BARDA、バイオテロおよび抗生物質耐性に対応する医薬品開発に資金提供へ

厚生省(Department of Health and Human Services:HHS)の、ハイリスクハイリターン研究に対するファンディングエージェンシーであるバイオメディカル先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)は8月30日、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置くアカオゲン社(Achaogen Inc.)に、複数の機能を持つ抗生物質(2種類のバイオテロおよび抗生物質に耐性を示しつつある感染症に対応する)の開発費用として、2年間で2,700万ドルの資金を提供すると発表した。契約は最長3年まで更新することが可能で、提供資金額は最大6,400万ドルとなる。本件は、緊急医療問題発生に備えて医療対抗策(医薬品、ワクチン、医療機器、サプライ品)を開発するという連邦政府の新戦略に沿った取組みとなっている。 HHS.gov “BARDA funds drug development for biothreats, antibiotic resistance” (08/30/10)

NIH、内部研究者によるES細胞研究の即時停止を命令

連邦地裁判事が8月23日に、「NIHの資金がES細胞研究に利用されることを認めた連邦政府の政策は違法である」として仮差し止め命令を出したことを受け、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は8月30日、NIHの研究所内で進行中のES細胞の研究を即時停止するよう命令した。これは、NIH親機関の厚生省(Department of Health and Human Services:HHS)が、「仮差し止め命令はNIH内部におけるES細胞研究に適用される」と判断したためである。フランシス・コリンズNIH所長(Francis Collins)は、「外部の研究者は現在進行中の研究を継続することができる」との解釈を示しているが、その解釈は楽観的すぎるのではないかと懸念するバイオ医療研究関係者もいる。 ScienceInsider “NIH Orders Immediate Shutdown of Intramural Human Embryonic Stem Cell Research” (08/30/10)

米国アカデミー、米空軍におけるSTEM労働力ニーズ分析報告書発表

米国アカデミー(National Academies)から報告書『米空軍における将来のSTEM労働力のニーズおよびそのための戦略の分析(Examination of the U.S. Air Force’s Science, Technology, Engineering, and Mathematics (STEM) Workforce Needs in the Future and Its Strategy to Meet Those Needs)』が出版された。従来、科学・技術・工学・数学(STEM)分野の学生にとり、空軍は理想的な就職先となっていたが、軍の縮小や進行中の軍事任務、予算に対する圧力などから、必要な技術スキルを有する人材の確保が新たな試練となっている。本報告書は、空軍における近年の人材確保の状況やプロセスにおける失敗を分析した結果、「空軍における技術的能力の低下が根本的な問題となっている」とし、本問題に関するキーファインディングと勧告をまとめている。 The National Academies Press “Examination of the U.S. Air Force’s Science, Technology, Engineering, and Mathematics (STEM) Workforce Needs in the Future and Its Strategy to Meet Those Needs” (08/10)

連邦政府、中小企業への調達率で「B」評価を受ける

中小企業庁(Small Business Administration:SBA)が発表した報告書によると、連邦政府は中小企業への調達率において「B」の評価を得た。米国では、政府調達全体の23%を中小企業に委託することが政府目標として掲げられているが、2009年度は21.89%(968億ドル)が中小企業に委託されるに留まった。しかし、中小企業への調達が全体に占める割合は2008年度より上昇している。SBAによる評価で最高の「A」を受けた省庁は、農務省、教育省、エネルギー省など10省庁、そして、最低の「F」を受けたのは行政管理予算局(OMB)、米国国際開発庁(USAID)、国立科学財団(NSF)の3省庁となっている。 Federal Computer “Government receives a B in small-business contracting” (08/27/10)

オバマ大統領、輸出規制改革に踏み切る

オバマ大統領は8月31日に公開されるビデオメッセージにおいて、軍事転用が可能な製品の輸出制度の緩和を発表する。現行の輸出規制制度は、広範かつ煩雑すぎるとして企業から批判を受けていたもので、オバマ大統領による輸出規制改革を業界は概ね歓迎している。改革の中心となるのは、現在商務省と国務省が別々に管理しているライセンスシステムで、直接的に軍事利用が可能な品目についてのみ管理を厳重にし、軍事性が低いものについては制約が緩和されるという。改革にはライセンス業務を一元化する新局の創設も含まれているが、本件を含め新たな変更には議会の承認が必要とされている。 Bloomberg “Obama to Revamp U.S. Export Controls by Easing Restrictions on Some Sales” (08/30/10)

USPTOによるグリーンテック対象の特許パイロットプログラム、利用件数が予想を大きく下回る

米国特許商標局(U.S. Patent and Trademark Office:USPTO)は昨年12月、環境技術セクターにおけるイノベーション活動を奨励することを目的とし、同技術関連の特許請願については査定が迅速に行われるよう優先権を与えるという「グリーンテクノロジー・パイロット・プログラム(Green Technology Pilot Program)」を開始した。USPTOでは、本件に該当する特許請願のうち最初の3,000件について請願プロセスの迅速化が適用されるとしているが、8月26日時点で申請件数は1,477件と初期の予想を大きく下回っている。USPTOは5月に迅速化の条件を緩和したが、迅速化を求める申請の劇的な増加は見られていない。 CNET News “Green-tech patent program off target pace” (08/27/10)

NSF、イヤマーク分を他のプログラムに流用という異例の策を取る

連邦議会が連邦歳出法において、特定用途向けの予算(イヤマーク)を割り当てた場合、連邦機関は基本的にそれに従う以外に選択肢はない。しかし国立科学財団(National Science Foundation:NSF)は、そのイヤマークを既存の競争的グラントプログラムの追加予算として利用するという異例の策を取ったことが判明した。これは、ハリー・リード上院院内総務(Harry Reid、ネバダ州選出民主党)が盛り込んだ300万ドル分のイヤマークで、元々、優秀な中学・高校生のためにネバダ州立大学内に設立された公立学校、デイビッドソン・アカデミー(Davidson Academy)の拡大を目的としてNSF予算の一部として盛り込まれていたものであった。しかしNSFはその300万ドルを、国内大学間の数学研究ネットワークの新設・拡大を目指す既存プログラムの交付金の一部として利用することを決定しており、結果として、このプログラムの採択機関にデイビッドソン・アカデミーは含まれておらず、「若手数学優秀者のための研究所」というリード議員の本来の支援目的に叶うものではなくなっている。 Science Magazine “NSF Turns math Earmark on Its Ear to Fund New Institute” (08/27/10) (購読者のみ閲覧可能)

大統領府主催イノベーション会議の成果報告書、ケース財団より発表

2010年春、大統領府の国内政策評議会(Domestic Policy Council)および科学技術政策局(Office of Science Technology Policy:OSTP)の共催により、賞金やオープングラントメイキング(新種の公開式グラント)を通じたイノベーションの推進を討議する会議が開催されたが、この会議における検討内容をまとめた報告書「イノベーション促進(Promoting Innovation)」が、ケース財団(Case Foundation)より8月23日発表された。報告書では、賞金コンテスト等の事例や、アイデアやイノベーションをクラウドソーシングすることの落とし穴などについても記載されている。 The Case Foundation “Promoting Innovation: Prizes, Challenges and Open Grantmaking” (08/24/10)

米国製造業強化を目指すDARPA

米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency:DARPA)は、「iFAB」と呼ばれる新しい製造プログラムを始動させた。このプログラムの目標は、歩兵戦闘車の様々なモデルや改良版の製造をサポートするための製造能力を早急に設計・整備することで、具体的には、戦車や爆弾機器のCADファイルやスペックを米軍に送るだけで、米軍がそれを汎用製造施設で生産する能力を有することが目指されている。また、DARPAは、陸軍地上戦闘車(Army’s Ground Combat Vehicle:GCV)のプロトタイプ設計のオープンソース化の促進も進めており、米国製造業基盤の復活を意図した取り組みが進められている。 Technology Review “How DARPA Plans to Reinvent U.S. Manufacturing” (08/25/10)

懸念する科学者グループ(USC)、よりクリーンなバイオ燃料に関する米国ロードマップを作成

米国政府は2013年までにとうもろこしの茎や木片、その他の非食用廃棄物を使った国内産燃料の生産量を10億ガロンにするという目標を掲げているが、国内にセルロース性エタノール工場はまだ存在していないのが現状である。そのような中、非営利啓蒙団体である、懸念する科学者グループ(Union of Concerned Scientists:USC)が、同目標を実現するためのロードマップを盛り込んだ報告書「10億ガロンのチャレンジ(The Billion Gallon Challenge)」を発表した。USCは、セルロース性バイオ燃料の生産能力を年間10億ガロンに押し上げるために、税クレジットや融資保証を行うことでセルロース性バイオ燃料を商業規模に拡大するよう勧告している。報告書はまた、現行のバイオ燃料向け税クレジットが失効するのに伴い、これに代わる策としてバイオ燃料の成果に応じた「バイオ燃料パフォーマンス税クレジット」を採用するよう提案している。 Environmental Leader “USC Creates U.S. Roadmap for Cleaner Biofuels” (08/26/10)