DARPA、スペクトル検出における量子シフトの実現に取り組む研究チームを選出

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は8月4日、「量子アパーチャ(Quantum Apertures: QA)」プログラムに取り組む研究チームを選出したことを発表した。QAプログラムは、根本的に新しい形で無線周波数(RF)の波形を受信する方法を開発し、国防応用を目的とした新たな水準の感度と機敏性を実現することに取り組む。選出されたのは、ハネウェル社(Honeywell)、ノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman)、SRIインターナショナル社(SRI International)がそれぞれ率いる研究チームである。QAプログラムの狙いは、量子技法を使ってRFにアクセスする方法を変更するRFアンテナもしくはアパーチャを開発することで、伝統的な受信機よりも遥かに優れた感度、帯域、ダイナミック・レンジを持つ携帯型の指向性RF受信機を開発することを目標としている。QAプログラムは、2021年秋にスタートし、56カ月間にわたって4つのフェーズで行なわれる予定である。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Selects Research Teams to Enable Quantum Shift in Spectrum Sensing” (8/4/21)

DARPA、薬物耐性を持つ微生物感染症対策としての新規治療法開発に取り組むチームを選出

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は8月6日、「救命治療のための酵素活動の活用(Harnessing Enzymatic Activity for Lifesaving Remedies: HEALR)」プログラムを支援する3つの研究チームを選出したと発表した。選出されたのは、イェール大学(Yale University)、ワシントン大学(University of Washington)、ブロード研究所(Broad Institute)の3グループで、新規の治療法と新規のたんぱく質分解戦略/モダリティを活用し、微生物による新興の脅威に対する柔軟かつ早急な対応の実現に取り組む。3つの研究チームはそれぞれ異なる手法を利用することになる。HEALRプログラムは4年半にわたって行なわれ、フェーズ1(24カ月:HEALR治療の標的の特定とHEALR概念の有効性の提示)、フェーズ2(18カ月:技術の改良と治療の有効性の実証)、フェーズ3(12カ月:食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)による審査の対象となる新規医薬品候補の提出)に分かれている。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Selects Teams to Develop Novel Therapeutics for Combating Multi-Drug Resistant Microbial Infections” (8/6/21)

NIST、増大する脅威への対抗を目的として、サイバー対応力ガイドを更新

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は8月5日、サイバー対応力に関する文書の更新版(草案)を発表し、情報技術システムを徹底的に保護するための次世代戦略を提示した。「NIST特別出版800-160、第2巻、改訂1、サイバー対応力のあるシステムの開発:システム・セキュリティ工学手法 草案(Draft NIST Special Publication 800-160, Volume 2, Revision1, Developing Cyber-Resilient Systems: A Systems Security Engineering Approach)」と題する264ページに及ぶ文書は、一般的な境界ベースの防御メカニズムから離れ、現在、不可避のように見えるランサムウェア攻撃やその他のサイバー脅威に対して、事業体が準備することを支援する洞察及びリソースを提示している。NISTは、このガイダンスに対するパブコメを9月20日まで受け付けている。 Nextgov “NIST Updates Cyber Resiliency Guide to Account for Increasingly Sophisticated Threats” (8/5/21)

バイデン大統領、記録的な気候対応資金を発表

米国内で様々な災害が発生する中、バイデン政権は8月5日、気候変動の影響に対する地域社会の対策を支援するべく、記録的な額の資金を注入することを発表した。35億ドルのグラントが、連邦緊急管理局(Federal Emergency Management Agency: FEMA)から州政府へ提供される。この新たな資金は、気候変動の影響が悪化する中、少額で的を絞った投資ではなく、できるだけ早く災害への準備ができるよう巨額の資金を投じるという、米国の災害対策政策の変更を示す。FEMAのディアン・クリスウェル長官(Deanne Criswell)は、「我々が気候変動で直面しているリスクは、世代的なリスクである。新たな資金の目標は、州や地方自治体の高官が自分達の手法を拡大し、個々の住宅やビルを強固にする小型のプロジェクトへの焦点を軽減し、地域社会全体を保護する方策により注意を向けるようにすることである」と述べる。 New York Times “Biden Announces Record Amount of Climate Resilience Funding” (8/5/21)

バイデン大統領、クリーンな自動車とトラックへ向けて米国のリーダーシップを促進

バイデン大統領は8月5日、「より良い再建議題(Build Back Better Agenda)」と、インフラ/製造/インセンティブにおける超党派のインフラ合意の目標を進展させることを狙いとした一連の行動を発表した。「より良い再建議題」の影響を強化し、米国が、電気自動車を未来へと牽引し、中国との競争に勝ち、気候危機に対応できることを目指す。具体的には、2030年までに販売される新車の半分をゼロ排出自動車(電池、プラグイン式ハイブリッド、燃料電池式の自動車が含まれる)とする新たに野心的な目標を設定する大統領令(Executive Order)に署名した。同令によって、消費者に節約をもたらし、汚染を削減し、公衆衛生を強化し、環境正義を進展させ、気候変動への対策となる長期的な燃費及び排出基準の策定作業も開始される。更に、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)と運輸省(Department of Transportation: DOT)は、前政権が燃費及び排出基準を短期的に後退させた点にどのように対処するかについて発表する予定である。 White House “FACT SHEET: President Biden Announces Steps to Drive American Leadership Forward on Clean Cars and Trucks” (8/5/21)

IPCC、「気候変動は、広範かつ急速・急激」と報告

気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)の作業部会(Working Group)は8月9日、「気候変動2021:物理科学の基礎(Climate Change 2021: the Physical Science Basis)」を発表した。この報告書は、IPCCの第6次評価報告(Sixth Assessment Report)」(2022年に完成予定)の最初の報告書である。それによれば、科学者は、世界のあらゆる地域、そして気候システム全体における変化を観測している。変化の多くは、過去数千年における前代未聞の事象であり、継続的な海面の上昇などの一部の変化は、数百年から数千年にかけて取り戻すことができない。その一方で、二酸化炭素やその他の温室効果ガスの強力かつ持続的な排出削減は、気候変動を制限するだろうとの考えが示されている。 Intergovernmental Panel on Climate Change “Climate change widespread, rapid, and intensifying – IPCC” (8/9/21)

気候同盟、炭素税への支持を巡るロビイストの発言を受け、エクソンモービル社の会員権を停止

超党派の気候リーダーシップ評議会(Climate Leadership Council)は、エクソンモービル社(ExxonMobil)のロビイストが、去る6月に「広報目的から炭素税を支持しているだけである」との発言をしたことを受け、8月6日、同社の会員権を一時剥奪すると発表した。同評議会のCEOであるグレッグ・バーテルセン氏(Greg Bertelsen)は、「慎重な検討の結果、気候同盟リーダーシップ評議会及び炭素ディビデンド(Carbon Dividends)の双方における同社の会員権を停止する」と述べた。エクソン社は2017年に設立された同評議会の創立メンバーであった。エクソン社は、「気候リーダーシップ評議会の決定は失望的かつ逆効果である。また、本件によって、炭素価格付けの進展に向けた当社の取り組みが抑止されることはない」と声明した。 The Hill ” Climate alliance suspends Exxon over lobbyist’s comments on carbon tax support” (8/6/21)

NSF、生物科学におけるカルチャー改善を目指す学会を支援

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、より多様な科学的労働力を確立し、生物科学への参加を拡大し、同分野の科学学会とのパートナーシップを形成することを目的として、「科学コミュニティ宛ての書簡:生物学の専門学会を通じたカルチャー変化の主導(Dear Colleague Letter: LEAding cultural change through Professional Societies (LEAPS) of Biology)」の下、新たに5件のアワードを発表した。合計450万ドルで3件の研究調整ネットワーク(Research Coordination Network: RCN)及び2件のワークショップを支援する。経済・健康・国防を支える先端研究とブレイクスルーの発展には、全ての学問分野が含まれる多様な科学的労働力が必要とされる。受益するRCNの一つは、生物学研究の専門職における先住民の割合を向上させることに焦点を当てた複数の組織の取り組みをまとめる。また、ワークショップ・シリーズの一つは、一連の会合とワークショップを通じて、包含性・多様性・公平性・アクセスに関する監査ツールの開発に焦点を当てている。 National Science Foundation “New NSF awards support societies in changing culture in biological sciences” (8/5/21)

NSF INCLUDES、公平性の強化とSTEMへの参加拡大に焦点を当てた新たな同盟を発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、歴史的に恵まれない層の個人がSTEM教育に包含されるようにするための準備の強化やSTEMへの参加の強化などを目的として、新たに5つのNSF INCLUDES同盟(NSF INCLUDES Alliance)に投資すると発表した。これは、全国規模でSTEMにおける多様性、包含性、参加に関する課題に対処するためのNSF全体の取り組みの一部で、投資額は5,000万ドルとなっている。今回設立されるのは、①先住民コミュニティ内及び同コミュニティとの食料・エネルギー・水システムにおけるキャリアパスの拡大、②身体障害のある学生のSTEMへの参加、ネットワーキング、移行機会、など5つのNSF INCLUDES同盟である。これらの5つのNSF INCLUDES同盟は、従来の8つのNSF INCLUDES同盟と、3,000件以上のパートナーで構成されるNSF INCLUDES全国ネットワーク(NSF INCLUDES National Network)に仲間入りする。 National Science Foundation “NSF INCLUDES announces new Alliances focused on increasing equity and broadening participation in STEM” (8/3/21)

科学出版組織と国立研究所、過去の出版論文の氏名変更プロセスに関して協力(トランスジェンダーの包含)

17の米国国立研究所と多くの大手出版社、専門誌、その他の科学出版組織は7月28日、過去の出版論文について研究者から氏名変更の要請があった場合にそれを支援するパートナーシップを開始すると発表した。ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)がこの取り組みを調整している。今回の合意を受け、過去の出版論文の氏名変更を望む研究者は、キャリアのあらゆる段階における自分の活動をより容易に主張できるようになる。具体的には、一部のトランスジェンダーの研究者が過去の学術活動に関連した自分の氏名を変更するよう要請する際の手続き的及び心理的な苦痛に対処する。従来は、研究者個人が、氏名変更の要請に関するあらゆる負担を負っていたが、今回のパートナーシップにより、研究者個人がその都度行っていたプロセスが合理化される。 Lawrence Berkeley Laboratory “Scientific Publishing Organizations and National Laboratories Partner on Transgender-Inclusive Name-Change Process for Published Papers” (7/28/21)