Category:その他
NNSA、トリチウム抽出で過去最多を記録
国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)は、2025~2026年度にかけての9カ月間に13回のトリチウム抽出を達成し、重要な節目を記録した。トリチウムは水素の同位体であり、核兵器の重要な要素である。NNSAは、「今回の達成により、米国の国家安全保障と、抑止ミッションの戦略的準備体制が大幅に強化される」と発表した。サバンナリバー・トリチウム・エンタープライズ(Savannah River Tritium Enterprises: SRTE)は、サバンナリバー原子力ソリューションズ(Savannah River Nuclear Solutions)がNNSAから委託を受けて運営している施設で、米国内で唯一、核兵器用トリチウムの抽出・再利用・精製・再装填できる施設である。トリチウム抽出のこれまでの記録は、2022~2023年度にかけての12か月で8回であった。 NNSA “NNSA sets record for tritium extractions” (01/23/26) https://www.energy.gov/nnsa/articles/nnsa-sets-record-tritium-extractions
エネルギー省、変革的技術の開発に3,000万ドル
エネルギー省(Department of Energy)のエネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)は1月22日、3件のプログラムで3,000万ドルの助成金を発表した。1つ目は、画期的なエネルギー貯蔵技術の試験を目的とした「1キロワット時(kWh)エネルギー貯蔵システムによるエネルギー貯蔵分野の主導権確保へ向けたジャンプスタート機会(Jumpstart Opportunities to Unleash Leadership in Energy Storage with 1K Energy Storage Systems: JOULES-1K)」プログラムのフェーズ2として、6件のプロジェクトに約1,500万ドルを提供する。2つ目は、エネルギー損失を防ぐ窓技術の開発を通じてエネルギーの無駄の削減を目的とした「先端の超断熱ガラスの飛躍促進(Galvanizing Leaps in Advanced Super Insulating Glass: GLASING)」プログラムの下、4件のプロジェクトに500万ドルを提供する。3つ目は、エネルギー・イノベーターの早期キャリア支援を目的として、「2025年エネルギー技術に影響を及ぼす新世代イノベーターの意欲付け(Inspiring Generations of New Innovators to Impact Technologies in Energy 2024: IGNIITE 2025)」の下、エネルギー・イノベーターとして早期キャリアにある18名に最大1,000万ドルを提供する。 ARPA-E “U.S. Department of Energy Announces $30 Million to Develop Transformative Technologies” (01/22/26) https://arpa-e.energy.gov/news-and-events/news-and-insights/us-department-energy-announces-30-million-develop-transformative-technologies
エネルギー省、830億ドル以上の条件付き融資誓約を再編・改定・廃止
エネルギー省(Department of Energy)は1月22日、エネルギー支配融資局(Energy Dominance Financing: EDF)が、バイデン前政権による融資ポートフォリオから環境に関する融資や条件付き融資誓約(合計830億ドル以上)を再編・改定・廃止していると発表した。これは、前政権による1,040億ドル(元本額)の融資義務に関して行われた1年間の見直しを受けて実施されたものである。EDFは旧「融資プログラム局(Loan Programs Office: LPO)」の新名称で、これまでに、政府助成を受けた約95億ドルの風力及びソーラープロジェクトを廃止し、それらを天然ガス及び原子力エネルギーの改良に投資した。また、バイデン前政権による1,040億ドル(元本額)の融資義務のうち、約300億ドルが解除済みまたは解除の過程にあり、530億ドルが見直しの対象になっている。 Department of Energy “Energy Department Reins in Over $83 Billion in Biden-Era Loans and Conditional Commitments” (01/22/26) https://www.energy.gov/articles/energy-department-reins-over-83-billion-biden-era-loans-and-conditional-commitments
NIH助成研究におけるヒト胎児組織の使用を終了
国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は1月22日、NIH助成を受ける研究でヒト胎児組織の使用を終了するとする新方針を発表した。方針は即時発効され、今後はNIH助成金を選択的中絶によるヒト胎児組織を利用する研究実施に充当することはできない。この方針は、NIHの内部研究プログラム及びNIHが支援する外部研究に適用され、助成金だけでなく、共同研究や研究開発契約等も含まれる。NIHの支援を受けた研究でヒト胎児組織を使用したプロジェクトは2019年以来一貫して減少しており、2024年度はわずか77件であった。 National Institutes of Health “NIH Announces Major Policy Shift to End Use of Human Fetal Tissue in NIH-Supported Research” (01/22/26) https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-announces-major-policy-shift-end-use-human-fetal-tissue-nih-supported-research
PNNL、既存及び予測されるデータセンターをマッピング
パシフィックノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory)の研究者は、既存のデータセンター及び今後予想される新規のデータセンターの所在地の全国的分布を示したマップ「データセンター・アトラス(Data Center Atlas)」を開発した。同マップは、利用者が無料でダウンロードできる公共ツールである。プロジェクトチームは、データセンターに関するオープンソースのデータを収集し、それらを統合して、米国内のデータセンターの所在地をストリートレベルで示す地図を作成した。加えて、高速インターネット用光ファイバーや電力、水など、データセンターの立地に重要な支援インフラを重ね合わせた。アトラスのユニークな点は、現在のデータセンターの所在地を確認できるだけなく、今後、新たなハイバースケール・データセンターが建設されそうな可能性が高い地域を示す予測機能があることである。 PNNL “Mapping the Future of Data Centers: A New Public Tool Illuminates What’s Next” (01/21/26) https://www.pnnl.gov/publications/mapping-future-data-centers-new-public-tool-illuminates-whats-next
エネルギー省、米国産業イノベーションの進展に1億5,500万ドル
エネルギー省(Department of Energy)の重要鉱物及びエネルギーイノベーション局(Office of Critical Minerals and Energy Innovation)は1月22日、国立研究所が米国産業の競争力と効率性の向上につながる技術を開発する能力を強化するため、16件のプロジェクトを選出したと発表した。受益プロジェクトは、エネルギー集約型産業及び分野横断型技術の2つの分野で産業重要課題に対処する。受益プロジェクトの一例として、①ローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)によるデータセンター冷却用テストベッド・ネットワークの形成や、②国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory)及びパートナー機関による、革新的な産業用燃焼システムの開発加速を目的として業界が利用できるテストベッド施設の設立及び運営等が含まれる。 Department of Energy “Energy Department Announces $155 Million to Advance American Industrial Innovation” (01/22/26) https://www.energy.gov/cmei/articles/energy-department-announces-155-million-advance-american-industrial-innovation
EV充電管理で設備更新の10年延期も可能に ブラトル・グループ
大手コンサルティング企業のブラトル・グループ社(The Brattle Group)は1月、電気自動車(EV)への充電管理ソリューション導入により、電力システム全体のコストを1台あたり年間最大400ドル削減できるとの調査結果を発表した。エネルギーハブ社(EnergyHub)のソリューションを用いた実証実験によると、アルゴリズムによる最適な電力制御により充電ピークを最大55%削減することができ、既存の配電網におけるEV台数の受け入れ能力を最大3.2倍に引き上げることがわかった。これにより、電力会社は高額なインフラ整備を最大10年間延期することが可能になり、EV利用者のみならず全ての電気料金負担者に大きな経済的メリットをもたらすという。従来の時間帯別料金制度では、割安な時間帯に需要が集中する「スナップバック現象(Snapback Effect)」が課題であったが、新システムは負荷を平滑化しつつ、利用者が希望する充電量を100%確保できる。同社は、この技術がEV普及下での電力負担対応に極めて重要な役割を果たすと説明している。 The Brattle Group “Demonstrating the Full Value of Managed Electric Vehicle Charging” (01/2026) https://www.brattle.com/wp-content/uploads/2026/01/Demonstrating-the-Full-Value-of-Managed-Electric-Vehicle-Charging.pdf 参照記事: Utility Dive “Managed EV charging can save utilities and ratepayers money: report” (01/21/26) https://www.utilitydive.com/news/utilities-that-actively-manage-ev-charging-can-expand-hosting-capacity-red/810148/
国防総省、中小企業向けプログラムの大規模見直しに着手
NEXTGOV/FCWは1月22日、国防総省(Department of Defense)がDEI(多様性・公平性・包摂性)関連とされる中小企業向け8(a)プログラムの契約を全面的に見直し、数十億ドル規模の契約削減に乗り出したと報じた。ピート・ヘグセス国防長官(Pete Hegseth)は、2,000万ドル以上の全8(a)契約を対象に、軍事力強化への貢献度を示す「致死性」基準による審査を実施すると発表した。同長官は、数十年の歴史を持つ中小企業庁(Small Business Administration: SBA)のこのプログラムを「詐欺の温床」と批判し、「DEIという人種に基づく契約」と指摘した。同省は他省庁の10倍にあたる8(a)契約を利用しており、2025年度には単独調達で97億ドル、競争入札で58億ドルの契約を締結していた。この見直しに対し同長官は「中小企業を傷つけるものではなく、21世紀の脅威に対応する調達システムへの変革の一環」であると説明した。審査では、戦争遂行能力への貢献度と、実際に業務を遂行する企業への直接発注かどうかの2点を重点的に確認するという。 NEXTGOV/FCW “Pentagon launches wide 8(a) review, targeting billions in awards” (01/22/26) https://www.nextgov.com/acquisition/2026/01/pentagon-launches-wide-8-review-targeting-billions-awards/410857/?oref=ng-skybox-hp
安全保障審査で差別防止策の評価を勧告 GAO報告書
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は1月21日、研究資金の安全保障審査において、中国系やアジア系研究者への差別を防ぐための保護措置を連邦政府機関が評価すべきとする報告書を発表した。国防総省(Department of Defense)、エネルギー省(Department of Energy)、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の5機関は、外国、特に中国からの影響に対処する研究安全保障プロセスを実施しているが、差別防止のための5つの保護措置の導入状況にばらつきがあることが判明した。これを受け、NASAとNSFに対しリスク軽減プロセスの文書化を、5機関すべてに対して現在の保護措置が差別防止に十分かどうかの評価を行うよう、計7つの勧告を行った。NASAとNIHは勧告に同意し、NSFは検討すると回答したが、エネルギー省は差別禁止を確保した独自プロセスがあると反論した。国防総省はコメントを控えた。 GAO “Research Security:Agencies Should Assess Safeguards Against Discrimination” (01/21/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107544
米国、EU不参加でAIサプライチェーン確保へ新たな同盟構築
ベルギーのメディア、サイエンス・ビジネス(Science Business)は1月15日、米国が主導する人工知能(AI)のサプライチェーン確保に向けた技術同盟「パックス・シリカ(Pax Silica)」から欧州連合(EU)が外れていると報じた。中国を回避する目的で設立されたこの同盟には、日本、韓国、シンガポール、イスラエル、カタール、英国、アラブ首長国連邦らが参加しており、2月にはインドも加わる見込みであるが、半導体製造において重要なASML社の本拠地オランダを含め、EU全体が不参加となる見込みであるという。不参加に関する詳細は明らかになっていないが、国務省(Department of States)は、AI規制に関する方針の違いを指摘している。米国はAI技術規制を緩和する一方、EUは包括的なAI法を成立させている。またEUが米国の武力によるグリーンランド占領の可能性に危惧しており、関係は歴史的な低水準にあるという。これらを踏まえ、米国の地政学的姿勢やEUとの他の外交問題も絡み、EUが参加を見送った可能性があると記事は分析している。 Science Business “US creates tech alliance to secure AI supply chain, without the EU” (01/15/26) https://sciencebusiness.net/news/international-news/us-creates-tech-alliance-secure-ai-supply-chain-without-eu