アイダホ国立研究所の報告書、マイクロリアクターに将来の市場を見出す

エネルギー省(Department of Energy)傘下のアイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)は、マイクロリアクター市場とマイクロリアクターに関し、2030-2050年における具体的な世界市場での導入に関する能力と可能性を分析した報告書「マイクロリアクターの世界市場分析(Global Market Analysis of Microreactors)」を発表した。マイクロリアクターは、小型モジュラー原子炉(small modular reactor: SMR)の一部で、1~20Mwe(メガワット・エレクトリカル)の能力を持ち、「原子力電池」と呼ばれることもある。報告書は、短期・中期的なマイクロリアクターの導入は、一部のエネルギー市場を支援する可能性があるが、新規市場のシェアを獲得するには克服すべき大きな障害があるという。また、長期的には、脱炭素化の取り組みに貢献できる可能性があるという。 World Nuclear News “US study sees future markets for microreactors” (7/22/21)

エネルギー省、廃棄物と藻類バイオエネルギー技術の進展に約3,400万ドルを拠出

エネルギー省(Department of Energy)は8月3日、バイオ燃料、バイオ電力、バイオ製品を改良及び生産するための高インパクトな研究開発に取り組む11件のプロジェクトに、約3,400万ドルを提供すると発表した。これらのバイオマス資源は、自治体の固形廃棄物や藻類から生産され、低炭素燃料に転換することができる。この低炭素燃料は、電気化が難しい輸送部門(航空や海上)の脱炭素化に大きく貢献することができる。11件の受益プロジェクトは、①廃棄物のエネルギー転換に関する研究開発(1,500万ドル)と、②藻類の養殖慣行を改善し、生産を強化する(1,870万ドル)、に取り組む。 Department of Energy “DOE Announces Nearly $34 Million to Advance Waste and Algae Bioenergy Technology” (8/3/21)

英国の主要科学資金提供機関、受益者に論文の即時無償公開を義務付け

英国は現在、オープン・アクセス論文の割合が世界で最も高い国の一つであるが、同国の主要資金提供機関である英国研究及びイノベーション(UK Research and Innovation: UKRI)は8月6日、UKRIから資金提供を受ける全ての研究に対し、出版と同時に誰でも無償で読めるようにすることを義務付ける新たな方針を発表した。従来のUKRIの方針では、受益する研究者は、①専門誌に「ゴールド」オープン・アクセスの費用を支払い、論文は出版社のウェブサイト上で無料で読めるようにする、②「グリーン」ルートとして、最長1年間の待機期間を経た後に論文を公共のリポジトリへ預け入れる、の2種類が認められていた。しかし、2022年4月から、1年間の待機期間は認められなくなり、②を選択する研究者は論文の出版と同時に論文をリポジトリに預け入れることが義務付けられ、出版社はUKRIが資金提供して作成された論文の著作権を頼りとすることはできなくなる。 Science “Major U.K. science funder to require grantees to make papers immediately free to all” (8/6/21)

DARPA、軍事システムが不測の事態に適用できるようにする取り組み

多くの複雑な軍事用サイバー物理システムは、数十年間持続するよう設計されているが、期待される機能性と能力は時間の経過と共に進化し、変更と適用が必要とされる。国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)のプログラム・マネジャーによると、「軍事システムに変更が伴うことは明白であり、米国軍隊にはより大幅な適用能力が必要とされる」という。こうした中、DARPAは、「内省的制御の学習(Learning Introspective Control: LINC)」プログラムを開始した。本プログラムの狙いは、機械学習ベースのイントロスペクション(内省的)技術を開発することで、物理的なシステムが不測の事態にリアルタイムで適用し、人間及び人工知能(AI)のオペレーターにシステムの変更について効率的にコミュニケーションできる能力を提供することを目指す。 Defense Advanced Research Project Agency “Enabling Military Systems to Adapt to the Unexpected” (8/3/21)

DARPA、スペクトル検出における量子シフトの実現に取り組む研究チームを選出

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は8月4日、「量子アパーチャ(Quantum Apertures: QA)」プログラムに取り組む研究チームを選出したことを発表した。QAプログラムは、根本的に新しい形で無線周波数(RF)の波形を受信する方法を開発し、国防応用を目的とした新たな水準の感度と機敏性を実現することに取り組む。選出されたのは、ハネウェル社(Honeywell)、ノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman)、SRIインターナショナル社(SRI International)がそれぞれ率いる研究チームである。QAプログラムの狙いは、量子技法を使ってRFにアクセスする方法を変更するRFアンテナもしくはアパーチャを開発することで、伝統的な受信機よりも遥かに優れた感度、帯域、ダイナミック・レンジを持つ携帯型の指向性RF受信機を開発することを目標としている。QAプログラムは、2021年秋にスタートし、56カ月間にわたって4つのフェーズで行なわれる予定である。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Selects Research Teams to Enable Quantum Shift in Spectrum Sensing” (8/4/21)

DARPA、薬物耐性を持つ微生物感染症対策としての新規治療法開発に取り組むチームを選出

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は8月6日、「救命治療のための酵素活動の活用(Harnessing Enzymatic Activity for Lifesaving Remedies: HEALR)」プログラムを支援する3つの研究チームを選出したと発表した。選出されたのは、イェール大学(Yale University)、ワシントン大学(University of Washington)、ブロード研究所(Broad Institute)の3グループで、新規の治療法と新規のたんぱく質分解戦略/モダリティを活用し、微生物による新興の脅威に対する柔軟かつ早急な対応の実現に取り組む。3つの研究チームはそれぞれ異なる手法を利用することになる。HEALRプログラムは4年半にわたって行なわれ、フェーズ1(24カ月:HEALR治療の標的の特定とHEALR概念の有効性の提示)、フェーズ2(18カ月:技術の改良と治療の有効性の実証)、フェーズ3(12カ月:食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)による審査の対象となる新規医薬品候補の提出)に分かれている。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Selects Teams to Develop Novel Therapeutics for Combating Multi-Drug Resistant Microbial Infections” (8/6/21)

NIST、増大する脅威への対抗を目的として、サイバー対応力ガイドを更新

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は8月5日、サイバー対応力に関する文書の更新版(草案)を発表し、情報技術システムを徹底的に保護するための次世代戦略を提示した。「NIST特別出版800-160、第2巻、改訂1、サイバー対応力のあるシステムの開発:システム・セキュリティ工学手法 草案(Draft NIST Special Publication 800-160, Volume 2, Revision1, Developing Cyber-Resilient Systems: A Systems Security Engineering Approach)」と題する264ページに及ぶ文書は、一般的な境界ベースの防御メカニズムから離れ、現在、不可避のように見えるランサムウェア攻撃やその他のサイバー脅威に対して、事業体が準備することを支援する洞察及びリソースを提示している。NISTは、このガイダンスに対するパブコメを9月20日まで受け付けている。 Nextgov “NIST Updates Cyber Resiliency Guide to Account for Increasingly Sophisticated Threats” (8/5/21)

バイデン大統領、記録的な気候対応資金を発表

米国内で様々な災害が発生する中、バイデン政権は8月5日、気候変動の影響に対する地域社会の対策を支援するべく、記録的な額の資金を注入することを発表した。35億ドルのグラントが、連邦緊急管理局(Federal Emergency Management Agency: FEMA)から州政府へ提供される。この新たな資金は、気候変動の影響が悪化する中、少額で的を絞った投資ではなく、できるだけ早く災害への準備ができるよう巨額の資金を投じるという、米国の災害対策政策の変更を示す。FEMAのディアン・クリスウェル長官(Deanne Criswell)は、「我々が気候変動で直面しているリスクは、世代的なリスクである。新たな資金の目標は、州や地方自治体の高官が自分達の手法を拡大し、個々の住宅やビルを強固にする小型のプロジェクトへの焦点を軽減し、地域社会全体を保護する方策により注意を向けるようにすることである」と述べる。 New York Times “Biden Announces Record Amount of Climate Resilience Funding” (8/5/21)

バイデン大統領、クリーンな自動車とトラックへ向けて米国のリーダーシップを促進

バイデン大統領は8月5日、「より良い再建議題(Build Back Better Agenda)」と、インフラ/製造/インセンティブにおける超党派のインフラ合意の目標を進展させることを狙いとした一連の行動を発表した。「より良い再建議題」の影響を強化し、米国が、電気自動車を未来へと牽引し、中国との競争に勝ち、気候危機に対応できることを目指す。具体的には、2030年までに販売される新車の半分をゼロ排出自動車(電池、プラグイン式ハイブリッド、燃料電池式の自動車が含まれる)とする新たに野心的な目標を設定する大統領令(Executive Order)に署名した。同令によって、消費者に節約をもたらし、汚染を削減し、公衆衛生を強化し、環境正義を進展させ、気候変動への対策となる長期的な燃費及び排出基準の策定作業も開始される。更に、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)と運輸省(Department of Transportation: DOT)は、前政権が燃費及び排出基準を短期的に後退させた点にどのように対処するかについて発表する予定である。 White House “FACT SHEET: President Biden Announces Steps to Drive American Leadership Forward on Clean Cars and Trucks” (8/5/21)

IPCC、「気候変動は、広範かつ急速・急激」と報告

気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)の作業部会(Working Group)は8月9日、「気候変動2021:物理科学の基礎(Climate Change 2021: the Physical Science Basis)」を発表した。この報告書は、IPCCの第6次評価報告(Sixth Assessment Report)」(2022年に完成予定)の最初の報告書である。それによれば、科学者は、世界のあらゆる地域、そして気候システム全体における変化を観測している。変化の多くは、過去数千年における前代未聞の事象であり、継続的な海面の上昇などの一部の変化は、数百年から数千年にかけて取り戻すことができない。その一方で、二酸化炭素やその他の温室効果ガスの強力かつ持続的な排出削減は、気候変動を制限するだろうとの考えが示されている。 Intergovernmental Panel on Climate Change “Climate change widespread, rapid, and intensifying – IPCC” (8/9/21)