次世代航空機の実証実験、全米26州で開始へ

運輸省(Department of Transportation)は3月9日、電動垂直離着陸機(Electric Vertical Takeoff and Landing: eVTOL)など次世代航空機を実用化するための大規模実証プログラムで、8つのプロジェクトを選定したと発表した。個人移動や地域交通、物流などの分野を変革する取り組みで、全米26州にまたがり都市型エアタクシー、地域旅客輸送、貨物物流、緊急医療対応など幅広い運用形態の実証実験を行い、得られたデータは連邦航空局(Federal Aviation Administration: FAA)が新たな規制を策定する際の基礎資料として活用される。FAAと共同で実施する同プログラムにはアーチャー社(Archer)などの主要航空機メーカーが参画し、ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(Port Authority of New York and New Jersey)はマンハッタンのヘリポートでのeVTOL旅客運航を、テキサス州運輸局(Texas Department of Transportation)はダラス、オースティン、サンアントニオを結ぶ地域間飛行を計画している。これら次世代航空機の実証運航は2026年夏までに開始される。 Department of Transportation “THE FUTURE OF AVIATION IS HERE: Trump’s Transportation Secretary Sean P. Duffy and FAA Unveil Eight Selections for Pilot Program Testing Next-Gen Aircraft in America’s Skies” (03/09/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/future-aviation-here-trumps-transportation-secretary-sean-p-duffy-and-faa-unveil

DARPA、実用規模の量子コンピュータ評価プログラム技術を募集

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は3月10日、2033年までに実用規模の量子コンピュータの実現を目指す「量子ベンチマーク・イニシアチブ(Quantum Benchmarking Initiative: QBI)」において、独自かつまだ評価を実施していない技術を新たに募集すると発表した。同プログラムは計算価値がコストを上回るアーキテクチャを厳密に見極めるもので、新設した「ステージA量子ベンチマーク・イニシアチブ・トピック(Stage A Quantum Benchmarking Initiative Topic: QBIT)」のもと、6カ月間に亘り、選出された技術のシステム構想と実現性を実証していく。2024年の同イニシアチブ開始以降、既に企業20社のアプローチが評価され、複数の組織が次段階へと進んでいるという。また同時に発表された人事で、ミカ・スタウティモア氏(Micah Stoutimore)が新たにマネージング・ディレクターに就任することも明らかにされた。同氏は2033年までの量子コンピューター実用化に向け、あらゆる道筋を検証していく考えを示している。 DARPA “The Standard Guidelines for Test and Evaluation of Counter-Unmanned Aircraft Systems Technologies” (03/10/26) https://www.darpa.mil/news/2026/qbi-stage-a-qbit

国防総省、対小型無人機システム評価の共通ガイドライン発表

国防総省(Department of Defense)は3月10日、小型無人機の脅威へ対抗するため、対小型無人航空機システム(Counter-Unmanned Aircraft Systems Technologies: C-sUAS)技術の試験と評価に関する共通基準ガイドラインを採用したと発表した。合同省庁タスクフォース401(Joint Interagency Task Force 401: JIATF 401)が導入したこの枠組みは、各軍や組織が独自の基準で収集していたデータを共通の評価基準や言語(用語)、形式に統一するもので、客観性かつ信頼性の高いデータ収集が可能になるという。これをベースとした情報を体系的に集約・統合し、実用的な解決策へつなげることで、戦地の部隊へ最新鋭の装備を遅滞なく提供する基盤が整うとし、JIATF-401は、技術イノベーションを大規模な運用につなげるには、規律ある試験体制の構築が不可欠であると強調した。さらに、今後は新基準のもとで重複する試験を排除しつつ、業界の研究開発を適切に導き、現場の隊員が信頼できる防衛装備の配備をさらに加速させていくと説明している。 Department of Defense “The Standard Guidelines for Test and Evaluation of Counter-Unmanned Aircraft Systems Technologies” (03/10/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4429866/the-standard-guidelines-for-test-and-evaluation-of-counter-unmanned-aircraft-sy/

ARPA-H、次世代バイオセンサー開発プログラムを始動

厚生省(Department of Health and Human Services)傘下の医療高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health:ARPA-H)は3月10日、ホルモンや炎症マーカーなどの重要な生化学シグナルを連続的にモニタリングできる低コストのバイオセンサー開発を加速させる新プログラム「デルファイ(Delphi)」を立ち上げたと発表した。現行のバイオセンサーは心拍数や血糖値など一つの健康指標に特化した設計が主流で、生命に関わる健康予防や慢性疾患の管理に必要な幅広いデータの取得が困難であった。そこで、組み合わせ自在なモジュール式の「チップレット」技術を活用し、ウェアラブル型や嚥下(えんげ)型のデバイスを迅速かつ安価に開発できる基盤の構築を目指す。4年半に亘りプロトタイプの研究開発やシステム統合と規制申請、臨床試験の3段階で進め、最初の試作品は2年以内の完成を目標としている。また、定期的な課題「リミックス(remixes)」を通じて新たなバイオマーカー検知に挑むとし、様々な専門家の協力を求めている。 ARPA-H “ARPA-H launches program to supercharge biosensor device development” (03/10/26) https://arpa-h.gov/news-and-events/arpa-h-launches-program-supercharge-biosensor-device-development-next-generation

原子力規制委、商用先進非軽水炉建設を初認可 テラパワー社向け

エネルギー省(Department of Energy)傘下の原子力エネルギー局(Office of Nuclear Energy)は3月9日、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)がテラパワー社(TerraPower)のナトリウム先進炉建設を承認したと発表した。ワイオミング州のケメラー発電所1号機建設は、同省が支援する先進炉実証プログラム(Advanced Reactor Demonstration Program)の一つで、商業用非軽水炉建設としては初の許可となる。2024年4月の申請後、同年5月に受理され、NRCは昨年12月に予定を前倒しして安全審査を完了し、予算も11%抑えたという。溶融塩蓄熱システムを備えた出力345メガワット(MW)のナトリウム冷却高速炉は、最大500MWまで出力を引き上げることができ、発電・産業向け熱供給にも活用できることが特徴であるが、同社は運転認可を別途申請する必要がある。稼働は2030年を予定しており、同州初となる商業用原子炉は、地域経済と安定電源の確保に寄与すると期待されている。 Department of Energy “NRC Issues Construction Permit for TerraPower’s Natrium Advanced Reactor” (03/09/26) https://www.energy.gov/ne/articles/nrc-issues-construction-permit-terrapowers-natrium-advanced-reactor

エネルギー省、インド太平洋エネルギー会議に参加 3月中旬に東京で開催

エネルギー省(Department of Energy)傘下の炭化水素・地熱エネルギー局(Hydrocarbons and Geothermal Energy Office)は3月10日、国家エネルギードミナンス(支配)評議会(National Energy Dominance Council)と日本の経済産業省(Ministry of Economy, Trade and Industry: METI)が14~15日に東京で共催するインド太平洋エネルギー安全保障閣僚・ビジネスフォーラム(Indo-Pacific Energy Security Ministerial and Business Forum)に参加すると発表した。日米のエネルギー協力強化に加え、地域全体での貿易・投資拡大を目的とし、12カ国以上のエネルギー閣僚や高官、民間リーダーが出席する。同省からはカイル・ハウストベイト局長(Kyle Haustveit)らが参加し、石炭・石油・天然ガスが同地域のエネルギー需要急増にいかに対応しつつ経済成長と安全保障を支えられるかを議論する炭化水素パネルを進行する。政策主導による民間の革新・投資推進や次世代エネルギー技術開発に向け、信頼できるエネルギー供給国としての米国の役割と同盟国との連携関係を強化するという。 Department of Energy “HGEO Advances President Trump’s Energy Dominance Agenda in the Indo-Pacific” (03/10/26) https://www.energy.gov/hgeo/articles/hgeo-advances-president-trumps-energy-dominance-agenda-indo-pacific

エネルギー省、ペンシルベニア州立大学に600万ドル 原子力分野の人材育成向け

エネルギー省(Department of Energy)傘下の原子力エネルギー局(Office of Nuclear Energy)は3月10日、ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)主導のコンソーシアムに600万ドルを授与すると発表した。原子力材料研究分野の人材育成と大学施設再活性化に向けたもので、同省の原子力エネルギー大学プログラム(Nuclear Energy University Program: NEUP)から拠出する。これに伴い、同大学はマイクロスケールの原子力材料研究コンソーシアムを設立し、安全に試料を分析できる専門のマイクロファブリケーション施設を整備する。通常の研究環境における放射性物質を扱うリスクを大幅に低減できる研究で、この分野の次世代研究者を育成する。同省はこのプログラムについて、2009年の開始以来、10億ドル以上を原子力エネルギー研究の推進と次世代リーダー育成に投じてきたとし、原子力産業基盤を再活性化する大統領令に沿った取り組みと説明している。 Department of Energy “Penn State Awarded $6 Million to Help Grow Nuclear Workforce” (03/10/26) https://www.energy.gov/ne/articles/penn-state-awarded-6-million-help-grow-nuclear-workforce

オークリッジ環境管理局、過去最大700エーカー超を原子力開発向けに移転

エネルギー省(Department of Energy)のオークリッジ環境管理局(Oak Ridge Office of Environmental Management: OREM)は3月9日、オークリッジ保留地から700エーカー超の土地を地域に移転すると発表した。同局史上最大の土地移転で、原子力企業2社が計67億ドルの投資と1,100人の雇用創出を計画している。東テネシー技術公園(East Tennessee Technology Park)近郊の624エーカーの区画「SSP-2」と同公園内の77エーカーの区画「ED-18」を対象とし、SSP-2にはオラノUSA社(Orano USA)が北米最大級のウラン濃縮工場「プロジェクトIKE(Project IKE)」を50億ドルで建設する。ED-18を含む用地にはオクロ社(Oklo, Inc.)が民間初の商業用先進核燃料リサイクル施設を16億8,000万ドルで建設するとし、これら地域の再利用に向けOREMはこれまで計2,532エーカーを移転し、500棟以上の施設を解体・撤去して、環境浄化を進めてきた。移転済み土地には25社超が進出を予定しており、民間投資額は計100億ドル、雇用創出は2,500人規模に達するという。 Department of Energy “DOE Completes Largest Land Transfer Yet in Oak Ridge, Spurring New Economic Growth” (03/09/26) https://www.energy.gov/em/articles/doe-completes-largest-land-transfer-yet-oak-ridge-spurring-new-economic-growth

25年5~8月期の留学生ビザ発給、前年同期比36%減

教育専門誌のザ・クロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーション(The Chronicle of Higher Education)は3月7日、2025年5月から8月に全世界で発給されたF-1学生ビザが前年同期比で36%減少したと報じた。これは約9万7,000件の減少にあたり、昨年秋予測の17%減をはるかに上回る結果となった。特にインドからの留学生ビザ発給数は約2万2,000件と60%以上の減少となり、国務省(Department of State)による約1カ月間に亘る学生ビザ面接予約凍結に加え、トランプ政権による留学生の滞在資格取り消しや、卒業後の就労プログラム改革への懸念などから米国留学への関心が世界的に低下している可能性が指摘されている。これは、授業料収入で財政を賄う多くの大学にとっては悪材料で、すでに一部の大学では予算や人員の削減が始まっているという。国際教育者協会(Association of International Educators: NAFSA)は、留学生は米国経済に年間約430億ドル貢献しており、その影響は広範囲に及ぶと懸念している。 The Chronicle of Higer Education “The Drop in International Students Last Year Was Worse Than We Thought” (03/07/26) https://www.chronicle.com/article/the-drop-in-international-students-last-year-was-worse-than-we-thought

アンソロピック社、国防総省を提訴 「供給網上のリスク」指定は違法と訴え

アクシオス(Axios)は3月9日、人工知能(AI)開発企業のアンソロピック社(Anthropic)が、国防総省(Department of Defense)による「サプライチェーン(供給網)上のリスク」指定は違法であるとして同省を提訴したと報じた。AIの安全な利用を求める同社の意見表明に対する報復措置であり、憲法で保障された「言論の自由」を侵害しているとの主張に対して、同省は軍の指揮系統に関わる運用管理上の問題と反論し、同省関連事業における同社のAI技術「クロード(Claude)」使用を停止し、トランプ大統領も政府全体に同様の措置を呼びかけている。同措置は通常、国家安全保障上のリスクをもたらす外国の敵対勢力のみに適用されている。アンソロピック社は、政府による同措置行使を議会は認めていないとし、意見の相違を理由に企業をブラックリスト化する違法行為阻止に向け、最後の手段として訴訟を提起したと説明した。その一方で、国家安全保障への貢献を続けるとし、政府との対話による解決にも意欲を示している。 Axios “Anthropic sues Pentagon over rare “supply chain risk” label” (03/09/26) https://www.axios.com/2026/03/09/anthropic-sues-pentagon-supply-chain-risk-label