米政府、バイオテク作物の規制を緩和

5月18日付けの連邦広報(Federal Register)で発表された新しい政策によれば、バイオテクノロジーに関する主要な規則変更が行われ、遺伝子編集された一部の作物は政府の監督規制の対象外となる他、既存の遺伝子組み換え(GM)作物の変種は自動的に許可されるものとし、それらの作物の市場化が容易になる。業界団体は新規則を歓迎しているが、反対派は政府監督の削減を非難している。これらの変更の主旨は、農務省(U.S. Department of Agriculture: USDA)の動植物衛生検査部(Animal and Plant Health Inspection Service: APHIS)は、新しい特性そのものに焦点を当て、それを作り出すための技術にはさほど重点を置かないという点であり、これは植物科学者が長い間望んでいた手法である。 Science “United States relaxes rules for biotech crops” (5/18/20)

NSFとOSTP、量子研究人材開発で協力

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)と大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)は、量子情報科学技術を進展させるための適格な労働力を教育、育成、維持する活動に積極的に関与している。NSFはOSTPとの密接な協力を通じ、ハーバード大学の総合量子マテリアル・センター(Harvard University, Center for Integrated Quantum Materials: CIQM)が2020年3月に実施したオンライン・ワークショップを始動及び資金提供した。ワークショップは、学生が量子情報科学に関与する一助となる将来のカリキュラム及び教育者活動の重要な概念を特定することを意図したものである。このワークショップの成果として、量子情報科学の学習者のための「主要コンセプト一覧」文書が作成された。本文書は、9つの簡潔な基本概念を示しており、それには量子エンタングルメント、コミュニケーション、センシングなどが含まれている。 National Science Foundation “National Science Foundation and White House Office of Science and Technology Policy initiate collaborative effort to develop critical resources for quantum education” (5/18/19)

COVID-19を扱うスパコンがハッカーの標的に

エネルギー省(Department of Energy)の高官は、国立研究所におけるサイバー攻撃が急増しており、諸外国が米国の新型コロナウィルス研究に関心を持っていると発言した。同省のダン・ブルイエット長官(Dan Brouillette)は5月21日、諮問委員会との会合で、「我々は国立研究所を取り巻くサイバー活動が増加していることを認識している。研究所のコンピューティング施設への攻撃件数がわずかに増加している」と述べた。エネルギー省傘下の17の国立研究所を監督するポール・ダバ―次官(科学)(under secretary for science)も「サイバー攻撃の問題は発生していないが、長官が指摘している通りの増加を認識している」と述べた。ブルイエット長官は、「諸外国の中には、国立研究所内で行われている研究に関心を持っている国がある。彼らは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する具体的な研究の一部に強い関心を持っている」と加えた。 Roll Call “DOE says supercomputers handling COVID-19 data are hacker targets” (5/21/20)

NIST、モジデフ・バハー氏をイノベーション・業界サービス担当副ディレクターに指名

商務省(Department of Commerce)傘下の米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は、イノベーション・業界サービス担当副ディレクター(associate director for innovation and industry services: ADIIS)に、モジデフ・バハー氏(Mojdeh Bahar)を任命したと発表した。同氏は、ウォルター・コパンNIST長官(Walter G. Copan)に報告し、NISTの上級リーダーシップ・チームの一員となる。ADIISは、NIST内で、対外及び業界とのパートナーシップについて主たる上級責務を担い、ボルドリッジ・パフォーマンス・エクセレンス・プログラム(Baldrige Performance Excellence Program)や製造拡大パートナーシップ(Hollings Manufacturing Extension Partnership: MEP)、先端製造局(Office of Advanced Manufacturing)などの主要な対外・技術移転プログラムを監督する。また、NISTの研究ラボで生まれた新技術を商用市場へ移転させること、米国の1,500億ドル以上の連邦研究投資の影響について報告することを責務とする。バハー氏の前職は、農務省(U.S. Department of Agriculture: USDA)農業研究サービス局(Agricultural Research Service)の技術移転担当アシスタント・アドミニストレーターであった。 National Institute of Standards and Technology “NIST Names Mojdeh Bahar as Associate Director for Innovation and Industry Services” (5/22/20)

オバマ前政権の科学アドバイザー、「米国は3か月以内に医療用品の備蓄を構築する必要有り」と警告

オバマ前政権の科学アドバイザーを務めた9名の有力科学者によるグループが、「米国は、3か月以内に緊急医療用品の国家備蓄を構築する必要がある。さもなければ、米国は今秋に、新型コロナウィルスが再発した際、検査キット及び防護用品の更なる劇的な不足に陥るリスクがある」と警告した。オバマ前政権の科学者による劇的な警告には、トランプ大統領によるパンデミック対応への批判が込められている。7ページに及ぶ文書は、オバマ政権時に科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)の長官を務めたジョン・ホルドレン氏(John P. Holdren)が主導したもので、「再発への準備は今すぐ開始されるべきである。それは国家レベルで、州及び地方の高官との密接な協力と調整によって行われるべきである」と主張している。既に緊張状態にあったオバマ前大統領とトランプ大統領の関係は最近更に悪化し、両者は互いに公の場で非難しあっている。 The Guardian ”Exclusive: US has three months to rebuild medical supplies stockpile, Obama administration scientists warn” (5/21/20)

オハイオ州規制担当官、エリー湖風力ファーム・プロジェクトを「致死的条項」付きで承認

オハイオ州電力立地委員会(Ohio Power Siting Board: OPSB)は5月21日、五大湖で初となる風力エネルギー・プロジェクトを条件付きで承認した。ただしその条件は、プロジェクト終結に繋がり得るものである。具体的には、「アイスブレーカー・プロジェクト(Icebreaker project)について、実証プロジェクトの6つのタービンのブレードが1年間のうち8か月にわたり、毎晩停止されることを条件として進めることを承認する」という内容である。エリー湖エネルギー開発公社(Lake Erie Energy Development Corporation: LEED Co.)の社長は、「この命令は承認ではない。OPSBの条件は、プロジェクト全体にとって致命的である」と述べた。OPSBは当初、2018年に、「1年間のほとんどにおいて、夜間の運用は停止する」ことを提案した。その後、LEED社とOPSB、オハイオ州天然資源省(Department of Nature Resources)の間で数か月間にわたる交渉が行われ、昨年5月には、本条件を排除することで合意していた。今回の命令は、この合意を覆すものとなる。 Energy News Network “Ohio regulators OK Lake Erie wind farm with ‘poison pill’ that may kill project” (5/21/20)

NSF、科学工学指標「科学工学:国民の姿勢、知識、関心」発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の科学工学指標(Science & Engineering Indicators)は、「科学工学:国民の姿勢、知識、関心(Science and Technology: Public Attitudes, Knowledge, and Interest)」を発表した。そのエグゼクティブ・サマリーによれば、大半の米国民が引き続き、科学がもたらす恩恵に前向きな姿勢を持っており、例えば、2018年に米国民の約4分の3が、「科学は弊害よりも恩恵をもたらしている」ととらえ、90%以上の米国民が「科学技術は次世代により多くの機会を提示している」との見解に合意している。米国民は、数十年間にわたって連邦資金による基礎研究を支持(2018年に84%)しており、同年には約半数(43%)が「連邦支出は少なすぎる」と考えている。 National Science Foundation “Science and Technology: Public Attitudes, Knowledge, and Interest” (May 2020)

イリノイ州内の大学から過去最多のスタートアップが誕生

イリノイ科学技術同盟(Illinois Science & Technology Coalition: ISTC)が5月18日に発表した「イリノイ・イノベーション指数(Illinois Innovation Index)」によれば、州内の大学で過去最高となる起業活動が行われていたことが明らかになった。同指数は、州内のイノベーション経済について主要な指標をまとめたものである。それによれば、過去5学業年度(2014/15年から2018/19年)の間に州内の大学で1,064件のスタートアップが創立された。これらのスタートアップは、技術ライセンス、企業プログラム、スタートアップ・コンペ、その他の大学イニシアチブの成果として誕生した。このスタートアップ数は、指標が開始されて以来、最高の数値で、その前の5学業年度(2009/10年から2013/14年)に創設された576件の約2倍となる。また、過去5年間に大学の支援を受けて創立されたスタートアップは、ベンチャーもしくはエンジェル投資、政府グラント、その他の資金源から、14億2,000万ドルを調達し、過去最高となった。 Illinois Science & Technology Coalition “Record Number of Startups Launched from Illinois Campuses” (5/18/20)

NIH、デジタル医療技術にコロナウィルスを含めることについて情報を要請

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大を抑制する一助となり得るデジタル医療技術について、業界からの意見を募集している。NIH傘下の国立画像生物医学・生物工学研究所(National Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering: NIBIB)と国立癌研究所(National Cancer Institute: NCI)が5月26日に発表した「情報の要請(request for information: RFI)」は、「現在の所、エピデミックを抑制する手段は、社会的距離と隔離しかない。抑制努力が必要な所だけに実施されるようにすることができれば、より多くの人々が制限が緩和された生活に戻り、壊滅的な流行が再発するリスクを減らすことができるかもしれない」と述べている。NIHは、業界による接触追跡能力に関する情報や、民間のCOVID-19診断テストやその他の患者データを素早く統合し、その患者が感染しているが無症状の状態であるかどうかを判断したり、ある人が罹患するリスクを特定する能力などに関する情報を模索している。 Federal Times “NIH wants digital health technologies to contain coronavirus” (5/27/20)

GAO、量子技術について報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は、「科学技術スポットライト:量子技術(Science & Tech Spotlight: Quantum Technologies)」を発表した。これによると、量子技術は、センサー、コンピュテーション、コミュニケーションに革命をもたらす可能性がある。これらの技術は、エネルギー及び物質の最小粒子の研究を基に、既存の技術では不可能な形で情報を収集、生成、処理する。例えば、量子センサーによって、ステルス・ターゲットの位置を特定したり、GPSを使わずに目的物の場所と速度を判断することができる可能性がある。また、量子コミュニケーションによって、完全にセキュアな情報共有が可能になるという。ただし、これらの技術がそれぞれの能力を完全に発揮するまでの開発には長い年月がかかると分析している。 Government Accountability Office “SCIENCE & TECH SPOTLIGHT: Quantum Technologies” (5/28/20)