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July 2026

投資縮小も、IRAによる排出量削減効果の3分の2は維持 MIT CEEPR報告

マサチューセッツ工科大学のエネルギー・環境政策研究センター(Massachusetts Institute of Technology Center for Energy and Environmental Policy Research: MIT CEEPR)は7月2日、環境規制やクリーンエネ助成削減にもかかわらず、排出削減効果の67%が維持されるとの報告書を発表した。2025年の大型減税・歳出政策により再エネ事業支援が大幅に縮小されたが、中長期的には税額控除の効果が残るなど一定の効果が維持されるという。インフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)を維持した場合と2025年~2035年における比較では、新規クリーンエネ設備容量の74%、クリーン発電量の71%が維持されると試算された。一方で、風力・太陽光向け助成廃止や石炭火力発電所の閉鎖延期などの政策転換により、化石燃料による総発電量は19%増となる側面も顕在化した。ただし、現政権の政策移行は削減効果を反転させるものではないとし、今後は許認可改革や送電網拡充などを通じたクリーンエネ供給拡大や、地熱・原子力電源の商業化・展開強化を提言している。 MIT CEEPR “Glass Half Full:Building a Decarbonized U.S. Power Sector” (07/02/26) https://ceepr.mit.edu/wp-content/uploads/2026/07/MIT-CEEPR-RC-2026-07.pdf 参照記事: Axios “Glass half full” on carbon cuts despite IRA losses” (07/07/26) https://www.axios.com/2026/07/07/carbon-emissions-cuts-biden-climate-law-rollbacks

宇宙軍、商用先端技術の開発に5億ドル超拠出 13件の契約締結へ

宇宙軍(United States Space Force)は7月8日、宇宙戦闘領域における先端技術開発の13案件に総額5億ドル超を拠出すると発表した。国内の宇宙産業基盤強化に向け、国家安全保障を念頭に置いた宇宙構想へ民間の高度商業能力を迅速に統合することが目的で、既に5月と6月に民間商用プロバイダー連合と「その他の取引権限(Other Transaction Authority: OTA)」に基づく7件の合意を締結している。7月中にはさらに6件の締結も予定しており、世界規模での統合戦闘作戦を支援する技術開発の試作や試験、実戦配備に向けた個別発注への入札競争を開始する。同軍は、空軍研究開発研究所(Air Force Research Laboratory)やミサイル防衛局(Missile Defense Agency)、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)と連携して進めていく方針で、今回の資金拠出を脅威への明確な対抗戦略として位置付けているが、作戦上の安全保障を考慮し、詳細な情報は非公開とした。 USSF “Space Force delivers rapid tech awards for commercial industry” (07/08/26) https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/4537826/space-force-delivers-rapid-tech-awards-for-commercial-industry/

国防総省、ドローン対策ハンドブックを発行 脅威認識を共有

国防総省(Department of Defense)は7月8日、違法な無人航空機(unmanned aircraft systems: UAS、ドローン)からの防衛策をまとめた省庁間合同タスクフォース401(Joint Interagency Task Force 401: JIATF 401)による実用ハンドブック発行について公表した。「小さなドローン、大きな問題:対UASへの基本原則アプローチ(Small Drones, Big Problems: A First Principles Approach to Countering-UAS)」は、中東や欧州戦場での教訓を含む最新情報を盛り込んでおり、敵対者がドローンをどのように使用するかなどを解説している。多層的な防御アプローチに加え、技術的解決策のみならず、現場がリアルタイムで脅威に対応できるよう必要な知識と権限を付与する訓練の重要性も示した内容で、同タスクフォースはこの指針を通じて、国内外での対UAS強化を図るという。また、ドローン防衛に万能薬はないとしつつも、政府機関と連携して多層防御を構築することで脅威は軽減できるとし、現代の戦場で優位性確保に向け、官民学連携してあらゆる準備を進めていく構えである。 Department of Defense “Joint Interagency Task Force 401 Publishes Counter-Drone Handbook” (07/08/26) https://www.war.gov/News/News-Stories/Article/Article/4538032/joint-interagency-task-force-401-publishes-counter-drone-handbook/

NSF、新構想「トライアド計画」を始動 量子技術を実用化

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は7月7日、量子センシング、量子ネットワーキング、量子計算の3つの機能を統合した運用システムを構築する「トライアド計画(Project Triad)」を開始したと発表した。安全保障、医療、エネルギー、製造などの分野における量子技術の実用化推進に向け、一元化した量子環境の構築・導入を目指す。実証システムを提供する傘下の国立量子仮想研究所(National Quantum Virtual Laboratory: NSF NQVL)やエックス・ラボ(X-Labs)、量子+エックス(Quantum+X)など官民学が連携する3事業を通じて、今年12月までのシステム導入や各分野での提携加速を見込んでいる。特に、衛星やGPSの電波が届かない地域での安全な通信手段や地下資源の探知や、精密医療画像診断開発につなげるとし、NSFは量子イノベーションを推進する大統領令に沿い、国の経済競争力や安全保障、雇用創出強化に向け、急速に進展する量子技術分野を支援していく方針である。 NSF “NSF launches Project Triad to advance quantum technology for real-world applications” (07/07/26) https://www.nsf.gov/news/nsf-launches-project-triad-advance-quantum-technology-real

エネルギー省、AEPテキサス社に32億6,000万ドル 送電網整備を支援

エネルギー省(Department of Energy)のエネルギー優位性金融局(Office of Energy Dominance Financing: EDF)は7月8日、テキサス州の電気料金抑制と送電網の強化に向け、AEPテキサス社(AEP Texas)と最大32億6,000万ドルの融資契約を締結したと発表した。電力網の強化・整備を進める大統領令に沿うもので、同局のエネルギー優位性金融プログラム(Energy Dominance Financing Program)を通じ、約2800マイルに及ぶ送電インフラの新設や既存送電線の整備など、州内約100の送電事業に充てられる。この取り組みにより、改修後の送電容量は倍増する見込みで、同省はデータセンターや先端製造業、パーミアン盆地での石油・天然ガス開発による急激な電力需要に対応するほか、人工知能(AI)競争やエネルギー安全保障支援につなげる。また、この投資により、今後30年間で州内100万世帯や企業へ約6億8,500万ドルの電気料金を削減する効果があるとし、数千人の雇用を創出するとも説明した。 Department of Energy “Energy Department Closes Loan to AEP Texas, Delivering Millions in Electricity Cost Savings for Texans” (07/08/26) https://www.energy.gov/articles/energy-department-closes-loan-aep-texas-delivering-millions-electricity-cost-savings

エネルギー省、50万ドルの賞コンペ開始 次世代蓄電技術の商用化加速 

エネルギー省(Department of Energy)の電力局(Office of Electricity: OE)は7月7日、次世代蓄電技術の開発・商用化を加速させるため、総額50万ドルの賞金コンペ「蓄電設計戦略による生産促進(Storage Design Strategies to Ease Production: STEP)」賞を開始したと発表した。安価で信頼性が高い電力網強化を目指すトランプ政権のエネルギー政策に基づいた取り組みで、設計の初期段階から製造上の課題や、電力供給断絶時の供給安定対策を組み込むことで、量産化遅延やコスト高などの生産リスク回避を目的としている。コンペは2フェーズで構成され、定置型・系統規模用途向けの新たなエネルギー貯蔵技術を開発している個人、起業家、スタートアップ、中小企業、学術機関など幅広い参加者を募っている。第1段階の応募締め切りは10月8日で、優れたアプローチを示したチームには最大2万ドルの賞金を授与する。詳細については公式HPのヒーローX(HeroX)にて紹介している。 Department of Energy “DOE’s Office of Electricity Launches Prize to Advance Production-Ready, Next-Gen Energy Storage” (07/07/26) https://www.energy.gov/oe/articles/does-office-electricity-launches-prize-advance-production-ready-next-gen-energy-storage

博士課程の入学者15%減少、科学人材確保にリスク AAU報告

米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は7月7日、2026年秋の博士課程入学者数が前年比で15%減少したとの最新データを発表した。AAU加盟55校から収集した入学データによると、減少は2年連続となり、特にSTEM(科学・技術・工学・数学)分野における人材の縮小が顕著であった。背景には現政権の予算削減案に伴う研究資金確保の不確実性があり、大学側が長期的な財政負担を警戒して受け入れ能力を縮小させたため、出願が増加した国内学生の入学者数も13%減少した。また、移民政策の変更により留学生出願数も21%減少し、国際的な人材獲得競争への影響が顕著になりつつある。大学によっては人工知能(AI)や量子計算などの重要分野で募集を一時停止する動きもあり、将来の科学人材を失う深刻なリスクが浮き彫りとなった。AAUは国のイノベーションや対中競争力、国家安全保障の将来的な脅威になるとし、今日の科学界における米国のリーダーシップはこれまでの官学連携により築かれたものと強調している。 AAU “New PhD Admissions Data Show Threat to U.S. STEM Workforce, Breakthroughs, Innovations” (07/08/26) https://www.aau.edu/newsroom/leading-research-universities-report/new-phd-admissions-data-show-threat-us-stem-workforce

海軍、弾道ミサイル原潜への攻撃に対応策 対ドローン・対戦車ロケットからの攻撃防御へ

ディフェンス・ニュース(Defense News)は7月8日、米国の弾道ミサイル原子力潜水艦(Ship, Submersible, Ballistic, Nuclear: SSBN)が、港湾内での停泊中や出入港時の水上航行中において、ドローンや機雷、対戦車ロケットなどの標的になる恐れがあるとして、海軍が防御手法の開発に乗り出したと報じた。背景には、ウクライナが昨年ロシアの潜水艦を水中ドローンで損傷させた実例や、ゲリラやテロリストによる待ち伏せ攻撃の脅威がある。米国のSSBNは深海中では事実上無敵であるが、海上資産と安全な航行確保に向け、港湾・沿岸・外洋に至るまでのドローン検知・撃破技術や、対戦車誘導ミサイル(Anti-Tank Guided Missile: ATGM)などの直射火力兵器の無力化、機雷の探知・回避手段を確保していく。また、核施設を狙う人工知能(AI)搭載ドローン群(スウォーム)やサイバー攻撃への対抗策に加え、港湾などの防衛用警備ロボット、潜水艦が発する音響や電磁気などの信号を低減させて探知を防ぐ施策技術の開発も計画している。 Defense News “US Navy fears ballistic missile subs can be hit by drones, anti-tank rockets” (07/08/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/07/07/us-navy-fears-ballistic-missile-subs-can-be-hit-by-drones-anti-tank-rockets/

DIU、大規模組織再編 技術領域を3つに集約

ディフェンススクープ(DefenseScoop)は7月6日、国防総省(Department of Defense)の国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)による、従来の7つの運用ポートフォリオを解体・統合する大規模再編計画について報じた。新たに就任したオーウェン・ウェスト局長(Owen West)が主導しており、実戦配備のスピード、規模、殺傷能力に焦点を当て、小規模かつ焦点を絞った現実的な問題領域に専門家とリソースを集中させるという。特に軍へ低コストかつ迅速に戦闘力を提供することを目的としており、新体制では、ドローンと自律型戦闘、指令や統制などを担うキル・ウェブ(Kill webs)、価格や能力で飛躍的な転換をもたらす「10倍(10x)」技術の3分野を中心に構成される。また、これまで独立したポートフォリオとして扱われていた人工知能(AI)は、単独分野としての扱いではなく、今後全ての活動に組み込まれる。今週中にもこの新構造について公式発表がある見込みである。 DefenseScoop “DIU reshaping its tech priorities and portfolio teams under new leadership” (07/06/26) DIU reshaping its tech priorities and portfolio teams under new leadership

航空宇宙局、月面着陸機4ミッションに約6億ドル投入

スペースニュース(SpaceNews)は6月30日、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)が月面基地計画の一環として、総額5億9,040万ドルに上る無人月面着陸機の4ミッションに3社を選出したと発表した。採択されたのはアストロボティック・テクノロジー社(Astrobotic Technology)、ファイアフライ・エアロスペース社(Firefly Aerospace)、インテュイティブ・マシーンズ社(Intuitive Machines)で、いずれも2028年末までに打ち上げが予定されている。月面全体のデータ網構築に向け、各着陸機には3種類の衛星関連機器(ペイロード)を搭載し、着陸時の危険性把握や月面の環境データ収集を行う。また、原子力電源(放射性同位体熱電発電機: Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG)搭載した火星探査車「プロミス(PROMISE)」を月へ送り込む検討を進めており、夜間や永久影領域での活動を行う計画である。一方で、ニューグレン発射台の再建が進んでいることにも触れており、NASAは2027年内の飛行再開を示唆した。 SpaceNews “NASA awards nearly $600 million in lunar lander missions” (06/30/26) https://spacenews.com/nasa-awards-nearly-600-million-in-lunar-lander-missions/