ハワイ州、最後の石炭火力発電所を閉鎖

ハワイ州は9月1日、州内で最後に残っていた石炭火力発電所を閉鎖した。2045年までに電力の100%を再生可能エネルギーとする野心的な移行計画を持つ同州にとり、主要な節目となる。閉鎖したのはオアフ島南西部にあるバーバーズ・ポイント発電所(Barbers Point Power Plant)で、州内の電力の11%以上を供給していた(2021年)。同州のデイビッド・イゲ知事(David Ige)(民主党)は、「重要なのは温室効果ガスの削減であり、この石炭施設は最大排出施設の一つである。閉鎖することで、年間150万メトリックトンの温室効果ガス排出を止めることができる」と語った。米国内で石炭発電所は、安価な天然ガスやよりクリーンな再生可能エネルギー、厳しい排出規制によって、縮小しつつあり、現在、国内に残っている石炭発電所は270か所未満で、過去20年間に600か所以上が閉鎖されている。ハワイ州は2045年までに再生可能エネルギーによる電力を100%とすることを目指しているが、その取り組みは、パンデミックや世界的なエネルギー危機問題によって複雑化している。 New York Times “Hawaii Closes Its Last Coal-Fired Power Plant” (9/2/22)

DARPA、キャリア初期の科学者や工学者をリクルートする新たなプログラムを発表

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、キャリア早期の優れた科学者及び工学者をリクルートすることを狙いとして、DARPA内で2年間のポジションを提供する「イノベーション・フェローシップ・プログラム(Innovation Fellowship Program)」を開始する。同プログラムでは選出されたフェローが、国防総省(Department of Defense)のためにブレイクスルー技術を特定する助けとして、高インパクトで優れた研究活動のポートフォリオを開発及び管理する。DARPAのイノベーション・フェローシップは有給のポジションで、バージニア州にあるDARPAビルに勤務し、DARPAのプログラム・マネジャーや、DARPAの資金提供を受けた研究に取り組む大学、業界、非営利団体の担当者と共に活動する。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Unveils New Program to Recruit Early Career Scientists, Engineers” (8/31/22)

DARPA、赤外線センサーの革命によって画像アプリケーションに変革がもたらされる可能性を追求

現代の赤外線検出器によって暗視やマイクロエレクトロニクス設計など多様な応用が可能になっているが、これらの実用的分野で使用されているセンサーはスペクトル選択能力に欠け、雑音を消去しなくてはならないなどの問題があり、その性能は限定的である。一方、先端の赤外線センサーは超高感度で単光子レベルの検知が可能だが、極低温で冷却する必要や大型電源が必要となるなど、費用高で、国防総省(Department of Defense)もしくは商業分野での日常的な利用には適さない。国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の「光学赤外線画像(Optomechanical Thermal Imaging: OpTIm)」プログラムは、小型で常温作動し、量子レベルの性能を備えた新規の赤外線センサーの開発を目指す。非冷却型の赤外線検出器の限定的な能力と、高性能で極低温の光センサーの間の溝を塞ぐことが狙いである。 Defense Advanced Research Project Agency “Revolutionizing Infrared Sensing Could Transform Imaging Applications” (9/2/22)

大統領府、500億ドル規模の「米国チップ」プログラムの実践戦略を発表

商務省(Department of Commerce)は9月6日、バイデン大統領が先月署名して法制化した「2022年CHIPS法(CHIPS Act of 2022)」から500億ドルが拠出される「米国向け半導体生産の有益なインセンティブ創出プログラム基金(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors (CHIPS) for America Fund(通称:米国チップ基金(CHIPS for America Fund)」の実践方法を概説した戦略報告書「米国チップ基金戦略(A Strategy for the CHIPS for America Fund)」を発表した。米国チップ・プログラム(CHIPS for America program)は米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)内で実施され、国内半導体業界を活性化し、イノベーションを促進しつつ、米国内に良好賃金の雇用を創出することを目的とする。本プログラムは主要な目標として、①米国内で先端半導体生産を確立及び拡大する(米国が現在、世界供給に占める生産の割合はゼロ)、②成熟ノード半導体の十分かつ安定した供給を構築する、③次世代半導体技術が米国内で開発、生産されることを確実にするR&D投資を行う、④良好賃金の製造雇用を数万人、数十万人以上の建設雇用を創出する、の4点を挙げている。戦略報告書にはこの他に、主要なイニシアチブ、資金提供通知のスケジュールなどが記載されている。 Department of Commerce “Biden Administration Releases Implementation Strategy for $50 Billion CHIPS for America program” (9/6/22)

OSTP、米国パンデミック準備対策計画の年間報告を発表

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)と国家安全保障会議(National Security Council: NSC)は2021年9月3日、「米国パンデミック準備対策計画:我々の能力を変革する(American Pandemic Preparedness Plan: Transforming Our Capabilities)」と題する報告書を発表した。将来の脅威に直接対処するために必要な変革的能力について概説したものである。それから1年後の今年9月1日、OSTPは関連省庁機関との調整の下、「米国パンデミック準備対策計画の実践に向けた初の年間進捗報告(First Annual Report on Progress Towards Implementation of the American Pandemic Preparedness Plan)」を発表した。パンデミック準備対策へ向けた重要な進展を詳述したもので、その中には、投資の優先事項や今後必要とされる追加の取り組みなどが含まれている。 White House “Fact Sheet: American Pandemic Preparedness Plan Annual Report” (9/1/22)

大統領府、見習い大使イニシアチブを開始

大統領府は9月1日、「見習い大使イニシアチブ(Apprenticeship Ambassador Initiative)」の開始を発表した。同イニシアチブは、雇用主、業界団体、労働組織、教育者、労働力代理人、登録見習いの強化と多様化に取り組むコミュニティ・ベースの組織など、200件以上で構成される全国ネットワークである。登録見習い(Registered Apprenticeship)制度は、質が高く債務ゼロで公平な「所得と学習」のモデルで、全国的に認められた認証制度となっており、雇用主がより多様な労働力を採用する助けとなっている一方、労働者には実際の学習経験や雇用関連の指示及びメンター、良好賃金雇用への明確なキャリアパスを提供している。既に40以上の業界で登録見習い制度プログラムがあり、見習い大使イニシアチブはこれらのプログラムを今後1年をかけて拡大及び多様化することにコミットしている。具体的には、①40の業界全般で460件の登録見習いプログラムを開発、②1万人以上の新たな見習いを採用、③5,000件以上のアウトリーチ/宣伝/訓練イベントを開催し、企業/労働/教育のリーダーが同様のプログラム立ち上げに向けた支援、等を行う。 White House “FACT SHEET: Biden-⁠Harris Administration Launches the Apprenticeship Ambassador Initiative to Create Equitable, Debt-Free Pathways to High-Paying Jobs” (9/1/22)

バイデン大統領、10億ドルの米国救済計画地域チャレンジの勝者として21チームを発表

バイデン大統領は9月2日、10億ドルの「より良い再建 地域チャレンジ(Build Back Better Regional Challenge)」の勝者として21チームを発表した。本チャレンジは、ここ数十年間で最も影響力のある地域経済開発コンペで、バイデン大統領による「米国救済計画(American Rescue Plan)」から資金拠出を受け、商務省(Department of Commerce: DOC)の経済開発局(Economic Development Administration: EDA)が運営管理する。各勝者チームには、地域経済の再興や包含的で公平な回復の推進、クリーン・エネルギーや次世代製造、バイオテクノロジーなどの未来の産業部門で数千人の良好賃金雇用を創出するための資金が提供される。受益者は24州に及び、変革的なプロジェクトを実行し、地域産業の活性化のためにそれぞれ2,500~6,500万ドルを受益する。実行されるプロジェクトには、労働力訓練プログラムの開発及び労働者と雇用の結びつけ、家族経営の製造事業者を対象に従来型の自動車から電気自動車への移行支援、部族コミュニティで中小企業を支援するためのデジタル金融部門の確立、などが含まれる。 White House “President Biden to Announce 21 Winners of $1 Billion American Rescue Plan Regional Challenge” (9/2/22)

炭素の社会的費用は連邦政府の試算の3倍以上との報告

カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の研究者と非営利組織の「未来の資源(Resources for the Future: RFF)」は9月1日、「包括的な証拠は二酸化炭素の社会的費用がより高額であることを示す(Comprehensive Evidence Implies a Higher Social Cost of CO2)」と題する報告書を発表した。それによれば、気候変動の将来的な費用を評価する主要測定基準となる「炭素の社会的費用」は、連邦政府が現在使用している試算よりも3倍以上高いという。報告書の執筆者は、気候科学や経済学、人口動態学、統計学の専門家によるチームを編成し、炭素の社会的費用を試算するための新たなモデルを開発した。それに基づくと、大気中に新たに放出される二酸化炭素が社会にもたらす費用は、1トン当たり185ドルで、米政府の試算(51ドル)の3.6倍となっている。炭素の社会的費用がより高いことは、温室効果ガスの排出削減がこれまで考えられていたよりも大きな社会的及び経済的恩恵をもたらす可能性があること、より厳しい気候政策を正当化するために使用できる可能性があることを示す。 Berkeley News “Social cost of carbon is more than triple the federal estimate” (9/1/22)

ハーバード大学、新興技術のスタートアップを支援する「グリッド」プログラムを開始

ハーバード大学(Harvard University)は9月7日、「グリッド(The Grid)」イニシアチブの開始を発表した。本イニシアチブは、大学のイノベーションを、世界的課題に対処する商業的に実行可能な製品及びサービスへ迅速に移行させることを狙いとしたものである。一連のプログラムは、物理科学と工学に焦点を当てており、アントレプレナー精神を持つハーバード大学の研究者及び学生は、自身の研究をスタートアップへ転換させることが可能になる。グリッドは、同大学の工学・応用科学スクール(Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences: SEAS)とハーバード技術開発局(Harvard Office of Technology Development: OTD)の共同作業で、研究者とその新興事業に、学内アクセラレータ資金や物理的空間、教育プログラム、同窓生や投資家、スタートアップ・エコシステムへの結び付きを提供する。 Harvard University “Harvard Grid to Support Emerging ‘Tough Tech’ Startups” (9/7/22)

国防総省、極超音速試験手段のための商業技術を模索

国防総省(Department of Defense)は、高速試験航空機を実証するため、超音速技術への商業民間投資を活用することを模索している。国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は今週、「極超音速かつ高頻度の航空試験能力(Hypersonic and High-Cadence Airborne Testing Capabilities: HyCAT)」プログラムを通じて、国防総省の試験インフラ上の制約を軽減する一助となる極超音速試験手段について、業界からのプロポーザルを模索する通知を行った。DIUは、年内に提供事業者を選出し、今後2年以内に航空機を飛行させることを目指す。国防総省は、2015年から2024年の間に150億ドルを投じて極超音速システム(マッハ5以上)を開発することに取り組んでおり、本投資は約70件のプログラムを通じて行われている。しかし、その開発プロセスにおいて試験インフラは大きな制約となっており、多くのプログラムにおいて飛行試験は毎年数回実施されるのみとなっている。DIUの高官は、「理想的には、こうしたプログラムで毎週1件の飛行試験が行われることが望ましい」と述べる。HyCATのゴールは、国防総省がその目標へ向かうべく、商業技術を活用して、新規マテリアル及びシステムの検証を行うことである。 Defense News “Pentagon seeks commercial tech for hypersonic test vehicle” (9/2/22)