モデルナ社、NIH助成によりCOVIDワクチンを開発するも、特許から政府科学者を排除

モデルナ社(Moderna)は、「モデルナ社が開発したmRNA新型コロナ・ワクチンには国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)も関与している」とのNIHによる主張に反論しており、将来のワクチンの有用性と価格に対する政府の影響力行使に関する議論が高まっている。論争の中心は、パンデミック初期に画期的なワクチンの開発を目指して、NIH助成を受けながら、モデルナ社と密接に取り組んだ科学者の存在である。消費者擁護団体のパブリック・シチズン(Public Citizen)が、モデルナ社の特許出願書を確認したところ、モデルナ社は特許出願文書の中で、「NIHは、国立アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases: NIAID)の筆頭ワクチン研究者を含む3名の科学者がワクチンの主要な要素を発見したと主張しているものの、わが社は、これらの科学者は特許出願対象となるmRNA及びmRNAの構成の共同発見者ではないと判断した」と説明しているという。モデルナ社は現在、ワクチン及びそのノウハウを広く普及させず、富裕国と貧困国の間のワクチン格差に対処しようとしていないと、世界の公衆衛生関係者から批判を受けている。 Washington Post “Moderna took NIH money and help for its covid vaccine. Now it wants to leave government scientists off a lucrative patent.” (11/9/21)

米国地質調査所(USGS)、重要鉱物リストからウランを除外することを提案

11月9日付けの連邦広報(Federal Register)で、米国地質調査所(U.S. Geological Survey: USGS)は、国家重要鉱物リストからウランを外すことを提案し、ウラン業界とその政治的同盟者から非難を招いている。同リストは、国防及び経済安全保障にとって重要とみなされる50の鉱物について概説するもの。主に核燃料として使用されるウランは、2018年に初めて発表されたリストには含まれていた。これは、当時のトランプ大統領が義務付けたものである。連邦広報の中でUSGSは、ウランを除外する理由について、「国家重要鉱物リストの定期的な更新を義務付けている2020年エネルギー法(Energy Act of 2020)は、燃料関連の鉱物を重要鉱物と定義することから除外しているため」と説明している。1970年鉱業・鉱物政策法(Mining and Mineral Policy Act of 1970)は、ウランは鉱物燃料であると正式に定義している。今回のリスト草案では、ウランと共に、カリ、ヘリウムなどが除外され、ニッケルと亜鉛が新たに加えられた。USGSは、12月9日までパブコメを受け付けている。 EE News “USGS proposal yanks uranium from critical minerals list” (11/9/21)

リバモア研究所財団とローレンス・リバモア国立研究所が炭素教育・普及プログラムを開始

リバモア研究所財団(Livermore Lab Foundation: LLF)とローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)は、一般の市民や学生が炭素ニュートラリティや、二酸化炭素排出の選択肢、気候変動の影響などについて学ぶことを支援するため、「炭素クリーンアップ・イニシアチブ(Carbon Cleanup Initiative)」を開始した。炭素クリーンアップ・イニシアチブには、包括的で理解しやすいウェブサイトに加え、世界の気候トレンドや炭素ニュートラリティ、炭素排除戦略に関する教育者のための教育ツールキットなどが含まれる。また、カリフォルニア州内から選出された30名の教育者が、それぞれの教室で炭素のクリーンアップに関する教材を学習指導する6カ月の試験プログラムに取り組む。 Lawrence Livermore National Laboratory “Livermore Lab Foundation, Lawrence Livermore National Lab launch carbon education and outreach program” (11/12/21)

バイデン大統領、元ニューオーリンズ市長のミッチ・ランドリュー氏を上級補佐官及びインフラ調整官に任命

11月15日に予定されているインフラ投資・雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act)への署名に先立ち、バイデン大統領は11月14日、ミッチ・ランドリュー氏(Mitch Landrieu)を上級補佐官に任命した。歴史的な超党派インフラ法の実践を調整することが責務となる。ランドリュー氏は、ここ数十年間で最大規模となる道路/橋/鉄道への投資、港湾や空港への投資、米国史上最大となる公共交通機関への投資、子供たちが有害な水を飲むことを阻止するための投資、前代未聞のクリーン・エネルギー及び気候対応力への投資、全ての米国民が高速インターネットへのアクセスを得られるようにするための投資において、重要なチーム・メンバーとなる。ランドリュー氏は元ニューオーリンズ市長(2010-2018年)。市長就任時、同市はハリケーン「カトリーナ(Katrina)」の被害からの回復途上であった。ランドリュー氏は市長として当時、100件以上のプロジェクトに全力で取り組み、道路や学校、病院、公園、重要インフラのために数十億ドルの連邦資金を確保するなどし、市の復興に大きく貢献した。 White House “President Biden Announces Former New Orleans Mayor Mitch Landrieu as Senior Advisor and Infrastructure Coordinator” (11/14/21)

ランダーOSTP長官、ホワイトハウス内で反感を招く

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)の長官で、バイデン政権の閣僚でもあるエリック・ランダー氏(Eric Lander)は、ホワイトハウス内で周囲の人々の反感を招きつつある。最近では、当初、米国雇用計画(American Jobs Plan)に含まれていた将来のパンデミック対策案(300億ドル)を政権と議会民主党指導部が削減した後、ランダー長官は、大統領府立法問題局(Office of Legislative Affairs: OLA)を通さずに、資金を増加するよう上院議員に猛烈なロビー活動を行ったという。枠組みがまとまった後に、OLAを通さずに枠組みを変更しようとすることは手続き違反とされている。また、ランダー長官は就任以降、連邦政府内のほぼ全ての科学関連の問題に口を挟もうとし、その口調も対立的であるなど、多くの同僚の反感を招いているという。その一方で、ランダー氏は良い人物であり頭脳明晰であると考える者もいる。また、バイデン大統領からは厚い信頼を得ている。 Politico “GE’s three-way split to shake up renewables, hydrogen” (11/10/21)

S&P社、2022年に過去最高となる71ギガワットの風力及びソーラー発電導入を予測

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス(S&P Global Market Intelligence)が発表した「2022年電力/天然ガス/水の公益事業概況報告(2022 Electric, Natural Gas and Water Utilities Outlook Report)」によれば、米国は2022年に27ギガワット(GW)の風力発電と44GWのソーラー発電を導入すると予想されている。来年のソーラー発電の導入は2021年の記録の2倍となる一方、風力発電の導入は年間27GWで横ばいのようである。更に、S&P社では、2022年に8GW以上の電池貯蔵が導入されると見込んでいる。これは、2020年の6倍以上である。ただし、最近法制化された超党派のインフラ法とサプライチェーン問題の悪化により、2022年に予定されている一部のプロジェクトが先送りされる可能性はある。 Utility Dive “S&P projects record installation of 71 GW of US wind and solar in 2022 amid rising headwinds” (11/15/21)

CSET、連邦政府によるコンペを使ったAIイノベーションの推進について報告書を発表

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「連邦賞金コンペ:コンペを使った人工知能イノベーションの推進(Federal Prize Competitions: Using Competitions to Promote Innovation in Artificial Intelligence)」と題する報告書を発表した。科学技術分野において、連邦の賞金コンペは、イノベーションを推進し、知識を進展させ、問題を解決する技術ソリューションを募集する手段の一つである。報告書は、従来型の研究開発(R&D)プロセスと比較してこうしたコンペの独特な利点を特定し、それらの利点が人工知能(AI)の研究にどのように恩恵をもたらすのかについて記述している。報告書は、2010~2020年の間に連邦政府で行われた814件のコンペを調査し、その結果をまとめた。AIイノベーションを推進するための連邦コンペの利用に関して、①連邦機関は、国家安全保障面のニーズに関してAIコンペをまだ全面的に活用していない、②コンペは、潜在的なプロトタイプ作成や拡張、調達の前に、その有効性を試験する手段となっている、③国家AI研究開発戦略計画(National AI R&D Strategic Plan)やその他の連邦戦略は、将来のコンペのトピックへのロードマップを提供している、の3点がファインディングとして提示されている。 Center for Security and Emerging Technology ” Federal Prize Competitions: Using Competitions to Promote Innovation in Artificial Intelligence” (November 2021)

米英両国が量子情報科学技術の協力強化について合同声明を発表

米国と英国は11月4日、量子情報技術に関する両国間の協力を強化することを意図した合同声明を発表した。大統領補佐官(科学担当)(U.S. Presidential Science Advisor)で大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)の長官であるエリック・ランダー氏(Eric Lander)と、英国のジョージ・フリーマン科学大臣(U.K. Science Minister, George Freeman)が署名した。声明は、共同研究努力を推進し、科学者とエンジニアの訓練の機会を強化し、量子技術市場を成長させるための共通のビジョンを表明している。この他、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)と英国国立物理学研究所(U.K. National Physical Laboratory: NPL)の継続的な共同作業や、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)と英国研究イノベーション(U.K. Research and Innovation: UKRI)のパートナーシップが強化され、今後数カ月以内に本件について米英両国の業界の代表による会合が実施される。 White House “The United States and United Kingdom Issue Joint Statement to Enhance Cooperation on Quantum Information Science and Technology” (11/4/21)

CSET、超電導エレクトロニクス研究に関する報告書を発表

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「超電導エレクトロニクス研究:国家の競争力と資金拠出活動(Superconductor Electronics Research: National Competitiveness and Funding Activity)」と題する報告書を公表した。超電導エレクトロニクスの研究は、様々な商業及び国防の優先事項を進展させると共に、スーパーコンピューティングや人工知能(AI)、センサー、信号処理、量子コンピューティングへの応用の可能性が考えられる。報告書のキーファインディングとして、①日本と米国は集合的に超電導エレクトロニクス関連研究におけるアウトプットの大幅な過半数を占める、②日本と米国の政府はまた、超電導エレクトロニクスに関するプログラムへの資金拠出を極めて積極的に行っている、の2点が挙げられている。 Center for Security and Emerging Technology “Superconductor Electronics Research: National Competitiveness and Funding Activity” (November 2021)

エネルギー省、建築マテリアルの炭素貯留技術に4,500万ドルを投入

エネルギー省(Department of Energy)は11月8日、ビルを炭素貯留構造に変換できる技術の開発を支援するため、最高4,500万ドルを提供すると発表した。炭素を貯留する建築マテリアルは、しばしば品不足となり、高価で、地理的にも限定されている。エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官(Jennifer M. Granholm)は、「建築マテリアル及び建設技法は、炭素シンクとして大きな有望性を持っている。エネルギー省のエネルギー高等研究局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)は、その他の経済部門で行ってきたように、ここでも大きな変革に取り組む」と述べた。ARPA-Eは、生産過程で大気中から二酸化炭素を排除し、最終品の中に炭素を貯留することで正味の炭素ネガティブとなる建築マテリアル及びビル設計の開発と実証に取り組む「大気からインプットを取り込む構造で排出を抑制する(Harnessing Emissions into Structures Taking inputs from the Atmosphere: HESTIA)」と題するプログラムに最高4,100万ドルを提供する。 Department of Energy “DOE Announces $45 Million in Carbon Storage Technologies for Building Materials” (11/8/21)