テックフォース、約200名を採用

トランプ政権は約5カ月前に、連邦政府の技術人材ニーズに対応する解決策として、テックフォース(Tech Force)プログラムを発表したが、テックフォース部長(Tech Force Director)であるケビン・ヘンネッケン氏(Kevin Hennecken)は5月27日、「本プログラムの下、これまでに約200名の採用を決定し、ここ数週間に受け入れ手続きを開始した」と発言した。同部長は、これまでに約10名が配属済みと試算し、来月にはその数が100名以上に上ると予測している。また、夏の終わりまでに300~500名の体制とすることを目標としているという。本プログラムは行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)で一元化されており、主に若手の人材を対象に2年間の任期で採用することを狙いとしている。また、テックフォースを通じて、管理職レベルの人材を業界パートナーから出向させることも検討している。 Fedscoop “Tech Force director says roughly 200 have been hired through the program” (05/27/26) Tech Force director says roughly 200 have been hired through the program

イリノイ州で AI規制を巡る画期的な法律が可決 米政権の統制力が更に弱まる

トランプ大統領が、最先端の人工知能(AI)モデルを審査する権限を連邦政府に認める大統領令への署名を直前になって中止した数日後の5月27日、イリノイ州議会は米国内で最も厳格なAI安全法(SB315)を可決した。J・B・プリツカー知事(J.B. Pritzker)が署名すれば、AI大手企業は公共の安全計画と、自社の先端モデルに関する独立系の第三機関の安全検査結果をまとめた年間報告の提出が義務付けられる(同知事は署名の意向を表明している)。審査の対象となるオープンAI社(OpenAI)やアンソロピック社(Anthropic)は、SB315を支持している。ある専門家は、「州政府によるAI安全法の導入阻止を目指すトランプ大統領を苛立たせるだろう」との見解を示した。 ARS Technica “Trump loses more control over AI regulation as Illinois passes landmark law” (05/28/26) https://arstechnica.com/tech-policy/2026/05/trump-loses-more-control-over-ai-regulation-as-illinois-passes-landmark-law/

EPA、2023年に設定された抗弁規則を撤回

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は5月28日、2025年の連邦裁判所の判断に基づき、2023年にバイデン前政権が設定した抗弁規則(Affirmative Defense Rule)を撤回し、自然災害等の不可避な事象等によって排出制限を超過した製造事業者やエネルギー生産者、その他の施設を対象とした保護措置を復活させると発表した。バイデン前政権は2023年に、固定型発生源向けの連邦大気許可規制から、抗弁規則(不可避な事象のために排出制限を超過した場合、適切な対応をしていた事業者はその法的責任を免れる)条項を削除した。これにより、事業者が合理的に防止できなかった事象において、排出の防止・軽減のためのあらゆる合理的な策を講じた場合でもあっても、事業者が法的責任を負う可能性が生じていた。今回の措置(保護措置の復活)により、施設は、排出の超過が不可避の緊急事態または機器の故障によって生じたものであることを実証すること等が可能になる。 EPA “EPA Withdraws Biden-era 2023 Affirmative Defense Rule, Restoring Protections for Energy and Manufacturing Facilities” (05/28/26) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-withdraws-biden-era-2023-affirmative-defense-rule-restoring-protections-energy-and

DARPA、常温保存可能な人工血液の開発加速へ 

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は5月28日、常温保存可能な人工血液システム開発に向けた「虚血誘発性機能障害の蘇生及び予防(Resuscitation and Prevention of Ischemia-Induced Dysfunction: RAPIID)」事業を立ち上げたと発表した。戦場や救急など医療現場での外傷性出血死の回避に向け、救命機能を提供することが目的で、酸素運搬や止血などの機能を補うバイオ合成成分の開発に成功した前身事業「バイオ人工蘇生製品を用いた出血対策ソリューション(Fieldable Solutions for Hemorrhage with bio-Artificial Resuscitation Products: FSHARP)」に続く取り組みである。従来の輸血用全血製剤は低温保存や短い保存期限といった物流面での課題があったが、同成分開発により今後は臨床試験、規制承認、製造規模の拡大、現場配備用の包装技術開発を進める。事業は36カ月、2フェーズで構成され、2029年度に食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)から承認を受けることを目指す。現在人工血液成分開発と現地用診断技術で提案を公募している。 DARPA “RAPIIDly transitioning shelf-stable blood substitutes to the battlefield” (05/28/26) https://www.darpa.mil/news/2026/rapiidly-transitioning-shelf-stable-blood-substitutes-battlefield

NSF、中小企業支援プログラムを再開 科学機器に重点投資 

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は5月28日、スタートアップや中小企業を支援する「中小企業イノベーション研究・中小企業技術移転(Small Business Innovation Research: SBIR/ Small Business Technology Transfer: STTR)」プログラム再開に向け、2億5,000万ドルを投じると発表した。また、同予算内で次世代科学機器開発を対象とした4,000万ドルの新規実証事業も立ち上げる。連邦助成による研究から誕生した開発初期段階のディープテック(先端技術)企業に対し、株式希薄化を伴わない資金提供で商業化を後押しするプログラムで、革新的な実験基盤や先進科学設備など、新しい科学的発見の領域を切り拓くインフラ技術へ投資する。公募に関してはフェーズⅠ、Ⅱなどの段階があり、起業家はまず、事業ピッチを提出して適合性の審査を受ける必要がある。NSFは2016年度~2025年度の間に1,600社以上に20億ドル以上を投じており、民間から約380件の出口戦略(エグジット)を含む360億ドルの民間投資を調達している。 NSF “NSF deploys $250 million to restart Small Business Innovation Research & Small Business Tech Transfer programs, including a new $40 million pilot emphasis on next-generation scientific instrumentation” (05/28/26) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-deploys-250-million-restart-small-business-innovation

エネルギー省、データセンターの電力変動監視 官民で供給対策を強化 

エネルギー省(Department of Energy)は5月28日、人工知能(AI)の急拡大に伴う大型データセンターの電力需要急増を受け、送電網の信頼性に影響する独特の電力変動(Oscillation、オシレーション)を効果的に監視・検知するための技術報告書を発表した。AI学習センターでは従来施設と異なり、数千個の半導体を並列に設置して同期稼働するため、周期的な電力負荷の変動が発生する。これが幅広い周波数に影響し、結果的に近隣の発電設備を妨害するリスクがあるという。報告書を作成した同省傘下の同期電力計測器イニシアチブ(Novel Applications for Synchronized Power Instrumentation: NASPI)は最も有効な解決策として、従来の位相計測装置(Phasor measurement units: PMU)による低周波振動検出と、高精度波形記録(Point-on-wave: POW)による高周波検知を併せたハイブリッド型監視を提言した。これに対し同省は、関連機関と連携し、安全かつ効率的な送電網統合を進め、電力の安定供給を確保していく方針を示している。 Department of Energy “Monitoring Oscillations from Large Data Centers” (05/28/26) https://www.energy.gov/oe/articles/monitoring-oscillations-large-data-centers

化学研究で中国が圧倒的シェア、全体の過半数に ネイチャー誌

ネイチャー誌(Nature)は5月20日、主要学術誌掲載などによる論文貢献度を示す「ネイチャー・インデックス(Nature Index)」の化学分野において、中国のシェアが全体の半数以上を占め、同分野における圧倒的な優位性が浮き彫りになったと報じた。2025年のデータ(24年9月〜25年8月)によると、世界全体の化学論文発表における中国が占める割合は53%に達した一方、2位の米国は15%にとどまった。また、各国の全研究成果における化学関連分野の割合は、米国が約25%を占めたのに対し、インドは60%近くに達した。中国も50%を超える結果となり、国による研究資源の集中度に差が見られたという。一方で、フランスは70%を超える最も高い国際共同論文率となった。これに対し、中国は単独での研究力が際立ち、国際共同割合が最も低い結果となった。 Nature “Nearly half of the world’s Nature Index chemistry research is now done in China” (05/20/26) https://www.nature.com/articles/d41586-026-00431-0

宇宙産業、上流工程における対中依存に懸念 オルタナ社

サプライチェーン情報企業のオルタナ社(Altana)は5月20日、国内民間宇宙産業の供給網を分析した結果、中国やロシアなどの敵対国への依存が、把握の難しい下請けの「第3階層(Tier3)」以降の上流工程に集中していると発表した。宇宙産業は国防総省(Department of Defense)事業やメガコンステレーション拡大による調達圧力を受けており、人工知能(AI)を活用した分析では、2022年以降の輸入実績のうち84万9,000件以上で中国製部品、1万5,000件でロシア製部品の関与が確認された。特に人工衛星用の耐放射線半導体や特殊ゴム・金属などの部品など代替困難な中核部品ほど依存度が高いという。また、宇宙システムを制御する先端半導体の26.8%が台湾製で、地政学的衝突による供給途絶のリスクが浮き彫りとなった。こうした中、国防機関は民間と連携し、AIを用いた複数階層の供給網可視化や有事シミュレーションを通じた脆弱性対策を強化しているという。 Altana “Adversarial Dependencies Hidden Deep in U.S. Space Industrial Base Threaten Resilience and Readiness” (05/21/26) https://altana.ai/resources/space-industrial-base-resilience 参照記事: SpaceNews “Report finds U.S. space supply chains rely heavily on Chinese manufacturing” (05/20/26) Report finds U.S. space supply chains rely heavily on Chinese manufacturing

次世代地熱発電、国内主力電源への可能性も ITIF報告

情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation: ITIF)は5月18日、地熱増産システム(Enhanced Geothermal Systems: EGS)などの次世代技術台頭により、地熱発電が国内主力電源となる可能性があるとする報告書を発表した。データセンターや人工知能(AI)、製造業の国内回帰に伴い電力需要が急増する中、天候に左右されない24時間稼働のクリーンなベースロード(基幹)電源として地熱への期待が高まっている。報告書は地下深部の高温岩体を破砕するEGSや、閉鎖ループ式の先進地熱システム(Advanced Geothermal Systems: AGS)、また超高温岩体地熱(Superhot Rock Geothermal: SHR)の3技術を紹介しており、EGSではフェルボ・エナジー社(Fervo Energy)が商用規模の発電に成功し、採掘期間も2年間で70%短縮したと触れた。こうした次世代技術は、現政権や超党派支持を得ているほか、市場需要とも一致しているとし、ITIFは規模拡大に向け連邦融資や研究開発拡充や国有地へのアクセス改善を提言している。 ITIF “Advanced Geothermal Energy Is Widely Available, Clean, and Maybe Cheap Enough to Make a Big Impact” (05/18/26) https://itif.org/publications/2026/05/18/advanced-geothermal-energy-widely-available-clean-maybe-cheap-enough/

米国、対中研究連携の全面禁止法案を審議

サイエンス誌(Science)は5月27日、連邦議会に今月提出された「敵対勢力からのイノベーションと研究保護(Securing Innovation and Research from Adversaries: SIRA)法案」により、米国の研究者と政府のブラックリストに掲載された中国機関に所属する科学者による連邦資金を用いた共同研究の全面的禁止が提案されていると報じた。法案は論文の共同執筆やデータ共有、共同での学生指導などを禁止対象とし、リストには軍民融合戦略に関わる中国の大学や病院などが含まれている。法案共同提案者のジョン・ムーレナー下院議員(John Moolenaar、ミシガン州選出共和党)は、中国共産党が学術の開放性(オープンアクセス)を利用して機微技術を獲得し、軍事力を強化していると主張する一方、民主党などの反対派は、広範すぎる規制が正当な研究を萎縮させ、知見や人材の流入を絶つことにつながり、逆に米国の競争力を損なうことになると反発した。科学界は、研究安全保障を支持しつつも、禁止分野の明文化を求めている。 Science “Lawmakers propose banning all U.S.-Chinese research collaborations” (05/27/26) https://www.science.org/content/article/lawmakers-propose-banning-all-u-s-chinese-research-collaborations