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April 2026

ユーティリティ機関による投資計画が21%急増 パワーラインズ社報告

非営利エネルギー消費者団体のパワーラインズ社(PowerLines)が発表した報告書によれば、投資家所有型のユーティリティ機関は今後5年間(2026~2030年)に少なくとも1兆4,000億ドルの資本支出を計画しており、これは昨年の1兆1,000億ドルから約21%の急増となっている。これに関し同社は、「資本支出の大幅増加は、将来の電気料金の引き上げ要請につながり得る」と警告する。特に南東部は資本支出の大幅増が見込まれており、南部における資本支出計画(5,720億ドル)は、その他の地域の計画(中西部(2,720億ドル)、西部(2,250億ドル)、北東部(1,950億ドル))の2倍以上となっている。 Powerlines “Utility Spending is Rising” (April 2026) https://powerlines.org/wp-content/uploads/2026/04/0413_PowerLines-CapEx-Report-1.pdf 参考:Utility investment plans jump 21%, further threatening affordability: PowerLines” (04/15/26) https://www.utilitydive.com/news/utility-investment-plans-jump-21-further-threatening-affordability-power/817524/

環境諮問委員会(CEQ)、許認可技術の現代化で民間部門と協力へ

大統領府は4月15日、環境諮問委員会(Council on Environmental Quality: CEQ)が米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)の協働イノベーションエクセレンスセンター(Center of Excellence for Collaborative Innovation)と協力し、連邦の環境審査及び許認可を加速・現代化することを目的とした新プログラム「許認可イノベーター(Permitting Innovators)」を開始すると発表した。CEQは、トランプ大統領が1年前に発表した覚書「21世紀の許認可技術更新(Updating Permitting Technology for the 21st Century)」に基づき、許認可技術行動計画(Permitting Technology Action Plan)を作成し、技術的問題を特定しているが、その目標やマイルストーンの達成には民間部門との更なる関与・協力が必要となる。CEQは今後数週間以内に、業界向けに連邦の環境審査・許認可を加速・現代化させる技術ソリューションの提出を要請する。選出されたソリューションは今夏に開催される「許認可イノベーター・エキスポ(Permitting Innovators Expo)」でソリューションを発表する機会を得る。 White House “White House CEQ Unveils Program to Partner with Private Sector on Modernizing Permitting Technology” (04/15/26) https://www.whitehouse.gov/releases/2026/04/white-house-ceq-unveils-program-to-partner-with-private-sector-on-modernizing-permitting-technology/

海軍の造船能力強化、同盟国と連携強化を 海洋戦略センター提言

非営利・非党派シンクタンクの海洋戦略センター(Center for Maritime Strategy: CMS)は4月13日、国内の造船産業基盤の危機的状況の打開に向け、同盟国との協力を軸とした再建戦略策定を提言する報告書を発表した。国内造船所の労働力不足や技術の老朽化が深刻で、海軍は造船目標数を達成できていない上、現在、イランとの戦争により艦艇が逼迫していることなどから、CMSは韓国、イタリア、カナダ、スウェーデン、英国の5カ国を対象に調査を行い、各国の造船手法を分析した。この結果、海軍が目標とする381隻体制の構築には、設計プロセスの改革や新技術の導入に加え、同盟国のインフラ活用や熟練労働者の受け入れが重要であると指摘している。トランプ政権が2027年度予算で艦艇建造費として658億ドルを計上し、年間生産数を2026年比で倍増させる計画を掲げる中、第77代海軍長官を務めたケネス・ブレスウェイト氏(Kenneth Braithwaite)も同盟国との連携を通じた海事産業全体の復興を訴えている。 Pier Review “Pier Review: Leveraging the Allied Maritime Industrial Base for U.S. Shipbuilding” (04/13/26) Pier Review: Leveraging the Allied Maritime Industrial Base for U.S. Shipbuilding 参照記事: DefenseNews “US Navy should rely on allies to boost maritime industrial base, report says By Cristina Stassis” (04/14/26) https://www.defensenews.com/naval/2026/04/13/us-navy-should-rely-on-allies-to-boost-maritime-industrial-base-report-says/

AVTC、大学対抗次世代型エコカー・イノベーション・コンペ開催へ

先端自動車技術競技会(Advanced Vehicle Technology Competitions: AVTC)は4月14日、エネルギー省(Department of Energy)とアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)が、ゼネラルモーターズ社(General Motors: GM)、ステランティス社(Stellantis N.V.)、マスワークス社(MathWorks)と共同で、大学対抗「エコカー・イノベーション・チャレンジ(EcoCAR Innovation Challenge)」を開始すると発表した。選定された20大学が、GM社製2026年型シボレー・ブレイザーEV(Chevy Blazer EV)やステランティス社製2026年型ジープ・チェロキー(Jeep Cherokee)ハイブリッド車両 やマスワークス社のモデルベース設計システムなどを活用し、人工知能(AI)や高電圧バッテリー統合による次世代車両の効率化開発に挑む。25年ぶりの大手メーカー2社参画は自動車産業振興と専門人材の育成支援を意図するもので、15回目の開催となる同コンペにはキャタピラー社(Caterpillar)やシーメンス社(Siemens Digital Industries Software)などが協賛している。 AVTC “Energy Department and Argonne Join GM, Stellantis and MathWorks to Launch EcoCAR Innovation Challenge” (04/14/26) https://avtcseries.org/news-media/energy-department-and-argonne-join-gm-stellantis-and-mathworks-to-launch-ecocar-innovation-challenge/

AI進化加速も適切なガバナンスが焦点 HAI報告

スタンフォード大学(Stanford University)の人間中心の人工知能センター(Human-Centered Artificial Intelligence: HAI)は4月13日、人工知能(AI)の技術的進歩と社会的影響を包括的に分析した「AIインデックスレポート2026(AI Index Report 2026)」を発表した。これによると、2025年に開発された最先端モデルの9割以上が民間企業によるもので、サカナAI社(Sakana AI)の「AIサイエンティストV2(AI Scientist-v2)」が全自動生成した論文が学術誌『ネイチャー(Nature)』に掲載されたほか、グーグル社(Google)の「AI共同科学者(AI Co-Scientist)」も生物医学分野で高い妥当性を証明するなど博士号レベルのAIが登場し、進化が加速した。一方、安全性や評価基準などガバナンス整備が急務で、AI関連のインシデント数は2025年に362件へ急増したという。米国はデータセンター数で圧倒し、民間投資も2,859億ドルに達したが、専門人材は減少し、米中のモデル能力差も実質的に解消されつつあるとしている。また、AIチップ供給も台湾のTSMC社に依存する構造的課題も懸念材料となっている。 Stanford University HAI “The 2026 AI Index Report” (04/13/26) https://hai.stanford.edu/ai-index 参照記事: HPCwire “What Stanford’s HAI Report Says About AI in Science” (04/13/26) What Stanford’s HAI Report Says About AI in Science

エネルギー技術イノベーションに向けたARPA-Eへの重点支援を AAU提言

米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は4月13日、エネルギー技術イノベーションで優位を保つためには、エネルギー高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency–Energy: ARPA-E)への強力な支援が不可欠とする調査報告書を発表した。現在、エネルギー関連の公共研究開発投資を年平均12%のペースで拡大する中国が米国に肉薄しており、初期段階のスタートアップ投資では中国が米国を上回る場面も増えつつある。これを受け、AAUは設立以来42億1,000万ドルの資金を投じて1,700以上のプロジェクトを支援し、約150億ドルの民間投資を呼び込んだARPA-Eの役割を評価しており、同局による支援を活用してファーボ・エナジー社(Fervo Energy)やシラ・ナノテクノロジーズ社(Sila Nanotechnologies)といった数多くのスタートアップが誕生し、1,225件の特許取得や167社の企業創出につながったと指摘している。支援を受けた研究者による論文発表も8,000以上に上るとし、同局による先端研究と実用化の橋渡し役の重要性を伝えている。 AAU “ARPA-E: Critical for U.S. Energy Innovation Leadership” (04/13/26) https://www.aau.edu/key-issues/arpa-e-critical-us-energy-innovation-leadership

IBM社、DEI関連で1,700万ドルの和解金支払いへ

アース・テクニカ(Ars Technica)は4月14日、IBM社(International Business Machines Corp)が多様性・公平性・包含性(DEI)施策を巡り、不正行為を否定しつつも、政府に1,700万ドル以上の罰金を支払うことで合意したと報じた。司法省(Department of Justice)は昨年5月に開始した公民権詐欺違反取り組み(Civil Rights Fraud Initiative)に基づく初の事例と強調しており、IBM社は連邦契約に基づく差別禁止義務に違反したとするトランプ政権の主張に応じる形となった。政府は人事判断に際し、同社が人種や性別に考慮したほか、ボーナス支給を人口統計目標達成に結びつけたり、特定の属性に限定した研修プログラムを提供したことを問題視し、虚偽請求法(False Claims Act)に基づき責任を追及していた。これに対し、IBM社は同省への調査協力や関連プログラムの廃止といった是正措置を講じる対応で和解につなげたが、合意書には「対象となる行為に関与したことを否定する」と明記している。 Ars Technica “IBM folds to Trump anti-DEI push, admits no misconduct but pays $17M penalty ” (04/14/26) https://arstechnica.com/tech-policy/2026/04/ibm-folds-to-trump-anti-dei-push-admits-no-misconduct-but-pays-17m-penalty/

量子技術産業が急成長、2028年に市場規模は倍増へ QED-C報告

量子経済開発コンソーシアム(Quantum Economic Development Consortium: QED-C)は4月14日、世界の量子技術産業が2025年に成熟期へ向けて大きく前進し、関連市場の収益が2028年までに倍増する見通しであると発表した。「2026年世界量子産業の現状(State of the Global Quantum Industry 2026)」によると、2025年の量子コンピューティングと量子センシングを合わせ19億ドルに達し、2028年には総額約40億ドル超となる見込みという。背景には、技術開発の進展や投資拡大があり、特に昨年の民間ベンチャーキャピタル投資は前年から倍増し、49億ドルを記録した。また量子関連の組織数も7,418団体に拡大し、うち556社は量子専業となった。専門職人材も世界で約1万6,500人に達し、業界は商用化を見据えたビジネスへシフトしつつある。特許分野では、中国が全体の54%を占めて首位となり、次いで米国が続いた。QED-Cは、世界各国が量子技術を戦略的に重要視しており、産業が着実に成熟しつつあると指摘している。 QED-C “Global Quantum Computing Market to Double by 2028, Reaching $3 Billion in Revenue, QED-C® State of the Global Quantum Industry 2026 Report Finds” (04/14/26) https://quantumconsortium.org/global-quantum-computing-market-to-double/

DARPA、異種量子アーキテクチャ構築へ

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は4月14日、異なる種類の量子ビットを統合し、実用的な大規模量子システムを実現するための新プログラム「ヘテロジニアス(異種)量子アーキテクチャ(Heterogeneous Architectures for Quantum: HARQ)」を開始すると発表した。単一技術の限界を打破し、材料科学や医療、国家安全保障分野での革新を加速させることが目的で、古典コンピューティングにおけるCPUやGPUのような役割分担を量子システムに導入する。19の選定チームが多様な量子ビットを最適に組み合わせる基盤を今後24カ月間で共同設計する予定で、相互接続コンパイルによるマルチ量子ビット最適化ソフトウェア・アーキテクチャ(Multi-qubit Optimized Software Architecture through Interconnected Compilation: MOSAIC)では異なる量子ビットを効率的に制御・活用するソフトウェアやコンパイラを構築し、異種基盤を接続する量子共有基盤(Quantum Shared Backbone: QSB)では情報伝達に高忠実度な相互接続を開発する。 DARPA “For quantum computing, different qubits are better together” (04/14/26) https://www.darpa.mil/news/2026/quantum-computing-different-qubits-better-together

連邦助成管理が改善、政府横断的な連携体制構築で GAO報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は4月14日、連邦助成管理における複雑な課題を解決するために、各州政府や部族など政府機関間の協力体制の構築が進んでいると報告した。2024年度の連邦助成は1.2兆ドル規模に達するが、各機関の裁量や規定の多様性が管理の複雑化を招いてきた。この対応に向け、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が2023年に設立した連邦財政支援評議会(Council on Federal Financial Assistance: COFFA)が中心的な役割を担っている。COFFAには現在、主要な助成付与機関の95%にあたる38機関が参加し、全助成額の99%以上をカバーする規模で運営されており、各機関は上級財務支援担当官(Senior Financial Assistance Officer: SFAO)を窓口として指名することで、OMBと直接連携する仕組みを整えた。担当官らはOMBのガイダンス改定にフィードバックを提供するなど、円滑な運用に向けた調整を行っており、GAOは今後、各機関による同枠組み活用による管理体制強化を提言している。 GAO “Grants Management: Efforts to Address Challenges Through Government-wide Collaboration” (04/14/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-108283