電動航空機、認証や空港インフラに課題 GAO報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は5月27日、次世代の航空輸送に向け開発が進む電動航空機について、連邦航空局(Federal Aviation Administration: FAA)による安全認証プロセスの標準化や、国内空港における充電インフラの整備といった長期的な規制アプローチが必要であるとする報告書を発表した。完全電動やハイブリッド式の機体は、運航コストの削減や騒音低減、地方空港でのサービス拡大につながると期待されており、空飛ぶタクシー(エアタクシー)や貨物輸送など幅広い用途での利用が見込まれている。その一方で、FAAによる商用運航の型式認証はまだなく、現在は個別審査にとどまっている。背景には電動推進分野の専門知識を持つFAA職員の不足や認証プロセス標準化の遅れがあるという。また、国内空港での充電インフラ設置計画は限定的で、コストや需要の不確実性、電力の安定確保が課題となっており、GAOは技術変化への対応に向け、専門人材のスキルギャップ評価を定量的かつ計画的に進めるよう提言している。 GAO “Electric Aircraft: FAA Is Evaluating Designs for Certification and Considering Long-Term Regulatory Approaches” (05/27/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107816

製造業基盤強化へ大規模投資を 貿易依存回避に向け、MGI試算

マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(Mckinsey Global Institute: MGI)は5月21日、地政学的な分断が進む中、米国が主要戦略物資の輸入依存を解消して国内生産を拡大するには、約2兆ドル(国内総生産の約6%相当)の産業基盤構築コストが必要であるとする報告書を発表した。かつて世界最大であった米国の生産量が現在、中国の4分の1にとどまっていることから、MGIは年間3兆ドルの工業製品輸入のうち、安全保障上の重要性や供給の集中度から「アキレス腱」となる製品を約25%と特定した。主にコンピューターや電子部品で、これらの国内自給には平均2倍、人工知能(AI)サーバーでは10倍以上の増産率が必要になると試算している。また、既存工場のフル稼働だけでは脆弱性を解消できないため、資金確保だけでなく、専門技能を持つ人材の育成、インフラ整備やエネルギー供給、実効性のある事業性の確立といった広範な基盤刷新が不可欠とし、戦略的な優先順位付けと取捨選択を提言している。 Mckinsey Global Institute ” Ramping up manufacturing in America?” (05/21/26) https://www.mckinsey.com/mgi/our-research/ramping-up-manufacturing-in-america 参照記事: Axios “What it would take to rebuild U.S. manufacturing might” (05/27/26) https://www.axios.com/2026/05/27/us-manufacturing-china-imports

量子コンピューター技術開発を最優先課題に CNAS提言

新米国安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)は5月26日、高付加価値をもたらす次世代技術の主導権維持に向けた戦略的投資を優先すべきとする報告書を発表した。この中で、量子コンピューティングの規模拡大に不可欠なデータセンター内のモジュール式量子相互接続を最優先課題と指摘し、量子ネットワーク分野の米中競争下での重要側面と位置付けている。実用化により創薬、材料科学、暗号解読などの先端技術変革につながるとし、既に量子センサーは高精度航行、監視などの軍事用途への導入が進んでいる一方、中国が先行する第一世代の量子暗号鍵配給(Quantum Key Distribution: QKD)については、実用上の限界から限定的な補完にとどまると指摘した。その上で政府に対し、プログラム重複を回避しつつ、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)などの事業拡張を通じた相互接続技術の加速や供給網の確保、耐量子計算機暗号(Post-quantum cryptography: PQC)への移行促進を提言している。 CNAS “The Entanglement Edge” (05/26/26) https://www.cnas.org/publications/reports/the-entanglement-edge

NASA、月面基地向け探査機・着陸機に関する最新情報を発表

米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)は5月26日、月面探査機及び月面行きの無人貨物着陸機に関する新たな契約と、月南極地域(lunar South Pole region)での最初の月面基地インフラ及び探査ミッションについて、打ち上げ目標時期と主要マイルストーンを発表した。NASAによれば、月面基地に関する最初の3件のミッションは、①ムーンベースI(Moon Base I)(2026年秋以降の打ち上げが目標。ブルーオリジン社(Blue Origin)のブルー・ムーン・マーク1・エンデュランス(Blue Moon Mark 1 Endurance)着陸機を使用してNASAのペイロード(搭載物)を月面へ輸送)、②ムーンベースII(今年後半の打ち上げが目標。1,100ポンド以上のペイロードをアストロボティック社(Astrobotic)のグリフィン(Griffin)着陸機で輸送)、③ムーンベースIII(年内の打ち上げが目標。月面ペイロード及び研究調査(Payloads and Research Investigations on the Surface of the Moon)イニシアチブを通じて選出された最初のペイロードを搭載して飛行)、となっている。ミッションは今後も追加で発表される。 NASA “NASA Provides Update on Moon Base Rovers, Landers, Missions” (05/26/26) NASA Provides Update on Moon Base Rovers, Landers, Missions

DARPA、戦場で負傷兵を治療する救護ロボットを模索

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の中小企業技術イノベーション研究(Small Business Innovation Research: SBIR)が発表した公募によれば、DARPAは、戦場で救護ロボットのスワーム(群れ)が連携して負傷兵を安全な場所まで移動することや、救命薬剤を注射したり、自らの形状を変化させて骨折した手足を固定する副木になる等の救護ロボットを模索している。現在の戦場救護システムは、近年の小規模部隊による対反乱作戦では機能するが、大規模な戦争で生じる多数の負傷者には対応できない。公募によれば、このプログラムの目標は、「自律的で自己展開が可能で、負傷状況を評価し、群れとして運用することができ、自律的に連携するモバイル・ロボットのソリューションの開発」であるという。本公募への解決策の提出は、提示されている4つの条件(「負傷兵を近く(10メートル以内)の担架まで運ぶことができる」等)のうち、少なくとも2件に対応するものでなくてはならない。 Defense News “DARPA launches search for robot medics to treat battlefield casualties” (05/26/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/05/26/darpa-launches-search-for-robot-medics-to-treat-battlefield-casualties/

運輸省、ARPA-Iアイデアチャレンジの決勝に進む最終4チームを発表

運輸省(Department of Transportation)は5月27日、交通高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency – Infrastructure: ARPA-I)による「アイデア・イノベーション・チャレンジ(Ideas and Innovation Challenge)」(通称「アイデアチャレンジ」)の決勝に進む最終4チームを選出したと発表した。選出されたのは、イリノイ州の民間事業体やアリゾナ州の個人、テネシー州の大学など4チームである。アイデアチャレンジは、交通技術における革新的アイデアのポートフォリオ創出を目的として行われる2段階方式の賞金コンペで、これらのアイデアは、ARPA-Iや運輸省、交通部門向けの研究開発への情報提供となる。第1段階で448件の提出者の中から15の準決勝進出者が選ばれ、第2段階ではより詳細なプロポーザルの提出が行われた後、決勝に進む最終4チームが選出された。最終4チームは2026年6月24日、運輸省本部にてそれぞれの革新的アイデアを発表し、第2段階における賞金70万ドルの分配をかけて競う。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Department Announces Final Four in $1 Million ARPA-I Ideas Challenge” (05/27/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/trumps-transportation-department-announces-final-four-1-million-arpa-i-ideas

国防総省、科学技術イノベーション委員会の新メンバー発表

国防総省(Department of Defense)は5月27日、ピート・ヘグセス長官(Pete Hegseth)が科学技術イノベーション委員会(Science, Technology and Innovation Board: STIB)の新たなメンバーを承認したと発表した。今回の新メンバー承認により、STIBの任命数は33名となった。STIBは、国防総省傘下の防衛イノベーション委員会(Defense Innovation Board)と防衛科学委員会(Defense Science Board: DSB)を統合し、イノベーションに関する意見を一つに集約することを目的として設立された。新たなメンバーは、ディスラプティブな思考と米軍兵士への専心に基づいて選出されており、STIBが国防総省に具体的な回答を提供するために必要な専門知識と迅速さをもたらすことが期待されている。 Department of Defense “Department of War Announces Second Round of Appointments to the Newly Established Science, Technology and Innovation Board” (05/27/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4501073/department-of-war-announces-second-round-of-appointments-to-the-newly-establish/

NSFの米国マイクロエレクトロニクス教育ネットワーク(NNME)、最初の地域ノードを発表

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が資金提供する「米国マイクロエレクトロニクス教育ネットワーク(National Network for Microelectronics Education: NNME)」の運営組織であるSEMI財団(SEMI Foundation)は、NNMEの最初の地域ノード(Regional Node)として4か所の始動を発表した。NNMEは、米国のマイクロエレクトロニクス及び半導体労働力を大規模に構築する取り組みで、今回の4カ所の地域ノードにおいて、合計325件以上の組織(学校区、大学を含む)、労働力育成組織、経済開発局、コミュニティ組織、半導体雇用事業者が、業界の需要に合った教育・訓練・キャリア経路の推進に協力することになる。 National Science Foundation “NSF-funded national workforce infrastructure initiative announces first Regional Nodes and activates more than 300 organizations across the U.S. to accelerate microelectronics education for American workers” (05/26/26) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-funded-national-workforce-infrastructure-initiative

NSF「技術アクセラレータ構想」を開始 先端技術の市場投入を加速 

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は5月27日、基礎研究の成果を商用化し、経済強化と安全保障向上を目指す「NSF技術アクセラレータ(NSF Tech Accelerators)」イニシアチブを開始したと発表した。研究を実用化するまでの、いわゆる「死の谷(Valley of death)」克服に向け、民間投資が不足しがちなディープテック(先端技術)領域に特化し、専門知識と商業化支援を提供する。投資リスクは高いものの有望とされる先端技術を実用化する取り組みにより、新たな市場の創出や技術エコシステム発展につなげたい考えで、重点分野に農業技術、材料技術、海洋技術、科学計測を選定した。採択チームには、特許取得や実証事業実施、法人設立、顧客基盤の拡大といった明確な目標達成を求める一方で、専門家によるメンターシップや戦略的パートナーシップなど包括的な支援を提供する。NSFはこの構想を民間投資の呼び水とし、新規アイデアへの投資、企業成長、規模拡大や、国のイノベーション強化につなげていく方針を示している。 NSF “NSF launches Tech Accelerators initiative to speed key technologies to the market faster” (05/27/26) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-launches-tech-accelerators-initiative-speed-key

アルゴンヌ国立研究所、オープンサイエンス向け大規模AI推論サービスを開始

アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)は5月26日、全米初のオープンサイエンス向け大規模人工知能(AI)推論サービスを開始したと発表した。同研究所のリーダーシップ・コンピューティング施設(Argonne Leadership Computing Facility: ALCF)によるもので科学者が独自のインフラを構築・維持する負担を強いられることなく、大規模言語モデル(LLM)や科学基礎モデルを共有リソースとして利用できる。この取り組みはエネルギー省(Department of Energy)が進める国家AI構想「ジェネシス・ミッション(Genesis Mission)」の重要な原動力と位置付けられており、核融合エネルギー研究におけるプラズマ崩壊のリアルタイム予測や、高エネルギー物理学・天文学における膨大なデータの解析などに活用される。ALCFはAIモデルの開発と科学研究実用化への溝を埋め、データから知見・発見に至る道のりを迅速化すると強調しており、「タラ(Tara)」や「ミネルバ(Minerva)」などのエヌビディア社(NVIDIA)の新システムなどを通じて、さらなる機能拡張を図るという。 ANL “Argonne launches first large-scale AI inference service for open science” (05/26/26) https://www.anl.gov/article/argonne-launches-first-largescale-ai-inference-service-for-open-science