ORNLの「フォトン」枠組み、AIの脆弱性発見を拡張

オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)の人工知能セキュリティ研究センター(Center for Artificial Intelligence Security Research: CAISER)は、エクサスケールで人工知能(AI)モデルにおける脆弱性を迅速に検知する助けとなる枠組み「フォトン(Photon)」を開発した。この枠組みにより、AIベースのシステムがセキュアで攻撃に対して頑強であることを確実にすることができ、エネルギーや医療、金融、国家安全保障といった重要領域でAIモデルを導入する際の重要な保護措置となる。ORNLの研究者は既存技術の「ディープハイパー(DeepHyper)」に逆転の発想をすることでフォトンを設計した。ディープハイパーは元々、大規模なニューラルネットワークを訓練して最適なネットワークパラメータを見つけることを目的として開発されたものであるが、フォトンは、この目的を逆転させ、悪意のある行為(最も効率的な攻撃のパラメータ)を検出するよう訓練されている。 Oak Ridge National Laboratory “Photon framework scales AI vulnerability discovery” (03/24/26) https://www.ornl.gov/news/photon-framework-scales-ai-vulnerability-discovery

エネルギー省とミズーリ大学研究原子炉、放射性同位体の供給網を確保

エネルギー省(Department of Energy)科学局(Office of Science)内の同位体研究開発生産局(Office of Isotope R&D and Production: IPR)と、ミズーリ大学研究原子炉(University of Missouri Research Reactor: MURR)は3月24日、ガドリニウム153(Gd-153)の定常生産を開始したと発表した。この提携により、IPRとMURRは、米国内で唯一のGd-153の供給源となり、世界でも2つしかない供給源の一つとなる。Gd-153は、単一光子放射断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography: SPECT)スキャナーとして知られる診断用画像装置の校正に不可欠であるが、2023年にGd-153の国際的な生産が停止し、世界的なサプライチェーン危機をもたらした。このニーズに対応しGd-153の確実な国内供給を確立すべく、IPRとMURRは共同で、新規の加速的生産プログラムの開発に取り組んだ。 Department of Energy “DOE and MURR Secure Critical Radioisotope Supply Chain for Medical Imaging” (03/24/26) https://www.energy.gov/science/articles/doe-and-murr-secure-critical-radioisotope-supply-chain-medical-imaging

保守派連合がAI規制強化に向け始動 政府規制緩和方針に対抗

アクシオス(Axios)は3月23日、保守系団体や子どもの安全擁護団体などで構成される新たな連合体「より良い未来のための同盟(Alliance for a Better Future)」が発足したと報じた。政府が打ち出した規制緩和路線のAI枠組みに対し、より厳格な人工知能(AI)規制の実現に向けて取り組むとし、同連合には家族政策同盟(Family Policy Alliance)や性的搾取根絶センター(National Center on Sexual Exploitation)、ヘリテージ財団(Heritage Foundation)などが参加を表明した。同連合は、「自社への法的免責を連邦レベルで確保しつつ、州のAI保護規定を排除するよう莫大な資金を投じて政府に働きかけている」IT企業に対し、2026年に少なくとも8桁の資金を投じ、連邦・州レベルでのロビー活動を展開するという。また今回の発表に伴う動画で「AIを人間がコントロールするのか、AIが人間をコントロールするのか」と広く呼びかけており、「AIの行方を心配する国民は83%に上る」という世論調査結果を示した上で、有効な対策が講じられていないと指摘している。 Axios “New conservative group launches push for tougher AI rules” (03/23/26) https://www.axios.com/2026/03/23/conservative-group-tougher-ai-rules

内務省とトタルエナジーズ社、洋上風力中止で合意 LNG生産へ移行

内務省(Department of the Interior:DOI)は3月23日、仏トタルエナジーズ社(TotalEnergies)が洋上風力発電プロジェクトを中止し、同開発向け約9億2,800万ドルをLNG生産へ振り向けることで合意したと発表した。電力コスト削減や電力の安定供給などに向けた取り組みで、約9億2,800万ドルをテキサス州リオグランデのLNGプラント(第1~~4トレイン:処理設備)の開発とメキシコ湾の従来型石油開発及びシェールガス生産に充て、欧州向けLNG供給と国内データセンターのガス需要に応じる。これに伴い、同省はトタルエナジーズ・リニューアブルズUSA社によるサウスカロライナ州ロング湾沖でのリース契約(1億3,333万3,333ドル)と、アテンティブ・エナジー社(Attentive Energy)によるニューヨーク沖でのリース契約(7億9,500万ドル)を終了し、全額を返金する。同社は今回の決定について、国内ガス生産と輸出に貢献する「資本の効率的活用」と位置付けており、ダグ・バーガム長官(Doug Burgum)は「同社の姿勢を歓迎する」と評価している。 Department of Interior “Interior and TotalEnergies Agree to End Offshore Wind Projects, Lowering Costs for American Families” (03/23/26) https://www.doi.gov/pressreleases/interior-and-totalenergies-agree-end-offshore-wind-projects-lowering-costs-american

DARPA、自律飛行システムを陸軍へ移管 H-60Mxブラックホークに搭載

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は3月20日、開発した自律飛行システムを陸軍へ移管したと発表した。これに伴い、陸軍はシコルスキー社(Sikorsky)のMATRIX自律化システムを搭載した汎用ヘリコプター「H-60Mxブラックホーク」の高度運用試験を行う。同局は、パイロットの負担を軽減して複雑な作戦環境での安全性と柔軟性を高めることを目的とする航空機乗員作業自動化システム(Aircrew Labor In-Cockpit Automation System: ALIAS)プログラムを推進し、基礎飛行から完全無人任務までを検証している。2022年には世界初の無人ブラックホーク飛行を達成しているが、今回の新たな成果に伴い、陸軍戦闘能力開発コマンド(Army Combat Capabilities Development Command: DEVCOM)が同機を「飛行ラボ」として運用し、高度任務特化型センサーの統合や減員・完全自立運用に向けた新たな戦術を探求していくという。 DARPA “DARPA-developed autonomous helicopter technology transitions to U.S. Army” (03/20/26) https://www.darpa.mil/news/2026/uh-60mx-black-hawk-army

PNNL、商用建築のエネルギー消費予測AIボットを公開

パシフィック・ノースウエスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)は3月23日、建築物のエネルギー消費の予測工程を大幅に短縮し、コスト削減する自律型AIボット「建築エネルギー・モデルAI(Building Energy Model AI: BEM-AI)」をオープンソースで公開したと発表した。窓対壁比率の変更など設計オプションを指定するだけで、気候データや建材情報を自動収集し、エネルギー消費をシミュレーションして節約効果を算出する新モデルは「エージェント型AI(Agentic AI)」を活用しており、プランナーやオーケストレーターなどのエージェントがタスクを分解・実行するため、専門知識がなくても利用可能になる。従来は、窓配置や空調システム、気象条件、稼働スケジュールなどの多様な要素を専門家が数カ月かけて行うなど、データ形式の多さやソフトウェア入力の煩雑さが課題であった。試験ではフロリダ州タンパの中規模オフィスビルで窓対壁比を10%低減した場合のエネルギー削減を正確に算出したとし、今後は全国展開を目指す。 PNNL “New AI Bot Offers Speedy, Revenue-Saving Building Energy Modeling” (03/20/26) https://www.pnnl.gov/news-media/new-ai-bot-offers-speedy-revenue-saving-building-energy-modeling

米英が水中ドローンの破壊努力で協力

国防イノベーションユニット(Defense Innovation Unit: DIU)の「ロボティックの排除と対処の枠組み(Robotic Exclusion and Engagement Framework: REEF)」プログラムの公募によれば、米英両国は、港湾やその他の重要インフラに対する水中ドローンの脅威に共同で対処する。両国は、無人水中車両や、遠隔操作車両、半潜水艇など、様々な水中ロボットを検知及び破壊できる商用システムを模索している。REEFプロジェクトの主な狙いは、水中における様々な規模や精度の脅威から港湾を保護することであり、より広範な目標は、米国の全ての重要水路を保護することである。DIUは、市販のセンサーやエッジ処理、能動・受動センサー等の技術を活用し、必要に応じて迅速に配備できる独立型ソリューションを創出することを目指している。 Defense News “US and UK teaming up to destroy underwater drones” (03/23/26) https://www.defensenews.com/naval/2026/03/23/us-and-uk-teaming-up-to-destroy-underwater-drones/

電力網の活用率向上で消費者は1,700億ドル節約できる可能性 ブラトル社報告

ブラトル・グループ社(Brattle Group)が最近発表した分析報告によれば、電力網の活用方法を改善することで、電力会社の利用者は今後10年間で1,100億~1,700億ドルを節約できる可能性があるという。年間の電力システム利用率が10%向上すると、同期間に電力の販売量が20~30%増加すると前提して、2030年までに利用者の電力料金は平均3.4%低下すると考えられるという。一方、現状維持の筋書きで、電力需要増は同じでシステム利用率の向上がない場合、2030年までに利用者の電力代は1.4%増加すると予測されている。 Brattle “The Untapped Grid: How Better Utilization of the Power System Can Improve Energy Affordability” (March 2026) The Untapped Grid 参考:Utility Dive “Better grid utilization could save customers $170B: Brattle report” (03/23/26) https://www.utilitydive.com/news/better-grid-utilization-could-save-customers-170b-brattle-report/815436/

2年以内に中国が世界最大の公的科学資金拠出国となる可能性

ネイチャー誌(Nature)は3月19日、米国における科学への公的資金拠出が停滞する中、中国政府による同拠出は急増しており、早ければ2年以内に中国が世界最大の公的科学資金拠出国になる可能性があると報じた。これは、カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)の科学・イノベーション政策フロンティア(Frontiers in Science and Innovation Policy: FSIP)プログラムによる分析の結果である。経済協力開発機構(Organisation for Economic Cooperation and Development: OECD)の最新データ(購買力平価調整済み)によれば、中国におけるR&Dへの公的支出は2023年までの10年間で90%増加して1,330億ドルとなったのに対し、米政府の支出はわずか12%増の1,550億ドルとなっている。FSIPの予測によれば、2020年代前半の傾向が維持されれば、今後2~3年以内に中国の公的研究支出が米国のそれを上回る可能性が高いという。 Nature “China could be the world’s biggest public funder of science within two years” (03/19/26) https://www.nature.com/articles/d41586-026-00618-5

ゴールデンドーム計画の予算が更に100億ドル超  宇宙能力の拡大へ

国防総省(Department of Defense)ゴールデンドーム局(Office of Golden Dome)のマイケル・グエトレイン局長(Michael Guetlein)は3月17日、ゴールデンドーム計画のアーキテクチャに必要な宇宙能力を調達するため、100億ドルの追加支出が承認され、計画の総費用は約1,850億ドルとなると発表した。追加資金は、空中移動目標表示(airborne moving target indication: AMTI)や極超音速・弾道ミサイル追跡宇宙センサー(Hypersonic and Ballistic Tracking Space Sensor: HBTSS)、宇宙データネットワーク(Space Data Network)を含む主要な宇宙能力を加速させるために使用される。トランプ大統領は2025年5月にゴールデンドーム計画のアーキテクチャ及び実践計画草案と、1,750億ドルの総予算を承認し、議会は減税・歳出法(One Big Beautiful Bill Act: OBBBA)で本計画の予算として250億ドルを充当した。国防総省は、この資金をゴールデンドームの基盤構築に充当する計画であるという。 Defense Scoop “Golden Dome budget plan gets $10B plus-up to accelerate space capabilities” (03/17/26) Golden Dome budget plan gets $10B plus-up to accelerate space capabilities