FDA長官の留任はバイオ業界にとり朗報

食品医薬品局(FDA)のマーガレット・ハンバーグ長官(Margaret A. Hamburg)は、2期目となるオバマ政権においても同職に留任すると考えられている。この点について、グリコミメティクス社(GlycoMimetics Inc.)の最高経営者(CEO)でバイオ産業機構(Biotechnology Industry Organization: BIO)の理事会メンバーでもあるレイチェル・キング氏(Rachel King)は、「ハンバーグ長官の留任は、バイオテクノロジー業界にとり朗報である」と述べた。ハンバーグFDA長官は、FDAと医薬品業界の関係修繕に多くの時間を費やしており、同長官を支持する業界関係者は多い。キング氏はまた、処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act: PDUFA)を巡り、製薬企業、バイオ業界とFDAの間で行われた再交渉においても、ハンバーグ長官の功績を認めている。 Washington Business Journal “Stability at head of FDA good for biotech, says GlycoMimetics CEO” (11/7/12)

米中経済安全保障委員会(USCC)、中国からの直接投資に関する報告書を発表

米中経済安全保障委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission: USCC)は11月7日、「米国経済における中国投資の分析(An Analysis of Chinese Investments in the U.S. Economy)」と題する報告書を発表した。これは、中国による外国直接投資(foreign direct investment: FDI)の分野的及び地域的パターンや、米国経済への効果、米国における規制や監督について詳述したものである。それによれば、中国による米国企業への投資の特徴として、①中国政府は意図的な選択を行い、その外貨資産を有形資産に拡大している、②中国政府によるFDI政策ガイダンスは、従来は発展途上国におけるエネルギーや資源の購入がほとんどであったが、現在は先進国への投資も奨励しており、政策ガイダンスの変化が見られる、③米国の州及び連邦政府は雇用創出や地域経済活性化のため、中国からの投資を積極的に誘致している、といった点が挙げられている。また、米国企業に対する中国のFDIは、雇用の増加や金銭的問題を抱える企業の安定化といった効果をもたらしている一方、中国公営企業が中心である中国のFDIによる政策的課題も指摘されている。 The U.S.-China Economic and Security Review Commission “An Analysis of Chinese Investments in the U.S. Economy” (11/7/12)

カリフォルニア州の住民投票で遺伝子組み換生物を使った食品へのラベル表示義務付け案が却下される

カリフォルニア州で11月6日、遺伝子組換え生物を使った食品にラベル表示を義務付けることを定めた住民投票事項37(Proposition 37)の投票が行われ、53%が反対票を投じ、同事項は却下された。ラベル表示の義務付けに取り組んできた活動家は現在、ワシントン州とオレゴン州で同様の住民投票に持ち込むことに焦点を移している。住民投票事項37は、遺伝子組換えが行われた加工食品や原料にラベル表示を義務付けるもので、州内で販売されている製品の40~70%がその影響を受けると試算されている。連邦政府は、遺伝子組換え生物を使った食品はそうでない食品と比べて、味や栄養に大きな違いはないとして、情報の開示を義務付けていない。今回、モンサント社(Monsanto Co.)を中心とした農業・化学会社連合は4,500万ドルの巨費を投じて住民投票の否決に努力した。 Mercury News “Backers of GMO labels look ahead after Calif loss” (11/6/12)

SLAC国立加速器研究所の新所長が就任

SLAC国立加速器研究所(SLAC National Accelerator Laboratory)の新所長として、X線科学者で同研究所に2010年から務めるチ-チャン・カオ氏が(Chi-Chang Kao)が就任(11月1日付)することが決まり、同研究所は従来の素粒子物理学専門の研究所から、X線研究に重点を置いた多目的研究所へと変革する大きな取り組みが、ある意味で完了した。カオ氏は、2007年12月以来、同研究所の所長として研究所の転身を指揮してきたパーシス・ドレス氏(Persis Drell)の後任となる。SLACは、エネルギー省(Department of Energy)傘下で、スタンフォード大学(Stanford University)によって運営されている。カオ氏はSLACの今後について、現行プログラムの維持に加え、エネルギー関連の基礎研究の具体的な分野(エネルギー貯蔵、ソーラー技術、触媒作用など)を強化していきたいと述べているが、現状の連邦予算環境ではこうした拡大が難しいであろうとの認識も示している。 ScienceInsider “X-ray Scientist to Head SLAC National Accelerator Laboratory” (10/25/12)

下院科学委員会、大幅な入れ替えに直面

AAASの分析によれば、下院の科学・宇宙・技術委員会(Committee on Science, Space, and Technology)の現行委員の10名(全委員の4分の1に相当)が今回の選挙で落選、或いは引退するため、同委員会は大幅な入れ替えに直面している。また、同委員会のラルフ・ホール委員長(Ralph M. Hall、テキサス州選出共和党)が下院の任期規制により委員長を退くことが決まっており、新たな委員長が選出される。その候補としては、ラマー・スミス議員(Lamar Smith、テキサス州選出共和党)が有力となっている他、前委員長のジェームズ・センセンブレナー議員(F. James Sensenbrenner Jr.、ウィスコンシン州選出共和党)も委員長への復帰に関心を示しているという。 Science Insider “U.S. House Science Committee Set For Big Turnover” (11/7/12)

国防総省、質の高いSTEM労働者不足の可能性に直面

米国工学アカデミー(National Academy of Engineering: NAE)と米国研究評議会(National Research Council: NRC)が発表した報告書によれば、国防総省(Department of Defense)における科学・技術・工学・数学(STEM)労働力に関する主たる課題は、重要なポジションに質の高い専門家を確保及び維持することであるという。そして、同省は採用に関する方針や慣行を見直して改革を行い、有能な科学者や工学者、技術者にとって魅力的な就職先となるべく、努力する必要があるとしている。具体的には、有能な外国人を対象とした一部のポジションにおける身元保証検査の必要性の見直し、国防総省が有能な人材をより多く確保できるよう、就労ビサ(H-1B visa)制度の見直し、STEM系ではないが非常に有能な個人に教育を提供する体制作り、などを提案している。 National Academies “DOD Faces Potential Shortfall in Quality STEM Workers; Overhaul of Recruitment Practices, Security Requirements Needed” (10/25/12)

ヒトDNA配列解析一大プロジェクト終了により、個別化医療に一歩近づく

1,200万ドルを投じて行われた「1,000ゲノム・プロジェクト(1000 Genomes Project)」の報告書が10月31日にネイチャー誌(Nature)で発表された。それによれば、米国やカナダ、中国、日本、ナイジェリアなどの国々から700名の科学者が関与して行われた同プロジェクトにより、欧州、アフリカ、東アジア、米州における14の人種から1,000人以上の完全なDNA配列の解読が完了したという。本件は、個人化医療時代に向けた大きな一歩となる。プロジェクトに参加した科学者らは、平均的な人間の約2万3,000個の遺伝子とDNA領域を形成するゲノム配列における3,800万の変異を特定しており、これは世界の人間の変異(推定)の約98%に当たる。研究を主導した統計遺伝子学者は、「我々は個人のゲノム配列が診断の有益な一部となる時に近づきつつある」と述べている。 Wall Street Journal “Personalized Medicine Moves Closer” (10/31/12)

DARPAロボット工学チャレンジが始まる

米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency:DARPA)による「DARPAロボット工学チャレンジ(DARPA Robotics Challenge: DRC)」が10月24日に始まった。参加チームは今後2年間にわたって、災害発生時の緊急対応支援を行うロボットのハードウェア及びソフトウェアの開発及び試験を競う。DARPAは既に、トラックA(Track A:ハードウェアとソフトウェア双方のロボットシステム開発)とトラックB(ソフトウェアの開発のみ)に提出された提案の中から前者7チームと後者11チームに資金を提供することを決定している。そして本日からトラックC(ソフトウェアの開発のみ)とトラックD(ハードウェアとソフトウェアの双方)への提案受付も開始している。参加チームは、オープンソース・ロボット工学財団(Open Source Robotics Foundation)が開発を進めるDRCシミュレーター(DRC Simulator)を使って開発に取り組む。2013年6月にはDRCの最初のイベントとして、仮想ロボット工学チャレンジ(Virtual Robotics Challenge)が行われる。 Defense Advanced Research Project Agency “Robots, Take Your Mark… The DARPA Robotics Challenge Begins Today! Will It Include You?” (10/24/12)

拡大を続ける米国風力エネルギー業界

米国風力エネルギー協会(American Wind Energy Association: AWEA)が発表した「2012年第3四半期市場報告(Third Quarter 2012 Market Report)」によれば、米国の風力エネルギー業界は、かつてない成長を続けている。米国における導入済みの風力発電能力は5万1,630メガワット(MW)に達し、これは前年同期比40%となった。地域別の新規風力発電能力では、1,291MWが追加されたテキサス州が1位となり、次いで、カリフォルニア州(1,022MW)、カンザス州(836MW)となっている。AWEAの報告書は、エネルギー省(Department of Energy)が8月に発表した「2011年風力エネルギー技術市場報告(2011 Wind Technologies Market Report)」と同様、風力エネルギーの継続的な拡大を示している。 Department of Energy “U.S. Wind Industry Continues to Expand” (10/23/12)

IBM社、スマーター・エネルギー研究所を設立

IBM社は10月25日、世界的なエネルギー及びユーティリティ市場でのイノベーションの加速を狙いとした産業共同研究モデルとして、「スマーター・エネルギー研究所(Smarter Energy Research Institute)」の立ち上げを発表した。初期メンバーとして、カナダのハイドロ・ケベック社(Hydro-Québec)、オランダのアリアンダー社(Alliander)、米国のDTEエネルギー社(DTE Energy)が参加する。本件は、企業の研究部門とエネルギー及びユーティリティ産業との新たな共同取り組みであり、予測的分析やシステムの最適化、先端コンピューティングなどを通じて有力エネルギー企業の変革を図る。また、同研究所では、①計画停電の最適化、②資産管理の最適化、③再生可能エネルギー及び分散型エネルギー資源の統合など合計5つの中核イノベーションに集中していくという。 IBM “IBM Establishes the Smarter Energy Research Institute to Advance the Utility of the Future” (10/25/12)