ARPA-H、免疫システムの機能修復を目指すプロジェクトを助成

医療高等研究計画局(Advanced Research Project Agency for Health: ARPA-H)は9月28日、胸腺の機能を修復することを目的として、オープンな広範な官庁公示(Open Broad Agency Announcement: Open BAA)を通じて、最高3,700万ドルの資金を提供することを発表した。胸腺は、通常の免疫細胞の成長を支える臓器で、加齢に伴い免疫システムを修復する可能性がある。毎年、1万人以上の新規患者が胸腺障害と診断されており、それらはしばしば先天性欠陥もしくは癌治療と関連している。チミュン・セラピューティクス社(Thymmune Therapeutics)が主導する「胸腺再生プロジェクト(Thymus Rejuvenation project)」は、損傷した胸腺細胞または機能不全の胸腺細胞を修復することを目指す。科学者は、ラボでの手法を用いて細胞を異なる細胞種類に変換させ、最終的には患者のために機能する胸腺細胞へと成長させて免疫力を「再起動」できるようにする。 Advanced Research Project Agency for Health “ARPA-H funds project to restore immune system function” (9/28/23)

ARPA-H、6件のDIGIHEALS受益者を発表

厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)傘下の医療高等研究計画局(Advanced Research Project Agency for Health: ARPA-H)は9月29日、「デジタル医療セキュリティ(Digital Health Security: DIGIHEALS)」プロジェクトを通じて6件の契約に最高5,000万ドルを提供すると発表した。DIGIHEALSプロジェクトは、米国医療ケア・システムの電子インフラを保護することを目的としたデジタル・セキュリティ・プロジェクトである。受益するプロジェクトは、医療ケア・データのセキュアを確実にする上での脆弱性(自動医療機器におけるパッチやランサム介入、サイバー推論技法など)に対処する技術の進展を模索する。「農村コミュニティや、社会的に不利な立場のコミュニティでは、病院や診療所のサイバーセキュリティを強化する選択肢がなく、ケアを運営管理する能力が弱体化される。今回の受益プロジェクトは、国内の医療ケア・システムのサイバーセキュリティにおける現行の溝に対処できる技術の開発を模索する」と、ARPA-Hのレニー・ウェグリジン長官(Renee Wegrzyn)は述べる。受益する6チームは、バージニア、カリフォルニア、アリゾナ、マサチューセッツの各州に所在する大学と企業の混合となっている。 Advanced Research Project Agency for Health “ARPA-H announces six DIGIHEALS awardees” (9/29/23)

ARPA-H、リアルタイムの医薬品伝達と疾病の追跡を目的としたプログラムを開始

厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)傘下の医療高等研究計画局(Advanced Research Project Agency for Health: ARPA-H)は9月29日、患者の身体内で治療薬を自動的に投与し、疾病の監視をする新技術の開発に取り組むプログラムを開始した。これらの技術は、患者の自己ケア及び手頃な費用の長期的治療の改善につながると期待されている。ARPA-Hの新プログラムは「対応力のある拡張型自動細胞療法(Resilient Extended Automatic Cell Therapies: REACT)」と呼称され、多くの人が自身の慢性疾患を治療、監視する上で直面する経済的及び治療管理上の負担(採血や注射、錠剤、手術など)を軽減すると期待されている。REACTプログラムの最初のトラックでは、合成生物学やマテリアル、生物エレクトロニクスにおける近年の進展を活用し、埋め込み可能な「生きている医薬(Living Pharmacy)」と呼ばれるソリューションを模索する。トラック2では、優れたプロポーザルの提出者が、「生きている監視員(Living Sentinel)」と呼ばれる埋め込み可能な機器の創出に取り組む。 Advanced Research Project Agency for Health “ARPA-H launches program for real-time drug delivery and disease tracking” (9/29/23)

エネルギー省、住宅向け暖炉のエネルギー効率基準を最終決定

エネルギー省(Department of Energy)は9月29日、議会に義務付けられていた、住宅用ガス暖炉のエネルギー効率基準の確立を最終決定した。これにより、米国世帯のユーティリティ費用は年間15億ドル節約され、温室効果ガスの排出が大幅に削減される。新たな基準は2028年後半に実効され、耐候性のないガス暖炉及びモバイル住宅で使用されているガス暖炉は、年間の燃料使用効率が95%を達成することを義務付けられ、省エネと住宅用暖房の向上が期待されている。DOEの専門家は、これらの基準によって消費者のエネルギー代は、30年間で累積248億ドルが節約され、有害な炭素及びメタンガスの排出が削減されると予測している。 Department of Energy “DOE Finalizes Energy Efficiency Standards for Residential Furnaces to Save Americans $1.5 Billion In Annual Utility Bills” (9/29/23)

エネルギー省、エネルギー地球ショットの支援として2億6,400万ドルを発表

エネルギー省(Department of Energy)は9月29日、同省の「エネルギー地球ショット・イニシアチブ(Energy Earthshots Initiative)」の根底にある科学的課題のソリューション開発に取り組む29件のプロジェクトに、2億6,400万ドルを提供すると発表した。エネルギー省傘下の国立研究所が主導する11件の新たな「エネルギー地球ショット研究センター(Energy Earthshot Research Center)」(合計1億9,500万ドル)と、エネルギー地球ショット内の6つの異なる分野(産業の脱炭素化、炭素貯留、オフショア風力など)で2つ以上の項目に焦点を当てている18件の大学研究チーム(6,910万ドル)に資金が提供される。 Department of Energy “DOE Announces $264 Million for Basic Research in Support of Energy Earthshots™” (9/29/23)

米国のグリッド規模のエネルギー貯留の導入、2023年第2四半期に過去最高

ウッド・マッキンジー社(Wood Mackenzie)と米国クリーン電力協会(American Clean Power Association: ACP)が9月25日に発表した最新の「米国エネルギー貯留モニター(U.S. Energy Storage Monitor)」報告によれば、米国のエネルギー貯留市場は2023年第2四半期の追加設置が5,597メガワット時(MWh)となり、四半期として過去最高を記録した。グリッド規模部門が市場をけん引し、同四半期には5,109MWhと過去最高となり、それまでの過去最高であった2021年第4四半期を5%上回った。また、前期比で172%の増加となった。ウッド・マッキンジー社は、グリッド規模部門が2023-2027年の5年間予測において市場の主要ドライバーとなり、全設置の83%(55ギガワット)を占めると予測している。一方、コミュニティ/商業/産業(Community, commercial, and industrial: CCI)設置は107MWhで、2022年のどの四半期よりも多いが、2023年第1四半期の急騰には追い付かず、結果として前期比53%減となった。また、住宅の貯留は2四半期連続の減少となり、第1四半期の388.2MWhに続き、第2四半期は381.2MWhとなった。 American Clean Power “NEW REPORT: U.S. Grid-Scale Energy Storage Installations Set New Record in Q2 2023″ (9/25/23)

クリーンエネルギー経済に重要なアルミニウム業界の炭素排出は膨大

環境インテグリティ・プロジェクト(Environmental Integrity Project)は今般、「アルミニウムのパラドックス:クリーンエネルギーに重要だが、温室効果ガス、大気、水汚染の主要源でもある(The Aluminum Paradox: Vital for clean energy, but also a major source of greenhouse gases, air and water pollution)」と題する報告書を発表した。報告書によれば、アルミニウムはクリーンエネルギー経済にとって重要だが、アルミニウムの生産は、温室効果ガス排出や有害大気、水汚染の主要な源になっている。報告書は、連邦政府が、インフレ低減法(Inflation Reduction Act)を通じて重工業産業による炭素排出削減を奨励するため、数十億ドルのグラントを提供する中で発表された。アルミニウムは軽量で強度と耐久性に優れていることから、ソーラー・パネルや風力タービン、電気自動車の主要部品となっているが、アルミニウムの生産は大気・水汚染の原因であり、コミュニティや環境に悪影響を及ぼす。政策・研究アナリストで報告書の第一執筆者であるナディア・ステインゾー氏(Nadia Steinzor)は、「アルミニウムはクリーンエネルギー及びクリーン輸送へのシフトや、力強い米国産業及び雇用の創出において、極めて大きくかつ前向きな役割を担っている。しかし、その有望性を果たすためには、アルミニウム生産者は汚染を削減し、改良された規則の下で現代化及び操業に取り組む必要がある」と述べる。 Inside Climate News “Crucial for a Clean Energy Economy, the Aluminum Industry’s Carbon Footprint Is Enormous” (9/27/23)

財務省、正味ゼロ金融・投資の原則を発表

財務省(Department of Treasury)は9月19日、「正味ゼロ金融・投資に関する原則(Principles for Net-Zero Financing & Investment)」(以下、「原則(Principles)」)を発表した。これは、正味ゼロのコミットメントを行い、その実践方法で一貫性と信頼性を推進する民間の金融機関向けに、新興のベストプラクティスをまとめた任意の原則である。財務省は、この原則を通じて、気候変動の物理的及び経済的影響に対処し、この環境移行が呈する歴史的な経済機会をつかめるよう、より多くの民間部門の資本が活用されることを支援する。また、原則の発表と同時に、市民社会による一連の誓約も発表された。これには、慈善団体大手が、金融機関が任意の正味ゼロコミットメントを開発、頑強に実施する助けとなることを意図した研究やデータの有用性、技術的資源の継続的な開発支援するため、今後3年間で3億4,000万ドルをコミットしたことなどが含まれる。 Department of Treasury “Treasury Releases Principles for Net-Zero Financing & Investment, Applauds $340 Million Philanthropic Commitment and Other Pledges” (9/19/23)

バイデン政権、米国の製造及びクリーンエネルギーの加速に向け、効率的許認可に関する最初の措置を発表

大統領府環境質委員会(White House Council on Environmental Quality: CEO)のブレンダ・マロリー委員長(Breanda Mallory)は9月19日、ニューヨーク市気候週間Climate Week NYC)での講演で、米国製造業を加速させ、クリーン・エネルギーの未来の構築を加速させる一助として、議会が「2023年財政責任法(Fiscal Responsibility Act of 2023)」の中で承認した新たな効率的許認可を使用する最初の連邦機関(2機関)を発表した。2023年財政責任法には、連邦機関が他機関における適用除外(categorical exclusions)を採択、利用して、大きな環境的影響がないプロジェクトの審査を迅速にするプロセスが含まれている。この権限の下、運輸省(Department of Transportation)がエネルギー省(Department of Energy)による電気自動車(EV)の充電器に関する適用除外を採用して、駐車場などの既存設備がある陸地でのEV充電器プロジェクトの環境審査を迅速に行う。また、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は、エネルギー省による11の適用除外を採用して、2022年CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act of 2022)を通じて資金を受益する半導体製造プロジェクトの審査を迅速化する一助とする。 White House “Biden-⁠Harris Administration Announces First Actions Under New Permitting Efficiencies to Accelerate American Manufacturing and Clean Energy Future” (9/19/23)

米国気候同盟、米国内のビルの脱炭素化へのコミットメントと、ヒートポンプ導入を2030年までに4倍に

25の知事で構成される超党派の同盟、米国気候同盟(U.S. Climate Alliance)は9月21日、建造物の排出削減に取り組む会員の一連の新たなコミットメントを発表した。これには、2030年までにヒートポンプの導入を集合的に4倍にするというコミットメントも含まれる。米国気候同盟は、米経済の約60%、米国総人口の55%を占める。ヒートポンプの新たな目標の一部として、米国気候同盟の会員は、2030年までに同盟全体で2,000万件のヒートポンプ設置を目指すことで合意した。今回のコミットメントは、ニューヨーク市気候週間(Climate Week NYC)で発表された。同盟はまた、①ゼロ排出ビルの未来への公平かつ予測可能な移行へ向けた積極的な計画を支援する、②新規建造物が、長期的な脱炭素化目標の達成へ向けて道を開く行動を進展させる(ゼロ排出の建築規則・基準の策定への支援を含む)、といった点でも合意した。 U.S. Climate Alliance “U.S. Climate Alliance Announces New Commitments to Decarbonize Buildings Across America, Quadruple Heat Pump Installations by 2030” (9/21/23)