リチウム電池の費用は低下せず、電気自動車の大量普及は実現できないとの予測

ラックス研究所(Lux Research)が発表した報告書「リチウム電池の費用を下げるイノベーションの模索(Searching for Innovations to Cut Li-ion Battery Cost)」によれば、リチウム電池の費用を下げて下降気味の電気自動車の販売を押し上げるためには、電気自動車メーカーはリチウム電池の生産を拡大する以外の戦略に集中する必要があるという。報告書は、2020年におけるリチウム電池の費用を1キロワット時397ドルと予測しており、米国先端電池コンソーシアム(U.S. Advanced Battery Consortium)が目標としている同150ドルにはほど遠い。ラックス研究所はより良い戦略として、カソード能力と電圧の改良を特定しており、リチウム電池以外の電池技術も検討するよう提案している。 Environmental Leader “2020 Li-Ion Battery Costs Will Be Too High for Mass EV Adoption, Report Says” (3/28/12)

NSF、「高等教育研究開発」調査結果を発表

国立科学財団(National Science Foundation: NSF)は2010年度の「高等教育研究開発(Higher Education Research and Development: HERD)」調査結果を発表した。HERDは従来発表されていた「大学における研究開発支出調査(Survey of R&D Expenditures at Universities and Colleges)」に代わるもので、対象に非科学工学分野(ビジネスや教育、法律など)の研究開発も含まれるなど、構成や内容が大幅に刷新された。HERD調査結果によれば、全ての分野における大学の研究開発費は2010年度に前年比6.9%増の612億ドルに達した。増加の主な要因は、2009年の米国景気対策法(American Recovery and Reinvestment Act:ARRA)による拠出(27億ドル)で、これにより大学研究開発費全体に占める連邦資金の割合は61%に達した。学問の分野別では、生命科学が占める割合が最大(349億ドル)で、次いで工学(93億ドル)となっている。連邦政府機関の中で大学研究開発に最大の拠出を行っているのは厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)で、2010年度における連邦資金(375億ドル)の56%(211億ドル)を占める。次いで、NSF(47億ドル)、国防総省(Department of Defense、45億ドル)となっている。 NSF “With Help from ARRA, Universities Report $61 Billion in FY 2010 Total R&D; New Details from Redesigned Survey” (March 2012)

GAO証言「断片化されたアントレプレナー支援プログラムの効率性と有効性は不透明」

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)の金融市場・コミュニティ投資のディレクター(Director, Financial Markets and Community Investment)であるウィリアム・シャー氏(William B. Shear)は上院中小企業・アントレプレナーシップ委員会(Committee on Small Business and Entrepreneurship)で証言を行い、連邦政府による53件の経済開発プログラム(アントレプレナー支援を含むもの)について調査分析した結果を発表した。それによれば、①アントレプレナーを支援するプログラムには、その目的や支援の種類などで重複が見られ、更にこうした重複や断片化は経済的に困窮した地域及び不利な状況にある中小企業を対象としたプログラムに多く見られる、②53件のプログラムのうち45件のプログラムに合理的な成果測定が含まれており、年間の成果目標を達成する傾向にあるが、プログラムの評価はほとんど行われておらず、プログラムの有効性評価に利用できるような情報もほとんどない、という。 GAO “Efficiency and Effectiveness of Fragmented Programs Are Unclear” (3/29/12)

連邦政府によるビッグデータへの取り組みを主導するNSF

国立科学財団(NSF)のスブラ・シュレシュ長官(Subra Suresh)は3月29日、大統領府によるビッグデータ・イニシアチブに関するイベントで、NSFによるビッグデータ関連の研究助成計画を発表した。まず、NSFは国立衛生研究所(NIH)と合同で、「ビッグデータ科学工学進展のためのコア技法・技術(Core Techniques and Technologies for Advancing Big Data Science & Engineering)(通称:ビッグデータ募集(Big Data solicitation)」プログラムを発表した。同プログラムでは、データの収集、管理、分析などを強化するための新たなアルゴリズムや統計手法、技法を開発・評価する研究に助成が行われる。次にNSFは「コンピューティング迅速化プログラム(Expeditions in Computing program)」による助成として、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)に1,000万ドルを提供すると発表した。更に、NSFの「21世紀のためのサイバーインフラ枠組み(Cyberinfrastructure Framework for 21st Century Science and Engineering: CIF21)」内の地球科学プログラム「アース・キューブ(EarthCube)」による助成なども発表した。 NSF “NSF Leads Federal Efforts In Big Data” (3/29/12)

上院小委員会でNIHの2013年度予算案審議が行われる

上院予算委員会(Committee on Appropriations)の労働・厚生・教育・関連機関小委員会(Subcommittee on Labor, Health and Human Services, Education, and Related Agencies)は3月28日、国立衛生研究所(NIH)の2013年度予算案に関する公聴会を開催した。本公聴会は、先日下院の小委員会で行われた同議題の公聴会に比べると、格段に友好的な雰囲気で行われた。それでもトム・ハーキン委員長(Tom Harkin、アイオワ州選出民主党)は、厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)から8,000万ドルの資金(2010年の医療改革法案で創設された資金)を移行してアルツハイマー病の研究に充当する計画に苦言を呈するなどした。同委員長は、「NIHは自分達の予算内からアルツハイマー病研究のための資金を拠出する柔軟性を有している」と述べた。また、リチャード・シェルビー議員(Richard Shelby、アラバマ州選出民主党)は、グラント件数を維持するため、研究者の受益可能金額に上限(150万ドル)を定めるNIHの計画に疑問を呈した。これに対しNIHのフランシス・コリンズ所長(Francis Collins)は、「150万ドルという設定は、受益金額の上限ではなく、既にNIHから多くを受益している研究者の提案は厳しい審査を受けるという意味である」と説明した。 Science Insider “Senate Panel Questions NIH’s 2013 Budget Plan” (3/28/12)

NIH、ビッグデータ・イニシアチブの一環として「1000ゲノム・プロジェクト」を発表

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)とアマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services: AWS)は3月29日、大統領府による「ビッグデータ・イニシアチブ(Big Data Initiative)」の一環として、国際的な1000ゲノム・プロジェクト(1000 Genomes Project)がAWSのクラウドで利用可能になったことを発表した。ビッグデータ・イニシアチブに参加するNIHの機関は、国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Research Institutes: NHGRI)と国立生物技術情報センター(National Center for Biotechnology Information: NCBI)で、NHGRIは1000ゲノム・プロジェクトの編成及び資金面で主要な役割を果たした。一方、NCBIは欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute)と共に研究者が1000ゲノムプロジェクトを無償で利用できる取り組みを2008年から開始している。プロジェクトの開始以来、データセットは200テラバイトと膨大な量になり、これを扱うコンピュータ能力を持つ研究者はごくわずかとなった。このため、この問題の解決の一助となるべく、AWSがアマゾン・シンプル・ストレージ・サービス(Amazon Simple Storage Service)を1000ゲノムプロジェクトのデータの中央保存場所とし、これを無料で利用可能にするサービスが今回開始されている。官民の協力により実現した1000ゲノムプロジェクトで、研究者は僅かな費用でこうしたデータにアクセスし、より早く分析することが可能となっている。 NIH “1000 Genomes Project data available on Amazon Cloud” (3/29/12)

オバマ政権、「ビッグデータ」イニシアチブと2億ドルの研究開発投資計画を発表

オバマ政権は3月29日、、「ビッグデータ研究開発イニシアチブ(Big Data Research and Development Initiative)」を発表した。これは、大規模かつ複雑なデジタルデータから知識や見識を抽出する能力を強化することで、米国が抱える最も困難な問題への解決策の一助となることを狙いとしたイニシアチブである。同イニシアチブの手始めとして、6つの連邦政府機関が合計2億ドル以上の投資を行うことも発表された。投資計画を発表したのは、国立科学財団(National Science Foundation: NSF)、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)、国防総省(Department of Defense: DOD)、米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency:DARPA)、エネルギー省(Department of Energy)、米国地質調査所(U.S. Geological Survey: USGS)の6機関で、膨大な量のデジタルデータへのアクセス、データの編集、そして発見の探り出しに関する手法や技法を大幅に改良するための取り組みをそれぞれ発表した。 White House ” OBAMA ADMINISTRATION UNVEILS “BIG DATA” INITIATIVE: ANNOUNCES $200 MILLION IN NEW R&D INVESTMENTS ” (3/29/12)

科学研究は機能不全に陥っているとの証言

3月27日に行われた米国アカデミー(National Academies)の科学・技術・法務委員会(Committee of Science, Technology and Laws)で、米国微生物学協会(American Society for Microbiology: ASM)の機関紙の編集長2人が証言を行い、「科学専門誌における撤回の増加は、生物医療研究の世界における機能不全の兆候である」と述べた。ASMの発表によれば、一部の撤回は単純なミスが原因であるが、その他の多くはデータ改ざんや盗作などの不正によるものであるという。こうした問題の背景には、科学者の間に過熱競争をもたらす経済的インセンティブ制度があり、それが不適切な科学的慣行につながっているという。非常に多くの研究者が非常に限られた資金を巡って競争しており、適者生存、勝者独り占めの環境が生まれ、研究者は著名科学専門誌に論文を出版することに強い圧力を感じていると、証言者は述べた。 UPI.Com “Science research called ‘dysfunctional’” (3/27/12)

陸軍が業界との提携で最高70億ドルの再生可能エネルギー事業へ

米国陸軍は業界と提携した上での、最高70億ドルの再生可能エネルギー源(風力、太陽光、バイオマス、地熱)への取り組みを目指して、提案の要請草案を公表した。3月15日に行われた記者会見で、キャサリン・ハマック軍事施設・エネルギー・環境担当陸軍次官補(Katherine Hammack、assistant secretary of the Army for Installations, Energy & Environment)は、「これらの累積投資は、2025年までに陸軍のエネルギーの25%を再生可能源から調達するという目標を達成する一助となるであろう」と述べた。陸軍の電力需要は2025年までに世界で250万メガワット時に達すると予測され、その25%を再生可能源としなくてはならない。また、電力グリッドが機能しなくなった場合に備え、何らかの形で自家発電能力を備えることも検討する。ハマック次官補は、「陸軍のリスク緩和戦略にはオンサイトの再生可能発電も含まれるが、エネルギー・イニシアチブ作業部会(Energy Initiatives Task Force: EITF)の監督の元で財政的に責任のある形で行われなくてはならない」と述べた。EITFは、大規模な再生可能エネルギー事業を計画・実施する中央管理部門として機能するものである。 United States Army “Army to partner with industry for up to $7 billion in renewable-energy projects” (3/19/12)

EPA、新規発電所に対する温室効果ガス規制を初めて発表

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は3月27日、新たに建設される発電所に適用される温室効果ガス排出規制を初めて発表した。ただし、既存の火力発電所は対象外となる。共和党や石炭業界幹部は今回の新規制に批判の声を上げているが、オバマ政権高官や多くのエネルギー・アナリストは、天然ガス価格の低下によりユーティリティ企業は天然ガス発電所の建設に乗り出しており、新規制の影響は少ないとの見解を示している。今回発表された規制(60日間にわたりパブコメを募集中)では、新規発電所における1メガワット時当たりの二酸化炭素排出を1,000ポンド未満とするよう義務付けている。米国における天然ガス発電所の平均的な1メガワット時当たりの二酸化炭素排出量は800~850ポンドである一方、石炭発電所の平均排出量は同1,768ポンドである。 Washington Post “EPA imposes first greenhouse gas limits on new power plants” (3/27/12)