エネルギー省、送電網強化に19億ドル投資 電気料金削減へ

エネルギー省(Department of Energy)は3月12日、電力系統の改修整備加速に向け、約19億ドルを投入すると発表した。「送電線強化とその他主要先進送電技術の改修整備による電力供給の高速化(Speed to Power through Accelerated Reconductoring and other Key Advanced Transmission Technology Upgrades: SPARK)」プログラムを通じて、既存送電線をより高容量の導体に交換し、先進送電技術(Advanced Transmission Technologies: ATTs)を導入する。送電容量の拡大や運用効率の向上を図り、電気料金引き下げを目指す大統領令に沿った取り組みで、5年間で最大105億ドルの助成を提供してきた「送電網レジリエンス・イノベーション・パートナーシップ(Grid Resilience and Innovation Partnerships: GRIP)」プログラムを継承したものである。既存の用地権を活用しながら迅速な技術展開を進めるとし、計画案の提出期限は4月2日、本申請は5月20日で、8月に選定を行う予定としている。 Department of Energy “Energy Department Announces $1.9B Investment in Critical Grid Infrastructure to Reduce Electricity Costs” (03/12/26) https://www.energy.gov/articles/energy-department-announces-19b-investment-critical-grid-infrastructure-reduce-electricity

ニューヨーク州知事、気候変動対策の目標期限を延期 コスト上昇で方針転換

ポリティコ誌(Politico)は3月11日、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(Kathy Hochul)が、エネルギー価格の高騰などを理由に、同州が掲げる野心的な気候変動対策法の目標達成期限を延期し、法改正を目指す意向を示したと報じた。ホークル知事は、2019年に制定された同法がインフレなどの厳しい経済状況を反映していないと指摘しており、裁判所からの排出量取引プログラム規制策定命令への対応が迫る中、このまま実行すれば各家庭に年間数千ドルの追加負担を強いることになると懸念を表明している。こうした背景から、同知事は4月に期限を迎える州予算案の中でスケジュールの見直しを図る構えであるが、民主党の進歩派議員や環境保護団体は、不透明な予算編成プロセスでの法改正に強く反発している。記事はこの方針転換について、物価高に直面する中、州知事が環境保護よりも住民の生活費負担軽減を優先し、気候変動政策を現実路線へと再調整する姿勢を明確に示したものと伝えている。 Politico “Hochul backs off New York’s aggressive climate timeline” (03/10/26) https://www.politico.com/news/2026/03/11/hochul-backs-off-new-yorks-aggressive-climate-timeline-00823278

長期蓄電導入は大幅増も、リチウムイオン電池との競争激化で先行き不透明

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は3月10日、2025年世界の長期エネルギー貯蔵(Long Duration Energy Storage: LDES)の導入量が前年比49%増を記録したと報じた。ウッドマッケンジー社(Wood Mackenzie)の報告書によると、中国の強力な政策支援が導入増を牽引したが、LDESは蓄電市場全体の6%にとどまった。背景にはリチウムイオン電池との競争激化や投資環境の悪化があり、LDES技術の先行きは不透明という。価格低下が進むリチウムイオン電池の台頭に加え、高金利などの影響によりLDESへの投資は減少傾向にあり、世界の資金調達額も30%減少した。ただハイドロスター社(Hydrostor)の圧縮空気蓄電施設や、フォーム・エナジー社(Form Energy)の技術を利用するグーグル社(Google)の事業など一部のプロジェクトは商業化へ向けて進展しているとし、報告書は、脱炭素化の達成にLDESが不可欠であり、継続的な政策支援が今後の普及の鍵となると指摘している。 Utility Dive “Long-duration energy storage deployments rose 49% in 2025: WoodMac ” (03/10/26) https://www.utilitydive.com/news/long-duration-energy-storage-deployments-rose-49-in-2025-woodmac/814336/

大統領府、国立大気研究センター解体へ 関係機関に懸念の声

サイエンス誌(Science)は3月10日、大統領府が国立大気研究センター(National Center for Atmospheric Research : NCAR)の解体計画を進めていると報じた。「気候危機煽動」を理由に行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が解体を指示し、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が引き継ぎに向けた管理権の入札を開始している。現在、ワイオミング大学(University of Wyoming: UW)がスパコンセンターを、オクラホマ大学(University of Oklahoma)などが研究所の一部を引き継ぐ案を提出している。同センターは気象・気候研究の中心機関で、最近では国家気象局(National Weather Service: NWS)がそのモデルを採用するなど評価が高まり、アメリカ気象学会(American Meteorological Society: AMS)は「気象観測事業の要だった」と危機感を示している。コロラド州では民主党色が強いという政治的背景との関連も指摘されており、議会ではこの移転が気象予報に与える影響を報告するようNSFに求める法案が可決されるなど、今後も議論が続くと見られる。 Science “White House plan to break up iconic U.S. climate lab moves forward” (03/10/26) https://www.science.org/content/article/white-house-plan-break-iconic-u-s-climate-lab-moves-forward

NTIA、AI対応無線通信網開発 イノベーション基金を活用

国家電気通信情報局(National Telecommunication and Information Administration: NTIA)は3月10日、無線通信分野のイノベーション基金を活用し、人工知能(AI)対応の無線アクセスネットワーク(Radio Access Networks: RAN)開発に集中すると発表した。トランプ大統領が掲げるAI行動計画(AI Action Plan)による米国主導のAI技術発展促進を目的とするもので、議会承認を得て2023年から開始していた公共無線サプライチェーン・イノベーション基金(Public Wireless Supply Chain Innovation Fund)を、AI技術を活用した通信イノベーション支援へ切り替え、この技術の輸出を促進していく。3月23日にパブリック・リスニング・セッションを開催し、関係者や一般市民から意見を聴取する予定で、これに伴い第3回資金供与機会通知(Notice of Funding Opportunity: NOFO)での助成は実施しないことも明らかにした。詳細は同局のウェブサイト、NTIA.govで確認できる。 NTIA “NTIA Seeks Feedback on New Direction for Innovation Fund that Focuses on AI RAN” (03/10/26) https://www.ntia.gov/blog/2026/ntia-seeks-feedback-new-direction-innovation-fund-focuses-ai-ran

空軍、次世代攻撃兵器の追加製造先を募集

ディフェンスニュース(DefenseNews)は3月10日、空軍が次期戦闘機F-47や爆撃機B-21レイダー(B-21 Raider)向けスタンドイン攻撃兵器(Stand-in Attack Weapon: SiAW)と同等システムの追加生産能力を持つ製造企業を募集していると報じた。イランへの軍事作戦による弾薬備蓄の懸念から生産拡大が急務とし、3月19日までの回答を求めている。SiAWは防空網を迅速に破壊する超音速ミサイルで、既にノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman)が開発契約を獲得しているが、空軍は新たに射程の延長や周波数切り替える敵レーダーを標的にする高度なシーカー(追尾)能力や耐妨害機能を備えた高精度の慣性航法システム(GPS/INS)、電子戦対抗手段(Electronic Counter-countermeasures: ECCM)、再攻撃能力などを備えた兵器の年間最大600発の生産体制を求めている。2030年の初回量産引き渡しを目指しており、F-35やボーイング社(Boeing)の次世代航空支配(Next-Generation Air Dominance)戦闘機であるF-47への搭載を想定している。 DefenseNews “US Air Force seeks sources for Stand-in Attack Weapon compatible with F-47, B-21” (03/10/26) https://www.defensenews.com/air/2026/03/09/us-air-force-seeks-sources-for-stand-in-attack-weapon-compatible-with-f-47-b-21/

EPA、エナジースター・プログラムをエネルギー省に移管

ユーティリティ・ダイブ(Associated Press)は3月10日、エナジースター(Energy Star)プログラムの運営が環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)からエネルギー省(Department of Energy)へ移管されることで、業界団体が安定した運営を期待していると報じた。両機関の間で3日に締結された合意により、ITシステムなどを90日間で移管する。同省は家電基準プログラムを管理していることから、家電製品製造者協会(Association of Home Appliance Manufacturers : AH AM)は今回の移行を「自然な流れ」と評価した一方、米国グリーンビルディング協会(U.S. Green Building Council: USGBC)は移行過程での透明性と監督強化を求め、連携組織や議会への情報提供の重要性を強調した。EPAと同省は大幅な人員削減を行い、プログラム運営にも影響が及んでいることに加え、トランプ政権による2026年度歳出案では大気浄化部門の資金削減が提案されたが、議会は同プログラムへ3,300万ドルを確保し、削減を禁じる条項を盛り込んでいる。 Utility Dive “Energy Star is moving to DOE. Industry groups are hopeful.” (03/10/26) https://www.utilitydive.com/news/energy-star-is-moving-to-doe-industry-groups-are-hopeful/814283/

カリフォルニア州控訴裁、太陽光買い取り価格引き下げを支持

ユーティリティ・ダイブ(Associated Press)は3月10日、カリフォルニア州第1控訴裁判所が、住宅用太陽光発電の電力買い取り価格を大幅に引き下げる同州の新料金制度、ネットメータリング3.0(Net Energy Metering: NEM 3.0)を支持する判決を下したと報じた。生物多様性センター(Center for Biological Diversity)などの3つの環境団体がカリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utilities Commission: CPUC)を相手取り提訴したもので、長期に亘り、法的争いが続いていた。新たな料金体系が再エネの社会的利益を十分に考慮せず、恵まれない地域への代替案を提供する法的義務も満たしていないという原告側の訴えを、同控訴裁は2023年に一度退けたが、その後同州最高裁判所が訴えを認めて審理を差し戻した経緯がある。同制度導入後、住宅用太陽光発電販売が前年比85%減少したとする業界団体の調査もある中、控訴裁は委員会の決定は法律に則ったものとし、原告側に対し、主張を裏付けるための具体的な説明が不十分であるとの判断を下した。 Utility Dive “Appeals court upholds California’s net metering 3.0” (03/10/26) https://www.utilitydive.com/news/appeals-court-upholds-californias-net-metering-30/814307/

グーグル社など新連合設立 送電網の空き容量を活用し電力料金抑制へ

企業連合のユーティライズ(Utilize)は3月10日、送電線の空き容量を活用し、電力需要の増加に対応しながら電気料金を引き下げる活動を開始したと発表した。グーグル社(Google)やテスラ社(Tesla)、空調サービス大手のキャリア社(Carrier)などが参画し、人工知能(AI)の普及などで高騰する電気料金の抑制を目指す。同連合のイアン・マグルーダー事務局長(Ian Magruder)によると、既存の送電網は平時に約半分しか稼働しておらず、蓄電技術などでこの空き容量を有効活用すれば巨額のインフラ投資を回避できるという。また、このシステム改善によって消費者は10年間で最大1,800億ドルを節約できるとするブラトル・グループ(The Brattle Group)による調査も近日中に発表する予定で、同連合はすでにバージニア州において、送電網の稼働率指標化を電力会社に義務付ける全国初の法案可決を支援しており、今後は超党派の取り組みとしてこのモデルを全米へ展開していく方針である。 Utilize: “Carrier, Tesla, and Industry Leaders Launch Campaign to Lower Electricity Costs by Unlocking Underused Grid Capacity” (03/10/26) https://www.utilizecoalition.org/utilize-announcement 参照記事: Axios “Exclusive: Google, Tesla, others tackle energy affordability” (03/10/26) https://www.axios.com/2026/03/10/google-tesla-energy-costs-prices

太陽光発電、新規電源で5年連続首位 2025年は43GW導入

太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)は3月10日、2025年の太陽光発電導入が43ギガワット(GW)と、新規電源として5年連続で首位を維持したと発表した。ウッド・マッケンジー社(Wood Mackenzie)との共同報告書によると、昨年の新規電源容量の79%が太陽光と蓄電池で、導入された太陽光の3分の2以上が大統領選でトランプ大統領を支持した州に建設され、テキサス州が11GWで全米首位、インディアナ州やユタ州でも導入量が急増した。またクリーンエネルギーを標的とした規制や税制変更といった政策下でも、データセンターなどによる電力需要急増に迅速に対応できる電源として太陽光の経済性は依然強固であると指摘した。製造面ではウエハー製造施設の稼働により太陽光サプライチェーンの全主要部品の国内生産が可能になり、モジュール製造能力は前年比50%超増の65.5GWに達した。SEIAは、2036年までに490GWの新規導入を見込むも、貿易措置や許認可プロセスの動向次第で変動する可能性があると言及している。 SEIA “REPORT: U.S. Adds 43 GW of New Solar Capacity in 2025, Marking Fifth Straight Year as Top Source of New Power” (03/10/26) REPORT: U.S. Adds 43 GW of New Solar Capacity in 2025, Marking Fifth Straight Year as Top Source of New Power