欧州、科学への大型投資にもかかわらず、ハイテク分野の成果は遅れ気味

欧州委員会(European Commission)が隔年で行っている欧州研究開発パフォーマンス評価報告(5月27日に発表)によれば、欧州連合(European Union)は、欧州の科学的能力を経済効果に転換させることに苦戦しており、大規模な科学的アウトプットと大型公的投資にもかかわらず、ハイテク産業で米国と中国の後塵を拝しているという。報告書は、ホライゾン2020(Horizon 2020)研究資金プログラム(770億ユーロ)の後継プログラムとなるホライゾン欧州(Horizon Europe)について、「技術系スタートアップを支援し、資金を民間セクターとの研究パートナーシップに注入することでイノベーションを強化すべきである」と主張している。欧州委員会はこの報告書の発表と共に、パンデミック後の回復計画(1兆8,500億ユーロ)を提案し、そのうち944億ユーロを2021~2027年のホライゾン欧州に投じるよう要請している。 Science “European R&D review finds lagging high-tech performance despite major science investment” (5/27/20)

DARPA、半導体サプライチェーンのセキュリティ強化に取り組むチームを選出

モノのインターネット(IoT)機器が急速に普及する中、攻撃者はデジタル集積回路(IC)チップの脆弱性に注目しつつある。ICチップの脅威は広く知られており、脅威を軽減するために様々な措置があるにもかかわらず、ハードウェア・デベロッパーは、限定的な専門知識、高コストで複雑、といった理由からセキュリティ・ソリューションの導入に消極的である。こうした中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は「セキュア・シリコンの自動的導入(Automatic Implementation of Secure Silicon: AISS)」プログラムを開発した。AISSは、拡張可能な防衛メカニズムをチップの設計に組み込むプロセスを自動化しつつ、デザイナーがチップの経済性とセキュリティの間で折り合いをつけることを模索できるようにすることを狙いとしている。DARPAは今般、AISSの技術的課題に取り組む2つの研究チームを発表した。両チームは、セキュリティを普及させることを意図した設計の開発に取り組む。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Selects Teams to Increase Security of Semiconductor Supply Chain” (5/27/19)

GAO、「サイバーセキュリティにおいて連邦機関は州の要件と評価について調整する必要あり」と報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は、「サイバーセキュリティ:一部の連邦機関は州の要件と評価について調整する必要がある(Cybersecurity: Selected Federal Agencies Need to Coordinate on Requirements and Assessments of States)」と題する報告書を発表した。州政府が連邦データを使用する際には、数多くのサイバーセキュリティ要件を順守しなくてはならず、この要件は連邦機関によって様々である。GAOが聞き取りをした州の情報セキュリティ担当官は、「異なる要件のため、州の時間と資金が余計にかかり、最終的にセキュリティ努力が損なわれる可能性がある」と述べている。GAOは報告書の中で、12件の勧告を行っており、これには、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が連邦機関におけるサイバーセキュリティ要件の調整を改良することなどが含まれる。 Government Accountability Office “CYBERSECURITY: Selected Federal Agencies Need to Coordinate on Requirements and Assessments of States” (5/27/20)

国防総省、対応力のあるマイクログリッドの標準設計を導入へ

国防総省(Department of Defense: DOD)は、世界的にセキュアで対応力のあるDODのマイクログリッドをモデリング及び設計するためのガイドとなる標準プラットフォームの開発に取り組むと発表した。マイクログリッド・ソフトウェア企業のXENDEE社が、DODがエネルギーの信頼性を強化し、長引く停電を安全に乗り切るための能力を強化するための設計ソリューションを提供する。それらの技術により、DODは、総合的なマイクログリッド・システムの中で再生可能エネルギー資源と貯蔵を用いながら極めて重要な活動を持続できるようになる。 Environmental Leader “US Department of Defense to Implement a Standardized Design for Resilient Microgrids” (5/26/20)

エネルギー省、オフィス再開に向けて計画

新型コロナウィルス感染症のパンデミックが続く中、より多くの省庁が、連邦施設の再開へ向けた計画を明らかにしつつある。ほとんどの再開計画は、トランプ政権が4月に発表したガイドラインで概説されている3段階方式と一貫している。エネルギー省(Department of Energy)が5月18日に発表した計画は、職員をオフィスに復帰させるまでの3段階について詳述している。計画によれば、エネルギー省の本省及び首都近辺の施設は現在、「フェーズ・ゼロ」で、マネジャーは各段階で本省施設に復帰すべき職員及びサポート・サービス契約業者の数を勧告する必要がある。また、エネルギー省は、マネジャー向けの標準ガイダンス及び研修ウェブセミナーの開発も行う。更に、職員や訪問者、契約業者がエネルギー省施設に入る際のスクリーニング手順を確立する。コロナウィルス感染症の症状がある人はビルに入ることはできない。職員はオフィスでマスクを着用することができるが、義務付けはしない。また、施設の入り口で、希望者にはマスクを配布する。その他、入り口やその他の人の移動が多い場所で、手指の消毒拠点を設けたり、センサーで反応する石鹸ディスペンサー、水道の蛇口、ペーパータオル・ホルダーなども導入される可能性がある。 Federal News Network ”Interior, Energy and EPA have more reopening details for employees” (5/26/20)

DARPA、ミミズにヒントを得たソフト・ロボットによる迅速な軍事トンネル掘削に資金を提供

ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)の技術開発部門であるGEリサーチ(GE Research)は、ミミズの構成と動きにヒントを得て、ソフトでスマートなトンネル掘削ロボットの製作と改良に取り組む。将来の軍事地下活動を支える可能性があるこの研究は、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の「アンダーマイナー(Underminer)」プログラムの下、15か月間で250万ドルを受益して行われるプロジェクトで、既に設計済みのロボット・プロトタイプの能力をより完全なものにし、実証することに取り組む。DARPAは、アンダーマイナー・プログラムを通じて、過酷な環境で米軍の活動を支援する戦術的な地下トンネル・ネットワークを素早く建設し活用することについて、模索と実証を目指している。 Nextgov “DARPA Funds Earthworm-Inspired Soft Robot to Rapidly Dig Military Tunnels” (5/26/20)

大統領府、国家5Gセキュリティ戦略へのパブコメを募集

米国電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration: NTIA)は5月22日、トランプ大統領が同日に発表した「米国の5Gを確保するための国家戦略(National Strategy to Secure 5G of the United States)」を支援するために、5G通信ネットワークはどのように導入されるべきかについて、パブコメを要請した。国防総省(Department of Defense: DOD)は既に独自の5G戦略を5月2日に発表しており、大統領府とDODは、信頼できない要素を5Gサプライチェーンから排除しようとしている。トランプ政権の戦略は、海外の同盟国が海外の敵(例としてファーウェイ社(Huawei))に関連する機器の使用から遠ざかるインセンティブを特定しようとし、DODの戦略は米軍が米国の要望がかなえられない環境で活動する必要があることを想定している。ある専門家は、「排除政策はほとんど成功しない。大統領府に対し、害されたインフラを安全にするためのイノベーションに重点を置くよう推進するパブコメが必要である」と述べている。 Nextgov “White House to Seek Comment on National 5G Security Strategy” (5/26/20)

JAIC、JEDIを待ちきれず、空軍のクラウド・ワンを利用へ

国防総省(Department of Defense: DOD)の合同人工知能センター(Joint Artificial Intelligence Center: JAIC)は、「合同エンタープライズ国防インフラ(Joint Enterprise Defense Infrastructure: JEDI)」クラウド・プラットフォームの最初の使用者となる予定であったが、JEDIを巡る訴訟問題がいつ決着するのか見えない中、JAICは少なくとも当面の間、代替案を採用することを余儀なくされている。JAICのディレクターであるジャック・シャナハン中将(Lt. Gen. Jack Shanahan)は、「当面の間、JAICのAI活動のために空軍(Air Force)のクラウド・ワン(Cloud One)環境を使用し始めることを決定した」と述べた。同氏は、「時間は非常に重要な問題である。今後約5年以内に、AI分野の支配者が米国か中国かが決まる」と加えた。JAICは、クラウド・ワンのコンポーネントである「プラットフォーム・ワン(Platform One)」を利用する計画である。 Federal News Network “DoD moves AI development to Air Force’s Cloud One as JEDI protest drags on” (5/26/20)

サンディア国立研究所、富士通製「低電力プロセッサ」を導入へ

エネルギー省(Department of Energy)傘下のサンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)は、高性能コンピューティングのために最適化されたArmベースのプロセッサ、富士通「A64FXプロセッサ」を導入する計画である。Armベースのプロセッサは携帯電話などの小型電子機器に広く利用されている他、最近ではサンディア国立研究所のアストラ・スパコン(Astra supercomputer)に搭載された。ペンギン・コンピュータ社(Penguin Computer Inc.)が、A64FXプロセッサを搭載した新システム「富士通PRIMEHPC FX700」を導入する。本件は、スパコン用Armベースの技術を進展させることで新たなサプライヤーを開発するというサンディア国立研究所の取り組みを拡大することにつながる他、日本のスパコン・コミュニティとエネルギー省の協力を支援するものでもある。 Sandia National Laboratories “Sandia to receive Fujitsu ‘green’ processor” (5/26/20)

連邦議員、NSFを刷新する1,000億ドルの大胆な計画を提案

上院で提出された「エンドレス・フロンティア法案(Endless Frontiers Act)」は、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)を大幅に改革する法案である(下院でも同様法案が提出されている)。NSFの名称は、「米国科学技術財団(National Science and Technology Foundation)」に改称され、技術総局(technology directorate)が創設されて4年間で大幅に拡大される。更に、予算は大幅に増額(5年間で1,000億ドルが追加)され、イノベーションにおける米国のグローバル・リーダーシップを維持する責務を負うことになる。上院のチャック・シューマー議員(Chuck Schumer)(民主党、ニューヨーク州)が草案し、トッド・ヤング議員(Todd Young)(共和党、インディアナ州)が共同草案者となっている超党派法案である。科学分野の多くのリーダーは、この法案に興奮を示しているが、一部の者は、「法制化された場合、商業的応用の可能性に関係なく、未知の知識を探索するというNSFの歴史的ミッションが損なわれる可能性がある」と危惧している。また、同法案の実態は「中国の先を進むための法案(Stay Ahead of China Act)」で、中国との競争を意識した法案であるとの指摘もある。 Science “U.S. lawmakers unveil bold $100 billion plan to remake NSF” (5/26/20)