国家安全保障局及び陸軍、量子情報科学の進展を目的として「Qビット・コラボレートリー」を開始

陸軍研究局(Army Research Office: ARO)と国家安全保障局(National Security Agency: NSA)の物理科学研究所(Laboratory for Physical Sciences: LPS)は先般、様々な部門や国内の科学者及び工学者を結びつけ、量子情報技術の限界を探索する新たな研究ハブを立ち上げた。AROとLPSは4月30日付けの広範な官庁公示(broad agency announcement: BAA)で、「LPS Qビット・コラボレートリー(LPS Qubit Collaboratory: LQC)と呼ばれるプロジェクトを通じて初期の研究分野の追求を行うとした上で、協調的手法による実験的取り組みを進展させるプロポーザルを募集している。BAAによれば、「コラボレートリーとは、『何の壁もないセンター』であり、国内の研究者は、物理的な場所に関係なく、同僚と相互のやり取りをし、機器へアクセスし、データやコンピュテーショナル資源を共有し、デジタル・ライブラリーの情報へアクセスしながら、研究を実施できる場所」である。 Nextgov “NSA, Army Launch ‘Qubit Collaboratory’ to Advance Quantum Information Science” (5/4/21)

SBIR参加連邦機関の過半数が支出要件を順守せず

中小企業庁(Small Business Administration: SBA)による最新の年間報告(2018年)によれば、中小企業技術革新制度(Small Business Innovation Research: SBIR)及び中小企業技術移転制度(Small Business Technical Transfer: STTR)に参加している連邦機関の過半数が、両制度における最低限の支出要件を満たしていない。報告書によれば、最低限の支出要件(年間の対外R&D支出の3.2%、他)を満たしていないのは、10件の非軍事連邦機関のうち6件で、それらは、①厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)(3.18%)、②農務省(Department of Agriculture: USDA)(3.15%)、③米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)(「SBAへの報告と米国科学財団(National Science Foundation: NSF)への報告の間に15%以上の開きがあってはならない」という要件を満たしていない)、④教育省(Department of Education: ED)(3.16%)、⑤運輸省(Department of Transpiration: DOT)(1.75%)、⑥環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)(NASAと同じ理由)である。報告書には、これらの機関が支出要件を満たせなかった要因や課題についても記載している。 SSTi “Majority of participating agencies non-compliant with SBIR spending requirements” (5/6/21)

カナダ政府、大学に対し、外国のスパイ及び干渉の防止を指示

カナダ政府は先頃、大学に向けて、外国のスパイ及び干渉に関する安全保障ガイドラインを通達した上で、「知識やデータ、知的財産に対する真の脅威がある」と警告している。政府は、大学作業部会のメンバーに、リスク・ガイドラインを策定すること、国家安全保障上の検討事項を研究プロジェクトおよびパートナーシップの助成の評価に統合することを要請している。カナダ政府は、「カナダの研究機関は、警戒を続け、自らの研究及び知的財産を確実にするためのベスト・プラクティスを適用させることを確実にすべきである。これには、強力なサイバーセキュリティ及び物理的な安全保障プロトコルが含まれる」としており、カナダのこうした動きは、英国とオーストラリアなど複数の国で同様の取り組みが行われたことに続くものである。 Science Business “Canadian universities instructed to protect themselves from foreign espionage and interference” May 2021)

連邦研究所コンソーシアム(FLC)、メリーランド州とコロラド州の地域組織と提携

連邦研究所コンソーシアム(Federal Laboratory Consortium: FLC)は、メリーランド州にある2つの機関、コロラド州にある1つの機関と、戦略的パートナーシップを記した覚書を交わした。連邦研究所との共同作業を通じて、州及び地域の中小企業が成功できるよう支援することが狙いである。これらの関係には、新たなイノベーションもしくは連邦研究者が開発した技術のライセンシングに対する連邦資金が伴い、ラボの技術を市場化させる(技術移転)というFLCの取り組みに、地域的な焦点をもたらすことになる。FLCとの覚書を交わしたのは、モンゴメリー郡経済開発公社(Montgomery County Economic Development Corporation)、メリーランド州技術開発公社(Maryland Technology Development Corporation)、コロラド・ラボ(CO-LABS)の3機関。 Federal Laboratory Consortium “Federal Laboratory Consortium (FLC) Enters into Partnerships With Regional Organizations in Maryland and Colorado” (4/20/21)

ブロード研究所、人工知能で疾病対策に取り組む3億ドルのイニシアチブを開始

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institutes of Health: MIT)とハーバード大学(Harvard University)によるブロード研究所(Broad Institute)は、先端コンピュータ科学を医薬における最も困難な問題の一部に適用させる3億ドルのイニシアチブを開始する。これは、癌や感染症、その他の疾病に対する新たな対策を明らかにする可能性があると期待されている。3月25日には、エリック・アンド・ウェンディ・シュミット・センター(Eric and Wendy Schmidt Center)の創設が発表された(グーグル社(Google)の元CEOであるエリック氏とその夫人が主要な資金提供者となることから、その名前にちなんで設置)。生物・医薬分野の研究者は現在、人体に関する情報を解き明かしつつあるが、高度な人工知能(AI)ソフトウェアの助けがなければ、それらを分析し十分に理解するのに数十年を要する可能性がある。ブロード研究所は、その資源と専門性をこれらのプログラムの開発と向上に焦点を当てることで、人体の基本的な謎の一部のパターンを発見できることを期待している。 Boston Globe “Broad Institute launches $300m initiative to fight diseases with artificial intelligence” (3/25/21)

NIH、COVID-19パンデミックが外部の科学労働力に及ぼした影響を調査

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)では、新型コロナ感染症(COVID-19)のパンデミックが様々な形でバイオメディカルの労働力(特に、社会的少数派や脆弱な層)に否定的な影響を及ぼす可能性を認識している。このため、NIHは2020年10月に、COVID-19が外部の研究にもたらした影響を客観的に記録するため、2つのオンラインアンケート調査を実施した。一つは、外部機関における個々の研究運営管理リーダーの見解について、もう一つは研究者自身の見解についての調査である。結論として、COVID-19のパンデミックの影響は極めて広範囲に及び、科学的労働力もその例外ではないことが判明した。また、NIH助成を受けている外部研究者コミュニティは不平等な経験をしており、特にキャリア早期の研究者と、介護や世話の責任を持つ研究者が最も影響を受けている。 National Institutes of Health “The Impact of the COVID-19 Pandemic on the Extramural Scientific Workforce – Outcomes from an NIH-Led Survey” (3/25/21)

大統領府、人工知能の進展を目的としたウェブサイトを立ち上げ

大統領府は新たなウェブサイトAI.govを立ち上げた。これは、人工知能(AI)の研究開発における米国の継続的なリーダーシップを強化することを目的とした「国家AIイニシアチブ(National AI Initiative)」の公式サイトとなる。現在、2021年1月1日に成立した「2020年国家AIイニシアチブ法(National AI Initiative Act of 2020)」により、米国の経済繁栄と国家安全保障のためのAI研究及び応用を加速させるため、連邦政府全体で調整されたプログラムが行われている。新しいウェブサイトは、AIに関する情報とニュースを一般市民がより広く利用できるようにすることを意図したもので、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)内の国家人工知能イニシアチブ局(National Artificial Intelligence Initiative Office: NAIIO)が運営する。ウェブサイトは、米国内のAI利用を強化するために必要な戦略的支柱として、①イノベーション、②信頼できるAIの進展、③教育と訓練、④インフラ、⑤応用、⑥国際協力、を挙げている。 Health IT Analytics “White House Announces Website to Advance Artificial Intelligence” (5/5/21)

バイデン政権、特例措置としてCOVID-19ワクチンの特許停止を支持

バイデン政権は5月5日、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチンに関する知的財産保護を停止することに支持を表明し、開発途上国におけるワクチン不足について懸念が高まる中、生産を強化するための国際的努力に賛同した。世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)が、一部の知的財産保護を停止し、世界中の製薬会社が企業秘密として厳重に守られているワクチン製造方法へアクセスすることを認めるよう提案する中、米国はその大きな障害となっていた。しかし、バイデン大統領は、インドと南アフリカが作成し、多くの民主党議員が支持する提案へ支持を表明するよう強い圧力を受けていた。こうした中、通商代表部(U.S. Trade Representative: USTR)のキャサリン・タイ代表(Katherine Tai)が5月5日に政権の立場を表明した。ただし、大統領府の支持表明によって特許停止の採択が保証されるわけではない。また、製薬業界もバイデン政権の表明に反発している。 New York Times “Taking ‘Extraordinary Measures,’ Biden Backs Suspending Patents on Vaccines” (5/5/21)

DARPA、現場での超音波プログラムに取り組む研究チームを発表

戦地での様々な負傷に早急かつ正確に対処できるよう、現場で使用できる携行型の超音波へのニーズは高まっている。しかし、物流の問題、金銭的懸念、そしてこれらの機器の利用について訓練を受けた最前線の医療人員の不足が、こうした技術の導入の足かせとなっている。国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)による「現場での超音波自動解釈(Point-Of-Care Ultrasound Automated Interpretation: POCUS AI)」プログラムは、厳しい環境で医療人員の助けとなるよう、超音波画像を解釈する人工知能(AI)技法を進展させることで、こうした問題に対処しようとするものである。また、医療画像AIの開発に伴う高コストに対処するため、数千点の超音波画像ではなく、数十件の同画像でAIを訓練するための新技法の開発にも取り組む。DARPAは5月4日、POCUS AIの下、プロトタイプAIモデルの開発に取り組む5件の研究チームを発表した。 Defense Advanced Research Project Agency “Researchers Selected for Point-of-Care Ultrasound Program” (5/4/21)

DARPA地下チャレンジ、システム・コンペの最終戦に出場するチームを発表

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は今般、地下チャレンジ(Subterranean (SubT) Challenge)のシステム・コンペの最終戦に出場する8チームを発表した。最終戦は、2021年9月21~23日にルイビル・メガ洞窟(Louisville Mega Cavern)で行われ、各チームのロボットは、馴染みのない地下環境で共通のアイテム(リュックサック、携帯電話機、閉じ込められた生存者、目に見えないガス)を早急に捜索することを競う。最も多くのアイテムを見つけ出したチームに賞金が贈られる(1位200万ドル、2位100万ドル、3位50万ドル)。DARPAの資金提供を受けたチームと自費によるチームの双方が、最終戦で賞金を獲得できる機会が平等にある。地下チャレンジはこれまでに、トンネル・サーキット、都市型サーキット、洞窟サーキットの3つの予備イベントが行われており、今回の最終戦ではこれらの全てのサーキットの要素が含まれる。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Subterranean Challenge Announces Systems Competition Teams for Final Event” (5/3/21)