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April 2026

連邦支援による発明、8割が権利保有も報告体制に課題 GAO調査

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は4月13日、連邦政府の資金提供を受けた研究から生まれた発明について、多くの研究実施機関がその権利を保持しているが、当局への報告手続きには依然として課題が残ると発表した。1980年制定のバイ・ドール法(Bayh-Dole Act)に基づき、大学や中小企業などの研究実施機関は発明の所有権を主張できるが、GAOの調べによると2020~2024年度までのデータでは約21%が商業化の可能性が低いことなどを理由に権利を放棄していたことが明らかになった。各省庁で要件が異なることや年次報告に多大な時間がかかることが理由で、この対応に向け、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)が管理するウェブベースの報告システム「アイエジソン(iEdison)」の活用が推奨されている。しかし、入力情報の形式が機関によって異なるなど、システム運用面でも改善の余地があるとGAOは指摘し、NISTはこれに向け、3月に報告内容の整合性と完全性を高めるための標準的な記入例を公開している。 GAO “Technology Transfer: Funding Recipients Keep Most Federally Funded Inventions, but Some Cited Reporting Challenges” (04/13/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107971

EPA、イリノイ州で二酸化炭素の地下貯留計画を承認

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は4月10日、マーキス・カーボン・インジェクション社(Marquis Carbon Injection)に対し、イリノイ州パットナム郡での二酸化炭素の地下圧入・貯留計画へ許可証を発行したと発表した。この許可発行により、同社は6年間で最大900万トンの二酸化炭素を地下約3,094フィートから4,854フィートの深層部に貯留することが可能となる。安全飲料水法(Safe Drinking Water Act)に基づく炭素隔離技術は、地下水源への影響を完全に排除する設計でEPAによる地質調査の結果、貯留層の上部には約400フィートの不透水層が存在している。炭素の地下飲料水源への漏出防止が保証されているが、同庁は飲料水源の保護に向け厳格な安全基準を設け、同社に対し圧入中及び終了後12年間の継続的な監視を義務付けた。同事業は地域の農業や製造業、バイオ燃料産業を活性化させ、雇用創出と経済成長を促す重要な事業と位置付けられており、今回の決定は同庁による科学的な技術審査と地域住民との対話を経て慎重に行われた。 EPA “EPA Approves Carbon Storage Permit in Putnam County, Illinois” (04/10/26) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-approves-carbon-storage-permit-putnam-county-illinois

空軍、アラスカのAIデータセンター開発に向けた公募を開始

宇宙軍(United States Space Force)は4月10日、エルメンドルフ・リチャードソン統合基地(Joint Base Elmendorf-Richardson)、イールソン空軍基地(Eielson Air Force Base)及びクリア宇宙軍基地(Clear Space Force Station)における空軍省(Department of the Air Force)による人工知能(AI)データセンター建設・運営計画を発表した。これらの基地における12区画の未活用土地、計約4,700エーカーを民間企業に貸し出すとし、リース提案の募集を連邦政府の契約サイトで開始している。施設開発・運営に必要な資金調達や許可取得については、選定された事業者が担うとし、空軍省はこの収益を通じて空軍や宇宙軍の即応性を高めることができると強調した。詳細については、4月23日にバーチャル業界説明会を開催し、その後、4月末にかけて各拠点での現地視察も予定している。参加希望者は4月20日までに指定のメールアドレスへ登録する必要があるが、説明会や視察への参加は提案提出の必須条件ではないと説明している。 USSF “DAF takes steps for potential Alaskan AI data centers” (04/10/26) https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/4456710/daf-takes-steps-for-potential-alaskan-ai-data-centers/

陸軍、データ管理の新拠点「データ運用センター」を開設

国防総省(Department of Defense)は4月10日、戦争における迅速な意思決定を支援し、戦場での優位性を確保するための新拠点「陸軍データ運用センター(Army Data Operations Center)」を4月3日に開設したと発表した。旧式システムや各組織によってこれまで断片化されていた情報を統合するもので、いわゆる「データ管理の911番(緊急対応窓口)」として、作戦部隊がデータに関する問題に直面した際に連絡するような役割を担う。運営は陸軍サイバーコマンド(U.S. Army Cyber Command)が行い、陸軍は膨大なデータを「武器」と定義し、適切なデータ管理こそが意思決定の支配を左右すると強調した。その上で、専門のデータ仲介チームが全階層の指揮官に対し、正確で信頼性の高い情報を迅速に提供する体制を整えるとし、今後180日間の試験運用を通じて、人工知能(AI)や機械学習のモデル管理なども統合する。センサーによる検知から射撃までにかかる時間の短縮など、データ情報処理に基づく判断により、迅速な実行へとつなげていくという。 Department of Defense “Army Launches Data Operations Center, Giving Warfighters Decisive Edge” (04/10/26) https://www.war.gov/News/News-Stories/Article/Article/4456289/army-launches-data-operations-center-giving-warfighters-decisive-edge/

2025年の石炭火力廃止、15年ぶりの低水準 発電所の稼働延期相次ぎ

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は4月13日、2025年に廃止された石炭火力の総発電設備容量が2.6ギガワット(GW)にとどまったと発表した。年初に予定されていた8.5GW分の発電設備廃止計画に対し、4.8GW分が延期となったことに加え、1.1GWは廃止計画そのものが中止となったことが背景にあり、2010年以来15年ぶりの低水準となった。例えば、エネルギー省(Department of Energy)は連邦電力法第202条(c)に基づき、ミシガン州のJ.H.キャンベル発電所など複数の石炭火力に対して送電網の信頼性確保を目的とした緊急稼働命令を発令したことが大きな要因で、実際に閉鎖されたのはユタ州のインターマウンテン電力プロジェクト(Intermountain Power Project、1,800メガワット)など4施設のみとなり、廃止された発電設備容量も2024年末時点の石炭火力容量の1.5%にとどまった。2026年には6.4GW分の閉鎖が予定されているが、規制判断や経済要因により計画変更の可能性がある。 EIA “U.S. coal-fired generating capacity retired in 2025 was the least in 15 years” (04/13/26) https://www.eia.gov/todayinenergy/

エネルギー省、先進原子力研究に590万ドル助成

エネルギー省(Department of Energy)傘下の原子力エネルギー局(Office of Nuclear Energy)は4月10日、革新的な原子力技術研究の支援に向け、米国大学が主導する11のプロジェクトに対し、総額590万ドルを助成すると発表した。統合革新的原子力研究(Consolidated Innovative Nuclear Research:CINR)の第2フェーズにおける継続助成で、原子力エネルギー再興の実現に向け、国内の優秀な研究者に必要な資源を提供することを狙いとしている。対象となったのは、既存の原子力大学プログラム(Nuclear Energy University Program:NEUP)を通じた質の高い研究実績を持つチームで、シンシナティ大学(University of Cincinnati)、ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)テキサスA&M大学(Texas A&M University College Station)などが選定された。2009年以降、NEUPによる助成金は10億ドルを超えており、原子力エネルギー分野の人材育成にも大きく寄与していると説明している。 Department of Energy “DOE’s Office of Nuclear Energy Awards $5.9M to Universities to Advance Nuclear Energy Research” (04/10/26) https://www.energy.gov/ne/articles/does-office-nuclear-energy-awards-59m-universities-advance-nuclear-energy-research

NNSA、プルトニウムピット生産計画の環境影響評価草案を公表

エネルギー省(Department of Energy)傘下の国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)は4月10日、プルトニウムピット(核弾頭の中枢部分)生産に関するプログラム環境影響評価草案(Draft Programmatic Environmental Impact Statement: Draft PEIS)を公表した。国家環境政策法(National Environmental Policy Act: NEPA)に基づく法的義務の履行に加え、NGOのサバンナ・リバー・サイト・ウォッチ(Savannah River Site Watch)との昨年1月の訴訟における和解合意を受けた対応で、複数の施設における生産に伴う環境影響及び関連廃棄物や輸送への影響を包括的に検証している。この発表に伴い、90日間の意見募集期間を設け、少なくとも5回の対面式公聴会を実施する予定で、NNSAはこれら公聴会や一般からの意見を反映させて最終的な環境影響評価(Final PEIS)を策定する。併せて決定記録(Record of Decision: ROD)を発行するとし、詳細はNEPA関連ウェブサイトや地元紙などを通じて随時公表する予定である。 Department of Energy “NNSA issues Notice of Availability for the Draft Programmatic Environmental Impact Statement for its plutonium pit production mission” (04/10/26) https://www.energy.gov/nnsa/articles/nnsa-issues-notice-availability-draft-programmatic-environmental-impact-statement-its

IQM社、メリーランド大学内に初の量子技術センターを設立

フィンランドの量子コンピューター会社、IQMクオンタム・コンピューターズ社(IQM Quantum Computers)は4月9日、メリーランド大学(University of Maryland)のディスカバリー地区(Discovery District)に同社初となる量子技術センター(U.S. Quantum Technology Center)を開設すると発表した。メリーランド州が主導する10億ドル規模の5年に亘る官民連携事業「量子首都構想(Capital of Quantum: CoQ)」へ参画し、最先端量子技術の商業化を加速する。超伝導量子コンピュータ技術で業界を先導する同社は、新拠点の設立により、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology)やNASAゴダード宇宙飛行センター(NASA Goddard)、陸軍研究所(Army Research Laboratory: DEVCOM)などの連邦研究機関や学術機関、地元スタートアップ企業との連携が可能になる。さらに、同州は全米屈指の量子科学者の集積地であることから、同社は強固な人材パイプラインを活かして現地の研究チームを構築していく方針を示している。 IQM “IQM announces first U.S. quantum technology center in the University of Maryland’s Discovery District, joining the capital of quantum ecosystem” (04/09/26) IQM announces first U.S. quantum technology center in the University of Maryland’s …
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ガスタービン価格、2027年に195%高騰へ AI需要増と供給不足で

ウッド・マッケンジー社(Wood Mackenzie)は4月1日、ガスタービンの価格が2027年末までに2019年比195%増の1キロワット(kW)あたり600ドルに達する見通しと発表した。人工知能(AI)の利用が急拡大する中、必要量110ギガワット(GW)に対する製造能力が最大70GWにとどまるなど、データセンターの電力需要急増に対する製造能力の不足が背景にあり、深刻な需給不均衡が生じている。GEベルノバ社(GE Vernova)などが生産拡大を急ぐものの、専門労働力の不足や高温工程に必要な精密部品製造のボトルネック解消が課題となっていることに加え、電力研究所(Electric Power Research Institute)はホルムズ海峡の航行制限が輸送コストや部品価格の上昇につながると指摘した。大型機器の納入に約5年、小型タービンは18~36カ月かかる事態となっており、エンタジー・ルイジアナ社(Entergy Louisiana)など開発業者は、プロジェクト実現に向けた調達戦略の抜本的な見直しを行なっている。 Wood Mackenzie “Gas turbine prices soar 195% as market faces supply-demand crisis” (04/01/26) https://www.woodmac.com/press-releases/gas-turbine-prices-soar-195-as-market-faces-supply-demand-crisis/ 参考記事: Utility Dive “Gas turbine supply crunch set to raise prices 195% by 2027: WoodMac” (04/09/26) https://www.utilitydive.com/news/gas-turbine-supply-crunch-set-to-raise-prices-195-by-2027-woodmac/816904/

トランプ政権、NSF予算を54%削減 新たに南極研究やメタサイエンスを支援

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は4月9日、トランプ政権が2027年度の米国科学財団(National Science Foundation: NSF)予算を大幅に削減し、前年度比54%減とすると報じた。これにより2027年度の助成交付件数は2,100件となる予定で、2025年度の5,800件に比べて半分以下に減少する。工学部門(Engineering Directorate)や生物科学部門はそれぞれ75%、72%削減され、人工知能や量子情報科学といった重要分野も削減対象となる。数理・物理科学部門は67%、コンピューター・情報科学・工学部門は63%、技術・イノベーション連携部門は43%削減となり、社会・行動・経済科学局(Social, Behavioral, and Economic Sciences Directorate)については廃止される。これら各部門の活動に携わる研究者数も大幅に激減する見通しである。一方で、南極研究用砕氷船開発向けに新たに9億ドルを支援するほか、エネルギー省(Department of Energy)関連事業、研究効率を探求するメタサイエンス(metascience)専門の新規オフィス設立が予算に盛り込まれている。 AIP “Trump Proposes Deep Research Cuts, New Icebreaker for NSF” (04/09/26) https://www.aip.org/fyi/trump-proposes-deep-research-cuts-new-icebreaker-for-nsf