アリゾナ州ユーティリティ規制局、100%クリーンエネルギー規則案を否決

アリゾナ州のユーティリティ規制局であるアリゾナ州公社委員会(Arizona Corporation Commission)は、州内のほとんどの電力供給機関に、2050年までに電力の100%をクリーンエネルギー資源由来とすることを義務付ける規則案を、3対2の票決で否決した。同規則案は、州規制の対象となるユーティリティ機関が支持を表明しており、3年間の活動を経て昨年11月に行われた表決では4対1で初期承認を得ていたことから、否決は驚きとなった。否決の要因は、義務付けを「目標」へ転換する修正事項で、委員会の2名の民主党委員が反対票へ回った。共和党のジャスティン・オルソン委員(Justin Olson)は元々支持をしていなかったが、修正事項を推進していた。この結果、アリゾナ州内のユーティリティ機関は、2006年に採択された現行の再生可能エネルギー基準を順守すればよいことになる。 AP News “Arizona utility regulators reject 100% clean energy rules” (5/6/21)

中小企業におけるR&D活動、2008-09年の大不況からまだ回復せず

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の国立科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は、利用可能な最新のデータ(2018年)を使い、2008-09年の大不況(Great Recession)からの米国のR&D活動の回復及び、その影響が企業の規模によってどのように異なるかについて調査した「インフォチャート(InfoCart)」を発表した。大不況からの回復は2009年に始まったが、より小規模な企業のR&D活動(実施と雇用)は、2018年時点で2009年の水準までまだ回復していない。大不況の終了以来、大企業(従業員250名以上)におけるR&Dの実施は68%、雇用は41%、それぞれ増加した。中小企業(同50~249名)においては、従業員100名以上の企業のみが2009年の不況終了時のR&D活動から回復している。大不況終了以来、R&D活動は大手企業に集中しており、従業員が10名以上の企業の中で、大手企業は、R&Dの実施の89%、雇用の83%を占める(2018年)。 National Center for Science and Engineering Statistics “R&D Activities at Small Companies Yet to Recover from 2008–09 Great Recession” (5//21)

NITRD、STEMポータルを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は5月6日付けの連邦広報(Federal Register)で、連邦ネットワーキング及び情報技術研究開発(Federal Networking and Information Technology Research and Development:NITRD)が、「STEM(科学/技術/工学/数学)ポータル(STEM Portal)」を開設すると発表した。STEMポータルは、将来のイノベーションに対応できる多様かつ包含的で十分な訓練を受けた労働力を提唱するため、あらゆる教育レベル向けに連邦のサイバー学習、コンピュテーショナル・リテラシー、情報技術の訓練機会に関する様々な資源を提供する。一般市民は5月6日よりアクセスできる。ウェブサイトはhttps://www.nitrd.gov/STEM4ALL/ Federal Register “Notice of Networking and Information Technology Research and Development Science, Technology, Engineering, and Math (STEM) Portal” (5/6/21)

CSET、「AIと産業:求人とメディアによる描写」を報告

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「AIと産業:求人とメディアによる描写(AI and Industry: Postings and Media Portrayals)」と題するデータ短信を発表した。本データ短信は、メディアによるAIの描写と、AIを実用的にするために業界が求める必須のAIスキルとの整合性または不整合性を分析している。キーファインディングとして、①技術大手を含む情報部門が、AI関連のメディア・ストーリーを支配している一方、AI関連の求人の大半は、専門職/科学/技術サービス部門及び製造業部門が発している、②AI関連の求人は、「AIを実世界の産業製品に統合するのに必要なことは、単に大手技術企業の研究室で研究者が次の最先端のアルゴリズムを開発するだけではない」ことを示す、といった点を挙げている。 CSET “AI and Industry Postings and Media Portrayals” (May 2021)

石油及び天然ガスで知られるルイジアナ州、炭素ニュートラル化を目指す

ルイジアナ州経済は長年に亘り、石油や天然ガス、石油化学の生産に依存していたが、大型ハリケーンや洪水、海面上昇、熱波などが近年増えていることから、化石燃料の排出を劇的に削減することに目を向けている。同州のジョン・ベル・エドワーズ知事(John Bel Edwards)(民主党)は先週、「米国気候同盟(U.S. Climate Alliance)」に参加する計画を発表した際、「気候変動対策に取り組むことで、我々の地域社会と経済を強化することができる」と述べた。こうした動きにより、ルイジアナ州はバイデン大統領の野心的な気候目標に沿う形となるが、同州がどのようにその目標を達成できるのか、また、エドワーズ知事は政治的及び業界による抵抗を克服できるのかは不明である。 NPR “Louisiana’s Governor Wants The Oil And Gas State To Go Carbon Neutral” 5/11/21)

内務省、北極のオフショア掘削に関するトランプ前政権の提案を撤回

内務省(Department of Interior: DOI)は5月7日、トランプ前政権による提案を追求しないと発表した。この提案について、批判派は、北極水域における探索的な石油・天然ガス掘削の規則を弱める恐れがあると懸念していた。DOIによる声明は、「2016年に発表された既存の規則は有効であり、繊細な生態系とアラスカ原住民の生活のための適切な安全と環境保護を確実にする上で重要である」としている。トランプ前政権で提案されていた変更(最終取りまとめされていない)は、「不必要で負担の大きな条項」とされていた規制を排除することを模索していたもので、企業が探索計画を申請する前に、予想される掘削活動をまとめた事業計画を提出することを義務付ける要件や、汚染管理設備に関する一部の規則の変更が含まれる。 AP News “Interior drops Trump proposal for Arctic offshore drilling” (5/7/21)

大統領府の新作業部会、科学と政治の切り離しを狙う

バイデン大統領は、政府内における科学の政治化に関する過去の問題を明らかにする取り組みを開始すると共に、将来のために科学の完全性に関する規則の強化に乗り出した。20件以上の政府機関の代表(計46名)で構成される連邦科学完全性作業部会(federal scientific integrity task force)は、5月14日に初会合を開催する。同作業部会の使命は、証拠ならびに研究に基づいて判断が行われるべき点で党派的な干渉が行われた分野を2009年までさかのぼって点検し、将来的に政府の科学から政治を切り離す方法を考案することである。「我々は、それが気象予報であろうと、ワクチンの安全性であろうと、人々が連邦政府の発言を信頼できるようになることを望んでいる」と、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)で気候・環境問題担当副所長を務めるジェーン・ルブチェンコ氏(Jane Lubchenco)はコメントしている。 AP News “New White House panel aims to separate science, politics” (5/10/21)

NETLとパートナー、国内エネルギーの監視と保護を目的として量子技術を進展

量子情報科学(quantum information science: QIS)の新興分野で国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)の支援を受けたプロジェクトが、先端発電所の運営状況の監視向上とエネルギー・インフラをサイバー攻撃から防御するための新技術に取り組んでいる。NETLは、持続可能なエネルギー未来へ向けた変革を実現する総合ソリューションにQISを適用させるイニシアチブを開始し、NETLの大学パートナーであるカリフォルニア大学リバーサイド校(University of California, Riverside)とテキサス大学エル・パソ校(University of Texas at El Paso)は現在、関連技術分野で量子検知(前者)とセキュアなコミュニケーション(後者)に焦点を当てた研究開発をそれぞれ行っている。両大学における研究活動は、化石ベースのエネルギー・システムと炭素管理技術に量子技術を適用させる有意義な手法に関するNETLの調査研究の最前線にある。 National Energy Technology Laboratory “NETL, PARTNERS ADVANCE QUANTUM TECHNOLOGIES TO MONITOR AND PROTECT NATION’S ENERGY” (5/5/21)

バイデン政権、米国初の大型オフショア風力ファームを承認

バイデン政権が5月11日、米国内で初となる商業規模のオフショア風力ファーム、ビンヤード風力(Vineyard Wind)プロジェクトを承認したことを受け、今夏にもその建設が開始する見込みである。同プロジェクトでは、最高84基のタービンが大西洋沖(マサチューセッツ州のマーサス・ビンヤード(Martha’s Vineyard)海岸から約12海里沖)に設置され、合計約800メガワット(約40万世帯分)の発電能力を有する。ビンヤード風力プロジェクト以外にも、東海岸で数十件のオフショア風力プロジェクトが連邦審査の対象となっている。内務省(Department of Interior: DOI)は、2020年代末までに約2,000基のタービンが、マサチューセッツ州からノースカロライナ州の海岸沖で稼働する可能性があると試算している。ただし、オフショア風力発電が今後全て円滑に進むわけではなく、商業漁業団体や海岸沿いの土地所有者は、プロジェクトを提訴することが見込まれており、環境保護団体はオフショア風力発電が海洋生物に及ぼす影響を懸念している。 New York Times “Biden Administration Approves Nation’s First Major Offshore Wind Farm” (5/11/21)

気候変動支援局の設立に関する大統領令

バイデン大統領は5月7日、大統領令(Executive Order)を発布し、国務省(Department of State)内に、一時的な機関として、気候変動支援局(Climate Changes Support Office: CCSO)を設立することを指示した。CCSOを指揮するディレクター(Director)は、国務長官(Secretary of State)が任命する。また、CCSOを機能させるために必要な技能を持つ人員が必要な人数に基づいて配備される。CCSOの目的は、国務省の主導とその他の省庁との調整により、世界的な気候危機に対処するための米国イニシアチブを進展させるため、二国間及び多国間の関与を支援する具体的なプロジェクトを実行することである。 White House “Executive Order on the Establishment of the Climate Change Support Office” (5/7/21)