エネルギー省、核燃料供給網の新たなコンソーシアムを設立へ

原子力産業基盤の活性化を狙いとした大統領令に基づき、エネルギー省(Department of Energy)は、国防生産法コンソーシアム(Defense Production Act (DPA) Consortium)を設立し、米国企業との自主的合意を模索することを8月22日に発表した。DPAコンソーシアムの下、自主的合意を通じて、業界との協議を行い、鉱業・鉱物の粉状化・転換・濃縮・逆転換・製造・リサイクル・再処理の核燃料供給網を確実にする行動計画を策定する。エネルギー省は今後、暫定最終規則を連邦官報(Federal Register)に掲載し、パブコメを要請する。エネルギー省の原子力エネルギー局(Office of Nuclear Energy)が数週間以内に、業界関係者と共に参加機関の特定並びに短期的・長期的目標について協議する予定である。 Department of Energy “Energy Department to Establish New Consortium for Nuclear Fuel Supply Chain” (08/22/25) https://www.energy.gov/ne/articles/energy-department-establish-new-consortium-nuclear-fuel-supply-chain

米国とEU、相互的で公正でバランスの取れた貿易の合意枠組み 合同声明

米国と欧州連合(European Union: EU)は8月21日、「相互的で公正でバランスの取れた貿易に関する米=EU合意枠組み(United States-European Union Framework on an Agreement on Reciprocal, Fair, and Balanced Trade)」に関する合同声明を発表した。声明には次のような点が含まれる。①米国は、通商拡大法232条(Section 232 of the Trade Expansion Act of 1962)に基づいて課されるEU産の製薬・半導体・木材の税率が15%を超えないよう迅速に対応する、②EU産の自動車及び自動車部品の関税は、EUで本合意枠組みに整合する法案が提出され次第、最恵国待遇(Most Favored Nation: MFN)の関税率が15%以上の品目には追加関税が適用されず、MFN関税率が15%未満の品目には15%の税率が適用される、③米国とEUは、確実で信頼性があり多様なエネルギー供給の確保に協力し、その一環としてEUは米国の液化天然ガス・原油・原子力エネルギー製品を調達する(2028年までに7,500億ドル相当の見込み)、④EUは圏内の計算センター向けに400億ドル分以上の米国製AIチップを購入予定で、更に、米国の要件に沿った技術セキュリティ要件を採択・維持する計画である。 White House “Joint Statement on a United States-European Union Framework on an Agreement on Reciprocal, Fair, and Balanced Trade” (08/21/25) https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/2025/08/joint-statement-on-a-united-states-european-union-framework-on-an-agreement-on-reciprocal-fair-and-balanced-trade/ 参考: https://www.nextgov.com/policy/2025/08/us-and-eu-agree-trade-framework-prioritizing-secure-chip-sales/407603/?oref=ng-skybox-hp

オークリッジ国立研究所、初のオンプレ型量子コンピュータにフィンランドIQMを選択

HPCwireは8月19日、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)が初のオンプレ型量子コンピュータとしてフィンランドのIQM社製20量子ビットの新型ラディアンス(Radiance)システムを購入すると発表した。2025年第3四半期に納入予定で、ORNLの高性能コンピューティング(High-performance computing: HPC)システムと統合して量子・古典ハイブリッド・アプリケーション開発を推進する。IQM社は欧州やアジアで5量子ビットのスパーク(Spark)モデルから高量子ビットのラディアンスまで幅広いオンプレ型の展開実績がある。ORNLは現在IBM社、IQM社、イオンキュー社(IonQ)、クオンティニュアム社(Quantinuum)などの量子コンピューティング・ユーザープログラム(Quantum Computing User Program)をポータルアクセスで提供、ORNLに本部を置く量子科学センター(Quantum Science Center)は最先端量子技術への直接アクセスにより、量子コンピュータとHPCシステムの統合方法を探求できると評価している。 HPCwire “ORNL Chooses IQM as its First On-Prem Quantum Computer” (08/19/25) ORNL Chooses IQM as its First On-Prem Quantum Computer

EV充電管理で年間300億ドル節約可能 国内電気料金10%削減も

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は8月21日、電気自動車(EV)の充電を適切に管理することで、2035年までに国内電力会社が年間300億ドルの節約を実現できると報じた。充電管理サービスを提供するev.energy社とコンサルティング企業のブラトル・グループ(Brattle Group)の調査によると、EV充電需要の効率的な管理により、米国全体の電気料金を年間10%削減でき、EV車両1台あたり最大575ドルの回避コストに加え、双方向充電(Vehicle-to-grid: V2G)技術を組み込んだプログラムでは、その効果が2倍以上の年間1,300ドル超となる可能性があることが示された。エジソン電気協会(Edison Electric Institute: EEI)の2024年予測では、2035年までに国内の道路を走るEVは約7,900万台に達すると見込まれており、適切な充電管理がなければ、変圧器の早期故障や電力システムの緊急拡張が必要で、電気料金のさらなる上昇の恐れがあるという。ev.energy社は規制の観点からも、追加の試験プログラムではなく、本格的な拡大が必要であると強調している。 Utility Dive “Managed EV charging could generate $30B in annual savings by 2035: report” (08/21/25) https://www.utilitydive.com/news/managed-ev-charging-could-generate-30b-in-annual-savings-by-2035-report/758242/

アンソロピック、政府とAI核セーフガード分類器を共同開発

アンソロピック社(Anthropic)は8月21日、エネルギー省(Department of Energy)の国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration, NNSA)と協力し、人工知能(AI)モデルの核兵器関連の悪用を防ぐ分類器を共同開発し、自社のAIシステム「クロード(Claude)」に実装したと発表した。核兵器開発に関する危険な会話と、原子力エネルギーや医療、政策に関する正当な議論を96%の精度で区別することができるもので、NNSAが1年間に亘りクロード・モデルをレッドチーム評価したのち、核リスク指標を共有した堅牢な評価セットを作成、そのデータを基に構築した。初期テストでは、核兵器関連のクエリに対して94.8%の検出率を達成し、誤検出はゼロだった。実環境での効果的な機能も確認されており、同社は、国家安全保障分野における官民連携の成功例としてAIの安全性向上に向けた新たなモデルになるとし、この手法をフロンティア・モデル・フォーラム(Frontier Model Forum)を通じて業界全体に共有していくという。 Anthropic “Developing nuclear safeguards for AI through public-private partnership” (08/21/25) https://red.anthropic.com/2025/nuclear-safeguards/

NRC、核融合装置の量産化に向けた規制枠組み提言を議会に提出

核融合産業協会(Fusion Industry Association: FIA)は7月、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)が量産型核融合装置の許認可を支援する新たな規制枠組みに関する報告書を議会に提出したと発表した。2024年7月9日に成立した多用途先進原子力導入促進法(Accelerating Deployment of Versatile, Advanced Nuclear for Clean Energy: ADVANCE Act)の第205条(c)(2)項に基づき作成された報告書は、核融合技術の商業化に向けた規制の明確化に向け、安全性レベルに応じたリスク情報に基づく審査、承認済み設計を効率的に複製するための製造認証制度、重要部品の安全性と信頼性を確保する規格・基準の活用、製造業者の明確性確保に向けたNRCとの州間協定の規制枠組みの整合性確立を提言している。また、連邦航空局(Federal Aviation Administration: FAA)の航空機製造認証、食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の医療機器監督、運輸省(Department of Transportation)の車両安全基準など異業種の規制アプローチも検証し、核融合技術の革新的な商業化に向けた準備を進めている。 Fusion Industry Association “NRC Submits Report to Congress on Licensing Frameworks for Fusion Energy Machines” (07/25) https://www.fusionindustryassociation.org/nrc-submits-report-to-congress-on-licensing-frameworks-for-fusion-energy-machines/

PNNL、パーミットAIの新たなデータセットを発表

国家環境政策法(National Environmental Policy Act:NEPA)の審査データは、連邦政府の個別のコンピュータシステムに保管されており、それらの多くは文書の形で保管されていることから人工知能(AI)等の新しいデータ解析手法では容易にアクセスできない。こうした中、エネルギー省(Department of Energy)傘下のパシフィックノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory)は、「パーミットAI(PermitAI)」プロジェクトを通じて、これらの膨大な情報を一つのデータベースにまとめ、「NEPATEC2.0」として公開した。NEPATEC2.0は、AI対応型のオープンアクセスとなっており、米政府のAI行動計画(AI Action Plan)及び、統一データ基準の採用を連邦機関に求めた環境諮問委員会(Council on Environmental Quality)の指令に基づき、環境許認可の判断に携わる複数の連邦機関のデータを含めた形に拡大された。 Pacific Northwest National Laboratory “PermitAI Ushers in a New Era for Faster, Better Federal Permitting” (08/21/25) https://www.pnnl.gov/news-media/permitai-ushers-new-era-faster-better-federal-permitting

エネルギー長官、中西部の電力網の信頼性確保を指示する長官令

クリス・ライト・エネルギー長官(Chris Wright)は8月20日、中西部地域における電力網の安全保障問題に対処し、停電リスクを最小限にすることを目的とした緊急命令を発した。長官令は、中西部独立系統運用機関(Midcontinent Independent System Operator: MISO)に対して、コンシューマーズ・エナジー社(Consumers Energy)との協力に基づき、ミシガン州のJ.H.キャンベル石炭火力発電所(J.H. Cambell coal-fired power plant)が稼働可能な状態であることを維持するよう求めた。長官令は更に、米国民への費用負担を最小限にするためにあらゆる策を講じるようMISOに指示した。J.H.キャンベル石炭火力発電所の稼働継続に関する長官令は5月23日に初めて発出され、今回は2回目となる。本長官令は11月19日まで有効である。 Department of Energy “Energy Secretary Issues Order to Secure Grid Reliability in Midwest” (08/21/25) https://www.energy.gov/articles/energy-secretary-issues-order-secure-grid-reliability-midwest

より良いデザインを通じて米政府サービスの向上を目指す大統領令

トランプ大統領は8月21日、「デザインによる米国(America by Design)」イニシアチブを立ち上げる大統領令に署名した。これにより、連邦のデジタル及び物理的サービスの利便性と美的効果を強化する国家デザインスタジオ(National Design Studio)が設立され、最高デザイン責任官(Chief Design Officer)の役割が確立された。国家デザインスタジオは、重複的なデザイン費用を削減し、標準化されたデザインを活用し、一般市民と政府サービスの間のやり取りの質を飛躍的に高めることに取り組む。最高デザイン責任官は、それらの取り組みを推進するため、民間部門の優秀なデザイナーをリクルートする一助となる。大統領令はまた、連邦機関の長に、最高デザイン責任官と協力して「デザインによる米国」イニシアチブの実践に取り組むよう指示した。これには、ウェブサイトや物理的なインターフェースの改良、米国ウェブデザインシステム(United States Web Design System)の更新等が含まれる。 White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Improves our Nation Through Better Design” (08/21/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/08/fact-sheet-president-donald-j-trump-improves-our-nation-through-better-design/

AI投資のリターンに関するMITの調査結果 投資家に動揺を招く

マサチューセッツ工科大学(MIT)による最近の調査結果は、投資家の最大の懸念を実証する形となった。本件では、MITの研究者が、300件のAIイニシアチブを対象に、AIがビジネスにもたらす影響について現実を見極めることを目的として調査を実施した。その結果、企業は生成AIに300億~400億ドルを投資しているにも関わらず、95%の組織においてリターンを全く得ていないことが判明した。現在AIを使用している企業においても広範な変革は見られていないという。投資家はこれまで、技術企業による記録的なAI投資について、将来的に大きなリターンにつながると期待し、容認してきた。しかしMITの調査結果は、それらのリターンに疑問を投じ、AIに過度の期待を抱く市場にとっては壊滅的なリスクとなり得る。 Axios “MIT study on AI profits rattles tech investors” (08/21/25) https://www.axios.com/2025/08/21/ai-wall-street-big-tech