7月)の2回の助成をこれまでに行っており、本件は本年度で3件目の助成となる。 Department of Energy “Penn State to Lead Philadelphia-Based Team that will Pioneer New Energy-Efficient Building Designs” (08/24/10)

オバマ政権、ES細胞に関する連邦地裁の仮差し止め命令を受け控訴へ

オバマ政権は8月24日、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の研究助成に関して政権が定めたガイドラインは違法であるとして仮差し止め命令を出した連邦地裁の裁定に控訴する意向であることを明らかにした。一方、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の担当官は裁定を受け、現在実施中の研究は継続できるが、仮命令が支持された場合、9月末までに予定されている22件の科学プロジェクトへの助成(5,400万ドル)が停止に追い込まれると述べた。司法省の担当官は、控訴の間は差し止め命令を解除することを裁判所に要請するとしている。 The New York Times “Stem Cell Ruling Will Be Appealed” (08/24/10)

米国のエネルギー消費総量は減少、再生可能エネルギー利用が加速化

ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory:LLNL)が発表したエネルギー消費量のフローチャートによれば、2009年の米国のエネルギー消費量(試算)は94.6千兆BTUで、これは2008年の99.2千兆BTUから低下した。また、2009年は、石炭・石油の消費量が大幅に減少したのに対し、風力の消費量が大幅に増加している。LLNLのエネルギーシステム・アナリストは、「エネルギー消費量は経済活動レベルに追随する傾向があるが、経済活動レベルは昨年低下しており、省エネ効果が高い電化製品や自動車の導入によりエネルギー消費量がさらに削減された」との見解を述べている。 ScienceDaily “Americans Using Less Energy, More Renewables” (08/24/10)

バイデン副大統領、景気回復法がイノベーションにもたらした効果に関する報告書を発表

ジョー・バイデン副大統領(Joe Biden)は8月24日、新報告書「景気回復法:イノベーションを介した米国経済の変革」を発表した。同報告書によれば、景気回復法によって全米各地の科学技術イノベーションプロジェクトに1,000億ドルが投資され、これは経済を変革し雇用を創出しているだけでなく、科学技術の大幅な進展助長、消費者の経費削減や米国の競争力維持に貢献しているという。また、①2015年までに太陽光発電のコストを半減する、②2009年から2015年の間に、電気自動車用電池のコストを70%削減する、③2012年までに米国の再生可能エネルギー発電能力と再生可能製造能力を2倍にする、④5年間で個人のヒトゲノム解析のコストを1,000ドル未満にする、という4つの主要なイノベーション目標が順調に進んでいるという。 U.S. Department of Energy EERE News “Vice President Biden Releases Report on Recovery Act Impact on Innovation” (08/24/10)

連邦地裁判事、「NIHによるES細胞研究への助成は違法」との裁定

連邦地方裁判所のロイス・ランバース判事(Royce C. Lamberth)は8月23日、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)による新ガイドラインの下でのヒト胚性幹細胞(ES細胞)研究助成は、ヒト受精卵を破壊する実験に公的資金を使うことを禁じた連邦法に違反するとして、これを禁止する仮差し止め命令を出した。新ガイドラインはオバマ政権による科学政策の中で注目を浴びていたものだけに、仮差し止めは政権やES細胞研究の支持派に打撃となっている一方、同研究の反対派は裁定に強い支持を表明している。 The Washington Post “NIH cannot fund embryonic stem cell research, judge rules” (08/24/10)