Category:その他
NSF、たんぱく質設計手法の解釈を加速させる4,000万ドルの資金提供機会を発表
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、たんぱく質の設計に関して人工知能(AI)をベースとした手法の解釈を加速させることを意図した新たな資金提供機会(4,000万ドル)を発表した。この取り組みを通じて、米国のバイオ経済にとって重要な新たな応用の実現を目指す。NSFは今後3年間、「使用にヒントを得たたんぱく質設計の加速(Use-Inspired Acceleration of Protein Design: USPRD)」イニシアチブを通じて、酵素の設計に重点を置いた形を中心に、たんぱく質の設計及びその応用を進展させることを模索する。NSFの技術・イノベーション・パートナーシップ総局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships: TIP)の高官は、「USPRDには、様々な応用分野でAIを活用したたんぱく質設計の利用を加速させる上で問題となる障害を打破できる可能性がある」と述べる。USPRDは、アイデア・ラボ(Ideas Lab)のプロセスを使い、具体的な問題や大きな課題に対する潜在的なソリューションや手法の開発に協調的に取り組むことに関心を持つ約40名の専門家ならびに関係者による双方向的な作業部会を実施する。アイデア・ラボへの参加には、予備的プロポーザルの承認が必要。 National Science Foundation “New $40M funding opportunity accelerates the translation of novel approaches to protein design to bolster the U.S bioeconomy” (2/26/24)
NSTC、国際的な科学技術協力に関する報告書を提出
大統領府の国家科学技術会議(National Science and Technology Council: NSTC)は今般、「国際的な科学技術協力に関する議会への隔年報告書(Biennial Report to Congress on International Science & Technology Cooperation)」を発表した。国際的な科学技術協力に関する米国の能力改善の取り組みに関する報告書で、前回の隔年報告で提示した16件の勧告の実践について進捗状況を評価している。報告書は、省庁間委員会によって作成されたもので、ロシアの対ウクライナ戦争など、科学的協力に影響を及ぼしている現行の地政学的課題についても議論している他、米経済の未来にとって重要となる新興技術に焦点を当てた外交努力についてもまとめている。報告書は、「第二次世界大戦以来、国際的な科学技術協力は米外交政策の支柱の一つであるが、地政学的な競争環境が高まる中で今まで以上に重要となっている現在、本件は悪化のリスクに直面している」と結論している。 White House “US Capacity for International S&T Collaboration Gets Check Up from White House” (February 2024)
エネルギー省、気候変動の軽減やグリッドの対応力などにおけるAIの使用について情報の提供を要請
エネルギー省(Department of Energy)は、3月1日付けの連邦広報(Federal Register)で、「安全でセキュアで信頼できる人工知能の開発と使用に関するエネルギー省の責務に関連する情報の要請通知(Notice of Request for Information (RFI) Related to DOE’s Responsibilities on Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence)」を通達した。先に発令されたAIに関する大統領令(Executive Order)について、民間、官民パートナーシップ、あらゆる政府機関からの様々な情報の提供を模索している。エネルギー省は、大統領令の発令日から180日以内にAIに関する報告書の提出を義務付けられており、それを作成する上で、エネルギー省の助けとなる情報を模索している。RFIの対象となっているのは、ハリケーンや山火事など異常気象に基づく事象の予測、資源レベルで気候がもたらす長期的な影響の予測、気象に関する数値予報モデルの迅速化などが含まれる。また、グリッド・インフラのセキュリティと信頼性、運用、その対応力の向上につながるAIの可能性に関する情報も歓迎している。 FEDSCOOP “DOE seeks information on AI uses for climate change mitigation, grid resilience” (2/29/24)
ペンシルバニア大学、AIでの学士課程を創設、アイビーリーグ大学として初
ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の学生は今秋から、人工知能(AI)を主専攻とすることが可能になる。同大学の報道発表によれば、アイビーリーグ(Ivy League)の大学として初めて、AIに焦点を当てた「人工知能の工学理学士(Bachelor of Science in Engineering in Artificial Intelligence)」課程が創設される。同課程では、AIの原則や、責任があり倫理的な方法でAIの能力を活用する方法について学習指導する。また、選択科目として、「信頼性の高いAI」「規格認識」「脳コンピュータ・インターフェース」といったクラスも提供される。 USA Today “A degree in artificial intelligence: Penn becomes first Ivy to offer AI major for undergrads” (2/15/24)
米国内に建設される半導体工場、汚れたエネルギーの増加につながる
非営利組織のスタンド・アース(STAND.earth)が発表した報告書「クリーンなクリックか汚れたチップか? 100%再生可能エネルギーへのコミットメントにもかかわらず、米国半導体の拡大は汚れたエネルギーの需要を促進(Clean Clicks or Dirty Chips?: Despite Commitments to 100% Renewable Energy, U.S. Semiconductor Expansion Driving Demand for Dirty Energy)」によれば、米国内におけるコンピュータ・チップ製造のブームは、いわゆる「汚れたエネルギー(dirty energy)」(環境汚染につながるエネルギーのこと)の需要を加速させる可能性がある。こうした製造事業者にとってのソリューションは、気候目標を追求しているその他の大手技術企業のような措置であるという。インテル(Intel)、TSMC、サムスン(Samsung)、マイクロン(Micron)の大手4社によって建設される新たな半導体工場は、本格稼働すると、シアトル市の消費電力の2倍以上の電力を使用する可能性がある。これらの企業は、「再生可能エネルギーによって操業する」と主張しているが、スタンド・アースの分析によれば、それは必ずしも真実ではない。そもそも米国内には十分な再生可能エネルギーが生成されていない。また、あらゆる業種の企業がクリーン・エネルギーへのコミットメントとして「再生可能エネルギー認証(Renewable Energy Certificates: RECs)」の個別購入という戦術を利用しているが、RECsには欠陥がある。半導体製造事業者が環境へのダメージを最小限にするには、アップル(Apple)、グーグル(Google)などの技術大手企業のように、電力調達協定(Power Purchase Agreements: PPA)に合意することであり、それによって環境的により大きな影響をもたらすことができると、報告書は指摘している。 The Verge “How much energy will new semiconductor factories burn through in the US?” (3/6/24)
NIST職員、米国AI安全性研究所トップに予定されている「効果的利他主義者」の任命に反対
少なくとも2名の情報筋によれば、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は、新設された米国AI安全性研究所(US AI Safety Institute: AISI)で予想されているポール・クリスティアーノ氏(Paul Christiano)のトップ任命を巡り、これに反対する職員と科学者が退職するかもしれないという危機に直面している。クリスティアーノ氏は、効果的利他主義(effective altruism: EA)の動きと、その派生である長期主義(longtermism)(人類の長期的未来を優先する考え方)との結びつきで知られており、情報筋の一人によれば、誰にも知られることがない中で、同氏の採用プロセスが早急に進められたと指摘されている。クリスティアーノ氏の任命は、商務省(Department of Commerce)のジーナ・レモンド長官(Gina Raimondo)長官から直接発されたと言われており、同氏とEAや長期主義との関連はAISIの客観性と完全性に妥協をもたらすと懸念するNISTの職員の間で反発を招いている。AISIについては、透明性が欠落しているとの批判も上がっている。 Venture Beat “NIST staffers revolt against expected appointment of ‘effective altruist’ AI researcher to US AI Safety Institute” (3/7/24)
NSF、5カ国と協力し、2024年グローバル・センター・コンペを開始
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)と全米人文科学基金(National Endowment of the Humanities: NEH)は3月13日、カナダ、フィンランド、日本、韓国、英国の科学助成機関と共に、「2024年グローバル・センター・コンペ(Global Centers 2024 competition)」の開始を発表した。同コンペのテーマは、「バイオ経済を通じて世界的な課題に対処する(Addressing Global Challenges through the Bioeconomy)」。勝利チームは、利用者のヒントに基づくバイオ経済研究の開発を目的として、国際的かつ学際的な共同研究センターとなるグローバル・センター実践のための費用(最大500万ドル)を提供される。センターはまた、学生及びキャリア初期の研究者を対象とした教育・労働力育成機会を創出すると同時に、世界のSTEM事業全般で多様性と平等と包含性とアクセス性の強化に取り組む。2024年のコンペは、NSF主導の活動で、NSFとNEHのグローバル・センター・プログラムを通じて調整され、日本の科学技術振興機構など5カ国の科学機関による共同スポンサーによって実施される。今回のコンペでは、「生命の木のバイオ多様性を活用してバイオ経済を強化する(Leveraging Biodiversity Across the Tree of Life to Power the Bioeconomy)」と「バイオファウンドリー(Biofoundries)」の2つのカテゴリーの下でプロポーザルを募集する。2024年コンペでは、5~7件のアワードを予定しており、NSFとNEHは米国を拠点とする研究者に最高500万ドル(4~5年)を提供し、海外の研究者はそれぞれの科学助成機関から支援を受ける。 National Science Foundation “NSF launches Global Centers 2024 competition in partnership with five countries” (3/13/24)
NSF、グラント審査において「社会的恩恵」評価を強化
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の統治組織である米国科学審議会(National Science Board: NSB)は、グラントのプロポーザルの審査方法について18カ月に及ぶ審議を行った後、審査の一環として、プロジェクトが社会にもたらす潜在的な貢献を測定するために長期的に使用されてきた2件の基準のうち、1件の名称を改称することを勧告する計画である。NSFは1997年以来、グラント審査員として採用した外部の科学者に、プロポーザルの「知的メリット」(提案されている研究の新規性と重要性)と、「より広範な影響」(プロジェクトはどのようにして社会的ニーズに対応できるか)の双方について採点を行うよう要請してきた。しかし、多くの審査員が「より広範な影響」の基準に懸念を示したことから、NSBはこれらの基準の見直しを開始した。NSBによって設立されたメリット・レビュー委員会(commission on merit review)の委員長であるステファン・ウィラード氏(Stephen Willard)によれば、委員会は、NSFに対して、「より広範な基準」を「社会的恩恵(societal benefits)」に改称することで、その意図するところを明確にするよう勧告する見通しである。それらの恩恵には、公衆衛生の改善、経済的繁栄、国家安全保障、科学的労働力の多様化、社会的平等と包含性の向上が含まれる。 Science “National Science Foundation grant reviewers urged to think more about ‘societal benefits’” (2/23/24)
グーグルとXプライズ、500万ドルの量子応用チャレンジを開始
グーグル量子AI(Google Quantum AI)、Xプライズ財団(XPRIZE Foundation)、ジュネーブ・サイエンス・アンド・ディプロマシー・アンティシペーター(Geneva Science and Diplomacy Anticipator: GESDA)財団(GESDA Foundation)は、現実世界の課題を解決する助けとして実践できる量子コンピューティングのアルゴリズム及び応用の開発を競う世界的コンペを開始した。3年かけて行われ、賞金500万ドルが提供される。グーグル社の幹部によれば、「国連の持続可能な開発目標で説明されているような社会的に恩恵をもたらす目標の達成を支援する量子コンピューティング・アルゴリズムの開発を目指す」という。発表されたガイドライン草案によれば、500万ドルの賞金は、①24か月間後、審査員は提出された白書を審査し、最大20件の準決勝進出者に、マイルストーン賞(Milestone Prizes)として賞金100万ドルを均等に配分する。審査員の裁量により、参加チームはグランド賞(Grand Prize)での競争への参加が認められる。マイルストーン賞を受益していない、または同コンペに参加していないチームも、審査員の裁量により、グランド賞のコンペに参加できる。②36か月後、審査員はコンペの勝者を選出し、最大3件のグランド賞受賞者に300万ドルが均等配分され、2~5件の準優勝者に100万ドルが均等配分される。 HPC Wire “Google, XPRIZE Launch $5M Quantum Application Challenge” (3/4/24)
量子経済開発コンソーシアム、新たな量子標準に関する論文を発表
量子経済開発コンソーシアム(Quantum Economic Development Consortium: QED-C)は先般、「アプリケーション主導型のパフォーマンス基準を使った量子アルゴリズムの模索(Quantum Algorithm Exploration using Application-Oriented Performance Benchmarks)」と題する論文を発表した。標準化の取り組みは新しいものではなく、「効果的な標準化のツールは必要とされており、量子技術の進展とその後の導入の助けとなるものである」と広く認識されている。しかし、それを正しく行うことは様々な理由から容易ではない(現時点では、全ての既存の量子コンピュータは実質的に開発段階であり、急速に変化していることなどが理由)。いわゆる「システム・レベル」で同一条件の指標を構築することは困難な状況であり、アプリケーションのパフォーマンスに基づく標準を作成することは、システム・レベルでの標準化に伴う問題を解決できる。これは、広い意味で、基礎となるシステムとアーキテクチャーの詳細を抽象化し、特定の量子コンピュータがアプリケーション/アルゴリズムを実行する速度と正確さに焦点を当てるからである。 HP Wire “QED-C Issues New Quantum Benchmarking Paper” (2/20/24)