Day: February 3, 2026
ブルー・オリジン社、有人月面着陸開発に注力
ニューヨーク・タイムズ紙(New York Times)は1月30日、有人宇宙船「ニュー・シェパード(New Shepard)」の運航が少なくとも2年間停止されると報じた。ジェフ・ベゾス氏(Jeff Bezos)が創業した民間宇宙企業、ブルー・オリジン社(Blue Origin)によると、今後は航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)から受注した34億ドル規模の契約、アルテミス計画(Artemis Program)における有人月面着陸船開発に注力していくという。宇宙空間の境界とされる高度62マイル(約100km)を超え上昇した後、地球を周回せずにパラシュートで着陸するニュー・シェパードの最初の有人飛行は2021年で、ベゾス氏自身も搭乗し大きな注目を集めた。これまで38回打ち上げ、92人を宇宙へ送り出した。 The New York Times “Jeff Bezos’ Rocket Company Pauses Space Tourism to Focus on the Moon ” (01/30/26) https://www.nytimes.com/2026/01/30/science/blue-origin-new-shepard-rocket-bezos.html
石炭火力発電所の緊急稼働命令、所有者が違憲と主張
ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は2月2日、コロラド州の石炭火力発電所の所有者が、エネルギー省(Department of Energy)による稼働継続命令は憲法違反と主張していると報じた。トライステート発電送電協会(Tri-State Generation and Transmission Association: Tri-State)とプラット河川域電力公社(Platte River Power Authority: Platte River)は、北西部地域の電力供給不足を理由として昨年12月30日に発動された緊急稼働命令は十分な正当性を示しておらず、政府補償もない中で、不当に発電用設備を収用されたとし、1月29日付で再審理を求めた。2025年末廃止に向け準備が進められてきた同州クレイグ発電所の427MWの石炭火力ユニット1は、既に顧客から設備代替費用が支払われており、同稼働継続命令により、地域の計画的な資源調達プロセスが妨げられ、運転継続コストなど新たな費用負担が不当に発生したと訴えている。また連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission:FERC)によるコスト回収メカニズムでは政府補償もなく、負担は一般消費者に転嫁される可能性が高いとも指摘した。 Utility Dive “Coal plant owners say DOE ‘emergency’ order to run it violates Constitution” (02/02/26) https://www.utilitydive.com/news/doe-emergency-order-craig-colorado-coal-tri-state/811088/
政府介入から高等教育を守るため新アライアンス発足
米国の高等教育に関する情報を提供するインサイド・ハイヤー・エド社(Inside Higher Ed)は1月28日、政府の干渉から大学を守るための「高等教育同盟(Alliance for Higher Education)」が発足したと発表した。学問の自由、大学の自治、学生の学習機会を守り、高等教育が民主主義を支える役割を果たすことを使命とするもので、初代会長兼CEOに選ばれたマイク・ギャビン氏(Mike Gavin)は「高等教育への政治的介入に迅速に対抗するリソース提供や、財政支援削減の脅威に備えるツールキットの展開を進める」と抱負を述べた。「デモクラシー・キャンパス(Democracy’s Campus 2036)」プロジェクトを通じ、大学へのアクセス拡大を目指す青写真を策定する計画で、現時点で50以上の高等教育関連団体と提携しているという。同会長は「大学関係者が自らの理想を実現し、民主主義の未来を見据えた取り組みを進められる環境を提供するために、政府と高等教育機関の健全な分離を維持するために、事態を少しでも改善していきたい」と述べている。 Inside Higher Ed “New Alliance Aims to Protect Colleges and Universities From Government Meddling” (01/28/26) https://www.insidehighered.com/news/government/politics-elections/2026/01/28/alliance-forms-protect-higher-ed-political-meddling
パリ協定再離脱 揺らぐ米国の国際的信頼
ニューヨーク・タイムズ紙(New York Times)は1月27日、米国がパリ協定から正式に離脱し、気候変動対策への国際的約束を放棄した唯一の国となったと報じた。トランプ大統領は1年前に離脱手続きに関する大統領令に署名し、今月にはパリ協定の根幹となる1992年の国連条約からも脱退する意向を示した。大統領府は声明で、パリ協定が米国の価値観や経済成長を阻害しているとし、今回の撤退を「米国第一主義の勝利」と表現したが、欧州連合(EU)は今回の米国脱退により国際的なリーダーシップが欠落し、同国評判にも深刻な悪影響を及ぼすと指摘した。米国は依然として中国に次ぐ世界第2位の温室効果ガス排出国であり、歴史的にみても最大の排出国であるが、トランプ大統領は化石燃料の採掘を推進し、風力・太陽光発電や電気自動車などのクリーンエネルギー技術を抑制する政策を進めている。対照的に、欧州諸国は引き続きクリーンエネルギーへの移行を進める方針で、記事はEUがリーダーシップを発揮するよう訴える専門家の声を伝えている。 The New York Times “America Officially Leaves the Paris Climate Agreement. For the Second Time.” (01/27/26) https://www.nytimes.com/2026/01/27/climate/paris-climate-agreement-withdrawal.html
トランプ政権、原子力安全規制を大幅緩和
米国公共ラジオ放送(National Public Radio: NPR)は1月28日、トランプ政権が原子力安全規制を大幅に緩和した新たな規制を策定したが、同規制の内容を規制対象企業に共有する一方で、一般には公開していないと報じた。次世代型小型モジュール炉(Small Modular Reactors: SMR)開発促進に向けた改定で、エネルギー省(Department of Energy)が少なくとも3基の実験炉を建設し、2026年7月までにそれぞれ臨界に達成させるプログラムの一環として行われた。新規制下では地下水保護や安全担当技術者の配置義務、放射線被ばく基準など、多岐に亘る安全・環境規制が大幅に緩和・削減され、保安に関する指令は従来の数百ページからわずか数十ページへ縮小されたという。放射性物質の地下水や公共下水への排出規制も「禁止」から「回避すべき」といった表現に変更され、産業への信頼損失や安全性に対する深刻な懸念が広がっている。同省は「安全性を損なわずにイノベーションを促進する」と弁明したものの、透明性の欠如や環境・労働者保護の後退に懸念する声が相次いでいる。 NPR “The Trump administration has secretly rewritten nuclear safety rules” (01/28/26) https://www.npr.org/2026/01/28/nx-s1-5677187/nuclear-safety-rules-rewritten-trump
裁判所、気候作業部会の設立・運営方法を違法と判断
アース・テクニカ(Ars Technica)は2月3日、トランプ政権が設置した気候作業部会が連邦諮問委員会法(Federal Advisory Committee Act: FACA)に違反していたとする司法判断が下されたと報じた。温室効果ガス規制の根拠を覆すことを意図した報告書を作成するなど、裁判所はその運営手法についても違法と認定した。訴訟では、環境保護基金(Environmental Defense Fund)や憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists)が、同部会について、偏ったメンバーで構成され、公開記録を保持せず、会合も非公開であったと主張した一方、政府側は部会解散済を理由に訴訟そのものが無意味であると反論したが、裁判所はこの主張を退けた。公開された内部文書にはエネルギー省(Department of Energy)の政治任用者がケイトー研究所(Cato Institute)出身であったことや、主流派科学者が政治的に偏向しているとみなすなどに加え、科学的レビューを形だけ整えようとする動きなどが記されていたことから、規制撤回の科学的根拠の弱さが再確認される形となった。 Ars Technica “Without Fundamental Policy Change US Risks Losing Techno-Economic-Trade War With China, New Report Warns” (02/03/26) https://arstechnica.com/science/2026/02/us-forced-to-disclose-its-climate-working-groups-communications/
原子炉の適正規模化でコスト削減への道筋 NIA提言
原子力イノベーション・アライアンス(Nuclear Innovation Alliance: NIA)は1月30日、原子炉の適正規模化に関する報告書を発表した。これによると、原子炉には規模の経済性があるものの、巨大プロジェクト管理の難しさから大幅なコスト超過が発生した例について触れ、規制の拡大適用などにも課題があると指摘している。その一方で、小型モジュール炉(SMR)やマイクロ炉を工場で製造することで、コスト削減やリスク軽減につなげることができ、現地で原子炉を建設するよりも迅速に展開できるとし、顧客がニーズに合った原子炉を選択できる環境整備が鍵であると指摘した。さらに、官民連携や多様な原子炉の設計支援、資金調達、プロジェクト開発、リスク共有、実際の受注が必要であるとし、その上で顧客ニーズを反映した設計やプロセスを改善し、規模を問わずコストと性能で競争できる枠組みが整えば、太陽光や風力並みのコスト低減も実現可能との見解を示している。 NIA “Right-Sizing Reactors: Balancing trade-offs between economies of scale and volume” (01/30/26) https://nuclearinnovationalliance.org/right-sizing-reactors-balancing-trade-offs-between-economies-scale-and-volume 参照記事: Axios “Factory-built nuclear reactors can cut costs, think tank says” (02/02/26) https://www.axios.com/2026/02/02/nuclear-reactors-costs-factory
対中リスク、抜本的な経済政策転換が急務 ITIF提言
情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)は2月3日、中国との技術・経済・貿易競争において、米国が重大なリスクに直面しているとする報告書を発表した。根本的な政策転換がなければ先端産業の生産能力を失うだけでなく、国家安全保障や経済的側面からも危ういと指摘し、中国の「国力産業」が米国をまさに追い抜こうとする中、重要技術や製品で中国への依存が強まる危険性を指摘している。中国は高度産業支配を目指す長期的で統合的な戦略を展開しており、まずは米国及び同盟国の先端産業の競争力強化の優先を促している。その上で、科学研究や企業投資、製造政策、貿易、規制など主要政策領域で新たなパラダイムを求める政府主導の産業戦略が不可欠であると強調した。さらに中国を戦略的競争相手と認識し、同盟国と協調しながら、抜本的な「国家的産業資本主義」への移行が必要と訴えている。ITIFは今後、2026年を通じて追加報告書を公表し、11月17日には主要政策会議を開催予定である。 ITIF “Without Fundamental Policy Change US Risks Losing Techno-Economic-Trade War With China, New Report Warns” (02/02/26) https://itif.org/publications/2026/02/02/without-fundamental-policy-change-us-risks-losing-techno-economic-trade-war-with-china-new-report-warns/
国防総省、ドローン脅威対策で新指針発表
国防総省(Department of Defense)は1月30日、合同省庁タスクフォース401(Joint Interagency Task Force 401: JIATF 401)が重要インフラの物理的防衛ガイド(Guide for Physical Protection of Critical Infrastructure)を発行したと発表した。小型無人航空機システム(small unmanned aircraft systems: sUAS)による脅威から国家重要インフラ保護に向け、施設司令官や地元法執行機関が活用できる物理的防護策の指針となるもので、前線基地から国際イベント開催地まで幅広い現場での脅威対策に共通の指針を提供することを目的としている。主に物理的障害物の設置(Hardening)、重要資産の視認性低減(Obscuring)、周辺警戒の多層化(Perimeter)の3要素を軸とし、実践的な対策に重視した。また重要インフラ防護に向け、連邦及び地方のパートナーとの連携強化も強調した。FIFAワールドカップ開催を控え、共通の用語体系とベストプラクティスを確立し、国内のインフラ防衛作戦の連携と相互運用性の向上推進を目指している。 Department of Defense “JIATF 401 Publishes New Guidance for Physical Protection of Critical Infrastructure” (01/30/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4394552/jiatf-401-publishes-new-guidance-for-physical-protection-of-critical-infrastruc/
大学の間接経費補填、年間68億ドルが未回収 AAU報告
米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は1月20日、大学が連邦政府から間接経費(Facilities and administrative: F&A)補填を十分に受けていないとする報告書を発表した。AAU及び連邦政府関係協議会(Council on Governmental Relations: COGR)がアテイン・パートナーズ社(Attain Partners)に委託した調査によると、研究に必要な施設維持費や規制遵守費用などの大学側支出への連邦政府による補填は部分的にとどまっており、2023年度には約68億ドルもの未回収分が生じたという。一方で、民間企業の研究所は間接経費に上限が設けられておらず、また政府所有・請負業者運営(Government-Owned, Contractor-Operated: GOCO)研究所は前払いで資金提供を受けるなど、間接費の構造が大きく異なることも指摘した。また、私立大学と公立大学の違いは、地理的なコストや研究内容によるもので、手続き上の優遇措置に由来しないとも説明している。 AAU “Report on Indirect Cost Rates and Recovery” (01/20/26) https://www.aau.edu/key-issues/report-indirect-cost-rates-and-recovery 参照記事: IHE “How Indirect Rate Costs Differ Between Academia and Industry” (01/20/26) https://www.insidehighered.com/news/quick-takes/2026/01/27/report-delves-how-indirect-rate-cost-policies-differ