CSET報告書:「中国軍はどのように人工知能を採用しているか」

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「電光石火のスピードを活用:中国軍はどのように人工知能を採用しているか(Harnessed Lightning: How the Chinese Military is Adopting Artificial Intelligence)」と題する報告書を発表した。中国人民解放軍(People’s Liberation Army: PLA)及び国営国防事業が2020年に発注した人工知能(AI)関連の機器契約(約350件)について調査し、中国軍がどのようにAIを採択しているかについて評価したものである。報告書は、AIの主要な国防業界サプライ企業を特定し、米国輸出管理政策における溝を明らかにし、米国と競合するための中国のより広範な戦略におけるPLAの投資状況を説明している。キーファインディングとして、①中国軍の指導者は既に、AI関連のシステム及び機器を調達し、知能化戦(intelligentized warfare)に備えているが、全体的な調達活動にAIが占める割合は小さい、②中国指導者は、AIを、PLAを世界クラスでグローバルな競争力を持つ軍事力へ変革する鍵と見ている。また、AIとオートノミーにおけるPLAの進展は、米国やインド太平洋上の同盟軍事力に新たな脆弱性をもたらしている、などが挙げられている。 Center for Security and Emerging Technology “How the Chinese Military is Adopting Artificial Intelligence” (October 2021)

エネルギー省、低炭素エネルギー源と併設した直接空気回収(DAC)及び貯留の支援に1,450万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は10月26日、既存の低炭素エネルギーを活用し、直接空気回収(ダイレクト・エアー・キャプチャー、Direct Air Capture: DAC)と信頼性の高い炭素貯留と組み合わせた技術を拡大するための資金として1,450万ドルを確保したことを発表した。DACは、大気から二酸化炭素を切り離すプロセスで、切り離された二酸化炭素はその後、地下深くに恒久的に貯留されるか、製品へ転換される。DACは成長中の分野であるものの、コスト効果を高めて経済的に実行可能な技術を創出するには、依然として大幅な投資が必要な分野と考えられている。本研究を通じて、これらのシステムの運用と、国内の低炭素熱エネルギー源(原子力発電所や地熱資源、産業プラントなど)と併設されるDAC技術の研究開発が加速されることが期待されている。 Department of Energy “DOE Announces $14.5 Million Supporting Direct Air Capture and Storage Coupled to Low Carbon Energy Sources” (10/26/21)

IARPA、SCISRSプログラムを開始

国家情報長官室(Office of the Director of National Intelligence)傘下の情報高等研究開発活動(Intelligence Advanced Research Projects Activity: IARPA)は10月26日、「スマート無線システムによる格納情報の確保(Securing Compartmented Information with Smart Radio Systems: SCISRS)」プログラムの開始を発表した。潜在的にデータ漏洩を試みようとする無線シグナルを自動的に検知及び特性化するスマート無線技法の開発を目指すプログラムで、複数年にわたって実施される。SCISRSプログラムは、諜報コミュニティ及び国防総省(Department of Defense)が、セキュアな施設などで生成、貯蔵、使用、伝送、受理された情報及びデータを保護できるよう、その能力を高めることに取り組む。このプログラムが成功するには、機械学習と伝統的なデジタル信号処理技法の画期的飛躍が必要となるとみられている。IARPAは本プログラムの研究契約受注企業として、A10システムAiRANACULUS社(A 10 Systems AiRANACULUS)、BAEシステムズ社(BAE Systems)など5社を選出した。 Office of the Director of National Intelligence ” IARPA Announces Launch of SCISRS Program ” (10/26/21)

米高官、AIとバイオテックの分野で米企業が中国の事業体と提携するリスクについて警告

米国の諜報担当高官は、企業と大学に対し、人工知能(AI)やバイオテクノロジー、量子コンピューティングといった主要の新興技術に関して中国の企業と提携することのリスクについて警告している。政府高官は、業界と研究者に中国とのデカップリング(分断)やこれらの事業体との関係を解消することを提唱しているのではなく、中国政府にはこれらの分野で支配的になるための広範な国家計画があるという点を理解してもらいたいとしている。国家情報長官室(Office of the Director of National Intelligence)傘下の国家防諜安全保障センター(National Counterintelligence and Security Center)の高官は、「中国政府の戦略には、データやノウハウの取得が含まれ、これはハッキングやその他の違法な行為を通じてだけでなく、買収や投資、パートナーシップといった合法な手段も含まれる。企業や研究者はリスクを呈していることに気づいていないかもしれない」と述べる。 Washington Post ” U.S. officials caution companies about risks of working with Chinese entities in AI and biotech” (10/22/21)

ファーウェイ社と中芯国際集成電路製造(SMIC)、数十億ドルの米国の輸出ライセンスを取得

下院外交委員会(House Foreign Affairs Committee)が10月21日に公開した文書によれば、ファーウェイ社(華為技術、Huawei)と中芯国際集成電路製造(SMIC)は、輸出規制の対象になっているにもかかわらず、ここ数カ月の間、数十億ドル規模の米国技術を輸出するためのライセンスを取得しているという。文書は、商務省(Department of Commerce)が301件のライセンス(合計で1,030億ドルの価値)を付与したことを示している。商務省の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security)は開示文書の中で、「ライセンスは11月から4月にかけて付与されたもので、トランプ前政権下で策定され、現在のバイデン政権に引き継がれた方針の下で付与された」としている。文書を公開した下院外交委員会の共和党議員トップであるマイケル・マコール下院議員(Michael McCaul)は、「オープンになることを求めて情報を公開した。ライセンスの付与と、最近発表された中国政府による極超音速兵器プログラムに関する報告書は、輸出管理に関して更なる透明性とより厳しい取り締まりが必要なことを意味している」と述べた。 Bloomberg ” Huawei and SMIC Scored Billions in U.S. Licenses, Lawmakers Say” (10/21/21)

マイクロン社、今後十年間に1,500億ドルの資本支出でチップ生産を拡大へ

メモリー・チップ・メーカーのマイクロン・テクノロジー社(Micron Technology, Inc)は、急増する需要に対応するため、投資を拡大し、今後十年間に1,500億ドル以上を投じる計画を発表すると共に、議会に対し、国内工場の拡大を支援する法案を可決するよう要請した。同社の最高経営責任者(CEO)のサンジェイ・メロートラ氏(Sanjay Mehrotra)によれば、計画されている支出の一部は既存のチップ生産施設の拡大と、潜在的な新規工場の建設へ充当される。世界的な半導体不足を受け、インテル社(Intel Corp.)や台湾積体電路製造、サムスン電子(Samsung Electronics Co.)などが、チップ生産能力の拡大、工場の拡張、新規工場の建設などを発表している。チップ業界は長い間、米国での事業活動が高費用のためにチップ生産は海外へ移行していると主張してきた。上院は6月に、技術研究開発への政府支出を増加させる法案を可決している。下院では本法案はまだ取り上げられていないが、より広範な法案の交渉が行われている。 Wall Street Journal “Micron to Expand Chip Production With $150 Billion in Capital Spending Over Coming Decade” (10/20/21)

CSET、世界の防衛企業大手のAI投資活動について報告

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「世界の防衛企業大手によるAI投資活動のマッピング(Mapping the AI Investment Activities of Top Global Defense Companies)」と題する報告書を発表した。世界中の軍はしばしば、最先端技術の入手や統合を世界の防衛企業最大手に依存している。本報告書は、世界の防衛企業トップ50社(軍からの収入に基づいて判断)を対象に、人工知能(AI)における投資や買収合併活動を調査したものである。報告書はキーファインディングとして、①トップ50社のうち、株式非公開のAI企業に投資、もしくはこうした企業を買収している防衛企業はほとんどなく、こうした防衛企業トップ50社は、民間のAI技術へのアクセスにおいて、これらの手法を頼りとしていない模様である、②企業ベンチャー資本部門(corporate venture capital: CVC)の子会社を有している防衛企業は、そうでない防衛企業よりもAI企業への投資を行っている、③世界の防衛企業最大手はしばしば、米国を拠点とするAI企業を対象に、買収や投資を行っている、などが挙げられている。 Center for Security and Emerging Technology “Mapping the AI Investment Activities of Top Global Defense Companies” (October 2021)

NATO、AI戦略計画と10億ドルの投資基金を発表

北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization: NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長(Secretary-General, Jens Stoltenberg)は10月20日、人工知能(AI)に関する初の戦略を採択すると共に、10億ドルを「将来性(futureproof)」に投資することを狙いとしたイノベーション基金を立ち上げると発表した。「我々は、権威主義的体制が、AIから自動システムに至るまでの新技術の開発を急いでいることを目の当たりにしている」と、ストルテンベルグ事務総長は述べた。また、NATOの新たな基金は、新興かつディスラプティブな技術に投資を行い、新たな本部及び試験センターが、欧州と北米に設置される計画であるという。NATOのAI戦略には、データ分析やサイバー防衛も統合される。NATOは近年、陸海空での活動という伝統的な焦点を拡大し、より複雑な安全保障環境への適応に取り組んでいる。 Military.com “NATO Plans AI Strategy, $1B Investment Fund as it Seeks to Stay Ahead in Tech Realm” (10/21/21)

退役軍人省、信頼性の高い技術の使用を確実にするため、AI戦略を採択

退役軍人省(Department of Veterans Affairs: VA)は、医療ケア及び福利の提供において人工知能(AI)の利用を模索する取り組みの一環として、9月下旬に新たなAI戦略を導入した。VAは、こうした事業活動全般における技術の倫理的な使用のガイドランとして機能させることを目的とし、信頼性が高く、退役軍人の情報を保護するAI技術の導入を確実にしたいと考えている。VAのAI戦略は、4つの主要な目的を実現することを意図しており、それらは、①既存のAIを使って退役軍人のための成果と経験を向上させる、②VAのAIに対する許容範囲と能力を高める、③AIに対する退役軍人と関係者の信頼を高める、④連邦機関や業界全般における既存のパートナーシップを基に築いていく、の4点。 Department of Veterans Affairs “VA adopts new artificial intelligence strategy to ensure trustworthy use of technology for Veteran care” (10/14/21)

米国企業にとり、非開示契約、企業秘密、商標は極めて重要

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は、「年間企業調査(Annual Business Survey: ABS)」を通じて、一部の営利目的企業に、6つの知的財産保護策(著作権(copyright)、意匠特許(design patent)、非開示契約(nondisclosure agreement)、商標(trademark)、企業秘密(trade secret)、実用特許(utility patent))の重要性について尋ねた(2017年)。その結果、7.3%の企業が、企業秘密は「極めて重要である」と回答し、9.0%が「多少重要である」と回答した。商標についても同様の回答であった(「極めて重要」が7.0%、「多少重要」が8.9%)。一方、非開示契約については、「極めて重要」が8.6%、「多少重要」が10.9%と、最も多くの企業が回答している。記事は本件について、業界別、企業の規模別、イノベーション活動別、2008年との比較について記述している。 National Center for Science and Engineering Statistics “Nondisclosure Agreements, Trade Secrets, and Trademarks Considered Very Important to More U.S. Businesses than Were Patents or Copyrights in 2017″ (10/15/21)