トランプ大統領の予算教書、少数の科学プログラムを除き、大幅削減を提案​

過去4年間にわたり、トランプ大統領は連邦研究支出の大幅な削減を提案し、議会はこれらの提案を拒否して逆に予算増を提供してきた。大統領が、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)、エネルギー省(Department of Energy)の科学プログラムなどで大幅な予算削減を望んでいることはもはやニュースではない。しかし、大統領による2021年度の予算教書を見ると、現政権が研究分野の中で何に重点を置き、何を重要視していないかが明らかである。2月10日に行われた電話会議で、政権の代表者は、「我々は、人工知能(AI)と量子情報科学(QIS)への焦点を維持したいと望んでいる」と述べており、いずれも予算増が提案されている。トランプ政権が「未来の産業」と呼ぶAI、QIS、5G通信、バイオテクノロジー、先端製造は、明らかに政権による研究投資のスター的存在となっている。​ ​ Science “Trump’s new budget cuts all but a favored few science programs” (2/11/20) ​

エネルギー省、建造物のエネルギー効率と需要の柔軟性強化を目的とした助成を計画

エネルギー省(Department of Energy)のエネルギー効率・再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable: EERE)は2月13日、「コネクテッド・コミュニティ(Connected Communities)」と題する資金提供公募(FOA)を行う意向であると述べた。コネクテッド・コミュニティFOAは、エネルギー効率の高い建造物が互い及びグリッドとやり取りしながら、大幅な需要の柔軟性を大規模に提供する能力を実証及び評価することを目的とする。このFOAは、どのようにしてスマートな建造物技術及び慣行によって省エネと電気代の節約を実現できるかを研究する、EEREの「グリッド・インタラクティブな効率的建造物(Grid-interactive Efficient Buildings)」研究イニシアチブを支えるものである。現在の所、EEREは今夏にFOAを行う計画である。​ ​ Department of Energy “New Notice of Intent for a Funding Opportunity to Improve Energy Efficiency and Demand Flexibility of Buildings” (2/13/20) ​

判事、EPAの受益者が科学アドバイザーとなることを禁じたポリシーを却下​

2017年に環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)のスコット・プリュット長官(Scott Pruitt)(当時)が「EPAの諮問委員会のメンバーは、EPAのグラントの受益者になることはできない」とするポリシーを発表し、これを巡って天然資源防衛協議会(Natural Resources Defense Council: NRDC)がEPAを提訴していた件で、米国ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所(U.S. District Court for the Southern District of New York)のデニース・コーテ判事(Denise Cote)は2月10日、EPAの同ポリシーを却下する裁定を下した。コーテ判事は、NRDCの主張に同意し、「行政手続法(Administrative Procedure Act)は、EPAがポリシーの変更について合理的な説明を提示するよう義務付けている」と述べた。​ ​ Science “Judge tosses EPA policy that barred agency grantees from serving as science advisers” (2/11/20) ​

エネルギー省、柔軟な建造技術、冷暖房空調設備(HVAC)、ソリッドステート照明の研究開発に最高4,770万ドルを発表​

エネルギー省(Department of Energy)の建造物技術局(Building Technologies Office: BTO)は、「2019年建造物エネルギー効率フロンティア及びイノベーション技術(Buildings Energy Efficiency Frontiers & Innovation Technologies” BENEFIT)- 2019」資金提供公募(FOA)の下、19の組織による23件のプロジェクトに合計4,770万ドルを助成すると発表した。米国内のビル及び電力グリッドのエネルギー生産性や柔軟性、安全性、対応力を向上させると共に、エネルギー費用の低減につながる革新的技術の研究開発を模索する。2019年BENEFITは、①柔軟な建造物技術(プロジェクト数12件)、②冷暖房空調設備(HVAC)及び関連技術(6件)、③ソリッド・ステート照明(Solid-State Lighting: SSL)技術(5件)、の3つのトピック分野に重点が置かれている。​ ​ Department of Energy “Department of Energy Announces up to $47.7 Million for Flexible Building Technologies, Heating, Ventilation and Air Conditioning (HVAC), and Solid-State Lighting” (2/10/20) ​

エネルギー省、建造物の手頃な費用と省エネ措置の効果を強化するため、ビル建築の再考を促す40件のプロジェクトに助成​

エネルギー省(Department of Energy)の建造物技術局(Building Technologies Office: BTO)は、「エネルギー効率の高い技術及び慣行による先端建造物建築の資金提供公募(Advanced Building Construction with Energy-Efficient Technologies & Practices (ABC) Funding Opportunity)」の下、29の組織による40件のプロジェクトを選出し、合計2,630万ドルを提供すると発表した。本件は、米国の建造物部門における大幅な省エネを実現するためのBTOの主要な取り組みの一つである「先端建造物建築(Advanced Building Construction)イニシアチブ」の一つである。受益プロジェクトは、①建造物の総合的な改修(プロジェクト数14件)、②新たな建設技術(7件)、③先端技術統合(19件)の3つに分類される。​ ​ Department of Energy “40 Newly Selected Ventures Reimagine the “ABCs” of Building Construction to Enhance the Affordability and Effectiveness of Energy-Saving Measures” (2/10/20) ​

エネルギー省、米国製造業の強化を目的として1億8,700万ドルを助成

エネルギー省(Department of Energy)は2月10日、革新的な先端製造研究開発を支援するため、55件のプロジェクト(25州)に合計約1億8,700万ドルを提供すると発表した(4,800万ドルのコスト分担を含む)。これらのプロジェクトは、影響力の高い製造技術、マテリアル、プロセスの課題に取り組む。エネルギー効率・再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable: EERE)の先端製造局(Advanced Manufacturing Office)が、①先端マテリアル製造のためのイノベーション、②産業効率及び生産性のための地熱予算低減、③コネクトされた柔軟かつ効率的な製造施設及びエネルギー・システム、の3つのトピック分野で資金を提供する。​ ​ Department of Energy “Department of Energy Awards $187 Million to Strengthen U.S. Manufacturing Competitiveness” (2/10/20) ​

エネルギー省、ビルと建築技術とイノベーションに7,400万ドルを投資​

エネルギー省(Department of Energy)は2月10日、国内の建造物と電気グリッドのエネルギー性能の向上を目的として、エネルギー効率に優れ、柔軟な建造物技術、システム、建築慣行の研究・開発・試験に取り組む63件のプロジェクトに7,400万ドルを提供すると発表した。受益者には、国立研究所、大学、中小企業、業界のパートナーが含まれる。 これらの受益プロジェクトの多くは、ビル内の快適さや労力節約機器・設備のパフォーマンスを犠牲にすることなく、グリッド・インタラクティブな効率的ビル(Grid-Interactive Efficient Building)と先端建造物建築技術を通じて、大幅な省エネを実現するための技術の進展に取り組む。​ ​ Department of Energy “Department of Energy Invests $74 Million in Building and Construction Technologies and Innovations” (2/10/20) ​

エネルギー省、米国製ソーラー・プライズに新たに参加する20チームを発表​

エネルギー省(Department of Energy)は2月11日、今回で3回目となる「米国製ソーラー・プライズ(American-made Solar Prize)」で次の段階へ進む20チームを発表した。米国製ソーラー・プライズは、国内のアントレプレナーがソーラー・エネルギー・イノベーションにおける米国のリーダーシップと、国内製造を強化するよう意欲付けることを意図したコンペである。1回のプライズ(コンペ)ごとに、新しい技術を1年以内に商業化前の段階まで進展させ、新規のアイデアが市場に参入することを確実にしている。厳しい審査を経て選出された各チームは、賞金5万ドルを受益し、コンペの次の段階で競争する資格を得る。今回選出されたのは、太陽光分野で9チーム、システム統合分野で11チーム。これらのチームは今後6か月間にそれぞれの取り組みを進展させ、2020年9月の全国実証デーを経て、2チームが勝者として選出され、賞金50万ドルを獲得する。​ ​ Department of Energy “DOE Announces 20 New Competitors for the American-Made Solar Prize” (2/11/20) ​

エネルギー省、輸送技術の検証と評価で業界と協力へ​

エネルギー省(Department of Energy)と現代自動車は2月10日、水素及び燃料電池技術の性能の現状を評価し、それらが直面している課題へ対処するために協力することを発表した。この取り組みによって、新技術の独立的かつ客観的な検証(補給インフラの詳細な評価を含む)を育成する。今回の提携の一環として、現代自動車は燃料電池自動車「NEXO」を5台、エネルギー省へ提供し、今秋にワシントンDC地域でのシンプルフューエル基(SimpleFuel unit)(米国製の小型水素補給システム)の導入を支援する。エネルギー省のマネジャーや国立研究所は、水素及び燃料電池応用の実際の運用から得られるデータにアクセスすることができ、将来のエネルギー省の研究開発のガイドの一助となることが期待されている。​ ​ Department of Energy “U.S. Department of Energy Joins Industry to Collaborate on Transportation Technology Validation and Assessment” (2/10/20) ​

トランプ大統領の2021年予算、科学機関の予算を再び削減

トランプ大統領が2月10日に議会へ提出した2021年予算教書によれば、主要な連邦科学機関の研究開発(R&D)支出に大幅な削減が要請されており、中には2桁削減も含まれる。その一方で、大統領は、人工知能(AI)や量子情報科学(QIS)など一部の分野には資金増を望んでいる。具体的には、①国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)(7%削減の369億6,500万ドルへ)、②米国科学財団(National Science Foundation: NSF)(6%削減の63億2,800万ドルへ)、③エネルギー省(Department of Energy: DOE)科学局(Office of Science)(17%削減の57億6,000万ドルへ)、などとなっている。ただし、最終的な予算権限を持つのは議会であり、近年の議会はトランプ政権の予算削減案を概ね拒否し、主要な科学機関の予算を維持・増加している。​ ​ Science “Trump’s 2021 budget drowns science agencies in red ink, again” (2/10/20) ​