トランプ政権、主要科学ポストの人事を再提出

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は1月19日、政府が昨年末に期限切れとなった主要な科学関連ポストの指名候補者を上院に再提出したと伝えた。米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)所長にパデュー大学(Purdue University)工学部長のアービンド・ラマン氏(Arvind Raman)、また、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)副長官にマシュー・アンダーソン氏(Matthew Anderson)、国務省(Department of State)海洋・国際環境科学問題担当次官補にウェスリー・ブルックス氏(Wesley Brooks)に加え、商務省(Department of Commerce)産業分析担当次官補にスティーブン・ヘインズ氏(Steven Haines)が再指名された。昨年から指名承認の一括審議・承認が可能になったが、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)やエネルギー省(Department of Energy)科学局(Office of Science)長官など主要なポストは依然として指名が行われていない。 AIP “Science nominations back under Senate consideration” (01/19/26) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-jan-19-2026

クリーンエネルギー開発停滞で電気料金3,600億ドル増加の恐れ ACP報告

アメリカン・クリーン・パワー協会(American Clean Power Association: ACP)は1月21日、新たなクリーンエネルギー開発がなければ、PJM相互接続地域9州で今後10年間に電気料金が3,600億ドル増加するとの分析結果を発表した。一般家庭の電気料金は10年間で3,000~8,500ドル上昇し、特にウェストバージニア州では最大8,500ドルの負担増となる見込みであるという。また新規開発を制限した場合、2035年までに電力輸入が約300%増加し、老朽化した高コストの化石燃料発電への依存が深まり、電力供給の信頼性リスクも高まることもわかった。データセンターや先端製造業の急拡大による電力需要急増を背景に、トランプ政権と超党派の州知事グループがPJMに対応策を講じるよう求めており、ACPは新規天然ガス発電所の建設に5~7年かかるのに対し、風力・太陽光発電や蓄電池などのクリーンエネルギー資源は1~2年で導入可能で、需要急増に対応する最も現実的な解決策と提言、風力、太陽光、蓄電池への投資継続が不可欠であると強調している。 ACP “NEW ANALYSIS: Households Will Pay Thousands More for Electricity Over the Next Decade without New Clean Power Sources in PJM” (01/21/26) NEW ANALYSIS: Households Will Pay Thousands More for Electricity Over the Next Decade without New Clean Power Sources in PJM

退役軍用機のエンジン 最大4万MWの発電能力

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は1月21日、退役した軍用機のエンジンの発電能力が最大4万MWに達する可能性があると発表した。「ボーンヤード(boneyard、墓場)」の別名を持つ、アリゾナ州のデビスモンサン空軍基地(Davis-Monthan Air Force Base)に保管されている約4,000機の退役軍用機のエンジンを利用する場合を想定したもので、同州の現在の発電能力の約10%に相当する量という。その中でも、ターボファンエンジンは約3万2,000MWの発電能力と最も大きな割合を占め、ターボシャフトエンジンとターボプロップエンジンは、それぞれ約1,600MWと7,300MWの発電能力を持つと推定した。しかし、これらのエンジンを発電に利用するには、エンジンの状態や軍事上のニーズ、エンジンの再生・改造にかかるコストなどの課題があり、特にターボシャフトエンジンについては、公益事業用やバックアップ発電に使用されている1MW~2MWのディーゼルエンジンの方が効率的であることにも触れている。 EIA “Air power: Tallying electricity generating potential from retired military aircraft” (01/21/26) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=67044

国内初の高性能核融合材料試験施設、東テネシーに建設へ

オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)は1月21日、タイプ・ワン・エナジー社(Type One Energy)とテネシー大学ノックスビル校(University of Tennessee, Knoxville)と共同で、国内2番目となる高熱流束試験施設(High-Heat Flux Facility: HHF)をテネシー川流域開発公社(Tennessee Valley Authority: TVA)のブルラン発電複合施設に建設すると発表した。1平方メートルあたり10メガワット(MW)以上の熱負荷を電子ビーム技術で加え、核融合炉内でのプラズマ対向部品(Plasma-Facing Components: PFCs)の材料特性を評価するとし、国内初となる加圧ヘリウムガス冷却システムを搭載する。このシステムはタイプ・ワン・エナジー社が開発する「インフィニティ・ツー(Infinity Two)」核融合発電プラントを含む複数の国内拠点の核融合装置でも採用候補となっており、建設にはエネルギー省(Department of Energy)の核融合エネルギー科学プログラム(Fusion Energy Sciences)が支援し、2027年末に完工する予定としている。 ORNL “ORNL to partner with Type One Energy, UT on world-class facility to validate next-gen fusion” (01/21/26) https://www.ornl.gov/news/ornl-partner-type-one-energy-ut-world-class-facility-validate-next-gen-fusion

NETL、重要鉱物研究向け初のデジタル基盤「ClaiMM」立ち上げ

国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)は1月21日、重要鉱物・材料(Critical Minerals and Materials: CMM)研究を支援する初の統合デジタル基盤「ClaiMM」を立ち上げたと発表した。採掘から製造・供給網に至るまで、鉱物・材料の全バリューチェーンを対象とした唯一のデジタル研究基盤で、エネルギー・データ・エクスチェンジ(Energy Data eXchange: EDX)上で運営する。この基盤を通じ、厳選されたデータセット、データベース、モデル、ツール、サービスへのアクセスを提供して人工知能(AI)と機械学習の機能を統合することで、研究者や科学者への迅速な知見確保につなげる。NETLは、様々な分野の研究チームが既存データとツールを活用し、新たな知見を生み出すことが可能になるとし、またエネルギー安全保障と資源自立という国家的優先課題の進展を実現する動的なデジタル基盤となるとも指摘しており、今後は同基盤内でのモデル実行やAIによる推奨機能の拡充も予定しているという。 NETL “NETL Launches ClaiMM, the First Digital Platform Supporting Source-to-Supply Critical Minerals and Materials Research” (01/21/26) https://netl.doe.gov/node/15200

トランプ政権、「AI大分岐政策」を推進

大統領府は1月21日、「人工知能(AI)が新たな大分岐を引き起こす可能性がある」という報告書「人工知能と大分岐(Artificial Intelligence and the Great Divergence)」を発表した。AIイノベーションは英産業革命時のように経済成長を加速させるが、国家間の格差を広げる可能性も示唆しており、AIへの投資と採用状況により、同分野におけるリーダー的存在となる国々が出現すると報告している。ただ、今後のAI技術は現在と大きく異なるとし、AIが将来どのように影響を与えるかについての不確実性を認識しつつ、投資やパフォーマンス、採用率の指標が急速に成長していることも特徴的であると分析した。これらを背景に、トランプ大統領はイノベーションの加速、インフラ開発、規制緩和によりAI優位性を確立していく姿勢を示しており、技術輸出を通じて国際的に優位な立場を築く計画を明らかにしている。 The White House “Artificial Intelligence and the Great Divergence” (01/21/26) https://www.whitehouse.gov/research/2026/01/artificial-intelligence-and-the-great-divergence/

CEQ、新しいNEPA緊急ガイダンスを発表

大統領府は1月21日、環境諮問委員会(Council on Environmental Quality: CEQ)の国家環境政策法(National Environmental Policy Act: NEPA)に関する新しい緊急ガイダンスを発表した。大規模な山火事や、生物種とその生息地への脅威、経済危機、感染症の流行、大統領による非常事態宣言などの緊急事態に、連邦機関が迅速かつ効果的に対応を講じるための手続きに明確な指針を示す内容となっている。CEQのキャサリン・スカーレット委員長(Katherine Scarlett)は「緊急時に必要なサービスを迅速に提供できるよう、具体的な手順を示すもの」と説明し、法的要求事項と環境面での考慮を完全に満たしつつ、対応を進めるための具体的な手順が記載されていると説明した。緊急事態下でのNEPA実施を監督するCEQは、この新しいガイダンスに沿って、政権の優先事項を推進していく姿勢を示している。 The White House “CEQ Issues Guidance on Emergencies and the National Environmental Policy Act” (01/21/26) https://www.whitehouse.gov/articles/2026/01/ceq-issues-guidance-on-emergencies-and-the-national-environmental-policy-act/

グーグル社、二酸化炭素バッテリーに注目

グーグル社(Google)は、イタリア企業のエネルギー・ドーム社(Energy Dome)に、「二酸化炭素バッテリー」と呼ばれる設備の建設を委託した。米国や欧州、アジアの一部の地域で自社の大型データセンター向けに、環境に優しく信頼性の高い予備電力を提供することが目的である。二酸化炭素バッテリーは、リチウムイオン電池ユニットと同様に、余剰の再生可能エネルギーを貯蔵し、必要に応じてデータセンターへクリーンで信頼性の高い電力を供給する。同バッテリーは、リチウムイオン電池に比べ、容量や拡張性に優れ、世界のどの場所でも容易に標準化できる。二酸化炭素バッテリー施設は、伸縮可能なドームの中に日々二酸化炭素を貯蔵し、エネルギーが必要な際には二酸化炭素を圧縮・膨張させてタービンを回し、200メガワット時の電力を生成するという。 Utility Dive “Google sees CO2 batteries as large-scale way to store renewable energy” (01/20/26) https://www.utilitydive.com/news/google-sees-co2-batteries-as-large-scale-way-to-store-renewable-energy/810017/

ニュージャージー州知事、ソーラー、貯蔵、仮想発電所の加速を指示

ニュージャージー州知事に就任したマイキー・シェリル氏(Mikie Sherrill)は、就任初日の1月20日、電気料金の値上げの凍結、料金支払者への住宅向け電気代控除(請求額から一定額を控除)の実施、ユーティリティ規模のソーラー及び電池貯蔵を含む分散型エネルギー資源の拡大を目的とした複数の知事令に署名した。その一つは、州の公益事業委員会(Board of Public Utilities)に対して、7月1日までに住宅向け電気代控除を実施し、送配電機関が料金引き上げや費用回収を目的として許可を求めているあらゆる手続きについて、そのスケジュールの停止や保留、変更を検討し、伝統的な電力機関のビジネスモデルを現代化する方法について180日以内に調査報告書を発表するよう指示している。もう一つの知事令は、規制当局がソーラー及び送配電規模のバッテリー貯蔵の公募を開始することや、仮想研究所プログラムの策定に着手することを指示している。 Utility Dive “New Jersey governor orders state to accelerate solar, storage and virtual power plants” (01/21/26) https://www.utilitydive.com/news/new-jersey-gov-sherrill-orders-electric-bill-credits-development-of-vpp-p/810085/

IBM、4年後のAIについて予測

IBM社は1月16日、2030年までの人工知能(AI)について、世界中の企業幹部を対象に行ったアンケート調査の結果を基にまとめた報告書「2030年のエンタープライズ(The enterprise in 2030)」を発表した。それによれば、回答者の67%が「AIは、現在、組織のあしかせとなっている資源や技能の制約を解消する」と考え、64%が「AIによる競争的優位は、資源の最適化ではなく、イノベーションによってもたらされる」と考えている。報告書は、定量的な調査と企業幹部を対象とした定性的なインタビューを基に、企業幹部がよりスマートなエンタープライズを実現できるよう、2030年に向けた5つの予測を提示している。それらは、①競争的圧力により、大きな投資は不可避となる、②現在の生産性向上が明日の産業変革への投資となる、③最高のAIは唯一無二で特別な存在となる、④AIが全ての思考をするわけではない、⑤量子は次なる大変革をもたらす、の5つ。 IBM “IBM Study: AI Poised to Drive Smarter Business Growth Through 2030” (01/19/26) https://newsroom.ibm.com/2026-01-19-ibm-study-ai-poised-to-drive-smarter-business-growth-through-2030 IBM “The enterprise in 2030” (01/16/26) https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/en-us/report/enterprise-2030