LLNL、ビンセント・タン氏をNIF・光子科学部門長に任命

ローレンス・リバモア研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)は11月18日、ビンセント・タン氏(Vincent Tang)が国立点火施設・光子科学(National Ignition Facility and Photon Science: NIF&PS)部門長(Principal Associate Director: PAD)に就任したと伝えた。世界で唯一制御された核融合点火を達成したNIFの運用や、高エネルギー密度科学の推進を統括するポジションで、核備蓄整備、国家安全保障のための最先端レーザー科学技術開発を主導する。LLNLや国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)で約20年に亘り国家安全保障分野での指導的役割に従事していた同氏は、核抑止力の安全性、セキュリティ、信頼性確保の使命を最優先に遂行するとし、次世代極端紫外線リソグラフィーのためのレーザー技術の重要性についても強調している。前任のジェフ・ウィゾフ氏(Jeff Wisoff)の退職後、5月から代行を務めたジェフ・ビュード氏(Jeff Bude)は、同部門の副部門長を務めることとなった。 LLNL “Vincent Tang to lead LLNL’s National Ignition Facility and Photon Science Directorate” (11/18/25) https://www.llnl.gov/article/53616/vincent-tang-lead-llnls-national-ignition-facility-photon-science-directorate

エックスエナジー社、米国初の先進核燃料製造施設建設開始

エネルギー省(Department of Energy)は11月17日、エックスエナジー社(X-energy)がテネシー州オークリッジで三重被覆(トリソ、Tristructural isotropic: TRISO)燃料を製造する国内初の先進核燃料製造施設「TX-1」の建設を開始したと発表した。21万4,812平方フィートに及ぶ施設で年間約70万個のTRISO燃料ペレットを製造する予定で、これは11基のキセノン100(Xe-100)小型モジュール炉に供給する能力を持つという。TX-1はあらゆる原子炉条件下の極度温度に対応し同燃料を製造する施設で、クラーク建設グループ社(Clark Construction Group)が施工を担当し、建設費4,820万ドルの半分をエネルギー省の先進原子炉実証プログラム(Advanced Reactor Demonstration Program: ARDP)が支援する。2026年5月までに規制当局の承認を経て、2027年の稼働開始を予定し、初回生産燃料は同社とダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)がテキサス州シードリフトで計画する4基構成の商用原子炉に供給される。この計画で地域に400以上の新規雇用を創出する見込みという。 Department of Energy “X-energy Starts Building Construction for Advanced Nuclear Fuel Facility” (11/17/25) https://www.energy.gov/ne/articles/x-energy-starts-building-construction-advanced-nuclear-fuel-facility

フェルミ国立加速研究所、キューブロック社と提携

エネルギー省(Department of Energy)は11月18日、フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory)と蘭キューブロックス社(Qblox)が提携したと発表した。量子技術の発展に不可欠な制御プラットフォームの国内供給体制確立に向け、量子研究の基盤技術である量子計測制御キット(Quantum Instrumentation Control Kit: QICK)を製造・供給する。QICKは同研究所が開発したオープンソースの制御プラットフォームで、量子プロセッサとセンサーの同期を可能にする基盤技術として注目されている。量子システムと古典システムをつなげる制御及び読み出しエレクトロニクスに関する技術を持つキューブロック社は、QUCKを通じた米国の量子インフラ強化に加え、高度スキル人材育成を支援するという。現時点での合意は暫定意向書(Letter of Intent)に基づくもので、今後数週間以内に、共同研究開発契約(Cooperative Research and Development Agreement: CRADA)及び完全なライセンス契約に移行される予定となっている。 Department of Energy “Energy Department Announces Partnership with Fermilab and Qblox to Manufacture Foundational Quantum Control Platform for U.S. Research and Innovation” (11/18/25) https://www.energy.gov/technologycommercialization/articles/energy-department-announces-partnership-fermilab-and-qblox

海軍、日韓との造船協力強化へ 中国の海軍力増強を警戒 

ディフェンスニュース(DefenseNews)は11月18日、海軍が中国の急速な海軍力増強に強い警戒感を示し、日韓との造船協力が不可欠であるとの認識を示したと報じた。海軍のダリル・コードル提督(Adm. Daryl Caudle)は中国海軍が11月7日に最新空母「福建(Fujian)」の就役に加え、最新の強襲揚陸艦の海上試験を開始したことに言及し、「非常に大型で能力の高い艦船」と警戒感を示した。中国海軍は艦艇数で既に米海軍を上回っているが、空母や強襲揚陸艦などの主要艦艇では依然として米国が優位にあるとしつつ、同提督は中国が空母をどのように運用するかを注視していると述べた。一方で日韓豪の地域パートナー国との協力により「大規模な統合戦力がある」とも強調し、横須賀の海軍基地と地元の造船施設を視察した際には「日本と韓国と共に、米国の造船能力を強化していく」と述べた。また、米韓の最近の合意に基づく韓国の原子力潜水艦計画については「初期段階」とし、日本も原子力潜水艦の開発に関心を示していることにも触れた。 DefenseNews “Top US admiral says he’s watching China’s rapid naval buildup closely” (11/18/25) https://www.defensenews.com/global/asia-pacific/2025/11/17/top-us-admiral-says-hes-watching-chinas-rapid-naval-buildup-closely/

国防総省、10億ドル規模の研究支援契約更新へ

ワシントン・テクノロジー(Washington Technology)は11月13日、国防総省(Department of Defense)が研究・エンジニアリング分野の次期支援契約を10億~17億ドル規模で行うと報じた。この研究開発・試験・評価・エンジニアリング・技術サービス契約(Research, Development, Test, Evaluation, Engineering and Technical Services: RETS)は約5年間に亘るもので、ミッション&システム・エンジニアリングやソフトウェア開発など幅広い分野での競争入札が予定されている。すでにアメリカン・システムズ社(American Systems)などの3社が国防次官官房研究工学局(Office of the Under Secretary of Defense for Research and Engineering)と協働しているが、次期契約は中小企業向け、もしくは業界からの反応次第では、あらゆる規模の企業が参加可能になる可能性に加え、政府全体調達契約として実施される可能性もある。現行契約では約4億1,900万ドルが発注され、アメリカン・システムズ社が2億8,000万ドル(67%)で最大の受注企業となっている。 Washington Technology “Pentagon restarts work to craft $1B research support recompete” (11/13/25) https://www.washingtontechnology.com/contracts/2025/11/pentagon-restarts-work-craft-1b-research-support-recompete/409490/

中国、大規模チップ群と安価電力でAI開発推進

CNBCは11月6日、中国が米国との人工知能(AI)競争で、華為技術(ファーウェイ)社(Huawei)の大規模チップクラスターと安価なエネルギーで技術制裁を回避しながら高度なAIモデル開発を継続していると報じた。ファーウェイ社のクラウドマトリックス(CloudMatrix) 384は、自社のアセンド(Ascend)910Cチップ384個を搭載し、エヌビディア社(Nvidia)社の最先端システムGB200 NVL72に匹敵する性能であるが、エヌビディア社製品の5倍のチップ数を必要とし消費電力も大幅に増加するため、中国政府は太陽光、風力、原子力への大規模投資により安価なエネルギー供給を確保し、地方政府も補助金や国産チップを使用するデータセンターへの電気料金割引を提供している。一方で、台湾積体電路製造社(TSMC)社に比べ、同社のチップを製造する中芯国際集成電路製造社(SMIC)社の技術の数世代遅延については、輸出規制による制限で蘭ASML社の極端紫外線リソグラフィ装置などの確保が困難であることによるという。 CNBC “China’s key weapons in its AI battle with the U.S. — massive Huawei chip clusters and cheap energy” (11/6/25) https://www.cnbc.com/amp/2025/11/07/chinas-strategy-in-ai-race-with-us-big-chip-clusters-cheap-energy.html

中国に対する輸出制限、経済打撃に ITIF提言

情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)は11月10日、中国に対する半導体の輸出規制は、国内半導体企業の収益を減少させるだけでなく、研究開発(R&D)投資低下や雇用削減を招くと発表した。報告書は2024年の半導体産業概要を基に、完全なデカップリングがもたらす国内半導体企業への影響をモデル化し、収益、R&D投資、雇用の変化を分析し、その他のデカップリングシナリオについても評価した。その経済モデルによると国内企業は中国市場からの完全な切り離しが生じた初年度に約770億ドルの売上を失うとし、そのシェアを韓国企業が210億ドル、EU企業が150億ドル、台湾企業が140億ドルを獲得するという。また規制により業界へのR&D投資は24%、約140億ドル減少するとし、産業雇用では8万人以上、下流産業では約50万人の雇用が失われると指摘した。報告書は、ICT産業セクターへの影響について、制限は潜在的なリスクを伴うことになり、最小限に抑えるべきであると結論づけている。 ITIF “Decoupling Risks: How Semiconductor Export Controls Could Harm US Chipmakers and Innovation” (11/7/25) https://itif.org/publications/2025/11/10/decoupling-risks-semiconductor-export-controls-harm-us-chipmakers-innovation/

ハーバード大学、国際イベント参加者への厳格審査導入へ

ハーバード大学(Harvard University)の学生新聞、ハーバード・クリムゾン紙(The Harvard Crimson)は11月7日、同大学が国際イベントの参加者をより厳密に審査する手続きを導入すると報じた。ビジュアル・コンプライアンス(Visual Compliance)と呼ぶプラットフォームを使用して参加者や組織が制裁国や制限対象団体と関連がないかを確認するのが目的で、特に中国、イラン、ロシアなどからの参加者や共同研究者を対象にしている。具体的には教育プログラムやオンラインプログラム、ワークショップ、カンファレンスなどあらゆる教育イベントへの関与審査に加え、これら対象国の研究者との研究資料共有や、未発表研究を国外で発表する際の輸出許可も審査する。同大学で開催された健康政策会議に中国の新疆生産建設兵団(Xinjiang Production and Construction Corps: XPCC)が参加したという下院特別調査委員会の報告が今回の導入のきっかけになったとみられ、大学は政府による特定国への制裁措置と輸出規制への遵守であると説明している。 The Harvard Crimson “Harvard Expands Screening of International Visitors After Federal Probes” (11/7/25) https://www.thecrimson.com/article/2025/11/7/harvard-screening-restricted-party-list/

留学生数、トランプ政権前から減少 IIE報告

高等教育専門紙のクロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーション(Chronicle of Higher Education)は11月17日、トランプ大統領の就任前から大学への新規留学生の入学者数が減少していたと報じた。非営利団体の国際教育研究所(Institute of International Education: IIE)が発表した「オープン・ドアーズ(Open Doors)」年次報告によると、2024年秋の留学生の新規入学者数は7%減少した。2025年秋の予備調査ではさらに17%の減少が示されており、減少傾向が予想されている。留学生は全学生の6%を占めるに過ぎないが、通常より高い授業料を全額自己負担しており、学生数が減少している大学にとって重要な存在で、特に修士課程で海外からの留学生に依存する工学、コンピューターサイエンス、ビジネスプログラムに大きな打撃となるとみられている。さらに報告書は、留学生による2024年の経済効果は430億ドルと指摘し、米国大学の学位は国にとって最大の輸出品であるとも言及している。 Chronicle of Higher Education “International Students Were Already Shunning U.S. Colleges Before Trump, New Data Show” (11/17/25) https://www.chronicle.com/article/international-students-were-already-shunning-u-s-colleges-before-trump-new-data-show

米中調査委員会 中国が製造強国の地位確立と報告 

超党派の米中経済安全保障再考委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission)は11月14日、中国はメイド・イン・チャイナ(Made in China 2025: MIC2025)戦略を通じて、製造強国としての地位を確立していると発表した。中国は10の重要技術分野で、多くの国際シェアと技術開発目標を達成、またはそれを上回る結果を出した。特に電気自動車(EV)は顕著で、2019年~2023年のEU市場シェアが8倍以上増加したという。また電機機器、バイオ医薬品、高性能医療機器、船舶、宇宙機器で大きな成果を上げており、経済規模もさることながら、長期に亘る一貫した政府支援に加え、垂直統合型供給網や税制優遇措置、強制的な技術移転政策など多様な政策が成長を後押しした。一方で航空、新材料、集積回路など大手グローバル企業が支配する市場では、知的財産権の壁を超えられず苦戦した。目標には届かなかったものの、高度鉄道輸送機器産業では世界を牽引し、半導体も2015~2023年で4倍以上の成長となっている。 U.S.-China Economic and Security Review Commission “Made in China 2025: Evaluating China’s Performance” (11/14/25) https://www.uscc.gov/sites/default/files/2025-11/Made_in_China_2025–Evaluating_Chinas_Performance.pdf