Category:その他
トランプ関税 世界経済に激震
アクシオス(Axios)は11月18日、トランプ大統領の関税政策による世界経済への影響が大きいと報じた。日本経済は第3四半期に年率換算で約2%縮小し、スイスも同期間に国内総生産(Gross Domestic Product: GDP)が0.5%減少するなど、影響が拡大しているという。主な要因は、米国市場への輸出鈍化で、日本では自動車輸出が減少し、スイスでも時計やチョコレートの輸出が急減している。中国は、これまで輸出と積極的な投資で消費者の需要低迷を補ってきたが、10月の輸出は1%以上減少、関税により輸出も投資も落ち込み、経済が弱体化しているとの報道がある。記事は、各国による関税の一部引き下げに合意も、依然としてトランプ政権以前の水準より高く、世界経済にさらに圧力をかけ続ける可能性があると伝えている。また、これらの貿易協定も再び破綻する可能性があり、中国に関しては米国との貿易協定に基づく大豆の購入を調整しているとも指摘した。 Axios “Trump’s tariffs hit the global economy” (11/18/25) https://www.axios.com/2025/11/17/trump-tariffs-ai-china-japan
NIH人事、外部専門家排除で選考プロセスに懸念
サイエンス誌(Science)は11月14日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)による指導部ポストの選考方式について懸念が広がっていると報じた。NIHは27研究所・センターのうち13カ所の所長職を含む多数の指導部ポスト欠員を埋めようと動いているが、従来の選考委員会方式から逸脱しているという。過去1週間の11のポストにおける求人応募期間はわずか2週間であることに加え、外部科学者の関与が見られず、これは9月初旬から開始された国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health: NIMH)とNIH臨床センター(NIH Clinical Center)所長職の従来の選考プロセスとは異なっている。これまでは専門家による選考委員会が、縁故採用を防ぐ役割を果たしてきたと指摘したが、10月にはジャヤンタ・バタチャリヤNIH所長(Jayanta Bhattacharya)が環境健康科学研究所の所長を、JD・バンス副大統領の親しい友人である神経疫学者に突然交代させた事例が起きており、記事は同学者について、経験に乏しいとも指摘している。 Science “Is NIH cutting corners as it rushes to fill leadership positions?” (11/14/25) https://www.science.org/content/article/nih-cutting-corners-it-rushes-fill-leadership-positions
国防総省は公共アクセスが可能な情報のセキュリティリスクに対処が必要 GAO提言
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は、11月17日に発表した報告書の中で、デジタル革命により、軍人及びその家族や作戦について追跡可能な膨大な量のデータが存在すると警告した。これらの「デジタル足跡(digital footprints)」を集約すると、軍人及びその家族、作戦、ひいては国家安全保障の脅威となり得る。国防総省(Department of Defense)は、公共で利用可能なデータの脅威は増大しているとしており、軍人にそのリスクの情報を伝える策を講じている。GAOは、政策やガイダンスの評価、リスク削減のための協力、デジタル環境に関する訓練の提供等、国防総省に対して12の勧告を提示している。 Government Accountability Office “Information Environment: DOD Needs to Address Security Risks of Publicly Accessible Information” (11/17/25) https://www.gao.gov/products/gao-26-107492
宇宙軍、「2025年ベクター」を発表
米宇宙軍(United States Space Force)は11月14日、「宇宙軍2025年ベクター(Space Force Vector 2025)」を発表した。「ガーディアンズ」と呼ばれる宇宙軍所属隊員が、宇宙軍を形成する主要なガイダンスやイニシアチブ、概念を結びつけられるよう統一的な参照文書となる。2025年ベクターは、計画や戦略ではなく、宇宙軍が今後成熟していく中で維持すべき方向性や勢いを概説したもので、宇宙作戦担当司令官(Chief of Space Operations)のチャンス・サルツマン大将(Chance Saltzman)はこれを「ベクター」と称している。本文書は宇宙軍による形成上の目的(formative purpose)と成功理論(theory of success)を同期化させるもので、宇宙優位性を維持し、先制的で責任ある作戦を通じて衝突を抑止することを狙いとした手法である。加えて、宇宙戦力の構築・準備・導入を構造化した宇宙軍レベルの活動として、勢力の設計(Force Design)・勢力の開発(Force Development)、勢力の生成(Force Generation)、勢力の導入(Force Employment)について概説している。 United States Space Force “Space Force releases Vector 2025” (11/14/25) https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/4331082/space-force-releases-vector-2025/
国防次官(研究・工学担当)、国防総省にとって重要な6つの技術分野を発表
エミル・マイケル国防次官(研究・工学担当)(Emil Michael, Under Secretary of Defenses for Research and Engineering)は、米国の軍事的優位性の未来を定義する6つの重要技術分野(Critical Technology Areas: CTA)を発表した。6つのCTAは、研究・工学の最先端において、兵士に迅速で具体的な成果をもたらし、米国が世界で最も破壊力のある存在であり続けることを確実にすることを意図する。6つのCTAは、①応用人工知能(Applied Artificial Intelligence: AAI)、②バイオ製造(Biomanufacturing: BIO)、③紛争下の物流技術(Contested Logistics Technologies: LOG)、④量子及び戦地情報支配(Quantum and Battlefield Information Dominance: Q-BID)、⑤拡張型指向性エネルギー(Scaled Directed Energy: SCADE)、⑥拡張型極超音速(Scaled Hypersonics: SHY)で、現代の戦地で直面する最も急務な課題に対処するものである。これらの技術分野は、あらゆる場面で、兵士が敵対者による脅威を克服し、作戦上の優位性を維持する一助となると期待されている。 Department of Defense “Under Secretary of War for Research and Engineering Emil Michael Announces Six Critical Technology Areas for the War Department” (11/17/25) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4333074/under-secretary-of-war-for-research-and-engineering-emil-michael-announces-six/
スパコン性能のトップ500リスト、「エル・キャピタン」が首位を維持
11月17日、スパコン性能ランキング「トップ500(TOP500)」(第66版)が発表され、ローレンスリバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)の「エル・キャピタン」(El Capitan)システムが世界最速の座を維持した。エル・キャピタンのHPLベンチマークは1.809エクサフロップス(Exaflop/s)と、世界最速コンピュータとしての地位を維持した。一方、欧州では、ドイツのユーロHPC/ユーリッヒ・スーパーコンピューティングセンター(EuroHPC/Jülich Supercomputing Centre)の「ジュピター・ブースター(JUPITER Booster)」が世界で4件目、米国以外では初となるエクサスケール・システム(1,000エクサフロップスを達成)となった。日本の富岳は7位(アジアで1位)である。別のベンチマークであるHPCGベンチマーク(HPCG benchmark)では、エル・キャピタンが1位(17.41HPCGペタフロップス)、富岳は2位(16HPCGペタフロップス)であった。 Top 500 “El Capitan Retains #1 as JUPITER Becomes Europe’s First Exascale System in the 66th TOP500 List” (11/17/25) https://top500.org/news/el-capitan-retains-1-as-jupiter-becomes-europes-first-exascale-system-in-the-66th-top500-list/
エネルギー省、重要鉱物・マテリアルの国内生産拡大に3億5,500万ドル
エネルギー省(Department of Energy)は11月14日、米国エネルギーの生産・製造・輸送・国家防衛の進展に欠かせない重要マテリアルの国内生産拡大を目的として、2件の資金提供通知(notice of funding opportunity: NOFO)(合計3億5,500万ドル)を発表した。1つは、米国内の産業拠点で既存の産業副産物及び廃棄物と石炭ベースの副産物から鉱物を生産する施設に最大2億7,500万ドルを提供する「鉱業及び金属能力拡大(Mines & Metals Capacity Expansion)」と題するNOFOである。もう一つのNOFOは「未来の鉱山-実証試験イニシアチブ(Mine of the Future-Proving Ground Initiative)」と題し、次世代の採鉱技術を実際の環境で試験するための実証試験場「未来の鉱山(Mine of the Future)」を設立するため、最大8,000万ドルを提供する。 Department of Energy “Energy Department Announces $355 Million to Expand Domestic Production of Critical Minerals and Materials” (11/14/25) https://www.energy.gov/articles/energy-department-announces-355-million-expand-domestic-production-critical-minerals-and
AAU、米国の有力研究大学による経済効果を発表
米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は11月14日、AAUに加盟する米国69大学による経済効果及び価値に関する最新の数値を発表した。それによれば、69大学は、2024年に64万5,000件以上の学位を授与した。これには、36万1,273件の学士号と米国内で授与された研究博士号(科学・工学分野)全体の半分が含まれる。また、2024年現在、4,500社以上のスタートアップ社がAAU加盟大学発の研究を市場化させており、2024年だけでAAU加盟大学の研究によって約5,000件の特許が付与され、592社のベンチャー企業が誕生した。さらに、AAU加盟大学は、2023年には連邦政府による競争的な研究資金382億ドルを獲得しており、これは同年に連邦政府が米国大学に授与した研究資金全体の64%に相当する。 Association of American Universities “New Data Show Outsized Economic Impact and Value of America’s Leading Research Universities” (11/14/25) https://www.aau.edu/newsroom/leading-research-universities-report/new-data-show-outsized-economic-impact-and-value
AIに関する専門家の予測調査結果
予測研究所(Forecasting Research Institute)は先般、「縦断的専門家AIパネル:AIの能力と普及と影響に関する専門家の見解(The Longitudinal Expert AI Panel: Understanding Expert Views on AI Capabilities, Adoption, and Impact)」と題する報告書を発表した。同研究所は2025年6月に縦断的専門家AIパネル(Longitudinal Expert AI Panel: LEAP)を開始し、①AIの進展に関するハイレベル予測、②科学的発見へのAIの応用、③AIの普及と社会的影響、の3つのテーマについて月次調査を行い、専門家、歴史的により精度の高い予測を行う超予測者、一般市民の間で定量化された考え方を比較した。その結果、顕著なパターンとして、①専門家は2040年までにAIが短期的な大きな社会的影響をもたらすと予測、②専門家の予測には大幅な見解の相違と不確実性がある、③中央値の専門家は、先進的なAI研究所の高名なリーダーよりも、遥かに緩やかな進展を予測、④専門家は一般市民よりも、多くの成果でより早い進展を予測、⑤専門家と超予測者の見解は概ね一致、の5点が挙げられるとしている。 Forecasting Research Institute “The Longitudinal Expert AI Panel Understanding Expert Views on AI Capabilities, Adoption, and Impact” (November 2055) https://static1.squarespace.com/static/635693acf15a3e2a14a56a4a/t/6911df98386b4e258c4cd4e5/1762779032257/the-longitudinal-expert-ai-panel.pdf 参考:https://www.hpcwire.com/2025/11/13/new-forecasting-study-gauges-expert-expectations-for-ai/
過去最長の政府閉鎖が終了するも科学関連省庁は業務滞積に直面
44日間という過去最長となった連邦政府の閉鎖は11月12日夜に終了したが、大学の研究資金や連邦科学局の職員には顕著な影響が残っている。連邦科学関連省庁では、職員の多くが一時帰休となり、大学への研究活動グラント資金の追加提供や連邦政府内の研究活動が中断された。米国科学財団(National Science Foundation: NSF)のブライアン・ストーン長官代理(Brian Stone)は職員に向けて、「これから数日間は助成を再開させることを優先し、保留となっている募集や委員会、渡航の審査再開には数週間を見込んでいる」と通達した。国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)では史上初となる職員の一時帰休が実施された一方、トランプ政権は国防総省(Department of Defense)の研究資金90億ドル以上を政府閉鎖期間中の軍人への給与支払いに充当した。前年度に助成金の給付が終了し、新年度(10月1日~)に更新が予定されていた一部の助成金受益者にとっては、事態は更に複雑となっている。 AIP “Science Agencies Face Backlogs Following Record-long Shutdown” (11/14/25) https://www.aip.org/fyi/science-agencies-face-backlogs-following-record-long-shutdown